おすすめの米油代用品を紹介していきます。油でなくても、米油の代わりに使える食品があります。また、米油で作る料理別にもおすすめな代用品を紹介しています。
米油は、米糠(こめぬか)を原料に作る植物油の一種です。
「米糠油(こめぬかゆ・こめぬかあぶら)」ともいわれます。
米糠とは玄米を精白したときに出る果皮や種皮、胚芽などの部分で、約18%〜20%の油分が含まれています。米油は米糠に含まれている油分を抽出し精製したものです。
玄米から出る米糠はわずかであり、含まれている油分も18〜20%と少ないため例えば米油1本分(600g)作るには約43kgもの玄米が必要になります。そのため、一般的に使われているサラダ油などの植物油よりも値段が高価になります。
ちなみに油を抽出した米糠は、「脱脂糠(だっしぬか)」として飼料などに有効活用されることが多いです。
揚げ物に使われるサラダ油などの一般的な油は、開封をして空気にふれたり高温で加熱すると空気中の酸素と反応し、酸化してしまい劣化してしまいます。そのため開封後は劣化してしまうことが多いのですが、米油にはトリエノールなど抗酸化作用がある成分が多く含まれるため、酸化しにくく傷みにくいというメリットがあります。
酸化することによる嫌な匂いもしないため、揚げ油として使った場合でも繰り返し使うことができます。
出店:米油の劣化特性評価(J−stage)
米油には揚げ物をするときに感じることが多い油特有の嫌な匂いがありません。油を加熱したときの匂いはアクロレインと呼ばれる成分の発生によるもので、アクロレインは油酔いの原因となることがわかっています。
米油は、加熱をしてもアクロレインの発生量がサラダ油などと比較して少ないため、揚げ物をしても油酔いをして食欲が減退してしまうということがありませんし、部屋中に油の匂いが残ってしまうということもありません。
上述したように米油自体は無臭で、油特有の臭いがありません。油を使った調理をするときの油酔いをしてしまったり、部屋に油の臭いがついてしまわないだけではなく、味にもクセがないため食材そのものの旨味や風味を引き立たせることができます。
そのため、炒めものや揚げ物に使われるだけではなくドレッシングとして使うなど、そのまま米油を食材にかけるという使われ方をすることも多いです。
米油はサラダ油などと比較してサラサラとしていて、ベタつきません。
そのため調理をしてもフライパンなどに油がこびりつきませんし、料理を乗せたお皿がベタベタするということもないので、調理をした後の片付けも非常に楽にできます。揚げ物をして壁などに飛び散ってしまってもサッと拭くだけで綺麗になります。
揚げ物をするときに気泡が出てくることがあります。この気泡は、加熱することにより食材や衣から水分が蒸発することによってできます。特に油が酸化している場合などは大きな気泡がぶくぶくと出てしまいやすいです。気泡がでていると揚げむらや油っぽさの原因となります。
米油は揚げ物をする際に気泡ができにくいという特徴があります。そのため揚げむらもなく均一にカラッと揚げることができます。
唐揚げなど揚げ物をしたときに、揚げたては美味しいけどじかんが経って冷めたら美味しくなくなったと感じたことがある方は多いのではないでしょうか。
揚げ物をカラッと揚げることができる米油は時間が経っても油でべちょっとしてしまいにくく、上述したように酸化しにくいため冷めても食材の美味しさを阻害してしまうことがありません。そのため、お弁当に入れるなど時間が経ってから食べる場合の調理にも適しています。
日本で販売されているサラダ油などの原料の多くは輸入品です。輸入品の場合、遺伝子組み換えによって開発された品種を使って作られているものが多いのですが、輸入品については遺伝子組み換えかどうかの表示義務がないため見分けるのが難しいのが現状です。
一方で米油の多くは国産の米糠を原料に使っていることが多いため、安心して使えるという方が多くいます。
