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てんさい糖とラカントの違い。原料・製法・見た目・栄養・用途を比較

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てんさい糖とラカントの違い。原料・製法・見た目・栄養・用途を比較

てんさい糖とラカントの違いをご存知でしょうか。本記事ではてんさい糖とラカントの違いを紹介します。

てんさい糖とラカントの違い①原料

てんさい糖

「てんさい糖」の名称で売られている砂糖の原料は甜菜(てんさい)の根です。甜菜は、別名「サトウダイコン」や「ビート」ともいいます。

甜菜は古代ギリシャやローマ時代から野菜として栽培されてきました。見た目は大根に似ていますが、植物学上ではホウレンソウと同じヒユ科に属します。甜菜には、紅白の2種類がありますが、砂糖の原料として使用されるのは白色のほうです。

甜菜は温かい地域では病虫害に侵されやすいため、一般的に寒地で栽培されます。元々、甜菜はヨーロッパ地域が主産地でした。温帯から亜寒帯を中心に栽培地域が広がり、日本では北海道で、年間約62.1万トン*もの甜菜が生産されています(サトウキビは約18.6万トン*)。
*2009年の国内原料における砂糖生産量

ラカント

ラカントの原料は、羅漢果(らかんか)というウリ科の植物から抽出されるエキスと、トウモロコシの発酵から得られる天然甘味成分です。

羅漢果(らかんか)は、中国の山岳地帯「桂林」で育ち、400年前から漢方の原料として使用されていました植物です。羅漢果の実を乾燥させ砕き、それらを煮出すと甘い漢方茶になります。喉の痛みや咳、歯周炎症、胃腸に効果があるとされています。

てんさい糖とラカントの違い②製造方法

てんさい糖

てんさい糖を含む砂糖には、下記の2通りの製造方法があります。

分蜜糖

原料を絞った搾り汁(糖汁)から不純物を取り除き、濃縮して得られる白下糖(結晶と糖蜜の混合物)を分離させて、結晶だけを取り出して乾燥させた砂糖のことを指します。さらに分蜜糖はザラメ糖や車糖、加工糖などに細分化されます。グラニュー糖や上白糖、三温糖などは分蜜糖に分類されます。


含蜜糖

原料の絞り汁(糖汁)から、不要な成分や不純物を大まかに除去し、そのまま加熱・濃縮して固化させた砂糖のことを指します。黒砂糖、きび砂糖、てんさい糖、パームシュガーなどが含蜜糖に分類されます。

てんさい糖は、製造メーカーによって、含蜜糖の場合と、分蜜糖と製造する際に得られる糖蜜から作られる場合があります。

ラカント

羅漢果を原料に作られるラカントの一般的な製造方法は下記の通りです。

まず、収穫した羅漢果から種と皮を取り除きます。通常、果肉部分が甘味を持つ部位ですので、果肉を利用します。種と皮を取り除いたら、羅漢果の果肉を水で浸し、甘味成分を抽出します。抽出された羅漢果の甘味成分を濃縮し、ろ過や精製プロセスにかけて不純物を取り除きます。これにより、純度の高い羅漢果エキスが得られます。

羅漢果エキスができたら、とうもろこし由来のブドウ糖を発酵して作った天然甘味成分「エリスリトール」とを適切な割合で混合し、羅漢果の甘みを均一にします。混合比率はメーカーによって異なります。

混合したら、乾燥させて水分を除去し粉末、顆粒状にしてパッケージングされて販売されます。

上記は一般的な羅漢果を原料とした製造手順の概要です。実際の製造プロセスはメーカーによって異なる場合があり、詳細な工程や比率などは一般的には公開されていないこともあります。

