ごま油は焙煎したごまから抽出した植物油の一種です。家庭でも使われる事が多い調味料の一種ですよね。本記事ではごま油の代用として米油が使えるのかどうか解説します。
ごま油は焙煎したごまから抽出した植物油の一種です。
大別して「焙煎ごま油」と「低温焙煎ごま油」の2種類あります。焙煎ごま油は、高温でごまを焙煎してから油を抽出しています。濃い茶褐色で、ごま特有の香りと風味が強いのが特徴です。一方低温焙煎ごま油は、低温でじっくりと焙煎してから油を抽出しています。焙煎ごま油と比較して透明感のある琥珀色で、ナッツのような優しい香りと甘みがあるのが特徴です。
一般的に家庭で使われることが多いのは濃い茶褐色をしている焙煎ごま油です。
ごま油の主成分は、不飽和脂肪酸であるオレイン酸とリノール酸です。たんぱく質や炭水化物は含まれていませんが、ビタミン類やミネラル類の他、ゴマリグナンやセレンなどのごまがもつ栄養素を多く含んでいます。
オレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸は、コレステロール値を下げる効果があるといわれています。またセサミンやセレンには抗酸化作用があります。
ごま油は主に、炒めものをするときの炒め油として使われることが多いです。
ごま油を炒め油にすることで、サラダ油などで炒めたときとは異なる香ばしい風味を楽しむことができます。特に、きんぴらなどの和食や中華風の炒めものを作るときなどに使われます。
ごま油は揚げ物をするときにも使うことができます。
ごま油は上述したように抗酸化作用がある成分が豊富にふくまれているため、酸化しにくいという特徴があります。そのため、揚げ油としても適していて、特に天ぷらを作るときの揚げ油に使われることが多いです。
ごま油で揚げることで風味がよくなります。
ごま油は、ナムルなど和え物を作るときにも使われます。ごま油の香ばしい風味が食欲をそそり、箸が進む一品に。「無限レタス」や「無限ピーマン」といった無限シリーズに必ずといって良いほど使われています。
ごま油を使って、ドレッシングを作ることもできます。ごま油は特に和風ドレッシングや中華ドレッシングを作るときに使われる事が多いです。
ごま油は料理の仕上げに回し入れるなど、隠し味として使われることも多いです。ごま油を料理に加えることで香ばしい風味をプラスすることができますし、香りがとても良くなります。
ごま油と米油の用途はほぼ同じなので、ごま油は米油で代用することが可能です。ただし、原料が異なるため全く同じになるというわけではありません。
米油は、米糠(こめぬか)を原料に作る植物油の一種です。米油は原料特有の風味がなくサラっとしています。また、米油はあっさりとしていて食材そのものの香りや風味を活かした仕上がりになります。
そのため、ごま油を米油で代用すると香ばしい風味を出すことができないため、物足りなさを感じることがあるでしょう。例えば、和え物に使うごま油を米油で代用するなど料理によっては全く異なる料理になってしまいます。
米油には、揚げ物をするときに感じることが多い油特有の嫌な匂いがなく酸化しにくい他、サラっとしていてベタベタとしません。また、米油は揚げ物をする際に気泡ができにくいという特徴があります。この気泡は、加熱することにより食材や衣から水分が蒸発することによってできます。特に油が酸化している場合などは大きな気泡がぶくぶくと出てしまいやすいです。気泡がでていると揚げむらや油っぽさの原因となります。そのため、米油を使うことで揚げむらもなく均一にカラッと揚げることができます。
そのため、揚げ油として使うごま油の代用に適しているといえます。米油はごま油とは異なり風味づけにはなりませんが、油自体にクセがないため食材そのものの風味を活かせるメリットもあります。
ごま油の代用として米油を使えば、サラっとしていて油特有の匂いやクセのないドレッシングを使ってもまろやかで美味しいドレッシングを作ることができます。