基本的に食用油であれば、どんな油でも米油の代用になります。しかし、原料が異なるので米油を使ったときと同じようにはならないことがあります。ここからは、米油の代用になる油と、米油の代用として使ったときの違いを解説します。
オリーブオイルは、モクセイ科の植物オリーブの果実から抽出した植物油の一種です。
緑色でサラッとしていて高温に強く加熱しても酸化しにくいという特徴があり、揚げ油として使ったり炒め物をするときに使うことができる他、レモンなどを加えてドレッシングとして使うことも可能です。
米油と同じように使うことができますが、米油とは異なりオリーブ特有の香りと風味があるので、米油とは異なる風味に仕上がる点に注意が必要です。
ごま油は炒めものをするときの米油の代用品になります。
ごま油は焙煎したごまから抽出した植物油の一種です。
大別して「焙煎ごま油」と「低温焙煎ごま油」の2種類あります。焙煎ごま油は、高温でごまを焙煎してから油を抽出しています。濃い茶褐色で、ごま特有の香りと風味が強いのが特徴です。一方低温焙煎ごま油は、低温でじっくりと焙煎してから油を抽出しています。焙煎ごま油と比較して透明感のある琥珀色で、ナッツのような優しい香りと甘みがあるのが特徴です。
香りや味にクセがない米油とは異なり、ごま油はごま特有の香りや風味があります。そのため中華風の炒めものを作るときなどにおすすめです。
太白胡麻油(たいはくごまあぶら)はクセがなく幅広い用途で使える油で、米油の代用品におすすめです。
太白胡麻油は、ごまを原料に作るごま油の一種です。ごまには大別して「黒ごま」と「白ごま」があります。太白胡麻油の色から白ごまを使っていると思われがちですが黒ごまを使って作られていることもあり、多くは白ごまと黒ごまをミックスして使われています。
一般的に「ごま油」として販売されているものは、上述したようにごまを一度焙煎してから油を抽出しているのですが、太白胡麻油は生のごまから油を抽出しています。そのため、ごま油特有の匂いや風味がせず、揚げ油や炒め油に使っても食材の味を変えてしまうことがないので使いやすいです。
また、ごまを原料に作られているためゴマリグナンなどの栄養素を多く含んでいます。
大豆油は、大豆の種子から抽出した植物油の一種です。
大豆油に含まれる脂肪酸の50~60%はリノール酸で、その他オレイン酸やα–リノレン酸、ビタミンEなども含まれていてと米油と同じく栄養価が高いことで知られています。マヨネーズやマーガリンの原料としても使われる他、菜種油やコーン油と調合して「サラダ油」として販売していることが多いです。
米油と同じくクセがなくあっさりとしているためどんな調理にも使いやすいですが、大豆油はサラダ油など一般的に調理に使われる事が多い油とは異なり、どこのスーパーでも取り扱いがあるというわけではないのでなかなか手に入れるのが難しいでしょう。
また、大豆アレルギーがある方は注意が必要です。
エゴマ油はシソ科の植物である荏胡麻(エゴマ)の種子から抽出した植物油の一種です。
名前に「ゴマ」と入っているため「ごま油の一種」と思われることが多いですが、別の種類の植物から抽出した油です。実は古くから使われていた油で、菜種油(なたねあぶら)が普及するまでは日本で植物油と言えばエゴマ油であり、灯火にもエゴマ油が主に用いられていたといわれています。
エゴマ油は米油と同じくサラサラとしていて無味無臭、独特の風味などはありません。ただし、エゴマ油は主成分がα‐リノレン酸であるため熱に弱く、加熱しすぎると酸化してしまうため揚げ油や炒め油として使うときの米油の代用には向いていません。ドレッシングとして使うときの代用におすすめです。
グレープシードオイルはぶどうの種子から抽出した植物油の一種です。
ぶどうの種子から抽出できるオイルはわずか10%程度と少なく、希少なオイルでワインの生産が盛んなイタリアやフランスなどで作られています。日本ではあまり見慣れないオイルではありますが、プロアントシアニジンやビタミンEなどが豊富に含まれている健康的な油として注目されており、日清オイリオグループなど様々なメーカーがが製造・販売しています。
