この記事では、ウイスキーをベースとしたカクテルのうち、ミントの葉を使ったカクテルや、すっきりとした甘さのミント・リキュールを使って作るカクテルを紹介します。
ウイスキーは、大麦、ライ麦、トウモロコシといった穀物を発酵・蒸留し、樽熟成することで造られる蒸留酒の一種です。発祥はスコットランドとアイルランドの2説あるようですが、はっきり決着はついていないようです。
原料によって「モルト・ウイスキー(大麦)」、「グレーン・ウイスキー(穀物全体)」、「コーン・ウイスキー(トウモロコシ)」といった呼び名で分類されており、さらに産地によっても「スコッチ・ウイスキー(スコットランド)」、「アイリッシュ・ウイスキー(アイルランド島)」、「バーボン・ウイスキー(アメリカ・ケンタッキー州バーボン郡)」といった分類がされています。
ウイスキーは、木製の樽で熟成するため、ウッディーな香りとビターな風味が特徴的ですが、原料や熟成に用いる樽によって風味が大きく異なります。香りもスモーキーなものからフルーティーなものがあり、味わいも軽いもの(ライト・ボディ)から重たいもの(フル・ボディ)まで様々です。
欧州連合(EU)がウイスキーの最低度数を40度と定めていることもあり、ウイスキーの度数は基本的に40~43度の製品が多くなっています。イギリスでは43度、アメリカでは40度が標準度数と定められていますよ。
飲み方はストレートやロック、ソーダ割りといった飲み方が好まれていますが、ウイスキーを使ったカクテルもあり、「マンハッタン」「オールド・ファッションド」などの有名なカクテルがあります。
ミントの葉はシソ科ハッカ族の草木から採れる葉っぱです。すっきりとした香りが人気で、世界中で薬や香料として使われています。主に使われる品種に爽やかさが強い「ペパーミント」と、あっさりとした爽やかさの「スペアミント」がありますが、カクテル作りでは後者のスペアミントが使われることが多くなっています。
「モヒート」や「ミント・ジュレップ」のように軽くつぶしたものをカクテルに入れて爽やかさな香りを楽しんだり、小さいものをカクテルに飾って見た目を楽しむといった使い方がされています。
ミント・リキュールは、ベースとなる蒸留酒にフレッシュなミントから抽出したオイルをブレンドして造られるリキュールです。砂糖などの副原料も使用されており、スーッとするスッキリさと甘い味わいが特徴的なリキュールです。
誕生は18世紀で、販売を始めたジェット兄弟の名を冠した「ジェット27」は現在でもミント・リキュールのトップブランドとして知られています。製品の平均的な度数は15~25度となっています。
ミント・リキュールにはミントを思わせる緑色の「グリーン・ミント・リキュール」と、無色透明でカクテルの色の調和を乱さない「ホワイト・ミント・リキュール」があります。カクテルのレシピで色まで指定されていることが多いですよ。
飲み方は、カクテルベースやカクテルの割材(副材料)としての使用が多いですが、バニラアイスにかけても美味しいですよ。
混成酒は、蒸留酒を原料として、薬草や果物で風味をつけたお酒で、再製酒とも呼ばれます。日本で「リキュール」と呼ばれるお酒の多くは混成酒で、日本で一番有名なのは梅酒でしょう。近年では日本酒などの醸造酒をベースとしたリキュールも人気です。
醸造酒や蒸留酒に比べ、色鮮やかで、多種多様な味わいのお酒が多いのが特徴です。有名なものではクレーム・ド・カシス(カシス・リキュール)、カンパリ、カルーア(コーヒー・リキュール)などが挙げられます。
「ミント・ジュレップ」は、ウイスキーベースのカクテルです。ミントを使って作るジュレップスタイルの代表的なカクテルで、ミントのすっきりとしたテイストとバーボンウイスキーの香りが楽しめるカクテルです。アルコール度数は約25度です。
バーボン・ウイスキー …60ml
砂糖 …2tsp(小さじ2)
ミントの葉 …4~5枚
水またはソーダ水 …適量
マラスキーノ・チェリー …1個
オレンジ・スライス …1枚
レモン・スライス …1枚
パイナップル・スライス …1枚
「ミント・クーラー」は、人気のハイボールにミント・リキュールを加えたカクテルで、炭酸の爽快感に加え、ミント・リキュールの微かな甘みとすっきりとした後味が楽しめます。アルコール度数は約10度です。
ベースをスコッチ・ウイスキーで作る場合、「スコッチ・ミント・クーラー」と呼ばれます。
ウイスキー …45ml
