三温糖とグラニュー糖の違いを詳しく解説します。
三温糖とグラニュー糖はどちらも、サトウキビまたはテンサイを原料に作られています。
サトウキビは、イネ科の多年性植物です。茎だけで高さが3mにもなり、茎には竹のように節があります。高温多湿で年間の平均気温が20℃以上の土地でよく育つといわれており、日本では沖縄県と鹿児島県が主な生産地となっています。日本国内で、年間約18.6万トン*のサトウキビが生産されています。
テンサイは見た目は大根に似ていますが、植物学上ではホウレンソウと同じヒユ科に属します。紅白の2種類があり、砂糖の原料として使用されるのは白色のほうです。甜菜は温かい地域では病虫害に侵されやすいため、一般的に寒地で栽培されます。日本の主な生産地は北海道で、年間約62.1万トン*もの甜菜が生産されています。
*2009年の国内原料における砂糖生産量
三温糖はグラニュー糖よりも栄養価が高いと思われがちですが、実際は三温糖とグラニュー糖の栄養価はほぼ同じです。
三温糖100gあたりのカロリー、成分は下記の通りです。
エネルギー…382kcal
水分…1.2g
たんぱく質…Tr
脂質…0g
炭水化物…98.7g
カリウム…13mg
カルシウム…6mg
鉄…0.1mg
食物繊維総量…0g
一方、グラニュー糖100gあたりのカロリー、成分は下記の通りです。
エネルギー…387kcal
水分…Tr
たんぱく質…0g
脂質…0g
炭水化物…100.0g
ナトリウム…Tr
カリウム…Tr
カルシウム…Tr
マグネシウム…Tr
鉄…Tr
亜鉛…Tr
食物繊維総量…0g
※「Tr」とは、微量含まれるという意味
食品成分表からわかるように、確かに三温糖の方が、ミネラル類(カリウム、カルシウム、鉄)を多く含みますが、全体を占める割合はごくわずかです。摂取できる無機質(ミネラル)の量は微々たるものなので、「三温糖はミネラルが豊富」「健康に良い」とはいいきれません。
また、カロリーも三温糖のほうがわずかに低いですが、グラニュー糖とそこまで大きな差があるわけではありません。
さらに血糖値の上昇具合を示すGI値においても三温糖のGI値が108、グラニュー糖のGI値は110と大差はなくどちらも高GI値に該当します。ちなみに黒砂糖は99、てんさい糖は65です。GI値で見ると、てんさい糖を使用した方が、血糖値の急激な上昇を抑えやすくなります。
GIとは、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上昇度を表す値です。食品の炭水化物を50g摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表します。55以下を低GI、56〜69を中GI、70以上を高GIと分類し、GI値が高ければ高いほど血糖値が急上昇します。急激な血糖値の上昇は、体に負担をかけるため、緩やかな上昇が理想的です。
製法による分類では、三温糖グラニュー糖ともに分蜜糖に該当します。分蜜糖とは、原料を絞った搾り汁(糖汁)から不純物を取り除き、濃縮して得られる白下糖(結晶と糖蜜の混合物)を分離させて、結晶だけを取り出して乾燥させた砂糖のことを指します。
グラニュー糖は、分蜜糖の中でザラメ糖の一種です。ザラメ糖は、原料であるサトウキビやテンサイの糖液から最初につくられる砂糖で、結晶が大きく、糖度が99%以上あるのが特徴です。砂糖の製造の過程で、まずはじめに白ざら糖やグラニュー糖が結晶として取り出されます。白ざら糖とは、粒径1〜3mmとやや大きめの結晶で、グラニュー糖は粒径0.2〜0.7mmのザラメ糖の中で最も結晶が小さい砂糖です。
そして、上白糖や中白糖(上白糖を回収した糖蜜からつくられる砂糖)を回収した糖蜜からつくられる砂糖が三温糖です。三温糖という名前は、「糖蜜を三度煮詰めてつくる」という工程に由来しています。