グレープシードオイルは米油と同様にクセがなくさっぱりとした味わいの油で、食材そのもの風味や味を活かすおとができます。
ココナッツオイルは単子葉植物ヤシ科の植物ココヤシの実から抽出される植物油の一種です。
ココヤシの実は「ココナッツ」といわれ、固い殻の内部に固形胚乳の層があります。この胚乳の部分から抽出した油脂がココナッツオイルです。
エクストラバージンココナッツオイルと精製ココナッツオイルがあり、エクストラバージンココナッツオイルはココナッツの甘い香りと風味が特徴です。精製ココナッツオイルは、ココナッツ特有の香りが少なくさっぱりとしています。
ココナッツオイルには米油と同様に酸化しにくいという特徴があり、加熱調理にも適しています。ただし、引火点は234℃といわれています。揚げ物をする際の温度はだいたい170℃〜180℃ですが、引火しやすい点に加え長時間高温で加熱していると煙が出てしまうので揚げ油には不向きといえます。
一般的に家庭で使われることが多い米油ももちろん米油の代用品になります。
サラダ油は、油に含まれている蝋(ろう)を除去した日本生まれの植物油です。
原料はメーカーによって異なりますが、綿実・大豆・ごま・サフラワー・ひまわり・とうもろこし・ぶどう・菜種・米が使われます。2種類以上の植物油を合わせていることもあり、その場合「調合サラダ油」といいます。
サラダ油は蝋を取り除いていることにより、低温でも結晶化しないという大きな特徴があるため米油を使ってドレッシングを使いたいときの代用におすすめです。ちなみに、マヨネーズやドレッシングを作るときなどに使われることが多く、「サラダに使える油」という意味で日清オイリオが「日清サラダ油」という名前で販売したのが始まりです。現在は日本農林規格(JAS規格)が定めている基準を満たしているもののみが「サラダ油」と表示して販売することを許されています。
揚げ油としても使うことができますが、サラダ油は酸化しやすく冷めたときにべちょっとしてしまいやすく、油酔いもしやすいです。
サラダ油と同様に普段家庭で使われることが多いキャノーラ油でも代用可能です。
キャノーラ油は、菜種油の原料であるセイヨウアブラナを品種改良したキャノーラ種から抽出された植物油です。セイヨウアブラに含まれている不飽和脂肪酸の一種「エルカ酸」や病害虫を寄せ付けない働きをしている「グルコシノレート」という成分を長期間摂取することが心臓疾患の要因になる可能性があるという研究結果が発表されて以降、主要生産国であるカナダで品種改良されエルカ酸を含まずグルコシノレート含量も削減された品種がキャノーラです。
ドレッシングなど非加熱で使うときの米油の代用に適しているサラダ油とは反対に、キャノーラ油は熱に強く酸化しにくいという特徴があるため、揚げ油や炒め油の代用におすすめです。
菜種油(なたねあぶら・なたねゆ)は米油と同じようにクセがなくあっさりとしているため、代用可能です。
菜種油は、アブラナ科アブラナ属の植物セイヨウアブラナの種子から抽出した植物油の一種です。サラダ油の原料としても使われています。
菜種油も熱に強く酸化しにくいため、揚げ油や炒め油に使うときの米油の代用に適しています。
米油の代用には油が使われることが多いですが、揚げ油以外の用途であれば油以外の調味料も代用になります。
お菓子作りをするときや、炒めものをするときはバターで代用することが可能です。
バターは牛乳に含まれる乳脂肪を集めて練って固めて作られています。そのため独特の風味があり、まろやかに仕上がります。お菓子づくりをするときにバターを使うと米油を使うときよりも成形がしやすいという利点がありますし、風味が良くなります。
炒めものをするときの代用としてバターを使う場合は洋風の味付けにはよく合いますが、中華風の味付けにしたい場合などバターの風味が合わないこともあります。
マーガリンもバターと同様にお菓子作りをするときや炒めものをするときの代用に適しています。
