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冷凍したじゃがいもが黒っぽく変色...食べてOK?原因と対処法を解説

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冷凍したじゃがいもが黒っぽく変色...食べてOK?原因と対処法を解説

じゃがいもを冷凍すると、変色してしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。本記事では、冷凍するじゃがいもが変色してしまう原因や対処法、じゃがいもを美味しく冷凍、解凍する方法を詳しく解説します。

冷凍したじゃがいもが変色する原因

冷凍したじゃがいもが変色してしまう原因は下記の通りです。

低温障害

じゃがいもは貯蔵において低温に弱いわけではありません(低温で保存できないわけではありません)。しかし、2.5℃以下の環境では低温障害が起きやすくなります。

低温障害は低温の環境に置いておくことが原因で出る障害のことをいいます。じゃがいもの他にも里芋やなすなどの野菜にもよく起こる現象です。

低温障害になってしまったじゃがいもは、ピンクや赤、紫に変色してしまい見た目が悪くなってしまいます。

酸化

酸化が原因で変色している場合もあります。

特にじゃがいもをカットして保存している場合、じゃがいもに含まれているチロシン(アミノ酸の一種)が空気中の酸素に触れて酸化し、ピンク→赤→茶→紫→黒と色が変化していきます。

また、じゃがいもの中のポリフェノール物質が、ポリフェノラーゼなどの酵素によって酸化されるのも、変色する原因となります。これは、カットしたりんごが時間に経つにつれて黒っぽく変色するのと同じ現象です。

冷凍して変色したじゃがいもは食べられる?対処法は?

冷凍していたじゃがいもが変色してしまう原因はおわかりいただけたかと思います。続いて、冷凍して変色してしまったじゃがいもは食べることができるのか解説します。

食べられる

じゃがいもを冷凍保存したことで低温障害になったり酸化して変色したじゃがいもは、食べることができます。低温障害と酸化はどちらも腐敗しているわけではありませんので、食べても健康上に問題はありません。

そもそも冷凍庫などの低温の環境では、腐敗や食中毒の原因になるほとんどの菌類や微生物、酵素の分解作用が働くことはありません。ほとんどの食材が冷凍することで長持ちするのはこのためです。

しかし、低温障害や酸化で変色してしまっているということは、鮮度が落ちている状態といえます。じゃがいもの組織が破壊され、食感や風味が損なわれていることが多いので、食べる場合は調理法を工夫するのが良いでしょう。

気になる場合はカット

一度低温障害や酸化が原因で変色してしまったじゃがいもは、残念ながら元の色に戻すことはできません。

食べられるとはいっても変色していると料理の見た目が悪くなってしまいますし、食感や風味が損なわれていることが多いので、お客様に料理を出す場面など気になる場合はカットすると良いです。変色した部分を取り除くことで、料理の品質や味わいを向上させることができます。

ただし、変色した部分をカットしても、じゃがいもの品質自体が回復するわけではありません。そのため、じゃがいもを美味しく食べるためには、正しく保存して変色を防ぐことが大切です。

じゃがいもの冷凍方法

冷凍したじゃがいもが変色してしまっても食べることはできますが、鮮度は落ちている状態なのでやはり変色させないよう正しく保存することが大切です。じゃがいもはもともと冷凍すると食感が悪くなったり、風味が悪くなってしまいやすい野菜なので、正しいじゃがいもの冷凍方法を覚えておきましょう。

生のままなら丸ごと

じゃがいもを丸ごと生のまま冷凍する

じゃがいもを生のまま冷凍するなら、カットして冷凍するよりも丸ごとが良いです。生のままなら丸ごと冷凍したほうが鮮度を保つことができます。

丸ごとのじゃがいもは表面積が小さく凍結時の水分の結晶化や細胞の破裂が起こりにくいです。そのため、解凍後に水分が抜けてしまい、食感や風味が損なわれるリスクが低くなります。一方、カットしたじゃがいもは表面積が増え、断面から水分が失われやすくなるため、食感や風味の劣化が丸ごと冷凍したときと比較してより顕著に現れる可能性があります。

そのため、生のまますぐに冷凍したい場合は、じゃがいもを綺麗に洗い芽をとったら、カットせずに冷凍することをおすすめします。皮がついたまま丸ごと冷凍し、そのまま調理をすれば皮に含まれている栄養も無駄にならないので栄養面的にも◎

