豆腐に含まれるイソフラボンは健康効果が高いことで知られていますが、絹ごし豆腐と木綿豆腐で含有量に違いはあるのでしょうか。この記事では、豆腐の種類ごとの含有量の違いや、イソフラボンの詳しい効果などについて解説します。
豆腐に含まれるイソフラボンの量は、木綿豆腐は1/2丁(150g)で約42mg、絹ごし豆腐は1/2丁(150g)で約38mgと、木綿豆腐の方が若干多くなっています。
木綿豆腐は製造の過程で型に入れて圧搾・成型されている分、同じ重さでも絹ごし豆腐より栄養素が多めです。
豆腐には豊富なたんぱく質以外にも、善玉コレステロールを増やすリノール酸などの脂質、カリウムやカルシウムなどのミネラルや、様々なビタミンが含まれています。炭水化物の含有量も少なく、ダイエット食材として食べられることも多いです。
木綿豆腐は圧縮されている分、絹ごし豆腐と比べるとタンパク質や鉄、カルシウムなどの栄養素が2~3割ほど多く含まれています。栄養豊富な分、カロリーは絹ごしよりも少し高めです(100gあたりで木綿:73kcal、絹ごし:56kcal)。
一方、絹ごし豆腐は栄養素の量は木綿豆腐よりも少ないものの、木綿豆腐では製造過程で失われてしまうビタミンB群などの水溶性ビタミンやマグネシウムなどが多く含まれています。
イソフラボンには健康に良い効果がたくさんあります。
イソフラボンは、主に大豆の胚芽部分に多く含まれているポリフェノールの一種です。大豆の「えぐみ」の成分の1つでもありますが、大豆の中にわずか0.2~0.4%程度しか含まれておらず、貴重な成分とされています。
女性ホルモンのエストロゲンとよく似た働きをすることから、女性ホルモンの減少によって引き起こされる更年期障害の症状を改善する効果や、骨粗しょう症を予防する効果があります。
また、強い抗酸化作用もあり、美肌効果に加え、肥満や高血圧などの生活習慣病の予防・改善の効果も期待できます。
2006年の食品安全委員会の報告書では、イソフラボンの1日あたりの摂取目安量の上限値は70〜75mgとされています。
しかし、2006年に厚生労働省から発表された指針で、イソフラボンの摂りすぎに関する注意喚起がなされました。これは大豆の持つイソフラボンの健康効果の評判が高まるとともにサプリメントが多く販売されるようになり、イソフラボンを含む特定保健用食品(トクホ)の製品も増え、イソフラボンの摂りすぎが懸念されるようになったためです。
イソフラボンの摂りすぎは女性ホルモンバランスが崩れる、肥満・下痢などの症状につながります。摂りすぎに注意しつつ、日常的に摂取を続けることで健康効果を発揮します。
イソフラボンは大豆を原料とする様々な食品から摂取することができます。食品ごとの含有量は次の項目で解説しています。
出典:
日常生活で取り入れやすい食材を中心に紹介します。
豆乳(調整豆乳)のイソフラボン含有量は、200mlあたり約40mgです。豆乳はそのまま飲んでも美味しいですし、牛乳の代わりにコーヒーや紅茶と合わせて飲んだり、スープやシチューを作っても美味しいです。
カロリーや糖質が気になる方は、無調整の豆乳を選んでみても良いでしょう。ただし、調整豆乳と比べると大豆本来の風味が強く、青臭さなどが気になりやすいです。
納豆には1パック(45g)あたり、約36mgのイソフラボンが含まれています。納豆は発酵食品なので健康効果が非常に高く、旨味のもとでもある「納豆菌」には骨の形成を促進する効果や、整腸作用などがあります。
臭いが苦手な方は臭いがしないタイプを選ぶこともできます。料理に使っても臭いを軽減することができ、納豆の旨味を料理に加えることができます。
きな粉にもイソフラボンが含まれており、大さじ2杯(12g)で約19mgです。大豆から作られる食品は豆乳や納豆など、癖が強い食品が多いですが、きなこは比較的癖が少なく、デザートとして手軽にイソフラボンを摂取できます。
アイスにかけて食べることもできますが、和え物に使ったり、照り焼きチキンの隠し味などに使ったりもできます。
大豆を発酵させて作られる味噌の場合、味噌汁1杯(味噌20g)で約6mgのイソフラボンが摂取できます。味噌に含まれるイソフラボンは発酵によって体に吸収されやすくなっています。
味噌にはほかにも様々な健康効果がありますが、塩分量も多いので、摂りすぎには要注意です。
大豆から作られる醤油にもイソフラボンは含まれていますが、少しかける程度(1かけ、5.85g)では約0.08mgと微かな量のイソフラボンしか含まれていません。
醤油も味噌同様塩分量が多いので、摂りすぎには要注意です。
