この記事では、ウイスキーをベースとしたカクテルのうち、30度以上の強めのカクテルを紹介します。
ウイスキーは、大麦、ライ麦、トウモロコシといった穀物を発酵・蒸留し、樽熟成することで造られる蒸留酒の一種です。発祥はスコットランドとアイルランドの2説あるようですが、はっきり決着はついていないようです。
原料によって「モルト・ウイスキー(大麦)」、「グレーン・ウイスキー(穀物全体)」、「コーン・ウイスキー(トウモロコシ)」といった呼び名で分類されており、さらに産地によっても「スコッチ・ウイスキー(スコットランド)」、「アイリッシュ・ウイスキー(アイルランド島)」、「バーボン・ウイスキー(アメリカ・ケンタッキー州バーボン郡)」といった分類がされています。
ウイスキーは、木製の樽で熟成するため、ウッディーな香りとビターな風味が特徴的ですが、原料や熟成に用いる樽によって風味が大きく異なります。香りもスモーキーなものからフルーティーなものがあり、味わいも軽いもの(ライト・ボディ)から重たいもの(フル・ボディ)まで様々です。
欧州連合(EU)がウイスキーの最低度数を40度と定めていることもあり、ウイスキーの度数は基本的に40~43度の製品が多くなっています。イギリスでは43度、アメリカでは40度が標準度数と定められていますよ。
飲み方はストレートやロック、ソーダ割りといった飲み方が好まれていますが、ウイスキーを使ったカクテルもあり、「マンハッタン」「オールド・ファッションド」などの有名なカクテルがあります。
「カクテル(cocktail)」とは、ウイスキー、ウォッカなどのアルコール度数の高いお酒をベースにして、ジュースや果汁、リキュール、薬味などを加えた混合酒のことです。
ロングとショートには度数やグラスの大きさ、氷の有無など様々な違いがあります。
「ショートカクテル」は、脚の長い逆三角形の「カクテルグラス」などが使われるカクテルで、グラスに氷が入っていないので時間が経つとぬるくなってしまい、風味が劣ってしまうため、早めに飲むのが良いとされているカクテルです。
ショートカクテルの多くはウォッカやジンなどのスピリッツをベースにリキュールや果実・卵・香辛料をミックスして作られるカクテルで、量は少なめで、アルコール度数が高めなのも特徴です。
飲み切る時間の目安としてはお酒の温度が変わるまでの15分とされており、バーでは「ショートカクテルは3口で飲め」という教訓もあります。
一方、「ロングカクテル」は大きめのグラスに氷が入っているカクテルで、居酒屋などでもよく見かけるカクテルが多いです。氷が入っているのでショートカクテルよりも長く楽しむことができますが、時間が経つと氷で味が薄まってしまいます。
ロングカクテルも、スピリッツをベースにトニックウォーターや炭酸水、柑橘類、ジュースなどをミックスして作られるカクテルで、アルコール度数は低めなのも特徴です。
飲み切る時間の目安としては30分とされており、それ以上時間が経つと氷が解けて風味が変わってしまうでしょう。
30度以上の強めのカクテルを紹介します。強めでも飲みやすいカクテルもありますよ。
「アイリッシュ・ローズ」は、レモンとグレナデンシロップの甘酸っぱい味わいが楽しめる、すっきりとした飲み口のカクテルです。赤い鮮やかな見た目がとても美しいですよ。
アイリッシュ・ウイスキー…45ml
レモン・ジュース…15ml
グレナデン・シロップ…1tsp(小さじ1)
「ウイスキー・サイドカー」は、ブランデーベースの人気カクテル「サイドカー」のバリエーションレシピです。柑橘系の爽やかな香りとコクのある飲み口、レモンのすっきりとした後味が楽しめます。
ウイスキー …30ml
レモン・ジュース…15ml
コアントロー…15ml
「ヴィヴァ・レオ」は、「レオ万歳」という名前の通り、1979年の西武ライオンズ優勝に因んで考案されたカクテルです。すっきりとした甘みのあるテイストが楽しめ、後味も爽快です。
カナディアン・ウイスキー…50ml
ガリアーノ…20m
コアントロー…10ml
