スクワットを実施していると、特に筋トレ初心者の場合には首が痛いと感じる場合があります。今回は、スクワットでバーベルが原因で首が痛くなる原因とその対策についてご紹介します。
スクワットで、バーベルが原因で首が痛くなる最大の要因は、バーベルを使って実施するスクワットに慣れていないことが挙げられます。
バーベルを使ってスクワットをしたことがない場合、「バーベルが重い」ということを意識しすぎてしまい、できるだけバーベルを支える場所を増やすために、バーベルを肩と首で支えるような意識を持ってしまいがちです。この場合、首はどうしても弱い部分になるため、首が痛いと感じるが場合があります。
これを防ぐためには、バーベルスクワットを積極的に実施すれば基本的には問題ありません。少しずつ重量を増やして負荷を高めていく中で、バーベルの担ぎ方を習得することができます。
スクワットにおいて、バーベルの担ぎ方は後述するようにローバーとハイバーの2種類ありますが、ハイバーを実施するとローバーよりも首を痛める可能性が高まります。
ハイバーは、後述するように三角筋後部の上部でバーベルを支える方法であり、慣れていないと、それよりもやや上で支えるようにしてしまい、首を痛める原因となります。
これを防ぐためには、軽い重量からバーベルを背負う位置を確認しながら実施することが重要です。場合によっては、ローバーで実施することも検討に入れましょう。
スクワットにおいて、顎が上がってしまうと、首が無理に収縮したような状態になり、首を痛める可能性があります。
スクワットにおいて、高重量を担いで実施すると、力を入れるためにどうしても顎が上がってしまいます。顎が上がるということは、首の後方が収縮するということであり、首を怪我する原因になります。
これを防ぐためには、スクワットを実施する際に、終始、顎を引いて実施することを意識する必要があります。場合によっては、重量を減らすことも必要であり、自身のトレーニングレベルに合わせて重量を設定しましょう。
バーベルを使ってスクワットを実施する際に、当たり前ですが、首を痛めながら実施すると肩が痛いと感じる原因になります。
首は、そもそも、先天的にあまり強くない人がいるなど、非常にデリケートな部位です。また、首は一度痛めてしまうと、取り返しがつかなくなる場合もあるため、かなり気を使う必要があります。
これを防ぐためには、首に異変を感じた場合には、トレーニングの実施を控えることであり、場合によっては病院の受診も検討しましょう。
ハイバーは、以下の動画のように、三角筋後部の上部でバーベルを支える方法です。
このように実施することで、以下のようなメリットがあります。
腰を痛めにくくなる。
低重量でも高負荷となる。
一方、以下のようなデメリットがあります。
股関節への負担が大きい。
重量を扱えない。
関節の柔軟性が重要。
日本人に向いていない。
一般的に、ハイバースクワットを実施しているのは欧米人が多いのですが、これは彼らの股関節のつき方に由来しています。一方、日本人の骨格上、ハイバースクワットは向いていないとされており、実施しても欧米人ほどの重量を扱えないパターンがほとんどです。
ローバーは、以下の動画のように、三角筋後部の中部、下部でバーベルを支える方法です。
このように実施することで、以下のようなメリットがあります。
重量を扱いやすくなる。
日本人の骨格に合っている。
一方、以下のようなデメリットがあります。
手首、腰への負担が大きい。
可動域が小さい。
一般的に、日本人でスクワットでかなり重量を扱っている人の多くはローバーを採用しています。これは、そもそも日本人の骨格に合っているという背景があります。ただ、手首、腰にかかる負担が大きく、バーベルを背負うような形であるためどうしても可動域が狭くなるという問題点があります。
筋トレ初心者のバーベルを使ったスクワットの目安の重量は20〜30 kg程度です (自身の体重にもよります)。
バーベルを使ったスクワットは、主に大腿四頭筋を鍛えるエクササイズであることから、筋トレ初心者でも比較的高重量を扱うことができます。以上では重量は20〜30 kgと述べましたが、実際には、自身の筋肉量に合わせて12〜15回をきちんと(ある程度余裕のある形で)実施できる重量を選択するようにしましょう。
バーベルを使ったスクワットに少し慣れた方のバーベルを使ったスクワットの目安の重量は30〜50 kg程度です(自身の体重にもよります)。
バーベルを使ったスクワットで鍛える脚の筋肉はサイズが大きい部位であることから、鍛えると比較的早い速度で扱うことができる重量が伸びます。ただし、少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では30〜50 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてバーベルを使ったスクワットを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。
筋トレ上級者のバーベルを使ったスクワットの目安の重量は200 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、バーベルスクワットで200 kg以上を正確なフォームで実施できれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、これはあくまでも「正確なフォームで実施した場合」の重量です。背中の倒す角度が浅くなってくると高重量を扱いやすくなることから、きちんと背中をまっすぐにして実施するのがおすすめです。
初心者は、バーベルを使ったスクワットを8〜10回3セット実施します。
