すっきりとした味わいで人気が高まっているジン。この記事ではジンの基本的な知識からおすすめのカクテルなど、ジンに関する様々な情報を紹介します。
ジンは、ジュニパーベリー(セイヨウネズ)という果実を乾燥させたスパイスによる独特の風味を持つ、「飲む香水」とも呼ばれるヨーロッパ生まれの蒸留酒(スピリッツ)の一種です。蒸留酒はアルコール度数が高く、火をつければ燃えることから、「火酒(かしゅ)」と呼ばれることもあります。
蒸留酒は高温で熱して造る「火の酒」であり、火の酒は人間の魂にはたらきかけ、肉体を目覚めさせ、また活力を与えることから、蒸留酒はスピリッツ(spirits)と呼ばれるようになったようです。
ジン以外にもブランデー、ウイスキー、焼酎、ウォッカ、ラム、テキーラも蒸留酒であり、広い意味ではこれら全て「スピリッツ」と呼べますが、日本において「スピリッツ」とはウォッカ、ジン、ラム、テキーラを指すことが多く、この4種類のお酒は「世界4大スピリッツ」とも呼ばれています。
上記の通り、日本における狭い意味での「スピリッツ(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ)」という呼称は、1953年に制定された酒税法における分類によって形作られたようです。
1953年当時、蒸留酒のうち、既に日本である程度の知名度があった「ブランデー」、「ウイスキー」、「焼酎」は個別の分類とし、それ以外(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ等)が「スピリッツ」に分類されました。
ちなみに、日本の酒税法における分類としての「スピリッツ」は、やや複雑な定義にはなりますが、「焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール以外の蒸留酒類で、エキス分が2度(2%)未満のもの」とされています。
なお、海外では蒸留酒は専ら「liquor(リカー)」と呼ばれています。
ジンには様々な種類がありますが、現在「ジン」と言えばイギリス生まれの「ドライジン」を指すことが多く、基本的にジュニパーベリーの独特なスパイシーで爽やかな香りを持つ、切れ味のあるクリアな味わいが特徴的です。製造しているメーカーで香り付けに使用している原料が異なるので、製品ごとに違った香りや味わいが楽しめます。
ジンのカロリーは、1杯(100ml、95g)267kcalです。
ビール(38kcal)や日本酒(104kcal)よりも高カロリーですが、ジンのカロリーのほとんどは、炭水化物やたんぱく質、脂質といった栄養素由来ではない、アルコールのカロリー(エンプティカロリー)であるため、摂取後はすぐに熱として消費されてしまい、体内に蓄積されることはありません。
ただし、アルコールのカロリーが優先的に消費される分、他の食事で摂った分が体内で蓄積されることになり、肥満に繋がってしまいます。また、アルコールが肝臓で分解される際に中性脂肪の合成が促され、体内に蓄積されるうえに、アルコールには脂肪の分解を抑制する効果もあります。このように、過剰摂取は肥満の原因となるため、飲酒量には注意が必要です。加えて、アルコールには食欲を促す作用があるため、飲みすぎによっておつまみを食べ過ぎることでカロリー摂取に繋がってしまいがちです。
なお、ジン自体がカクテルベースとしての少量の摂取が多く、ビールのようにたくさんの量を飲むお酒ではないので、実際に飲む際の摂取カロリーはそこまで大きくないでしょう。ただし、ジュースやコーラで割って飲むのであれば、割り材のカロリーや糖分の過剰摂取に要注意です。
ジンは蒸留酒なので高めのアルコール度数となっており、基本的に40~50度のアルコール度数で売られている製品が多くなっていますが、飲む人の好みに合わせて37度前後、50度以上のジンも販売されています。ちなみに、EU(欧州連合)ではジンのアルコール度数は「37.5度以上」と定義づけられています。
ちなみに他のお酒のアルコール度数は、ビールが5度前後、ワインが14度前後、日本酒が15度前後、焼酎が20度・25度です。この数字からもジンはアルコール度数の高いお酒だということがわかります。
ジンの起源は様々な説があるものの、11世紀頃にイタリアの修道士がジュニパーベリーを主体にしたスピリッツを製造していたという説が最も古い説で、現在では有力説とされています。また、13〜14世紀のネーデルランド(現在のオランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フランス北部、ドイツ西部の一部を含む)でも、現在のジンの原型となるお酒が造られていたようです。