特に味や風味がないので和風にも洋風にもよく合います。そのためごま油がなくても和風ドレッシングや中華ドレッシングを作ることが可能です。ちなみに、マヨネーズを作ることもできます。米油を使うことでサラダ油を使って作るよりも栄養価が高くなるのでおすすめです。
ごま油は隠し味として使われることも多いですが、米油も味噌汁や鍋料理の隠し味として使うことができます。
味噌汁や鍋料理に米油を数滴垂らすだけで、全体的にまろやかな味わいになりますし、風味がよくなります。出来上がりに米油を入れても良いですし、予め食材を米油で炒めても良いでしょう。
ごま油とは風味が異なりますが、食材そのものの旨味や風味を引き立たせ美味しく仕上げることができます。
米油には不飽和脂肪酸の一種でオメガ9(n-9)系脂肪酸に属するオレイン酸、オメガ6(n-6)系脂肪酸に属するリノール酸、ビタミンE(トコフェノール・トコトリエノール)、ビタミンKが豊富に含まれている他、こめ油特有の栄養素γ―オリザノール(ガンマオリザノール)も含まれています。
元々玄米はビタミンB群などのビタミン類、カルシウムなどのミネラル、食物繊維などの栄養素を豊富に含んでおり、白米より栄養価が高いことで知られています。これは栄養素の多くは糠層(ぬかそう)や胚芽(はいが)に含まれているからです。米油は栄養素を多く含んでいる糠層や胚芽から抽出した油であるため、栄養価が高くなります。
オリーブオイルは、モクセイ科の植物オリーブの果実から抽出した植物油の一種です。
緑色でサラッとしていて高温に強く加熱しても酸化しにくいという特徴があり、揚げ油として使ったり炒め物をするときに使うことができる他、レモンなどを加えてドレッシングとして使うことも可能です。
ごま油と同じように使うことができますが、ごま油とは異なりオリーブ特有の香りと風味があるので、ごま油とは異なる風味に仕上がる点に注意が必要です。
太白胡麻油(たいはくごまあぶら)はクセがなく幅広い用途で使える油です。
太白胡麻油は、ごまを原料に作るごま油の一種です。ごまには大別して「黒ごま」と「白ごま」があります。太白胡麻油の色から白ごまを使っていると思われがちですが黒ごまを使って作られていることもあり、多くは白ごまと黒ごまをミックスして使われています。
一般的に「ごま油」として販売されているものは、上述したようにごまを一度焙煎してから油を抽出しているのですが、太白胡麻油は生のごまから油を抽出しています。そのため、ごま油特有の匂いや風味がせず、揚げ油や炒め油に使っても食材の味を変えてしまうことがないので使いやすいです。
ごま油とは風味が異なりますが、同じくごまを原料に作られているため栄養価は非常に近いです。
大豆油は、大豆の種子から抽出した植物油の一種です。
大豆油に含まれる脂肪酸の50~60%はリノール酸で、その他オレイン酸やα–リノレン酸、ビタミンEなども含まれていて栄養価が高いことで知られています。マヨネーズやマーガリンの原料としても使われる他、菜種油やコーン油と調合して「サラダ油」として販売していることが多いです。
クセがなくあっさりとしているためどんな調理にも使いやすいですが、大豆油はサラダ油など一般的に調理に使われる事が多い油とは異なり、どこのスーパーでも取り扱いがあるというわけではないのでなかなか手に入れるのが難しいでしょう。
また、大豆アレルギーがある方は注意が必要です。
エゴマ油はシソ科の植物である荏胡麻(エゴマ)の種子から抽出した植物油の一種です。
名前に「ゴマ」と入っているため「ごま油の一種」と思われることが多いですが、別の種類の植物から抽出した油です。実は古くから使われていた油で、菜種油(なたねあぶら)が普及するまでは日本で植物油と言えばエゴマ油であり、灯火にもエゴマ油が主に用いられていたといわれています。
