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プッシュアップで腰が痛い原因と対処法。正しいフォームを解説

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プッシュアップで腰が痛い原因と対処法。正しいフォームを解説

プッシュアップを実施していると腰が痛いと感じる場合があります。今回は、プッシュアップで腰が痛いと感じる原因とその対策についてご紹介します。

プッシュアップとは

プッシュアップは英語で「push up」で、「押して上げる」ことを意味します。これは、床を腕で押して上げる動作を指し、日本語で「腕立て伏せ」に相当するのが「push up」です。

プッシュアップは、トレーニング種目として非常にポピュラーではありますが、実はエクササイズ難易度としてはかなり高い種目です。そのため、正確に実施できている人は、実はかなり少ない種目であることから、実際に実施する場合にはきちんとポイントを守って実践できているかをしっかり確認する必要があります。

プッシュアップで腰が痛くなる原因

上半身から下半身まで一直線になっていない

プッシュアップで腰が痛くなる最大の原因は、上半身から下半身までが一直線になっていないことです。

プッシュアップで上半身から下半身までが一直線になっていない場合、下半身が落ちている場合と下半身が上がっている場合があります。いずれの場合にも、プッシュアップの負荷が大きすぎる場合に発生することが多いとされています。

プッシュアップで回数を多く設定して実施すると、下半身の重さを支えきれず下半身が落ちたような姿勢になる可能性があります。また、レップ(回数)の間に休憩するために腰を上げるような姿勢になり、下半身が上がったような姿勢にもなる可能性があります。

以上のような状態になると、上半身と下半身の接続部分である腰に無理な負担がかかり、腰が痛くなる原因になります。

これを防ぐためには、回数を多く設定しすぎないことが重要です。また、自身の筋力に不安がある場合には、膝付きで実施しても問題ありません。

体重が重すぎる

上半身から下半身までが一直線になっていないことにも関連しますが、体重が重すぎると腰が痛いと感じる原因になります。

プッシュアップは、前述した通り、下半身が上がるか下がるかにより上半身と下半身の接続部位である腰に無理な負担がかかってしまうことが腰が痛いと感じる原因です。ここで、体重が重ければ下半身が曲がった場合における負担も大きくなります。

これを防ぐためには、食事制限や有酸素運動により体重を落とすことが重要です。

腰を痛めている

プッシュアップを実施する際に、当たり前ですが、腰を痛めながら実施すると腕が痛いと感じる原因になります。

腰は怪我すると、全身のほぼ全てのトレーニングを実施することが困難になるため注意が必要です。

これを防ぐためには、腰に異変を感じた場合には、トレーニングの実施を控えることであり、場合によっては病院の受診も検討しましょう。

腰が痛くならないプッシュアップの方法

やり方

  1. 手幅を肩幅位に設定する。
  2. 肩甲骨を寄せた状態を作る(上腕三頭筋がターゲットの場合には肩甲骨を寄せなくても良い)。
  3. 正面を向いて、顎が床に付くか付かないかくらいまでゆっくり下げる。
  4. 2の状態まで素早く戻る。
  5. 3から4を繰り返す。

回数

初心者

初心者は、プッシュアップを10〜12回3セット実施します。

プッシュアップは比較的負荷が高い種目になります。そのため、実施する場合には、一般的なトレーニングを実施する上での標準的な回数よりも少ない10〜12回を3セット実施することを目標に実施しましょう。

少し慣れたら

プッシュアップに少し慣れてきたら、12〜15回3セット実施します。

プッシュアップは慣れてくると、上腕三頭筋や大胸筋の発達により安定して実施することを期待できます。そのため、プッシュアップに少し慣れてきたら、初心者のときよりも回数をやや増やして、12〜15回3セット実施するようにしましょう。

上級者

上級者の場合、プッシュアップを実施する際には、その他の上腕三頭筋や大胸筋を鍛える種目と組み合わせて実施するようにしましょう。

自重のトレーニングと組み合わせて実施する場合には、足上げ腕立て伏せを本番種目として実施するのが適しています。例えば、プランク、ハイプランク、インクラインプッシュアップをウォーミングアップ種目として12〜15回 (プランクは60秒3セット)実施し、プッシュアップを本番種目として10〜12回を3セット実施するのが良いでしょう。

プッシュアップの効果を高めるポイント

上半身から下半身までを一直線

プッシュアップの効果を高めるためには、上半身から下半身までを一直線に設定することが重要です。

プッシュアップは、両手、両脚で身体を支えますが、この距離が大きいことからこの間にある上半身と下半身が落ちやすいという問題点があります。この落ちやすい部分を落ちないようにして支えることで負荷を高める種目であることから、特に上半身から下半身までを一直線にすることを意識するようにします。

この上半身から下半身までを一直線にして実施するというテクニックは実践するのにかなりの労力を必要とするものであり、だからこそ、プッシュアップは多くても15回程度を実施すれば十分です。

常に肩甲骨を寄せる

特に大胸筋をメインダーゲットにして実施するプッシュアップは、肩甲骨が常に寄った状態で実施します。

このためには、最初の1回目を実施する前に、肩甲骨がしっかりと寄った状態を作り出してから実施するのがポイントです。この肩甲骨の状態を動作の中で常に維持して実施することで、大胸筋に負荷が入った状態を実現することができます。