ジンは、オランダで「イェネーフェル(Jenever・Genever/ジュニパーベリーのオランダ語)」と呼ばれており、腹痛の治療薬や強壮剤として医師が常備していました。これを1660年にオランダのライデン大学の医学教授、フランシスクス・シルヴィウス博士が植民地の熱帯病対策の薬用酒として大量生産したものが「ジュニエーブル(ジュニパーベリーのフランス語名)」の名でヨーロッパ中に広まり、その爽やかな飲み口から薬用酒としてではなく、新しい味わいのお酒として人気を博すようになりました。
そして、1689年の名誉革命で当時オランダ総督だったオレンジ公ウイリアム(ウィリアム3世)がイングランド国王として迎えられるとともにジュニエーブルもオランダからイギリスに持ち込まれると、イギリスでは「18世紀のイギリスはジンの時代」と言われるほどの大流行となり、名前も短縮されて現在と同じ「ジン」と呼ばれるようになりました。
ジンの基本的な原料は大麦、ライ麦、トウモロコシ、ジャガイモといった穀物ですが、ジンの場合、香り付け用に様々な原料が使用されており、ジンの香りの決め手となる「ジュニパーベリー」という果実を乾燥させたスパイスをはじめ、様々なハーブやスパイス、フルーツが用いられています。
ジュニパーベリーは、日本語では「セイヨウネズ(西洋杜松)」と呼ばれる針葉樹に成る果実で、「ベリー」という名前がついているものの、他のベリー系の果実とは少し異なる、スパイシーで爽やかな風味を持ち、これがジンのクリアでドライなテイストの決め手となります。
香りづけに用いるジュニパーベリー以外の原料は、コリアンダー、アニス、キャラウェイ、フェンネル、カルダモンなどの種子、アンジェリカ、オリス、リコリスなどの根、レモンやオレンジなどの果皮、シナモンの樹皮など様々です。
ジンは、穀物などの原料を発酵・蒸留させたものを「ベーススピリッツ」と呼び、ベーススピリッツにジュニパーベリーを始めとしたスパイスやハーブ、フルーツなどの「ボタニカル」で香り付けすることで完成します。
香りづけの方法は、ベーススピリッツにボタニカルを漬け込んで再度蒸留を行う方法と、ベーススピリッツのみ蒸留して蒸気の通り道にボタニカルを置く方法の2通りに分かれています。現在、多くのメーカーは前者の漬け込む方法を用いています。
ジンの生産地は、世界中にありますが、現在ジンの中でも最も一般的な「ドライジン」を生み出したイギリスや、ジンが広まるきっかけを作ったオランダなどで生産されています。
19世紀のはじめにイギリスで「連続式蒸留機」が発明され、雑味の少ないクリーンなスピリッツが造れるようになりました。19世紀後半からイギリス産のジンは「ブリティッシュ・ジン」あるいは主産地のロンドンの名を冠して「ロンドン・ドライジン」と呼ばれ、世界中に輸出されるようになりました。イギリスは現在でもジンの最大生産国です。
ジンの元祖ともなる薬用酒が開発されたオランダでは、現在主流の連続式蒸留機を用いない、古来からの製造方法によるジンが生産されています。オランダのジンは「ジュネヴァ」、「オランダ・ジン」などと呼ばれています。
ジンの最大消費国のアメリカや、「シュタインヘーガー」という種類のジンを生産しているドイツの他に、スペイン、フランス、イタリア、日本などでもジンが生産されています。日本では、日本ならではの素材を使ったクラフトジンが欧米を中心に人気を博しています。
いずれも原材料を発酵・蒸留して造られるという点でジンと同じですが、原材料や製造の過程に違いがあります。
ウォッカは、大麦、小麦、ライ麦、トウモロコシ、ジャガイモといった穀物などの原料を加工して造られる、ロシア発祥のお酒です。ウォッカは氷点下でも凍らないため、超低温地域で重宝されてきた歴史があります。
ウォッカは製造過程において、白樺の木炭などのフィルターで濾過する工程があり、これによって雑味が取り除かれるため、無味無臭ですっきりとした味わい、まろやかな爽快感が特徴的で、世界4大スピリッツ(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ)の中では最も癖のない風味と言われています。
ラムはサトウキビから造られる、カリブ地域原産の蒸留酒です。強い甘い香りと味わいが特徴的なお酒で、アルコール度数は40~50度程度の製品が多くなっています。
飲み方・使い方は多岐にわたり、ストレートやロックで飲んだり、カクテルのベース酒として用いたりする以外にも、ケーキ、タルトなど焼き菓子、紅茶の風味づけにも使用されています。レーズンをラムに漬け込んだ「ラムレーズン」がよく知られていますよね。