ホワイト・ミント・リキュール…15ml
炭酸水…適量(120~180ml)
「テネシー・クーラー」は、ジンジャーエールのピリッと甘いテイストにミント・リキュールのすっきりとした香りや後味が楽しめるカクテルです。ジンジャー・ビアは日本ではなかなか手に入らないので、ジンジャーエールで代用するのがおすすめです。アルコール度数は約10度です。
テネシー・ウイスキー …45ml
クレーム・ド・ミント・グリーン(ミント・リキュール) …20ml
レモン・ジュース …20ml
シュガー・シロップ…1tsp(小さじ1)
ジンジャー・ビア…適量
スライス・レモン…1枚
スライス・ライム…1枚
マラスキーノ・チェリー…1個
「ヴィヴァ・レオ」は、「レオ万歳」という名前の通り、1979年の西武ライオンズ優勝に因んで考案されたカクテルです。すっきりとした甘みのあるテイストが楽しめ、後味も爽快です。アルコール度数は約30度です。
カナディアン・ウイスキー…50ml
ガリアーノ…20m
コアントロー…10ml
ホワイト・ミント・リキュール…2dash(2振り、10~12滴)
ライム・ピール…1片
「シャムロック」は、ベルモットとミント・リキュールのさっぱりとしたテイストと、緑色の鮮やかな見た目が特徴的なカクテルです。控えめな甘さで食前酒向きです。アルコール度数は約30度です。
ウイスキー …1/2
ドライ・ベルモット …1/3
クレーム・ド・ミント・グリーン(ミント・リキュール) …1/6
「メーソン・ディクソン」は、甘く濃厚な香りと味わい、ミント・リキュールのすっきりとした後味が楽しめる、琥珀色の見た目も美しいデザートカクテルです。アルコール度数は約30度です。
アイリッシュ・ウイスキー…30ml
ホワイト・ラム...30ml
クレーム・ド・カカオ・ホワイト(カカオ・リキュール)…10ml
クレーム・ド・ミント・ホワイト(ミント・リキュール) …10ml
炭酸水で割るだけで手軽に作れる「ハイボール」は、ウイスキーをさっぱりと楽しみたい方におすすめです。様々な食事に合うので食中酒としてぴったりですよ。ただし、割材に味や風味がない分、アルコール感がやや強いので、アルコールの味が苦手という方はウイスキーの分量を減らしたり、柑橘類を絞ったりしてみると飲みやすくなります。割り方にもよりますが、アルコール度数は約10~15度です。
ウイスキー …45ml
炭酸水…適量(120~180ml)
ウイスキー+コーラで作る定番の「コークハイボール」はコーラの風味が強く、とても飲みやすいのでゴクゴクと飲めてしまいますが、ウイスキベースなので度数が高く、コーラは糖分量が多いので、飲みすぎに注意です。割り方にもよりますが、アルコール度数は約10~15度です。
ウイスキー …45ml
コーラ…適量(120~180ml)
「ウイスキー・サワー」は、ウイスキーをレモン果汁でさっぱりと楽しむことのできるカクテルです。シュガーシロップで甘みも加えてあるので飲みやすくもあります。アルコール度数は約25度です。
ウイスキー …45ml
レモンジュース …20ml
シュガーシロップ …1tsp(小さじ1)
レモンスライス…1枚
「オールド・ファッションド」は、19世紀半ばにアメリカで生まれたクラシックカクテルです。まろやかでありながらビターズの苦みやフルーツの酸味など、様々な味わいが楽しめるカクテルです。アルコール度数は約30度です。
ウイスキー(バーボン・ウイスキーまたはライ・ウイスキー)…45ml
角砂糖 …1個
アロマチックビターズ …1dash(1振り、5~6滴)
レモンスライス …1枚
オレンジスライス …1枚
ライムスライス …1枚
「マンハッタン」は、カクテルの女王とも称される人気カクテルで、19世紀の終わりに誕生したクラシックカクテルでもあります。複雑で華やかな香りと控えめな甘さが楽しめます。アルコール度数は約30度です。ベースをスコッチ・ウイスキーに変えたカクテルは「ロブ・ロイ」と呼ばれます。
ライ・ウイスキー(カナディアン) …3/4
スイート・ベルモット …1/4
アロマチックビターズ …1dash(1振り、5~6滴)
レッドチェリー …1個
レモン・ピール...1片
「モヒート」は、ラムベースのカクテルで一番人気のカクテルです。すっきり爽やかに楽しむことができ、暑い時期にぴったりのカクテルです。
日本ではソーダ水を使った「カリビアン・スタイル」のレシピが人気ですが、ソーダを使わないレシピ「ジュレップ・スタイル」は後述の高度数の項目で紹介します。