下茹でをする

じゃがいもを茹でる

じゃがいもは生のまま冷凍することも可能ですが、冷凍障害が起きて味や食感が悪くなってしまうことがあるので、食感や味を悪くしたり変色を防ぐために一度茹でて冷凍するのがおすすめです。

冷凍する前に茹でたり蒸気をあてたりと必要最低限の加熱処理を行うことを「ブランチング」といいます。じゃがいも以外の野菜でも使える方法で、加熱して野菜の持っている酵素を不活性化させることにより変色を防いだり、組織を軟化させることにより冷凍によって組織が破壊され食感を損なわれるのを防ぐことができます。また、食品表面に付着している微生物の殺菌にもなります。

冷凍保存するときは、じゃがいもををかために茹でて(基本の茹で方は下記参照)粗熱を取ってから冷凍します。

出典:冷凍食品Q&A冷凍食品の基礎知識(日本冷凍食品協会)

じゃがいもの茹で方の基本

1.じゃがいもをきれいに洗う

2.鍋にじゃがいもを入れ、かぶるくらいの水を入れる

3.中火にかけ、沸騰したら弱中火にし、竹串がスッと中に通るまで加熱する

マッシュがおすすめ

じゃがいもをマッシュにしてから冷凍する

じゃがいもを冷凍するときは一度茹でてマッシュにしてからがおすすめです。マッシュにする場合も一度茹でるので変色を防止することができます。また、解凍されると食感が悪くなってしまいがちなじゃがいもも、予めマッシュにしておけば食感も悪さが気にならなくなります。

マッシュにして冷凍するときは、皮を剥いてひと口サイズに切って熱湯で15分ほど茹で、潰してマッシュポテトを作ります。しっかり粗熱をとってから、小分けにし平たくラップに包み、冷凍用ジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜いて冷凍します。

マッシュしたじゃがいもはポテトサラダなどにすることができますが、ハムなど他の食材を入れると日持ちしなくなるので、混ぜないようにしましょう。

じゃがいもを美味しく冷凍するポイント

上記で紹介したように、変色していなくても冷凍したじゃがいもは食感や風味が悪くなっていて美味しくないと感じる方が多いです。ここでは、じゃがいもを美味しく冷凍するポイントを紹介します。

しっかりと水気をとる

茹でたじゃがいもの水分をキッチンペーパーで拭き取る

生のまま丸ごと冷凍する場合はじゃがいもを綺麗に洗った後、茹でてから冷凍する場合は茹でた後にしっかりと水気をふきとりましょう。

水分が残ったまま冷凍してしまうと余分な水分まで凍ってしまい、調理をするときにべちょべちょになってしまいます。キッチンペーパーで拭き取るなどし、しっかりと水けを切っておくことも冷凍じゃがいもを解凍したときにぶよぶよにならない大切なポイントです。

空気を抜いてしっかり密閉する

じゃがいもを冷凍する際は、保存袋の空気をしっかり抜く

水気をしっかり拭き取って、保存用ポリ袋にいれたら、空気をしっかり抜いて密閉します。

しっかり密閉しておくことで、空気中の酸素に触れて変色したり味が落ちてしまうことを防ぐことができます。また、冷凍庫内の臭い移り防止にもなります。

金属トレイの上に置く

じゃがいもを冷凍する際は、金属トレイの上にのせて冷凍する

じゃがいもに限らず、野菜を冷凍する場合は急速冷凍をしたほうが旨みをぎゅっと閉じ込めることができます。特に茹でてから冷凍する場合は、水分が多くなっている状態ですので短時間で凍らせるのがポイントになります。

冷蔵庫に急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。金属トレイは温度の伝達が早いため、急速冷凍と同じ効果を得ることができます。

また、冷凍庫の扉付近は開け閉めによる温度変化の影響を受けやすいため、できるだけ温度変化の少ない扉付近を避けた場所に置いたほうが早く冷凍することができます。

遅くても1ヶ月以内に食べる

冷凍すれば永遠に保存できてしまうような気がしてしまいますが、どんなに長く保存しても1ヶ月を目安に食べきるようにしましょう。

冷凍しても長く保存していると鮮度は落ちてしまうので、味や食感はどんどん悪くなってしまいます。冷凍しているからといっていつまでも入れておかず、なるべく早く食べきることが大切です。