エゴマ油は米油と同じくサラサラとしていて無味無臭、独特の風味などはありません。ただし、エゴマ油は主成分がα‐リノレン酸であるため熱に弱く、加熱しすぎると酸化してしまうため揚げ油や炒め油として使うときのごま油の代用には向いていません。ドレッシングとして使うときの代用におすすめです。
グレープシードオイルはぶどうの種子から抽出した植物油の一種です。
ぶどうの種子から抽出できるオイルはわずか10%程度と少なく、希少なオイルでワインの生産が盛んなイタリアやフランスなどで作られています。日本ではあまり見慣れないオイルではありますが、プロアントシアニジンやビタミンEなどが豊富に含まれている健康的な油として注目されており、日清オイリオグループなど様々なメーカーがが製造・販売しています。
グレープシードオイルはクセがなくさっぱりとした味わいの油で、食材そのもの風味や味を活かすことができます。
ココナッツオイルは単子葉植物ヤシ科の植物ココヤシの実から抽出される植物油の一種です。
ココヤシの実は「ココナッツ」といわれ、固い殻の内部に固形胚乳の層があります。この胚乳の部分から抽出した油脂がココナッツオイルです。
エクストラバージンココナッツオイルと精製ココナッツオイルがあり、エクストラバージンココナッツオイルはココナッツの甘い香りと風味が特徴です。精製ココナッツオイルは、ココナッツ特有の香りが少なくさっぱりとしています。
ココナッツオイルには米油と同様に酸化しにくいという特徴があり、加熱調理にも適しています。ただし、引火点は234℃といわれています。揚げ物をする際の温度はだいたい170℃〜180℃ですが、引火しやすい点に加え長時間高温で加熱していると煙が出てしまうので揚げ油には不向きといえます。
一般的に家庭で使われることが多い米油ももちろん米油の代用品になります。
サラダ油は、油に含まれている蝋(ろう)を除去した日本生まれの植物油です。
原料はメーカーによって異なりますが、綿実・大豆・ごま・サフラワー・ひまわり・とうもろこし・ぶどう・菜種・米が使われます。2種類以上の植物油を合わせていることもあり、その場合「調合サラダ油」といいます。
サラダ油は蝋を取り除いていることにより、低温でも結晶化しないという大きな特徴があるため米油を使ってドレッシングを使いたいときの代用におすすめです。ちなみに、マヨネーズやドレッシングを作るときなどに使われることが多く、「サラダに使える油」という意味で日清オイリオが「日清サラダ油」という名前で販売したのが始まりです。現在は日本農林規格(JAS規格)が定めている基準を満たしているもののみが「サラダ油」と表示して販売することを許されています。
揚げ油としても使うことができますが、サラダ油は酸化しやすく冷めたときにべちょっとしてしまいやすく、油酔いもしやすいです。
サラダ油と同様に普段家庭で使われることが多いキャノーラ油でも代用可能です。
キャノーラ油は、菜種油の原料であるセイヨウアブラナを品種改良したキャノーラ種から抽出された植物油です。セイヨウアブラに含まれている不飽和脂肪酸の一種「エルカ酸」や病害虫を寄せ付けない働きをしている「グルコシノレート」という成分を長期間摂取することが心臓疾患の要因になる可能性があるという研究結果が発表されて以降、主要生産国であるカナダで品種改良されエルカ酸を含まずグルコシノレート含量も削減された品種がキャノーラです。
ドレッシングなど非加熱で使うときの米油の代用に適しているサラダ油とは反対に、キャノーラ油は熱に強く酸化しにくいという特徴があるため、揚げ油や炒め油の代用におすすめです。
菜種油(なたねあぶら・なたねゆ)は米油と同じようにクセがなくあっさりとしているため、代用可能です。
菜種油は、アブラナ科アブラナ属の植物セイヨウアブラナの種子から抽出した植物油の一種です。サラダ油の原料としても使われています。
菜種油も熱に強く酸化しにくいため、揚げ油や炒め油に使うときのごま油の代用に適しています。
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