ホワイト・ラム…45ml
ライム…1/2個
シュガー …1tsp(小さじ1)
ソーダ水 …適量
ミントの葉 …3~4 枚
こちらはモヒートでも、ソーダではなく氷を詰める「ジュレップ・スタイル」のモヒートです。アルコール感の強い、すっきりとした味わいを楽しむことができます。
ゴールド・ラム …45ml
ライム…1/2個
砂糖…1~3tsp(小さじ1~3)
ミントの葉…適量(4枚ほど)
「ジンジンミュール」は、ジン・バックのテイスト違いといったカクテルで、ミントを使った見た目はモヒートに近く、海外でとても人気のカクテルです。ジンジャービアの芳醇な生姜の香りが楽しめます。
ドライジン …60ml
レモンジュース …15ml
シュガーシロップ …7.5ml
ジンジャービア…適量
ミントの葉…10枚程
「メキシカン・モヒート」は、人気のラム酒ベースカクテル「モヒート」のテキーラ版です。ミント香るスッキリと爽やかな味わいが楽しめます。
テキーラ…45ml
レモン・ジュース …20ml
シュガー …1tsp(小さじ1)
ソーダ水 …適量
カット・レモン…1片
ミント葉 …3~4枚
スッキリとした味わいのカクテルが多く、食前酒・食後酒として飲まれるカクテルが多いですよ。
「グラス・ホッパー」は、まるでチョコミントのような甘くすっきりとした味わいが楽しめるカクテルです。淡い緑色の見た目もかわいらしいですよ。
カカオ・リキュール(クレーム・ド・カカオ(ホワイト))…1/3
ミント・リキュール …1/3
生クリーム…1/3
「グラス・ホッパー」は、まるでチョコミントのような甘くすっきりとした味わいが楽しめるカクテルです。淡い緑色の見た目もかわいらしいですよ。
ビール…グラス1杯
ミント・リキュール …15ml
「スティンガー」は、「針」を意味する名前のカクテルで、ミントのすっきりとした爽快感のある味わいが特徴的です。20世紀初めのニューヨークのレストランで生まれたと言われています。
ブランデー…40ml
ホワイト・ミント・リキュール…20ml
「モンテカルロ・インペリアル」は、シャンパンを使ったエレガントなカクテルです。ミント・リキュールとレモンジュースのさわやかでさっぱりとしたテイストで、とても飲みやすいカクテルです。
ドライジン …30~45ml
ホワイト・ペパーミント(ミント・リキュール)…15ml
レモンジュース …15ml
シャンパン…適量
「青い珊瑚礁」は、1950年に行われたカクテルの国内大会での優勝作品で、透き通る海を思わせるミントの爽やかさが楽しめる、見た目も美しいカクテルです。底に沈めるレッドチェリーは珊瑚礁をイメージしています。
ドライジン …40ml
ペパーミント・グリーン(ミント・リキュール)…20ml
レッドチェリー …1個
カット・レモン …1個(お好みで)
ミントの葉...1枚(お好みで
カクテルを作る際、レシピに登場する専門用語を紹介します。
容量180~300ml。「ロックグラス」という名称の方が一般的で、主にオンザロックススタイルの強めのカクテルに用いられます。口径が広く、大きな氷がそのまま入るため、ロック向きとされています。
容量90mlが標準。ドラマや映画によく登場する、脚の長い逆三角形のグラスで、主にショートカクテル用です。逆三角形の部分(ボウル)が鋭角なほど強いカクテルに合います。ちなみに、グラスの形には理由があり、長い脚の部分「ステム」を持つことでカクテルの温度が上昇するのを防ぐことができます。
容量300ml程度。グラスの脚が短く安定感のある形状で、グラスのフチにカットフルーツを飾るようなトロピカル系のカクテルでよく使われています。
容量300~360ml。トールグラスとも呼ばれます。細長い形状が特徴的で、炭酸が抜けにくいことから発泡性のカクテルに向いています。背の高いものは、材料のグラデーションを楽しむおしゃれなカクテルにも使われます。
容量120mlが標準。主に柑橘類を使ったサワースタイルのロングカクテルに用いられます。日本では脚付きのものがほとんどですが、外国では平底のタイプも用いられています。
容量60~75ml。スペイン産ワインの「シェリー酒」を飲むために作られたグラスで、ストレートにもカクテルにも応用ができる用途の広いグラスです。