木綿豆腐と絹ごし豆腐は、固さや食感以外にも様々な違いがあります。
木綿豆腐と絹ごし豆腐では食感が大きく異なるため、食べ方によって向き不向きがあります。ただし、豆腐は好みに合わせて選ぶのが一番なので、好みな食感の方を選んでみましょう。
木綿豆腐は少しごわごわとした食感ですが、中身が詰まっているので食べ応えがあります。また、水分量が少ないのでしっかりとしていて崩れにくく、味も染み込みやすいので、煮込み料理や炒め物向きです。
絹ごし豆腐はつるつるとした食感と喉越しで人気ですが、水分量が多く料理では崩れやすいため、冷奴や味噌汁の具材として使うのがおすすめです。サラダや和え物に使っても美味しいです。
保存用の水と一緒に入ったパックの豆腐であれば、基本的な賞味期限は、未開封の状態で冷蔵庫に保存した場合、製造から約1週間程度です。
ただし、パックに直接流し込んで固められた「充塡豆腐」と呼ばれるタイプの絹ごし豆腐は空気や水に触れていないので、2週間以上の長期間にわたって保存が可能です。パックに「充塡豆腐」の表示があるので探してみてください。
賞味期限から2~3日過ぎた程度であれば食べられることが多いですが、味が落ちてしまっているかもしれません。傷んでしまった豆腐は少しおかしな臭いがするので、よく臭いを確認しましょう。
豆腐は傷みやすい食品なので常温保存はNGです。必ず冷蔵庫で保存しましょう。たくさん買い込んだ際は冷凍庫でも保存できますが、豆腐は水分の多い食品であるため、一度冷凍すると水分がたくさん抜けてしまい、かたくぼそぼそとした食感に変わってしまいます。
ただし、木綿豆腐をパックごと保存する場合は比較的食感の変化が起きにくいです。絹ごし豆腐の場合は、水分が抜けると湯葉のような歯ごたえのある食感に変わり、この食感を好む方もいます。
冷凍してボロボロになった食感をあえて生かし、一度冷凍した豆腐をそぼろ丼風やステーキ、唐揚げなど、お肉の代わりに使って調理するレシピもあります。
豆腐は木綿豆腐と絹ごし以外にもさまざまな種類があります。
ソフト豆腐は、名前の通り柔らかい木綿豆腐として香川県で作られ始めました。その製造方法から見ても、木綿豆腐に近い特徴を持つ食品であり、実際、木綿豆腐の一種としても分類されます。京都では「嵯峨豆腐」と呼ばれています。
木綿豆腐と絹豆腐の中間と言われることの多い程よい固さを持っています。そのため食べやすく、多くの料理に適用できる万能な食材と言えるでしょう。
カロリーは絹ごし豆腐と同じ100gあたり56kcalで、栄養素も絹ごし豆腐に近いですが、水にさらす分ビタミン類は木綿豆腐同様に少なめです。
プラスチックの容器に材料を直接流し込んで固める「充塡(じゅうてん)豆腐」と呼ばれるタイプの豆腐は、製造時に加熱・殺菌されてから空気や水に触れていない状態でパックされているのでとても衛生的で、2週間以上の長期間にわたって保存が可能です。スーパーなどで小さめのサイズで3個パックになっている製品をよく見かけますよね。
絹ごし豆腐に近いなめらかな触感で、材料も絹ごし豆腐と基本的に一緒なので、「充填絹ごし豆腐」という名称も使われています。
高野豆腐は、鎌倉時代に和歌山県北部の高野山で誕生しました。「氷豆腐」や「凍り豆腐」(こおりどうふ)、「凍み豆腐」(しみどうふ)とも呼ばれています。これらの別名からも分かる通り、高野豆腐は特殊な製法によって作られています。
高野豆腐は、通常の豆腐とは異なる製造過程を経ています。豆腐を繰り返し凍結・解凍することにより、水分が徐々に抜け、豆腐が乾燥した状態になります。このプロセスにより、豆腐の栄養成分や旨味が濃縮されるとともに、特有の食感や風味が生まれます。
高野豆腐の特筆すべき点は、その保存性の高さです。通常の豆腐よりも乾燥しているため、賞味期限が長く、長期間保存することができます。
高野豆腐を使う際は、お湯で戻して使います。硬い状態の高野豆腐を熱湯に浸して戻すと、柔らかさが戻り、調理に適した状態になります。戻した高野豆腐は煮物や炒め物、鍋料理などのさまざまな料理に利用されます。高野豆腐独特の風味と食感が、料理に深みを加えるのに一役買っています。
堅豆腐は、日本で豆腐が作られ始めた初期の製法を踏襲して作られる、特別な種類の豆腐です。この伝統的な製法によって、堅豆腐は他の種類の豆腐とは異なる特徴を持ちます。
堅豆腐の製造には、濃度の高い豆乳や強力なにがりなどの独特な材料や、長時間重しをのせて水分を抜く手法が用いられます。この特徴的な製法により、堅豆腐は通常の豆腐よりも非常に固く、また乾燥した状態に仕上がります。その結果、長期間の保存が可能となります。