バーベルを使ったスクワットは、重量を扱う種目で、負荷は比較的高いです。また、腰、膝にも負担をかけやすい種目であるため注意が必要です。実施する場合には、一般的なトレーニングを実施する上での標準的な回数よりもかなり少ない8〜10回を3セット実施することを目標に実施しましょう。
バーベルを使ったスクワットに少し慣れてきたら、10回3セット実施します。
バーベルを使ったスクワットは慣れてくると、実施することで膝を痛めるという危険性をかなり減らすことができます。そのため、バーベルを使ったスクワットに少し慣れてきたら、初心者のときよりも回数をやや増やして、10回3セット実施するようにしましょう。
上級者の場合、バーベルを使ったスクワットを実施する際には、レッグエクステンション、スクワット、ランジなどと組み合わせて実施するしょうにしましょう。
具体的には、レッグエクステンション、スクワットなどを12〜15回3セット実施したあとに、バーベルスクワットを「本番の種目」という位置付けで、8〜10回3セット実施するようにしましょう。ただし、特にランジを実施した後にバーベルを使ったスクワットを実施すると、着地したときの衝撃に太ももが耐えきれずに転んでしまう可能性もあるため、注意して実施するようにしましょう(そのため、ランジを実施する場合にはランジを後半の種目として実施するのがおすすめです)。
スクワットを実施する上で、後述するようにしっかりとしゃがむことが重要です。
しゃがむ動作には、股関節が大きく関与しており、股関節が閉まった状態だとしゃがみ辛く、一方で股関節が開いた状態だとしゃがみやすいという特徴があります。
一般的に、スクワットでは両脚を平行に設定しがちですが、そのようにすると股関節がしまった状態になり、しゃがみ辛くなってしまいます。
これを防ぐために、つま先はやや外側に向けるように設定し、股関節がやや開いた状態で実施するのがおすすめです(逆に、つま先を開き過ぎると、股間節を怪我する原因となるため注意が必要です)。
スクワットで重量を扱うためには、太ももの力だけではなく、上半身の力をしっかりとバーベルに伝えることが重要です。そのために、握ったバーベルをしっかりと手で押すイメージを持つことが重要です。
ただし、このように実施すると、高重量になるほど手首が非常に痛くなります。これが、スクワットを実施しているのにも関わらず、一部の人は手首を保護するリストラップを使用している理由であり、こうすることで手首の痛みをある程度は緩和することを期待できます。
バーベルスクワットは非常に負荷の高いエクササイズですが、下半身は通常のスクワットと同様に負荷が抜けやすいエクササイズでもあります。
この理由の1つとしてトップポジションの設定にあります。バーベルスクワットでは、身体を上げる際に、大腿四頭筋を少しでも楽にするために膝を伸び切った状態を作りがちですが、このようにすると大腿四頭筋へ負荷が全く入っておらず、トレーニング的にはNGです。
トレーニングの基本は、「動作中すべての可動域で筋肉に負荷を与え続ける」という点であるため、これに倣うならばバーベルスクワットにおけるトップポジションでも負荷が入るように設定する必要があります。すなわち、膝は伸ばし切るのではなくやや曲げた状態をトップポジションに設定し、その場所で切り返すことが重要です。
多くのメディアで「スクワットを実施する際には膝をつま先よりも前に出さない」ということが指摘されていますが、必ずしも正しくありません。基本的に身体の構造上、しゃがむと膝がつま先よりも前にでるということは自然の動作であり、これを制限してスクワットを実施すると怪我をする可能性が大です。
バーベルスクワットは、そもそも重量を扱う種目であり、以上のような細かいことで負荷を変えるような種目ではありません。むしろ、自身が重量を扱い易い膝の位置を見つけて、それで実施することが非常に重要です。
バーベルスクワットでは、その動作の特性上、ボトムポジションを深いところに設定すると負荷を高めることができます(当たり前ですが、意外と多くの人ができていません)。ここで、逆にバーベルスクワットのボトムポジションが浅すぎる理由としては以下が考えられます。
負荷が高すぎて下げられない。
身体が硬くて下げられない。
1つ目の負荷が高すぎて下げられないということですが、これは回数が多いバーベルスクワットや、高い重量設定のバーベルスクワットに見られる現象です。この様なスクワットを実施した際に、何らかの意図があって、ボトムポジションを浅めに設定しているということならば問題ないのですが、意図もしないでフォームが崩れているならば、「回数を減らす」「重量を減らす」必要があります。
2つ目の身体が硬くて下げられないといことですが、これを解決する方法としては以下が挙げられます。
つま先を外側に向ける。
脚幅をやや広めにする。
床と踵(かかと)の間に段差を作る。
つま先と脚幅に関しては、フォームの箇所で説明した通りです。床と踵の間に段差を作るとは、踵に少し高さのあるものを挟むということです。ジムでバーベルスクワットを実施する方なら、2.5 kgプレートを踵に挟むのが一般的です。
バーベルスクワットを実施する上で、怪我をしやすいのが膝に加えて腰です。
バーベルスクワットで腰を怪我するメカニズムは、重量を扱いすぎることで、ボトムポジションからトップポジションに戻る際に上半身を煽ってしまうことです。このようにしてしまうことで、腰に曲げの負荷がかかることになり、腰を痛める原因になります。
そのため、後述するように、重量設定もそうですが、きちんと背中を張ることを意識する必要があります。具体的には、肩甲骨をしっかりと寄せることで胸を張った状態を作りだすことで、背中を張ります(身体が少し「窮屈」と感じるくらいに設定するのがポイントです)。
バーベルスクワットは、膝を曲げて身体を下げるエクササイズであることから、膝から先に動かしたくなりますが、通常のスクワットと同様にむしろ臀部から動かすように意識すると正しいフォームに近づきます。