このためには、後述するように肘を伸ばし切らないすることも重要です。

目線

通常のプッシュアップを実施する場合には、目線を正面に設定することで負荷を高めることを期待できます。

通常のプッシュアップでは、目線を正面にすることで、下半身から上半身までを一直線にしようとする意識がより働くようになるため負荷が高まります。ただし、目線を正面に向けようとするということは、どうしても首に負担がかかってしまうため注意が必要です。そのため、首に何らかの疾患を抱えている場合には、目線は正面に設定して実施しないようにしましょう。

無理に脚を伸ばして実施しない

女性が腕立て伏せを実施する上での最大のネックとなるのは、「身体をボトムポジションから上げることができない」ということです。これは、自身の身体を支えるのに対して、腕の筋肉が十分でないために発生する問題であり、言い換えれば腕以外で身体を支える力を大きくすれば女性でも腕立て伏せを実施することができるということです。腕立て伏せにおいて、腕以外で身体を支えているのは脚であり、教科書的な腕立て伏せでは脚を伸ばして実施することが期待されています。しかし、そのように実施すると腕にかかる負担が大きくなり、腕立て伏せの難易度が高くなります。そのため、特に女性が腕立て伏せを実施する場合には、無理に脚を伸ばそうとするのではなく、基本的には膝を床につけて少しずつ負荷を高めることが重要です。

肘の角度

プッシュアップではトップポジションの腕の角度が非常に重要です。

プッシュアップに限らず、エクササイズの基本は可動域の中で常に負荷が入っていることを意識することです。腕立て伏せの場合には、トップポジションで肘を伸ばしてしまうと、身体の重さを肘で支えることになり、大胸筋、上腕三頭筋に対する負荷が低下します。

このため、プッシュアップではトップポジションで肘をやや曲げることを意識するようにしましょう。このようにすることで、肘を痛めるリスクも低減することが期待できます。

筋肉の動きを意識

プッシュアップに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、腕立て伏せで鍛える筋肉の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での上腕三頭筋、大胸筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。

動作のスピード

プッシュアップに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。

具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。 ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。

このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。

呼吸

プッシュアップに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、プッシュアップでは、身体を下ろすときに息を吸い、身体を上げるときに息を吐くことを意識しましょう。

慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。

腰への負担が少なく同じ部位を鍛えられる筋トレ

ベンチディップス

フォーム

  1. 椅子などの高さがあるものに両手をかける。このとき、指先が正面を向くように設定し、腕幅は肩幅に設定し、脚は伸ばす。
  2. 重力を感じながらゆっくり身体を下げる。
  3. 上腕と床が平行になったら切り返して、肘がロックしない場所 (=肘が真っ直ぐにならない部分)まで戻す。

回数

ベンチディップスは、12-15回を3セット実施します。

ベンチディップスは、「ディップス」という名前はついていますが、ディップスほど負荷の高いエクササイズではありません。このため、一般的なトレーニングを実施する上での標準的な回数設定である12-15回を3セット実施することを目標に実施しましょう。 やや負荷が高いと感じた場合には、脚を完全に伸ばし切るのではなく、脚をやや曲げた状態で実施するようにして12-15回を目標に実施し、それができたら徐々に脚を伸ばしていきましょう。

効果を高めるポイント

  • トップポジションで肘をロックしない。

  • 身体の動きをしっかりとコントロールする。

  • 負荷が高すぎると感じた場合には、脚を少し曲げ、踵と身体の距離を短くする。

膝付きプッシュアップ

膝つきプッシュアップ

フォーム

  1. 膝を付いた状態で腕幅を肩幅の1.5倍程度に設定する。
  2. 肩甲骨を寄せた状態を作る
  3. 正面を向いて、顎が床に付くか付かないかくらいまでゆっくり下げる。
  4. 2の状態まで素早く戻る。
  5. 3から4を繰り返す。

回数

膝付きプッシュアップは、10〜12回を3セット実施するようにしましょう。

膝付きプッシュアップは、膝をついている分、プッシュアップよりも負荷は小さいです。このため、10〜12回を目標に実施し、できない場合には、休みながらでも良いのできちんと10〜12回を実施し、それを3セット行うということを繰り返します。 これを繰り返していくうちに、休憩なしで10〜12回ができるようになり、最終的には膝をつかなくてもプッシュアップを実施できるようになることが期待できます。

効果を高めるポイント

  • 上半身から下半身までを一直線。

  • 身体はゆっくり下げる。

  • トップポジションで肘を伸ばし切らない。

  • 実施中は常に肩甲骨を寄せる。

ダンベルライイングエクステンション

フォーム

  1. ベンチ台で仰向けになる。
  2. 両手にダンベルを持ち、ダンベルが頭の後ろを通ることができる部分に設定する。
  3. ダンベルをゆっくり下げ、ダンベルをできるだけ下げるようにする。
  4. 手首を外旋しならダンベルを戻す。

回数

ダンベルライイングエクステンションは、8〜10回を3セット実施します。 ダンベルライイングエクステンションは、ダンベルオーバーヘッドエクステンションと同様に上腕三頭筋を伸展させることで負荷を入れるエクササイズであり、エクササイズ強度は比較的高めです。ダンベルオーバーヘッドエクステンションとは異なり、片手でダンベルを支える分、負荷は高くなります。このため、一般的なトレーニングを実施する上での標準的な回数設定よりも回数の少ない8〜10回を3セット実施することを目標に実施しましょう。

効果を高めるポイント

  • 重量をやや軽めで設定する。

  • ダンベルの動きを終始コントロールする。

  • ボトムポジションからトップポジションに移行する際には手首を外旋する。

  • トップポジションでのダンベルの位置は目線よりも頭寄りに設定する。