テキーラはメキシコ発祥の蒸留酒で、サボテンから造られるお酒とよく勘違いされていますが、アガベ(リュウゼツラン)という多肉植物から造られています。アルコール度数は、テキーラにおいては「35~55度」と認定機関の規則によって厳格に決められています。味は製造方法によって様々で、まろやかなものから苦みや渋みの強いものまでありますよ。
日本ではバーなどでショットとして嗜まれることが多いほか、カクテルの材料としてよく知られていますが、現地ではストレートで飲まれることが多く、ライムを口へ絞りながら楽しみ、最後にグラスにまぶした食塩を舐めるのが正統な飲み方とされています。
「ドライジン」は、ジンの中では最もポピュラーで、世界中に広まっており、現在「ジン」といえばほとんどの場合、ドライジンを指します。ジュニパーベリーをはじめとしたハーブやスパイス由来の切れ味あるクリアな味わいが特徴です。「ロンドン・ジン」、「ブリティッシュ・ジン」とも呼ばれます。
ドライジンのクリアな味わいは炭酸との相性が良く、トニックウォーターで割った「ジン・トニック」をはじめ、様々なカクテルのベースとして使用されています。
現在ジン造りの主流である「連続式蒸留機」を用いない、古来からの製造方法によるオランダ産のジンが「ジェネヴァ(イェネーバ)」で、「クラシック・ジン」、「オランダ・ジン」とも呼ばれています。EUがジュネヴァの生産地と認め、製造許可を出しているのはオランダと一部の周辺地域のみです。
ドライジンよりも麦芽が多く、香り豊かな甘く濃厚なテイストで、ストレートで嗜まれることが多いのも特徴です。
「シュタインヘーガー」は、生のジュニパーベリーを発酵して作られるジンで、その名の通り、ドイツ北西部のニーダーザクセン州にあるシュタインヘーガーという街で生産されています。
控え目な風味と甘さは、ドライジンとジェネヴァの中間くらいと評されています。ドイツでは胃を活性化させる目的でビールを飲む前にショットグラスで一杯飲む慣習があります。カクテルベースとしても人気ですよ。
「オールドトムジン」は、イギリスで連続式蒸留機が発明される前、雑味を隠すために砂糖を加えていた頃の名残で、甘みのあるテイストに仕上げられているジンです。名前は18世紀に流行った、猫の口にコインを入れると足元から甘口のジンが出てくる自動販売機の黒猫(「Old Tom Cat」)の木製看板に由来しています。
ドライジンの台頭で一時期姿を消していましたが、現代になって再評価が進んでいます。有名なカクテル「トム・コリンズ」のカクテルベースになるほか、様々なカクテルのベースとしても使われています。
「クラフトジン」は、明確な定義はありませんが、小規模な蒸留所で造られており、その土地の風土や文化を反映した味わいを持つような、いわば「個性の強いジン」とされています。
通常のジンでは使われない、生産国やその蒸留所特有の原料がボタニカルとして使われていたり、伝統的な製法が採用されていたりと、こだわりを持って造られているのが特徴です。
「スロージン」は、ジュニパーベリーの代わりにスモモの仲間である「スローベリー(Sloe berry、スピノサスモモの果実)」をジンに付け込むなどして造られるお酒で、甘酸っぱさと独特の酸味があります。「ジン」と名が付いていますが、スピリッツではなくリキュールに分類されます。
独特の香りがするジンは、ストレートの飲み方でも美味しく飲むことができます。ジン独特の香りや味わいを楽しみたい方は常温または冷蔵庫での保存がおすすめですが、冷凍庫でキンキンに冷やせば、味がまろやかになって飲みやすくなります。
オランダの「ジェネヴァ」やドイツの「シュタインヘーガー」はストレートで嗜まれることの多いジンです。
ストレートで飲むのはちょっときつい、抵抗があるという方にお勧めなのがロックでの飲み方。時間が経って氷が溶け出すことでまろやかな味わいになり、飲みやすくなりますよ。レモンやライムといった柑橘類と合わせるとさらに飲みやすく、すっきりとした味わいになりますよ。
ジンはホットで飲むのもおすすめで、作り方はジンにお湯を注ぐだけです。温まるとジンの香りが強まりますが、アルコールの香りも強くなるので要注意です。飲みにくいと感じたら砂糖や蜂蜜、フルーツジュースなどの割り方で甘みを加えると飲みやすいですよ。砂糖を加えたものは「ホット・ジン・スリング」とも呼ばれます。
ジンをすっきりと手軽に飲みたい方におすすめです。ただし、割材に味や風味がない分、アルコール感が強いので、アルコールの味が苦手という方はジンの分量を減らしたり、柑橘類を絞ったりしてみると飲みやすくなります。
★割合は、ジン:炭酸水=1:3
トニックウォーターは炭酸水に柑橘類の皮から抽出されたエキスや糖分を加えたもので、ジンと割ることで有名な「ジン・トニック」となります。炭酸水で割るよりよりも味や香りがあるので、アルコールが苦手だけどさわやかにお酒を楽しみたい方におすすめです。お好みでレモンやライムなどを絞ると更にさわやかさが増しますよ。