じゃがいもは常温保存でも長持ちする

じゃがいもは最も保存しやすい野菜の一つです。冷暗所なら常温で数ヶ月も保存できるので、基本的に常温保存が推奨されます。

じゃがいもは水分が多い野菜ですが、貯蔵において低温に弱いわけではありません(低温で保存できないわけではありません)。しかし、0〜5℃の温度で保存すると、でんぷんが糖化し、ホクホクとした食感が損なわれてしまいます。そのため、冷蔵・冷凍保存にはあまり向かず、常温保存をおすすめしている次第です。

ちなみに、じゃがいもを20℃の環境に1週間ほど放置しておけば、糖化したでんぷんは8割ほど元に戻ります。

冷凍したじゃがいもの食感や風味の悪さがきになる場合は冷凍以外の方法で保存することをおすすめします。

冷凍以外のじゃがいもの保存方法

最後に冷凍以外のじゃがいもの正しい保存方法を紹介します。

常温保存

段ボールに入れて(夏:1ヶ月、秋冬:3ヶ月)

じゃがいもを新聞紙を敷いた段ボールに入れて、上からも新聞紙をかぶせて冷暗所で保存する

じゃがいもはそこまで乾燥に弱いわけではないので、一つずつ新聞紙(またはキッチンペーパー)に包まなくても、長く保存できます。特に数が多いときは面倒なのでまとめて保湿。直射日光が当たらず風通しのよい涼しい場所なら、秋・冬は3ヶ月、夏場でも1ヶ月は常温保存が可能です。

じゃがいもを多く購入した場合は、新聞紙を下に敷いたダンボール等にまとめて入れて、上からも新聞紙をかぶせます。

紙袋に入れて(夏:1ヶ月、秋冬:3ヶ月)

じゃがいもを紙袋に入れて常温で保存する

じゃがいもの数がそこまで多くない場合や、ダンボールや新聞紙がない場合は、紙袋に入れましょう。

ビタミンが多く「大地のりんご」ともいわれるじゃがいもですが、りんごと一緒に常温保存するのがおすすめです。りんごから放出されるエチレンガスは果実の熟成を進めますが、じゃがいもの発芽を抑える効果があります。じゃがいもは暖かく明るい場所で発芽が進むので、繰り返しになりますが、冷暗所で保存することが大切!じゃがいもの芽はソラニンなどの天然の毒を持っているので、必ず取り除いてから食べるようにしましょう。

冷蔵保存

基本的には常温保存がおすすめなじゃがいもですが、下記の場合は冷蔵保存がおすすめです。

  • 夏場に1ヶ月よりも長く保存したい(夏も安心して保存したい)

  • 冬場であっても3ヶ月より長く保存したい

  • カットしたじゃがいもを保存したい

じゃがいもは正しく冷蔵すれば半年ほど保存することができます。また、じゃがいもは低温保存すると、収穫直後では少なかった糖分(0.1〜0.5%)が、増加(0.5〜2.5%)します。

丸ごと(最大6ヶ月)

丸ごとのじゃがいもを1個ずつキッチンペーパー包みポリ袋に入れて冷蔵保存する

丸ごとじゃがいも冷蔵保存する場合は、一つずつキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて軽く口を締め、野菜室に入れます。キッチンペーパーに包むことで寒さからじゃがいもを守ることができます。ポリ袋に入れることで乾燥しすぎることを防ぎながら、口は軽く締めることで通気性を保ちます。

1週間に1度はキッチンペーパーが湿っていないか確認し、湿っている場合は新しいものに取り替えましょう。
野菜室は温度・湿度ともに冷蔵室より高いので、じゃがいもに適しています。冷蔵保存でもりんごを一緒に入れると効果があります。

この方法で保存すれば、最大で6ヶ月も日持ちします。

カット(2〜3日)

カットしたじゃがいもは水につけて冷蔵する

切ったじゃがいもは傷みが早く、生のまま放置すると切り口が褐変します。これは上述したように空気中の酸素に触れることによって酸化してしまうためです。

カットしたじゃがいもは常温保存できないので、水に浸けて冷蔵保存します。2〜3日以内に食べるようにしましょう。茹でたじゃいがもはさらに傷みが早いので、極力その日のうちに消費するようにしましょう。