腹筋ローラーはやり方によっては下っ腹が痛いと感じることがあります。今回は、腹筋ローラーで下っ腹が痛い原因とその対策についてご紹介します。
腹筋ローラーまたはアブローラー(英語名:ab wheel)は腹筋を鍛えるための道具ですが、この道具を使う種目そのものを指す場合も多いです。腹筋を鍛える種目・マシンは数多く考案されている中で、腹筋ローラーは最も負荷の大きいエクササイズの一つです。そのため、正確に実施するのは非常に難しいのですが、やり方を工夫することで、腹筋、背筋、腕の筋肉が十分に発達していない方でも実施することが可能です。
腹筋を鍛えられる他のアイテムには、ダンベルやトレーニングチューブ、シットアップ台などがあります。
腹筋ローラーで下っ腹が痛い最大の原因として、腹直筋が足りないことが考えられます。
腹筋ローラーは、そもそも腹直筋全体を鍛える種目であることから、下っ腹である腹直筋下部が痛いと感じるのは自然であり、むしろ、腹筋ローラーを正しく実施できていることが考えられます。一方で、それを言い換えると、腹筋ローラーを実施する上で腹直筋下部の筋肉が足りないということでもあります。
これを防ぐためには、腹筋ローラーに慣れることが重要です。レッグレイズなどの腹直筋下部を鍛える種目を実施しても防ぐことが期待できますが、基本的には腹筋ローラーになれれば下っ腹が痛くなるということはあまりなくなることが期待できます。
腹筋ローラーで下っ腹が痛い原因として、下っ腹を伸展させ過ぎていること、つまり、背中をやや反りすぎている可能性があります。
実際に実施してみると分かりますが、背中は反ることで逆側にあるお腹は伸展する状態になります。腹筋ローラーを実施できているということは、背中を過度に反りすぎているということはほとんどありえませんが、やや反りすぎた状態だと腹筋ローラーの実施もでき、かつ下っ腹が痛くなる可能性もあります。
これを防ぐためには、姿勢をやや悪くなるようにして設定することが重要です。特に、背中を反りすぎた状態で腹筋ローラーの実施を続けていると腰を痛めたり、肩を痛める原因にもなるため注意しましょう。
腹筋ローラーを実施する際に、当たり前ですが、腹筋を痛めながら実施すると腹筋が痛いと感じる原因になります。
ただ、腹筋は、筋肉痛の場合には、比較的直ぐに治る部位でもあり、筋肉痛がある状態で実施しても他の部位と比較するとそこまで大きな問題になりません。
一方で、肉離れなどの怪我の場合には注意が必要です。この場合には、トレーニングの実施を控える必要があり、場合によっては病院の受診も検討しましょう。
初心者は、腹筋ローラーを3〜5回3セット実施します。
腹筋ローラーはエクササイズレベルに関係なく非常に負荷の高いエクササイズです。特に初心者のうちは通常の腹筋ローラーを実施するだけでもかなり難易度が高いことから、膝付きの腹筋ローラーでも良いので3〜5回3セットを目標に実施するようにしましょう。
腹筋ローラーに少し慣れてきたら、5〜8回3セット実施します。
腹筋ローラーに慣れてくると、そもそも、腹筋ローラーでバランスを取るのが苦になってこなくなるため、比較的、高回数でも実施できるようになります。この場合、膝付きの腹筋ローラーでも良いので5〜8回3セット実施するようにしましょう。
上級者の場合、通常の腹筋ローラーを10〜12回3セット実施します。
筋トレ上級者になれば、負荷の高いとされている通常の腹筋ローラーを実施するようにします。回数に関しては、負荷が高いことを考慮して、通常のエクササイズでの推奨回数よりもやや少ない10〜12回を3セットを目安に実施しましょう。
腹筋ローラーに限らず、エクササイズは対象となる部位に負荷が入っている中で実施する必要があります。
腹筋ローラーの場合には、エクササイズ強度が高すぎるため、腹筋ローラーを腹筋の負荷が完全に抜けるところまで戻す人が多いです(また、メディアによっては、ローラーが腹部直下に来るくらいまで戻すことを推奨している場合もあります)。ただ、このように実施すると、1回1回、完全に負荷が抜けた状態に戻り腹筋ローラーを実施していることになり、非常に効率が悪いです。
これを防ぐために、、トップポジションの設定を、前述した通り、顎の真下に設定することが重要であり、腹筋ローラーをそれ以上、戻さないように注意しましょう。
腹直筋を鍛えるエクササイズの多くは、姿勢が悪い状態を作り出すことで負荷を高めます。
腹筋はお腹が曲がった状態(つまり筋肉が縮んだ状態)で最も負荷がかかります。腹筋ローラーというくらいですから、腹筋に負荷がかかるのが重要であり、身体を常に「くの字」にする意識が大切です。ボトムポジションで「万歳」の状態になった場合でも「くの字」を保持するよう意識しましょう。
ボトムポジションで身体が一直線になるのが間違いなわけではありませんが、「くの字」を意識することでより効率的に腹筋を鍛えることができます。
腹筋ローラーでしっかりと負荷を高めるためには、ボトムポジションを深いところに設定する必要があります。
腹筋ローラーは、その運動の性質上、ボトムポジションを深く設定すればするほど負荷を高めることができます。言い換えれば、ボトムポジションを浅く設定すれば、負荷を低減させることができ、腹筋ローラを始めたばかりの方は、ボトムポジションを高めに設定して、まずは、腹筋ローラーの刺激に慣れるという実施方法もあります。
特に、通常の膝付きではない腹筋ローラーを実施している方の多くは、その負荷の高さからボトムポジションを浅めに設定しがちであることから、注意しましょう。
腹筋ローラーは、非常に強度が高く、怪我をしやすい種目なのですが、最も怪我をしやすいといわれているのが腰です。
