ハンバーグの卵を使う際、黄身と白身のどちらも使うべきなのでしょうか?この記事では、ハンバーグ作りにおける卵の役割に加え、黄身と白身それぞれの役割も詳しく解説します。
ハンバーグ作りに卵を使いますが、どの部分を使うのが正しいのでしょうか。
ハンバーグ作りに卵を使う場合、基本的には黄身と白身を合わせた卵の中身の全て、すなわち全卵を使用するのが一般的です。黄身と白身のどちらかを残してしまうのも勿体ないですよね。
卵の黄身だけを使って作るハンバーグのレシピなども見かけますが、黄身はもちろん、白身にもハンバーグを美味しく仕上げ、失敗しにくくする大切な役割があります。
卵としての役割、そして黄身と白身の役割は次の項目で解説します。
卵はタンパク質などの卵そのものが持つ効果はもちろん、黄身と白身の成分によってハンバーグのタネづくりにおける重要な役割を果たします。
卵のタンパク質は、熱を加えると固まる性質(凝固力)があります。これによって火を通した際にハンバーグの結着力が高まり、崩れにくくなります。
また、卵をハンバーグに使うことで、柔らかく仕上げる効果を得ることもできます。これは卵自身の柔らかい食感が加わるのはもちろん、卵の持つ保水力によるものです。卵は加熱されて固まりますが、その際、中の構造の隙間に水を抱き込みます。そのため、焼いている際に出る肉汁を卵の保水性でキャッチすることができ、ハンバーグがジューシーで柔らかい仕上がりになります。
なお、お肉のたんぱく質は収縮する性質があり、火を通すと縮んでしまいますが、卵のたんぱく質は縮みにくいので、ハンバーグが形を保ったままふんわりとした仕上がりになります。
卵黄に含まれるレシチンやLDLタンパク質(低濃度のリポタンパク質)などの成分が、水と油が混ざり合うようになる乳化剤して働き、ハンバーグのタネをまとめる役割があります。
LDLタンパク質は悪玉コレステロールとも呼ばれますが、名前から不要なものだと誤解されがちです。しかし、生命を維持するために必要なホルモンや細胞膜、胆汁を作るための材料を各部位に運ぶ役割があり、健康を維持するために欠かせない働きをしており、ハンバーグ作りでも役に立ちます。
また、黄身の部分(卵黄)はコクのある味わいでトッピングとしても人気ですが、ハンバーグのタネに混ぜることで味わいにコクやまろやかさもプラスできます。
卵白に含まれるアルブミンなどのたんぱく質は、塩とひき肉をこねることで作られる網目構造のたんぱく質「アクトミオシン」をより綿密にし、肉汁を流出しにくくする働きをします。
また、卵白のたんぱく質の6割以上を占めるアルブミンは、変性温度(固まる温度)は75~80℃と他のたんぱく質よりも高い温度です。そのため、ハンバーグを焼き上げた段階でも固まりきっていないことが多く、ハンバーグを柔らかい食感にするのに一役買っています。
上記の通り、卵には様々な役割があるので、卵なしでハンバーグを作るのはおすすめできません。
ハンバーグに卵を使わない場合、他のつなぎの素材の有無にもよりますが、固めの仕上がりとなってしまいます。これは卵の素材として柔らかさがなくなるのはもちろん、卵の持つ保水機能によって水分が保たれないためです。
また、卵にはたんぱく質の結合を高める効果や、タネの馴染みを良くする効果などがあります。そのため、卵を使わないことでハンバーグが固まりづらくなり、焼いている際に崩れやすくなります。
崩れたハンバーグからは肉汁が流れ出てしまうので、より固くパサパサな仕上がりとなってしまいます。
卵を使わない場合、お肉本来の味わいが前面に出たテイストになります。国産の鮮度が高い高級なひき肉を使っている場合は美味しさが前面に出ますが、品質も高くなく、鮮度の低いひき肉を使った場合はお肉の臭みも強くなります。
卵を使わない場合は臭み消しをしっかり行うことをおすすめします。
卵は正しい量で使わないと失敗する原因になります。
標準的なつなぎの量はひき肉250〜300g(2~3人前)に対し、パン粉:大さじ4、牛乳:大さじ4〜5、卵1個とされています。パン粉と牛乳は同じ量で作られることが多いです。
卵は粘りはあるものの液状のため、入れすぎるとタネがゆるくなってしまいます。また、量によっては見た目も黄色くなってしまい、ハンバーグらしい見た目ではなくなってしまいます。
多めに入れたい方はタネの様子を見ながら足してみましょう。