ホワイト・ミント・リキュール…2dash(2振り、10~12滴)
ライム・ピール…1片
「オールド・ファッションド」は、19世紀半ばにアメリカで生まれたクラシックカクテルです。まろやかでありながらビターズの苦みやフルーツの酸味など、様々な味わいが楽しめるカクテルです。
ウイスキー(バーボン・ウイスキーまたはライ・ウイスキー)…45ml
角砂糖 …1個
アロマチックビターズ …1dash(1振り、5~6滴)
レモンスライス …1枚
オレンジスライス …1枚
ライムスライス …1枚
「キングス・バレイ」は、鮮やかな緑色が美しいカクテルです。キュラソーのオレンジ由来のコクのある甘みと、ライムのすっきりとした後味が楽しめます。
ウイスキー …4/6
ホワイトキュラソー …1/6
ライム・ジュース …1/6
ブルーキュラソー …1tsp(小さじ1)
「ゴッドファーザー」は、映画にもなった同名の有名小説から名付けられたカクテルです。コク深い重厚な香りとまろやかな甘い味わいが楽しめます。
ウイスキー(スコッチ・ウイスキー) …45ml
アマレット …15ml
「スコッチ・キルト」は、スコッチ・ウイスキーを原料とするリキュール「ドランブイ」を使ったカクテルで、コク深い香りと甘みが楽しめるカクテルです。
スコッチ・ウイスキー …40ml
ドランブイ …20ml
オレンジ・ビターズ…2dash(2振り、10~12滴)
レモン・ピール(レモンの果皮)
「ドライ・マンハッタン」は、人気のカクテル「マンハッタン」のアレンジレシピで、マンハッタンよりも辛口でドライなテイストとなっています。
ウイスキー …3/4
ドライベルモット …1/4
アロマチックビターズ …1dash(1振り、5~6滴)
オリーブ …1個
「ハンター」は、ウイスキーとチェリー・ブランデーだけを使ったシンプルなカクテルで、古くからあるクラシックカクテルです。チェリー・ブランデーの甘酸っぱい香りと味わい、ガツンと来るアルコール感を楽しむことができます。
ウイスキー …2/3
チェリーブランデー …1/3
「バーボネラ」は、1930年代に考案されたクラシックカクテルで、ドライ・ベルモットとオレンジ・キュラソーがバーボン・ウイスキーの香りを引き立てているカクテルです。コク深い甘みも楽しめます。
バーボン・ウイスキー …2/4
ドライ・ベルモット …1/4
オレンジ・キュラソー …1/4
グレナデン・シロップ …1dash(1振り、5~6滴)
「ブルックリン」は、20世紀のはじめには作られていたとされるクラシックカクテルです。複雑な香りと、甘みや苦みなどが入り混じった味わいが楽しめます。アメール・ピコンはアンゴスチュラ・ビターズでも代用できますよ。
ライ・ウイスキー…45ml
ドライ・ベルモット…15ml
マラスキーノ…1dash(1振り、5~6滴)
アメール・ピコン…1dash(1振り、5~6滴)
「フロンティア」は、様々なフルーツ由来の材料が織りなすコク深いフルーティーな味わいが楽しめるカクテルです。バーボン・ウイスキーと柑橘類の相性の良さが実感できます。
バーボン・ウイスキー…30ml
アプリコット・ブランデー…15ml
コアントロー…5ml
オレンジ・ジュース…5ml
レモン・ジュース…5ml
スライス・レモン…1枚
マラスキーノ・チェリー…1個
「ホール・イン・ワン」は、すっきりとした味わいの中にほろ苦さを感じられるカクテルで、縁起のいい名前からも祝いの席で食前酒として飲まれることが多いカクテルです。
バーボン・ウイスキー …2/3
ドライ・ベルモット …1/3
レモン・ジュース …2dash(2振り、10~12滴)
オレンジ・ジュース …1dash(1振り、5~6滴)
「ボビー・バーンズ」は、スイート・ベルモットとベネディクティンのハーブ由来の複雑な香りと味わいが楽しめるカクテルです。1930年には存在していたカクテルで、当時のレシピブックでは「最高のウイスキーカクテルのひとつ」と絶賛されていたそうです。
スコッチ・ウイスキー…40ml