マーガリンは、バターが動物性の油脂を原料に作られているのに対して、植物性または動物性の油脂を混ぜ合わせてバターに似せて作ったものです。テクスチャーはバターと似ていて使いやすいですが、風味は油に近いです。
そのため、米油をマーガリンで代用すると風味はサラダ油を使ったときの風味に近くなります。
ただし、マーガリンは製造する工程で植物油を高温にして脱臭するときにトランス脂肪酸が生成されることで知られています。トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減少させる働きがあるため、大量に摂取することにより動脈硬化などによる心臓病のリスクを高めるといわれ、WHOのトランス脂肪酸の一日の上限値は約2g未満としています。これはトンカツを揚げた場合、約10枚分に相当します。過剰摂取しない限りは問題ないといえますが、マーガリンに限らずトランス脂肪酸が含まれている食べ物は沢山あり、知らず知らずのうちに摂取していることもありますので過剰摂取は避けたほうが良いでしょう。
出典:トランス脂肪酸に関するQ&A(厚生労働省)
マヨネーズは炒めものをするときの代用になります。
マヨネーズは、卵や植物油、酢を主原料に調味料や香辛料を混ぜ合わせて作られた半固形状のドレッシングです。サラダにかけて食べるなど、家庭で使われることが多いので代用として使いやすいでしょう。
マヨネーズには原料に植物油が含まれているので、米油の代わりにマヨネーズ使って炒めものをすることができます。マヨネーズ自体はこってりとした味わいなので、油っこく仕上がるのでは?と心配になる方も多いと思いますが、意外とあっさりと仕上がります。中華風の味付けにする場合などはマヨネーズを使って代用するのも良いでしょう。
最後に、料理別に米油の代用として適しているものをまとめます。油であれば基本的に米油の代用品になりますが、上記で紹介したようにそれぞれに特徴があるため料理によって使い分けることをおすすめします。
揚げ物をするときの米油の代用におすすめなのは、下記の通りです。
オリーブオイル
太白胡麻油
グレープシードオイル
揚げ物に使うときは、米油と同様に熱に強く酸化しにくいものを選ぶのが良いです。また、食材そのものの風味や味を邪魔せず、あっさりとしているものがおすすめです。オリーブオイルは酸化しにくいもののオリーブ独特の風味があるので、気になる方は太白胡麻油やグレープシードオイルと使うのが良いでしょう。
炒めものをするときの米油の代用におすすめなのは下記の通りです。
オリーブオイル
ごま油
太白胡麻油
オリーブオイルやごま油、ココナッツオイルはそれぞれ独特の風味があるため、洋風の味付けのときはオリーブオイル、中華風や和風の味付けのときはごま油といったように使い分けるのが良いです。食材そのものの風味を活かしたい場合や味付けの邪魔をしたくない場合は、風味や味にクセがない太白胡麻油がおすすめです。
お菓子作りをするときの米油の代用におすすめなのは下記の通りです。
バター
マーガリン
ココナッツオイル
大泊胡麻油
サラダ油
焼き菓子を作るときなどは、バターやマーガリンで代用されることが多いです。また、ココナッツオイルを使えばココナッツの風味を楽しむことができるので、いつもとは違った味に仕上げたいという場合におすすめです。また、炒めものや揚げ油として使われることが多い太白胡麻油やサラダ油などで代用することも可能です。
ドレッシングを作るときの米油の代用におすすめなのは、下記の通りです。
オリーブオイル
エゴマ油
サラダ油
オリーブオイルはオリーブオイル+塩+こしょう+酢など簡単にオリーブオイルの風味を活かしたドレッシングを作ることができます。オリーブオイルの風味が苦手な方はエゴマ油やサラダ油を使うのが良いでしょう。えごま油には、オメガ3(n-3)系脂肪酸であるα-リノレン酸が多く含まれていて、近年サラダにかけて食べる方も多くいます。
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