三温糖は茶色がかった濃い褐色の色合いをしています。形状は小さな粒状で表面には細かい結晶が見られ、やわらかい手触りが特徴です。また、湿気を含むとべたつきやすい性質があります。
一方、グラニュー糖の見た目は白く形が整っていてキラキラと輝いています。砂糖粒が粒子状になっているので、溶けやすく、粒径が0.2〜0.7mmと小さいためさらっとした口当たりが特徴的です。
グラニュー糖の糖度は約99%で一方、三温糖の糖度は約85%程度です。よって、グラニュー糖の方が甘さが強いといえます。
しかし、食べてみると人によってはグラニュー糖よりも三温糖のほうが甘いと感じる人が多いです。これは三温糖に含まれる不純物質(ミネラル分、アミノ酸、有機酸など)の影響であると考えられます。特に、三温糖に含まれるミネラル分やアミノ酸は、味覚に影響する成分であり、甘みやコクを強調する効果があり甘さが強く感じる要因になっていると考えられます。
三温糖は、上白糖よりも甘みが強くカラメルの風味が感じられるのが特徴です。上白糖と同様に様々な使い方ができますが、コクが出て奥深い味になるため特に煮物や佃煮などの和食に適しています。
一方、グラニュー糖は味にクセがなく、溶けやすく焦げにくい性質があります。また、水分量が少ないのも特徴です。これら性質を活かし、紅茶やコーヒーなどの香りを大切にしたい飲み物の甘味料や、クッキーやケーキ、マフィン、マカロンなどの洋菓子作りに適しています。
グラニュー糖の平均価格は1袋240円〜270円程で、三温糖の平均価格は1袋200円〜300円程です。一般的には三温糖のほうが値段が高いといわれていますが、スーパーなど店舗によっては変わらない価格で販売されていることもあります。
三温糖のほうが価格が高いことがあるのは、糖蜜を加熱・濃縮して作られるため、製造コストが高くなるためであると考えられます。
三温糖とグラニュー糖はともに料理に甘みを与える調味料であるため、お互いに代用することができます。ただし、どちらも異なる特徴があるため代用する場合は機能性や風味の違いを考慮する必要があります。
例えば三温糖には独特の風味があり料理にコクを出すため、グラニュー糖で代用すると物足りなさを感じることがあります。反対にグラニュー糖を三温糖で代用すると独特の風味がつきます。そのため他の調味料とのバランスを考慮して分量を調節するのが望ましいです。
三温糖とグラニュー糖を混ぜて使うこともできます。三温糖をグラニュー糖を混ぜ合わせることで、三温糖の風味やコクを活かしながら、グラニュー糖の甘さや扱いやすさを補うことができます。例えば、三温糖とグラニュー糖を半々ずつ混ぜ合わせて使うことで、料理やお菓子に適したバランスの砂糖になります。
アメリカンクッキーを作る場合など三温糖などのブラウンシュガー(褐色の砂糖)をグラニュー糖を混ぜて使うレシピも存在します。
ただし、混ぜ合わせる割合や使い方によっては風味や甘さが変わることがありますので、料理に合わせて分量を調整する必要があることを念頭に入れておきましょう。
砂糖全般には賞味期限が設けられていません。食品表示法に基づき、砂糖は長期保存をしても品質の変化が極めて少ないものとして、賞味期限や消費期限の表示が省略可能な品目に定められています。
砂糖は吸湿しやすい性質をもつため、密閉容器に入れ、なるべく冷暗所で保存することをおすすめします。砂糖が固まってしまったら、砂糖の表面に霧を吹いて密閉しておくと◎。
長期間保存してる砂糖も基本的には使用可能ですが、砂糖の状態を見て使用できるか否かを判断しましょう。湿気て溶け出していたり、部分的に変色している場合は、使用を避けるべきです。
出典:砂糖のあれこれ(農林水産省)
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