ハンバーグのタネをこねる際、具材を全て入れて一気に混ぜるのではなく、まずはよく冷やしたひき肉と塩だけでこねましょう。塩の働きでひき肉から「アクチン」と「ミオシン」というタンパク質が溶け出し、くっつきあって網目状になるため、肉の粘り気が増えて肉同士がくっついた状態になります。これによって焼いたときに肉汁(肉の脂や水分、旨味成分)が出るのを防ぎ、肉汁がハンバーグの中にしっかりと残って、ジューシーな仕上がりになります。
塩の量はひき肉に対して0.8~1%くらいがよいとされており、200gのひき肉に対して1.6~2g(小さじ3分の1程度)となります。塩コショウの場合は少し多めのひき肉に対して1~1.2%が適量となります。
ひき肉と塩だけでこねてある程度粘りが出るまでこねましょう。粘りが出たら卵やパン粉、牛乳などのつなぎ具材を追加してください。
卵は独特の役割を持つため、代用されることが少ないですが、下記の材料が卵の一部を果たします。
高い保水力を持つ粉ゼラチンをタネに混ぜることで、タネの決着力を高め、肉汁の流出を防ぎ、ハンバーグをジューシーに仕上げることができます。プロの料理人にも使われてる技として人気の隠し味です。
使うゼラチンの量は、ひき肉200g当たり5g(小さじ1)が目安です。
ゼラチンが使われているコーヒーゼリーをタネに混ぜるのもテレビなどで紹介され、人気です。コーヒーゼリーを使うと、甘味と苦味が良い隠し味にもなり、コクがあってジューシーなハンバーグに仕上がります。
使う量はハンバーグ2人前当たり大さじ1杯が適量で、細かく砕いてから他の材料と一緒に混ぜ込んでください。
スープやあんにとろみをつける目的でもよく使用される片栗粉は、水分を加えて加熱すると粘り気が出て、ひき肉を固めてくれる作用があります。片栗粉を使用したハンバーグは、冷めてもモチモチとした食感が残りやすいです。
片栗粉は、水溶きで使うことで牛乳の代用という位置づけで使われることが多いですが、タネを固めて水分を保持する役割もあるので、卵やパン粉の代用としての役割も果たしてくれます。
また、加熱前にハンバーグの外側をコーティングしておくことで、加熱時に中の肉汁を閉じ込められる上に、表面が焦げにくくなって舌触りが良くなり、ソースが絡みやすくもなります。これは小麦粉でも代用できます。
少量(ひき肉の5%程度の量)のマヨネーズをタネに混ぜると、タネにまろやかさが加わります。乳化された植物油が加熱によるたんぱく質の結合をソフトにし、ふんわりジューシーに仕上げる効果もあります。
ただし、加えすぎるとハンバーグの風味が変わってしまうので注意しましょう。適量はひき肉の5%程度の量(ハンバーグ2人前あたり大さじ1)です。なお、前述の通りつなぎとしての役割はありません。
牡蠣のうまみたっぷりのオイスターソースを使うことで、ハンバーグにコク深い旨味を足すことができます。砂糖も合わせてタネに混ぜ込むと味のバランスが良くなります。
使う量は、ひき肉200g当たり大さじ1以内が目安です。入れすぎるとハンバーグの味が変わってしまうので気を付けましょう。こちらもつなぎとしての役割はありません。
タネの作り方や焼き方にひと工夫加えることでハンバーグを美味しく仕上げることができます。
ひき肉はこねる直前まで冷蔵庫に入れておきましょう。ハンバーグのタネは温度が上がることでひき肉の脂肪が溶けてタネがゆるくなるほか、焼いた時に肉汁が流れ出て固い仕上がりになってしまいます。
また、タネをこねる際に室温が高いとタネの温度が高くなり、タネがゆるくなってしまうこともあります。夏場は冷房をつけ、冬場は暖房を切ってタネをこねるのがおすすめです。
ハンバーグのタネをこねすぎてしまうと脂が溶けて肉汁が少なくなるので、ハンバーグが固くなってしまいます。ただし、こねることで具材が良く混ざる以外にも、肉の粘り気が増えて肉同士がくっついた状態になり、焼いたときに肉汁が出るのを防ぐ役割もあるのでよくこねるようにしましょう。目安は白っぽくなっていて、粘り気があり、肉を突いてみた時にボウルが浮くくらいです。
ハンバーグをこねる際はこねすぎにも注意ですが、手が温かいと脂肪が溶けやすいため、手を冷やしてからこねると良いでしょう。手ではなくすりこぎ棒や木べら、割り箸などを使っても良いでしょう。こだわる方は牛乳の代わりに氷を使ったり、タネの入ったボウルを氷水の入った大きなボウルで冷やしながらこねたりしているようです。