堅豆腐の代表的な製造地域としては、石川県や富山県が知られています。これらの地域では、古くから伝わる製法が守られ、堅豆腐が製造されてきました。
「胡麻豆腐」や「玉子豆腐」、そして「杏仁豆腐」はその名に「豆腐」を冠していますが、実際には大豆を原料としていない異なる食品です。これらの名前が「豆腐」と呼ばれる背景には、製法や食感、用途などの類似性があることが影響しています。
「胡麻豆腐(ごまどうふ)」は、精進料理の一種であり、奈良県および和歌山県の郷土料理として知られています。
ゴマと葛粉を主要な材料としており、大量生産も可能なことから、現在では全国のスーパーや食品店で手に入れることができます。
滑らかな食感と豊かな胡麻の風味が特徴であり、冷奴として食べられることが多く、料理に使われることはあまりありません。
「玉子豆腐」は、だし汁と鶏卵を混ぜ合わせ、四角い容器に入れて蒸し固めることで作られる食品です。
豆腐に似た滑らかな質感と優しい風味があり、和食の一部として親しまれています。スーパーなどでパックに入って売られていることも多く、冷奴として食べることがほとんどです。
「杏仁豆腐」は、アンズの種子の仁(さね)を粉砕し、白い汁を搾り取り、寒天で冷やし固めた中国発祥のデザートです。名前に「豆腐」が含まれているものの、やはり大豆とは無関係です。
滑らかでクリーミーな食感と、杏仁の風味が特徴であり、日本では果物と一緒にフルーツポンチ風にして食べられることも多いです。
木綿豆腐は崩れにくく食べ応えがあるので、様々な料理に使いやすいです。
麻婆豆腐作りには木綿豆腐がおすすめです。しっかりしていて崩れにくい木綿豆腐を使うことで、仕上がりがきれいになりやすく、食べ応えも出ます。
また、木綿豆腐は味が染み込みやすいので麻婆豆腐のうまみをしっかり感じられるようになります。
ゴーヤーチャンプルーを作るときにも木綿豆腐が多く使われます。本来のレシピでは沖縄で作られている「島豆腐」と呼ばれる固くて重い豆腐を使いますが、島豆腐は流通量が少なく、触感などが近い木綿豆腐が使われるためです。
木綿豆腐を使うことで食べ応えのある仕上がりになるほか、炒めても水分が出にくいので味が薄まりにくく、崩れにくいです。
豆腐ハンバーグのタネづくりにも木綿豆腐がおすすめです。水分量が少ないのでタネが水っぽくなりにくく、成形しやすく焼いて崩れる失敗が起きにくくなります。
木綿豆腐を一度冷凍してからしっかりと水切りをすると、かなりの量の水分を取り除くことができ、ボロボロで固めのひき肉に近い食感になります。
絹ごし豆腐の場合、その食感を活かした食べ方がおすすめです。
絹ごし豆腐のつるつるとした食感やのど越しを存分に楽しむことができ、手軽に食べられるのが冷奴です。
冷奴は冷たいままでも美味しいですが、キッチンペーパーに包み、電子レンジで200Wの設定で1分温めてみてください。余分な水分を落とすことができ、常温になることで豆腐の風味がアップします。
絹ごし豆腐は味噌汁の定番の具材であるなめこやわかめといった定番の具材と食感が近く、一体感が生まれ、とても食べやすくなります。豆腐を小さめにカットするとかわいらしく、どこかごちそう感のある見た目になります。
食べ応えを重視する方は木綿豆腐を使ってみると良いでしょう。木綿豆腐は根菜との相性が良いので、大根やにんじん、ごぼうを具材に使うのがおすすめです。
絹ごし豆腐を使った揚げだし豆腐は、ふわふわの衣とつるつるの豆腐の食感の対比が楽しく、衣がつゆによく絡むので美味しさも満点です。
絹ごし豆腐を使う際は水切りをして水分を抜いておかないとあげている際に崩れてしまうので気を付けましょう。豆腐の扱いに慣れていない方は崩れにくい木綿豆腐を使ってみても良いでしょう。
豆腐をサラダに入れることでいつものサラダに食感や栄養素をプラウすることができます。絹ごし豆腐のみずみずしくつるっとした食感は、野菜との相性もばっちりです。
サラダに混ぜる前にザルに上げて放置しておくか、キッチンペーパーを巻いて冷蔵庫で放置して余分な水分は抜いておくと、豆腐から水分が出てドレッシングが薄まりません。
絹ごし豆腐はデザートとして食べられることもあります。きなこやあんみつ、ジャムをかければ手軽にデザートとして楽しむことができます。炭水化物の含有量が少ないので、ダイエット中の方にも人気です。
絹ごし豆腐を崩してから裏ごしをして、牛乳や卵、チョコレートなどと混ぜてプリンやテリーヌ、ブラウニーを作るレシピもあります。
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