腹筋ローラーで腰を痛める原因はいくつかありますが、その最たる例として腰を反ってしまうことが挙げられます。腹筋ローラーの効果を高めるためには前述したように身体が「くの字」になる様にして実施することが推奨されますが、これは腹筋への刺激を高めるとともに、怪我をするリスクを減らすという目的もあります。
また、腰を反って実施してしまうと、肩を痛める原因にもなるため、注意を払う必要があります。
腹筋ローラーですが、腹筋ローラのエクササイズの特性上、ボトムポジションで粘れないと床に顔面もしくは顎が直撃することになります。
これは大変危険ですので、たとえ潰れてしまっても太ももから落ちるようにしましょう。台を使った上級者向けの腹筋ローラーではさらにそのリスクが高まるため特に注意しましょう。
腹筋ローラーは、ローラーを動かすことばかりを注意していると、どうしても腰主導で腹筋ローラーを動かしてしまいがちです。
ただ、そのように実施してしまうと、腹直筋ではなく腰にばかり負荷が入るようになってしまいます。腰の力で身体を動かすのではなく、ローラーを動かすことに集中し、手のローラーの動きのみでトップポジションからボトムポジションへ、ボトムポジションからトップポジションへ移行することが重要となります。
このように実施することで、多少、腰にも負荷は入りますが、基本的には腹直筋に負荷が入るようになるはずです。
腹筋ローラーを実施する上で、腹筋ローラーの動きを正確にコントロールする必要があります。そのためには、腹筋ローラーをしっかりと固定する必要があり、手首を掌屈させることが有効です。
掌屈(しょうくつ)とは、「手首を手のひらの方に曲げること」を意味します。手首に負担がかかることは避けられないのですが、そこで手首を掌屈させることで手首への負荷を軽減することが可能です。また、手首を掌屈させることで力を発揮しやすくなり、ボトムポジションで顔から崩れ落ちるのを防ぎます。
腹筋ローラーを実施したての頃はとくに手首の掌屈を大袈裟にでも意識するのが効果的です。慣れてくればそこまで意識しなくても問題ありませんが、間違っても背屈(はいくつ)(手首が手の甲側に曲げること)をしないようにしましょう。
腹筋ローラーでボトムポジションをしっかりと設定するためには、ボトムポジションでも安定して腹筋ローラーを動かす必要があります。
このためには、前述したように、手首を掌屈させることが有効ですが、それに加えて、肘を伸ばし切らないことが重要です。腹筋ローラーでは、ボトムポジションで身体がほぼ真っ直ぐになった状態をキープするのですが、この際に肘を伸ばすとかなりの確率で潰れてしまいます。これは、肘が伸び切ってしまうと腹筋ローラーを介して、身体を支えるために使う力を伝達しにくくなるためです。
以上より、肘はやや曲げた状態で行うことが重要です。
腹筋ローラーに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、腹直筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での腹直筋の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
腹筋ローラーに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
腹筋ローラーに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。基本的には、身体を下げるときに息をはき、戻るときに息を吸うことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
プランクは、まずは30秒を3セット実施します。
プランクは、動作自体は膝付きプランクに対して、脚を伸ばして実施するだけですが、体重をつま先と両腕で支えることになるため、比較的負荷が高いエクササイズです。そのため、まずは、30秒を3セットをしっかりとポイントを守りながら実施するようにしましょう。
上半身から下半身までを一直線にする。
臀部を"張る"(=外旋する)ようなイメージを持つ。
正面を向く。
クランチは、12〜15回3セット実施します。
クランチは、腹直筋上部を鍛えるエクサイズであり、可動域は小さいですが、しっかりやるのが中々難しい種目です。このため、回数を多くこなそうとするのではなく、回数は抑えめで、しっかりとフォームを維持できる回数で実施するのが重要であり、そのために、一般的なトレーニングで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施しましょう。
肘の動き、つまり、トップポジションでは肘を締めるようにし、ボトムポジションでは肘を開けるようにする。
トップポジションで腹筋の収縮を意識する。
呼吸を意識する。
シットアップは、12〜15回3セット実施します。
シットアップは、腹直筋全体を鍛えるエクササイズですが、腰をかなり痛めやすいエクササイズです。このため、レッグレイズと同様に回数を多くして実施しないことがポイントであり、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施するようにしましょう。
腹直筋に負荷が入る範囲で実施する(=上体を上げすぎない、下げすぎない)。
トップポジションで顎を出す。
上体を上げるときはしっかりと息を吐き、戻すときに息を吸う。
高回数で実施しない。
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