タネをこね終わった後、寝かせることで水分と油分がなじみ、タネが柔らかくなるだけでなく、お肉が熟成して旨味が増します。ただし、タネを常温で寝かせたり、長時間寝かせたりしてしまうと、雑菌が繁殖する原因となります。冷蔵庫で1~2時間程度寝かせるようにしましょう。また、なるべく空気に触れないようにするため、ラップをかけて寝かせましょう。
なお、空気を抜いて成型した後に寝かせるとひびが入って割れやすくなってしまうので、必ず成型前に寝かせましょう。
タネを混ぜ終わってから空気を抜いて成型しますが、この作業が十分でないとハンバーグが割れやすくなってしまい、割れて肉汁が出て固くなってしまうので要注意です。
ハンバーグの空気を抜く作業はよく「両手でキャッチボールをするようにしながら」と言われます。しかし、この方法ではよくわからないという方も多いでしょう。分かりやすく簡単な方法は、利き手に載せたタネを、利き手ではない方の手を受け皿にして、3~4回軽く打ち付ける方法です。この時、手にサラダ油を薄く塗っておくと、ミンチ内の水分が蒸発するのを防ぎながら成形することができます。
ただし、この作業をやりすぎるとハンバーグが固めの仕上がりになってしまうので要注意です。
ハンバーグのサイズを大きくしてしまうと、焼く前の空気抜きの作業で空気を抜くのが難しくなるほか、火の通りが悪くなり、崩れやすくなってしまいます。真ん中まで火が通りにくく、生焼きになる可能性も高まります。
ハンバーグのサイズは手のひらに収まる程度に収めましょう。厚さは1.5~2cm程度が一般的なサイズです。
ハンバーグの厚い中央部分は火が通りにくいので、生焼けを防ぎ、調理時間を短くするために真ん中をへこませましょう。
ただし、最近はへこませる必要についての議論もあり、へこんだ部分に焼き目がつけられない、蒸し焼きにすれば中までしっかり火が通るといった理由からへこませる必要がないと言われることもあります。典型的なハンバーグのような形ではなく、薄めに作ることでへこませるのを省く方法もあります。
ハンバーグを焼く際、しっかり火を通すために弱火で長時間焼いている方が多いのではないでしょうか。長時間焼くことでハンバーグから肉汁が出すぎてしまい、ハンバーグが固くなってしまいます。
ハンバーグを焼く際は、まずは中火で表面を焼き、裏返したら弱火にし、中までじっくりと火を通しましょう。強火で焼くと焦げやすく、ハンバーグの外側ばかり焼けてしまって中心部は生焼けになってしまうことが多く、野菜に含まれる栄養素が分解されてしまったり、肉汁の水分と一緒に流れ出てしまったりします。基本的に中火以下で調理しましょう。
中火で焼き目を付けてハンバーグをひっくり返した後、フタをして弱火で加熱することで水分の蒸発を防ぎ、蒸し焼きにすることができるので、焼いている面以外にも熱を通すことができ、焼きムラを防ぐとともに、時短調理となります。
フタがない時はアルミホイルをフライパンを覆うサイズに成形して上から被せることで蓋代わりにできます。この時、フライパンが熱いのでフライパンに触ってやけどしないように注意しましょう。
アルミホイルを使って包み焼きにするのもおすすめです。熱がハンバーグに均等に伝わり、焼きムラを防ぐことができます。アルミホイルには遠赤外線効果という食材の内側に熱を伝えやすくする効果もあるので、生焼け防止にぴったりの調理方法です。付け合わせのブロッコリーやニンジンなどの野菜も一緒に包んで焼けば時短調理にもなります。
フタをして蒸し焼きにする際、少量の料理酒(小さじ1~)を加え、弱火で蒸し焼きにすることでハンバーグに旨味を加え、ふっくらと仕上げることができます。
Most Popular
中が茶色いじゃがいもは食べられる?空洞や輪になってる場合は?
食品事典
大根は中身が茶色に変色しても食べられる?原因と対処法を解説
食品事典
ハンバーグが固くなる原因と柔らかく作るコツを徹底解説
食品事典
スカスカなかぶは食べてOK?スが入る原因は?
食品事典
麻婆豆腐が辛い時に甘くする方法。おすすめの調味料や食品は?
食品事典
冬におすすめの天ぷら具材36品。冬野菜や冬が旬の魚介類を紹介
食品事典
トマト缶は一缶でトマト何個分?サイズ別に解説
食品事典
エリンギが水っぽい...食べられる?濡れてる原因と対処法は?
食品事典
里芋は生で食べられる?生食のメリットと注意点を解説。
食品事典
舞茸の茹で時間は何分?正しい茹で方&下処理を解説
食品事典