サイドベントは、エクササイズ強度は高くないものの難易度が高いため、効果がないと感じる場合が多々あります。今回は、サイドベントで効果がない原因とその対策についてご紹介します。
サイドベントの由来は英語「side bend」で、「(上半身の)側面を曲げる」ことを意味します。この言葉の通り、サイドベントは、上半身の側面を曲げるエクササイズであり、腹斜筋を鍛えることが期待できます。
サイドベントは通常、ダンベルを用いて実施することが多いため、「ダンベルサイドベント」として実施されるケースがほとんどです。「サイドベント」=「ダンベルサイドベント」と思っていただいてOKです。
あえてダンベルサイドベントと区別してサイドベントとした場合は、ダンベルを持たずに素手のまま上半身の側面を曲げるエクササイズを指します。本記事ではこのサイドベントについて解説します。
サイドベントは、エクササイズ強度がそこまで高い種目ではありません。そのため、動作に慣れた後は、基本的には、その他の腹斜筋を鍛える種目と一緒に実施するのがおすすめです。
サイドベントで効果が出ない最大の原因は、可動域を十分に設定できていないことが挙げられます。
サイドベントは、上半身をしっかりと曲げることで腹斜筋を鍛える種目です。これは、言い換えれば、上半身をしっかりと曲げなければ、サイドベントで効果が出ないということです。サイドベントで効果が出ないと感じているほとんどの場合において、可動域が小さすぎるということが挙げられ、しっかりと可動域を設定する必要があります。
これを防ぐためには、サイドベントでしっかりと可動域を設定する必要があります。具体的には、上半身をそれ以上、曲げられないところまで曲げる必要があり、そこから上半身を戻すようにしましょう。
サイドベントで効果が出ない原因として、サイドベントのターゲット部位が腹斜筋であるということを理解できていない可能性があります。
サイドベントを実施する上で、「横腹がターゲット」と考えている方は多く、必ずしも間違いではありません。ただ、サイドベントはあくまでも「腹斜筋」を鍛えるための種目であり、そもそもの可動域がかなり小さいことから、腹斜筋を鍛えるためには正確にその部分を意識する必要があります。
これを防ぐためには、腹斜筋の位置をしっかりと理解する必要があります。場合によっては、トレーニングを実施する前に、インターネットで調べるなどして、しっかりと筋肉の部位を意識しながらサイドベントを実施するようにしましょう。
サイドベントで効果が出ない原因として、そもそものエクササイズ強度が低すぎる可能性があります。
サイドベントは、そもそも、上半身の重さしか負荷がかからない種目であり、エクササイズ強度は極めて限定的です。このことから、エクササイズレベルがある程度上がった方がサイドベントを実施してもサイドベントで効果がないように感じるのは当然であり、その場合にはその他のエクササイズを実施した方が効率的です。
これを防ぐためには、前述したように、トレーニングレベルが上がっている場合には、その他の腹斜筋を鍛えるためのエクササイズ強度が高い種目を実施する必要があります。サイドプランクやダンベルサイドベントなどの種目を実施してみましょう。
サイドベントに限らず、筋トレでは最初に対象となる筋肉の周辺にある脂肪の燃焼が発生します。これにより、鍛えている部位の周辺の脂肪を燃焼させることが期待でき、例えば、腹直筋ならば腹直筋周辺の脂肪の燃焼を、大腿四頭筋なら太もも周辺の脂肪の燃焼をというようにです。
ただ、脂肪燃焼効果を期待する場合、これだけでは十分ではなく、食事制限や有酸素運動を組み合わせて実施する必要があります。つまり、サイドベント、食事制限、有酸素運動を組み合わせて実施することで脂肪の燃焼効果を期待でき、より効率的なウエストの引き締め効果を期待できます。
一方、サイドベントに限った話ではありませんが、筋肉を鍛えすぎるとその部分が過剰に発達するということが発生します。サイドベントの場合には腹斜筋が過剰に発達することでウエストが太くなる可能性があり、それは腹直筋にも同様のことが言えます。
ただ、通常のサイドベントを実施している限りでは、ウエストが太くなる可能性はほとんどありません。ダンベルサイドベントで、60 kgの重量を極めて正確に実施しているケースなどではあり得ますが、基本的にサイドベントを自重で実施している限りではその可能性はほとんどないため、あまり心配する必要はないでしょう。
腹斜筋は、肋骨から骨盤にかけて走る筋肉である、外腹斜筋と内腹斜筋の総称です(イメージとしては横腹やや上かについている筋肉です)。
外腹斜筋と内腹斜筋は、この筋肉の名前が指す通り、外腹斜筋が外側にあり、その内側に内腹斜筋があります。外腹斜筋の方が肋骨から骨盤に走っており、内腹斜筋は横腹に走っています。 腹斜筋は、身体の中で筋肉のサイズが小さいと言われている腹筋の中でもさらに小さい筋肉です。このため、サイドベントもしくはダンベルサイドベントのように、腹斜筋を鍛えることができるエクササイズがあるものの的確に刺激を与えることが比較的難しい部位です。だからこそ、エクササイズ中は、腹斜筋を意識するというマインドマッスルコネクションや、息を吸うタイミング、吐くタイミングをしっかり意識して実施することが重要です。
筋トレ初心者の場合、サイドベントを12〜15回3セット実施します。
サイドベントは、ほぼ腹斜筋のみを狙うエクササイズであり、エクササイズ強度は高くありません。初心者の場合には、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施しましょう。
サイドベントに少し慣れた方の場合、サイドベントは15〜18回3セット実施します。
サイドベントに少し慣れると、腹斜筋の発達及びその動作に慣れることでよりサイドベントを実施しやすくなります。そのため、サイドベントに少し慣れた方は、初心者のときよりもやや回数を増やして15〜18回3セット実施するようにしましょう。
筋トレ上級者の場合、サイドベントをその他の種目と組み合わせて実施します。
サイドベントはエクササイズ強度がそこまで高くないため、筋トレ上級者の場合にはその他の腹斜筋を鍛える種目と組み合わせる必要があります。サイドベントをウォーミングアップ種目として、サイドプランク、オブリーククランチ、ダンベルサイドベントなどを本番種目として実施しましょう。実際に実施する場合には、何れの本番種目も12〜15回を3セット実施するようにしましょう。
身体を左右に曲げることができる範囲は非常に限定的です。これに伴って、サイドベントにおける可動域は比較的小さいです。これはサイドベントだけではなく、腹斜筋を鍛えるエクササイズの多くに共通していることです。
サイドベントでは、可動域が小さいからこそ、全ての可動域内でしっかりと負荷が入るようにフォームを厳密に設定する必要があります。そのために、後述するように、トップポジションではしっかりとダンベルを引き上げることはもちろんですが、ボトムポジションでしっかりと上半身を下げて腹斜筋を伸展させることを意識します。ただし、特にボトムポジションの設定ですが、低くしようと意識しすぎると腰を痛める原因となることもあるため注意が必要です。
サイドベントに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、腹斜筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での腹斜筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
特に、サイドベントの場合には、ボトムポジションでしっかりと腹斜筋を伸展させ、トップポジションでしっかりと腹斜筋を収縮させることを意識することが重要です。
サイドベントに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
サイドベントに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、サイドベントでは、上半身を下げるときに息を吐き、上半身を戻すときに息を吸うことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
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