飲み口が大きく背の低い「ソーサータイプ」と、飲み口が小さく背の高い「フルートタイプ」があります。ソーサータイプは泡立っているカクテルやクリームを浮かべるカクテルに、フルートタイプは発泡性のカクテルに向いています。
10オンス(300ml)が標準。用途は多様で、カクテルでは、氷をたくさん入れるロング・カクテルでよく使用されます。二重構造で保冷力が長持ちするタンブラーもありますよ。
容量30~45mlと小さめです。本来はストレート用ですが、見た目の美しいプースカフェスタイルのカクテル(食後に飲むカクテル)に使われることがあります。
ワインの色・香り・味を余さず楽しむためのグラスです。赤ワインは大ぶりのもの、白ワインは小ぶりのものが適しています。カクテルでも時々使われることのあるグラスです。
カクテルの中に沈めるフルーツに刺したり、花やフルーツをカットして作る「ガーニッシュ」を飾る際に使用するピンです。
その名の通り、シェイクする際に使用する器具で、トップ(蓋)、ストレーナー、ボディの3つのパーツに分かれています。ボディの中に材料と氷を入れ、ストレーナーとトップを被せて、強く振って中身をかき混ぜて使います。
また、ボディとティンの2パーツからなるボストンシェーカーも存在し、より激しいシェイクをする事が出来ます。主に、卵白やクリーム系、フルーツなどの材料を扱う場合に使用します。
シェーカーの形にもいくつか種類があり、一般的な「スタンダード型」、細長い「バロン型」があり、ボストンシェーカーにはティンがスケルトンになっているおしゃれなものもあります。
シェーカーの部品ではないストレーナー単体は、へら型のステンレス板に、らせん状のワイヤーを取り付けた道具です。ミキシンググラスやボストンシェーカーと一緒に使用される事が多く、氷を取り除き液体のみを注ぐ事が出来ます。
長い棒状のスプーンで、中央の棒部分はらせん状にねじれているので、スムーズに液体を回転させ材料をかき混ぜる事が出来ます。また、スプーンの反対部分は様々な形があり、フォーク、重し、氷よけなどになっています。
一般でいうミキサーのこと。シェーカーでは混ざらないカクテルを作る際に使用されます。カクテルの用語で「ミキサー」とは「割り材」、すなわち、水、炭酸水、トニック・ウォーター、ジンジャー・エール、コーラ、オレンジ・ジュース、トマト・ジュースなど、割るために用いる飲料の総称を指します。
かき混ぜる「ステア」の技法の際に使用するグラスです。主に円柱型の大型のグラスの形状で注ぎ口が付いており、内側はバースプーンが回転しやすいように丸くなっています。
「シェイク」の技法は、シェーカーの中に氷と材料を入れ蓋をし、強く振って中身を混ぜ、グラスに液体を注ぐ技法です。混ざりにくい材料を混ぜる際や、アルコール度数の高いカクテルベースやリキュールの角を取り、飲みやすくするために用いられます。
「ステア」の技法は、混ざりやすい材料を、氷を入れたミキシング・グラスに注ぎ、バー・スプーンなどで手早くかき混ぜる技法で、素材の味わいや香りを活かす際に用いられる技法です。
「ブレンド」の技法は、ブレンダー(ミキサー)を使用して、機械の強い力によって材料を混ぜ合わせる技法。
主に、フレッシュフルーツを混ぜ合わせる際や、氷と材料を混ぜ合わせてフローズンカクテルを作る際に使用されます。
「ビルド」の技法は、シェーカーやミキシンググラスなどを使用せずに、グラスの中に直接材料や氷を入れかき混ぜて完成させる技法です。
水割りやソーダ割り、ロングカクテルで主に使用されます。
「スノースタイル」は、グラスのフチをレモン汁で濡らし、食塩や砂糖を付着させるデコレーション技法です。なお、スノースタイルという呼称は和製英語で、英語では、「rimmed with salt」、「rimmed with sugar」といいます。
「コーラルスタイル」は、グラスのフチをシロップやリキュールで濡らし、塩や砂糖を付着させるデコレーション技法です。グラスのフチに幅広くデコレーションするのが特徴です。
バースプーンのスプーンすりきり1杯分の量で、小さじ1杯と同量の約5mlです。
ボトルを逆さにし、1振りで落ちてきた液体の量で、およそ5~6滴とされ、約1mlです。
1オンス=約30mlです。アメリカとイギリスで量が微妙に異なり、米ガロン法では1/16パイント(約29.57ml)、英ガロン法では1/20パイント(約28.41ml)です。
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