スイート・ベルモット…20ml
ベネディクティン…1tsp(小さじ1)
レモン・ピール...1片
「マイ東京」は、1964年の東京オリンピック開催を記念したコンテストで優勝した創作カクテルです。スノースタイルが美しく、すっきりと甘いテイストが楽しめます。ベースはジャパニーズ・ウイスキーにすると良いでしょう。
ウイスキー …3/6
オレンジキュラソー …2/6
ライム・ジュース …1/6
マラスキーノ・チェリー …1個
砂糖 …適量
「マンハッタン」は、カクテルの女王とも称される人気カクテルで、19世紀の終わりに誕生したクラシックカクテルでもあります。複雑で華やかな香りと控えめな甘さが楽しめます。ベースをスコッチ・ウイスキーに変えたカクテルは「ロブ・ロイ」と呼ばれます。
ライ・ウイスキー(カナディアン) …3/4
スイート・ベルモット …1/4
アロマチックビターズ …1dash(1振り、5~6滴)
レッドチェリー …1個
レモン・ピール...1片
「ミスティ・ネイル」は、アイリッシュ・ウイスキーをベースとしたリキュールのアイリッシュ・ミストを使った、アイリッシュ・ウイスキーづくしといったカクテルです。アイリッシュ・ミストの甘みで飲みやすいですが、度数がとても高いので要注意です。
アイリッシュ・ウイスキー …40ml
アイリッシュ・ミスト …20ml
「ラスティ・ネイル」は、錆びたくぎのような色合いが名前の由来のカクテルです。ドランブイはスコッチ・ウイスキーベースのリキュールで、こちらはスコッチ・ウイスキーづくしのカクテルです。ドランブイの甘みで飲みやすいですが、度数もとても高くなっています。
スコッチ・ウイスキー …40ml
ドランブイ …20ml
「ロバート・バーンズ」は、副材料がスコッチ・ウイスキーの旨さを引き出していて、香り豊かでキリッとした口当たりが楽しめるカクテルです。同名のスコットランドの詩人が名前の由来となっています。
スコッチ・ウイスキー …45ml
スイート・ベルモット …15ml
アンゴスチュラ・ビターズ …1dash(1振り、5~6滴)
ペルノ …1dash(1振り、5~6滴)
カクテルを作る際、レシピに登場する専門用語を紹介します。
容量180~300ml。「ロックグラス」という名称の方が一般的で、主にオンザロックススタイルの強めのカクテルに用いられます。口径が広く、大きな氷がそのまま入るため、ロック向きとされています。
容量90mlが標準。ドラマや映画によく登場する、脚の長い逆三角形のグラスで、主にショートカクテル用です。逆三角形の部分(ボウル)が鋭角なほど強いカクテルに合います。ちなみに、グラスの形には理由があり、長い脚の部分「ステム」を持つことでカクテルの温度が上昇するのを防ぐことができます。
容量300ml程度。グラスの脚が短く安定感のある形状で、グラスのフチにカットフルーツを飾るようなトロピカル系のカクテルでよく使われています。
容量300~360ml。トールグラスとも呼ばれます。細長い形状が特徴的で、炭酸が抜けにくいことから発泡性のカクテルに向いています。背の高いものは、材料のグラデーションを楽しむおしゃれなカクテルにも使われます。
容量120mlが標準。主に柑橘類を使ったサワースタイルのロングカクテルに用いられます。日本では脚付きのものがほとんどですが、外国では平底のタイプも用いられています。
容量60~75ml。スペイン産ワインの「シェリー酒」を飲むために作られたグラスで、ストレートにもカクテルにも応用ができる用途の広いグラスです。
飲み口が大きく背の低い「ソーサータイプ」と、飲み口が小さく背の高い「フルートタイプ」があります。ソーサータイプは泡立っているカクテルやクリームを浮かべるカクテルに、フルートタイプは発泡性のカクテルに向いています。
10オンス(300ml)が標準。用途は多様で、カクテルでは、氷をたくさん入れるロングカクテルでよく使用されます。二重構造で保冷力が長持ちするタンブラーもありますよ。