てんさい糖とラカントの違い③見た目・特徴

てんさい糖

てんさい糖の見た目は、一般的に家庭で使われることが多い上白糖とは異なり、茶色い見た目をしています。

上白糖とは異なる独特なコクと風味まろやかな甘さが特徴です。

ラカント

ラカントの見た目もてんさい糖と同じく茶色い見た目をしています。メーカーによっても異なりますが、てんさい糖よりも粒子が細かくサラサラとしているのが特徴です。

また、ラカントはガムシロップのような液状タイプもあります。

羅漢果の果実は、砂糖の約400倍の甘さがあるといわれています。精製された羅漢果は、上白糖とほぼ同じか、もしくは2、3倍ほどの甘さといわれており、見た目はてんさい糖と似ていますが甘みは上白糖に近いです。

てんさい糖とラカントの違い④栄養素・カロリー

てんさい糖

てんさい糖のカロリーは、製造方法によって異なりますが、含蜜糖に該当するてんさい糖の場合100gあたりの
エネルギー(熱量)は395kcal、糖蜜からつくられるてんさい糖の場合は382kcalです。

てんさい糖にはミネラル類が含まれているのが特徴です。また、天然のオリゴ糖が含まれています。オリゴ糖には腸内環境を整える働きがあります。ただし、オリゴ糖を摂りすぎると、おなかがゆるくなったり、ミネラルやビタミンなどの栄養素の吸収が抑制されてしまう場合があるので注意しましょう。

ラカント

ラカントに含まれている栄養やカロリーは製造メーカーによっても異なりますが、スーパーなどで一般的に販売されているサラヤ株式会社が販売する「ラカントS顆粒タイプ」の100gあたりのカロリーは0kcalです。

これは、羅漢果に含まれる水溶性食物繊維「テンペングルコシド配糖体」が、体内ではほとんど吸収されないためであり、羅漢果自体のカロリーがゼロというわけではありません。

ラカントには、てんさい糖とは異なりミネラル類は含まれていません。

てんさい糖とラカントの使い方はほぼ同じ

てんさい糖とラカントはどちらも上白糖の代用として、様々な用途で使うことができます。

コクを出したいときにはてんさい糖

てんさい糖はまろやかな甘味で、ミネラル類が含まれているため料理にコクを出すことができます。そのため、煮物などに使うのがおすすめです。また、しっかりとした照りを与えツヤが出るため照り焼きを作るのにも適しています。

冷たい料理にはラカントがおすすめ

冷たい飲み物に甘みを加えたいときなどには、液状のラカントがおすすめです。てんさい糖も飲み物に甘みを加えることができますが、粒子が大きいので溶けにくいデメリットがあります。

また、生クリームなどのデザートを作るときにもラカントを選ぶと良いでしょう。ラカントは粒子が細かいので溶けやすく、使いやすいです。

ダイエットに良いのはどっち?

ダイエットしたい方におすすめなのは、ラカントです。0kcalで、尿として排出されるため血糖値の急激な上昇を防ぐことができるためです。

ただし、てんさい糖もダイエットに不向きといわけではありません。カロリーは高いですが血糖値の上昇度を表すGI値は65であり、中GI値食品に分類されます。

GIとは、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上昇度を表す値です。食品の炭水化物を50g摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表します。55以下を低GI、56〜69を中GI、70以上を高GIと分類し、GI値が高ければ高いほど血糖値が急上昇します。急激な血糖値の上昇は、体に負担をかけるため、緩やかな上昇が理想的です。

他の砂糖のGI値は、上白糖(白砂糖)は109、三温糖は108、黒砂糖は99です。てんさい糖は、あらゆる砂糖の中でもGI値が低いことがわかります。

カロリーが低いラカントでは腹持ちが悪く、反対にすぐにお腹が空いてしまって食べる量が増えることもあります。また、ラカントはてんさい糖と比較して値段が高いのもデメリットといえます。

てんさい糖とラカントはお互いに代用可能?

てんさい糖とラカントはお互いに代用することが可能です。ただし、原料や製造方法が異なる別のものなので、代用することで風味などが変わってしまうこともあります。

例えば、ミネラル類が含まれていないラカントでは、料理に甘みを加えて照りをつけることはできても、ミネラル類が含まれていないのでコクはでません。反対にラカントをてんさい糖で代用すると、料理が茶色っぽく仕上がることもあります。

それぞれの特徴を活かして使い分けるのが望ましいです。