バーベルスクワットは、大臀筋にも刺激を入れるために、やや後ろを意識して身体を下げるようにすることが一般的とされており、このためには膝を意識するというよりは臀部を後ろに突き出して、初動の意識を臀部に持っていくことが推奨されます。また、膝を先に動かそうとすると、どうしても膝に負担がかかりやすくなる傾向があるため、まずは臀部から動かすことを意識するようにしましょう。
バーベルスクワットでは、他の種目と同様に、可動域をしっかりと設定することが重要です。特にバーベルスクワットで重量設定が重すぎると、可動域が狭くなることに加えて、怪我をしやすくなります。
基本的に、ボトムポジションを太ももと床が平行よりもに設定やや深めに設定する必要があり、これは高重量を扱いすぎると設定することが困難になります。また、高重量を扱うと、前述したように上半身を煽ることで腰を怪我する可能性が著しく増大します。
だからこそ、自身が扱いきれる重量で実施することが必要で、前述したように10〜12回を3セットギリギリできる重量設定にしましょう。
バーベルスクワットに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、大腿四頭筋、大臀筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での大腿四頭筋、大臀筋の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
バーベルスクワットに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
バーベルスクワットに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。基本的には、しゃがむときに息を吸い、立ち上がるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
最後にバーベルスクワットと一緒にやるのがおすすめの筋トレを紹介します。
レッグエクステンションは、大腿四頭筋および膝周りに予め負荷を与えることを期待できるためです。
レッグエクステンションは、大腿四頭筋および膝周りに予め負荷を与えることで、バーベルスクワットを実施したときに膝周りが怪我することを防ぎ、前述したマインドマッスルコネクションをより強固にするという役割があります。実際に実施する場合には、レッグエクステンションをウォーミングアップ種目として実施し、バーベルスクワットを本番種目として実施することで効率的に大腿四頭筋を鍛えることを期待できます。
レッグエクステンションは、12〜15回を3セット実施します。
レッグエクステンションは、重量を扱うこともできますが、基本的には回数をやや多めに設定して実施できるくらいの重量設定で実施する方がエクササイズ強度を十分に高めることが期待できます。そのため、一般的なトレーニングを実施する上での標準的な回数設定である12〜15回を3セット実施することを目標に実施しましょう。
基本はつま先を立てる。
腸腰筋の動きを意識する。
エクササイズ中に大腿四頭筋の動きを意識する。
マシンによる特徴が大きく、負荷の感じ方が大きく異なる。
スクワットは、バーベルスクワットの基本となる種目であるためです。
スクワットは、バーベルを扱わない種目で、バーベルスクワットの基本となる種目です。実際に実施する場合には、スクワットをウォーミングアップ種目として実施し、本番種目としてバーベルスクワットを一緒に実施することで大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋を効率的に鍛えることを期待できます。
ノーマルスクワットは、12〜15回を3セット実施します。
ノーマルスクワットを自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要であり、それを意識できていないと、回数が少ない分だけ負荷が弱くなります。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
膝がつま先よりも前に出ないということを過度に意識しない。
背中を張ったまま実施する。
初動は臀部から動かすことを意識する。
ランジは、バーベルスクワットで鍛えることができる大腿四頭筋、ハムストリングス、内転筋、腸腰筋、大臀筋を鍛えることができるためです。
ランジは、バーベルスクワットと同様に大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋等を鍛えることができます。負荷の大きさを比較した場合、バーベルスクワットの方が大きくなります。実際に実施する場合には、ランジをウォーミングアップ種目として実施し、仕上げの種目としてバーベルスクワットを一緒に実施することで大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋を効率的に鍛えることを期待できます。
ランジは、まずは、片足10〜12回3セット実施します。
ランジは脚を前、もしくは後ろに出して実施するためバランスを取り難く、これにより、エクササイズ強度は高いものに分類することができます。このため、一般的なトレーニングを実施する上での標準的な回数設定よりもやや少ない回数である10〜12回を3セット実施することを目標に実施しましょう。
上半身の床に対する角度を意識する。
身体を床に対してぎりぎりまで下げる。
脚を大きく出しすぎない。
手は太ももの上に乗せない。
ボトムポジジョンで静止する。
「膝はつま先より前に出さない」を意識しすぎない。
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