容量30~45mlと小さめです。本来はストレート用ですが、見た目の美しいプースカフェスタイルのカクテル(食後に飲むカクテル)に使われることがあります。
ワインの色・香り・味を余さず楽しむためのグラスです。赤ワインは大ぶりのもの、白ワインは小ぶりのものが適しています。カクテルでも時々使われることのあるグラスです。
カクテルの中に沈めるフルーツに刺したり、花やフルーツをカットして作る「ガーニッシュ」を飾る際に使用するピンです。
その名の通り、シェイクする際に使用する器具で、トップ(蓋)、ストレーナー、ボディの3つのパーツに分かれています。ボディの中に材料と氷を入れ、ストレーナーとトップを被せて、強く振って中身をかき混ぜて使います。
また、ボディとティンの2パーツからなるボストンシェーカーも存在し、より激しいシェイクをする事が出来ます。主に、卵白やクリーム系、フルーツなどの材料を扱う場合に使用します。
シェーカーの形にもいくつか種類があり、一般的な「スタンダード型」、細長い「バロン型」があり、ボストンシェーカーにはティンがスケルトンになっているおしゃれなものもあります。
シェーカーの部品ではないストレーナー単体は、へら型のステンレス板に、らせん状のワイヤーを取り付けた道具です。ミキシンググラスやボストンシェーカーと一緒に使用される事が多く、氷を取り除き液体のみを注ぐ事が出来ます。
長い棒状のスプーンで、中央の棒部分はらせん状にねじれているので、スムーズに液体を回転させ材料をかき混ぜる事が出来ます。また、スプーンの反対部分は様々な形があり、フォーク、重し、氷よけなどになっています。
一般でいうミキサーのこと。シェーカーでは混ざらないカクテルを作る際に使用されます。カクテルの用語で「ミキサー」とは「割り材」、すなわち、水、炭酸水、トニックウォーター、ジンジャーエール、コーラ、オレンジジュース、トマトジュースなど、割るために用いる飲料の総称を指します。
かき混ぜる「ステア」の技法の際に使用するグラスです。主に円柱型の大型のグラスの形状で注ぎ口が付いており、内側はバースプーンが回転しやすいように丸くなっています。
「シェイク」の技法は、シェーカーの中に氷と材料を入れ蓋をし、強く振って中身を混ぜ、グラスに液体を注ぐ技法です。混ざりにくい材料を混ぜる際や、アルコール度数の高いカクテルベースやリキュールの角を取り、飲みやすくするために用いられます。
「ステア」の技法は、混ざりやすい材料を、氷を入れたミキシング・グラスに注ぎ、バー・スプーンなどで手早くかき混ぜる技法で、素材の味わいや香りを活かす際に用いられる技法です。
「ブレンド」の技法は、ブレンダー(ミキサー)を使用して、機械の強い力によって材料を混ぜ合わせる技法。
主に、フレッシュフルーツを混ぜ合わせる際や、氷と材料を混ぜ合わせてフローズンカクテルを作る際に使用されます。
「ビルド」の技法は、シェーカーやミキシンググラスなどを使用せずに、グラスの中に直接材料や氷を入れかき混ぜて完成させる技法です。
水割りやソーダ割り、ロングカクテルで主に使用されます。
「スノースタイル」は、グラスのフチをレモン汁で濡らし、食塩や砂糖を付着させるデコレーション技法です。なお、スノースタイルという呼称は和製英語で、英語では、「rimmed with salt」、「rimmed with sugar」といいます。
「コーラルスタイル」は、グラスのフチをシロップやリキュールで濡らし、塩や砂糖を付着させるデコレーション技法です。グラスのフチに幅広くデコレーションするのが特徴です。
バースプーンのスプーンすりきり1杯分の量で、小さじ1杯と同量の約5mlです。
ボトルを逆さにし、1振りで落ちてきた液体の量で、およそ5~6滴とされ、約1mlです。
1オンス=約30mlです。アメリカとイギリスで量が微妙に異なり、米ガロン法では1/16パイント(約29.57ml)、英ガロン法では1/20パイント(約28.41ml)です。
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