★割合は、ジン:トニックウォーター=1:3
トニックウォーターを半分炭酸水に変えると「ジン・ソニック」というカクテルになります。バランスの良い爽やかさが魅力です。
ジンをオレンジジュースと割れば、「オレンジ・ブロッサム」というカクテルになります。フルーティーで甘く、とても飲みやすいですが、ベースがジンなので意外と度数が高いので要注意です。
★割合は、ジン:オレンジジュース=1:2または3
オレンジジュースの一部を炭酸水に変えれば「オレンジ・フィズ」というカクテルにもなります。オレンジフレーバーのソーダで作っても美味しいですよ。また、アンゴスチュラビターズというリキュールを1dash(1振り、5~6滴)加えれば「ゴールデン・スクリュー」というカクテルにもなります。
クリアで切れのあるジンには爽やかな風味のレモンジュースがよく合うので、レモンジュースを使ったカクテルがいくつかあります。
ジン45ml+レモンジュース20ml+砂糖小さじ1をシェイクしたものは「ジン・サワー」に、ジン45ml+レモンジュース25ml+砂糖10gをシェイクしたものに好みの量の炭酸水を足せば「ジン・フィズ」に、ジン45ml+レモンジュース20ml+砂糖10gと氷をシェイクしものに好みの量のシャンパンで「フレンチ75」というカクテルになります。
トマトジュースと割ることで、赤い見た目が鮮やかな「ブラッディ・サム」というカクテルになります。トマトジュースに含まれるリコピンという成分には酔いを穏やかに進める効果があるなど、やや健康志向なカクテルです。お好みでレモンジュース、タバスコ、ウスターソース、塩、コショウを加える方もいるようです。
★割合は、ジン:トマトジュース=1:3
コーラと混ぜれば「ジン・コーク」というカクテルにもなります。コーラの風味が強く、とても飲みやすく、ゴクゴクと飲めてしまいますが、ジンベースなので度数が高く、コーラは糖分量が多いので、飲みすぎに注意です。
★割合は、ジン:コーラ=1:2または3
ジンジャーエールと少量のライムジュースを混ぜれば「ジン・バック」というカクテルにもなります。ジンジャーエールは甘口と辛口がありますが、どちらで割っても違った美味しさがあります。ライムなしでも十分美味しく、手軽に楽しむことができます。
★割合は、ジン45mlに対し、ライムジュース20ml、お好みの量のジンジャーエールを加える
カクテルでは定番のライムはジンとの相性が抜群です。ジンにライム果汁を絞ればそのまま「ジン・ライム」になります。
★割合は、ジン30mlに対し、ライム1/6
ジン30ml+ライム1/2に好みの量の炭酸水を足せば「ジン・リッキー」というカクテルになります。
「ドッグズノーズ」はジンとビールを使ったカクテルで、ビールグラスに注いで作ります。ビールより度数は高くなりますが、ビールの苦みにジンのドライなテイストが加わって奥行きのある味わいになります。食事とも合わせやすく、食中酒にもおすすめです。
★割合は、ジン45mlに対し、お好みの量のビール
ジン+ドライ・ベルモットで作る「マティーニ」は、映画でもよく登場するカクテルの代名詞ともいえる大人のカクテルです。グラスの中にはオリーブを浮かべますが、材料が独特で、家で作るには少々敷居が高いかもしれません。
★割合は、ジン:ドライ・ベルモット=3:1
ジンにはたくさん有名な銘柄がありますが、その中でも「ビーフィーター」、「ボンベイ・サファイア」、「タンカレー」、「ゴードン」は4大ジンと呼ばれています。
「ビーフィーター(Beefeater)」は、ロンドンで製造されるジンの銘柄のひとつで、1820年代に創業した歴史ある銘柄です。「ビーフィーター」とは、ロンドンの象徴でもあるロンドン塔の近衛兵が、国王主催のパーティーで残った牛肉の持ち帰りを許可されていたことから“Beef eater”と呼ばれていたことに由来しています。
ビーフィーターのジンは、ジュニパーベリーをはじめとする9種類のスパイスやハーブ、フルーツを24時間漬け込んでから蒸留されています。ビーフィーターの味は、ジュニパーベリーの強い香りと、ハーブやスパイスの複雑でスパイシーな風味が特徴的な、いわばドライジンの王道ともいうべきテイストです。シンプルなカクテルにもよく合い、マティーニやジン・トニックなどのクラシックなジンカクテルに使われることも多いです。
ラインナップは、赤い兵士のラベルが象徴的なレギュラーモデル(40度、47度)に加え、日本茶がフレーバーに使われた「ビーフィーター 24(40度)」、ストロベリーの芳醇な香りと甘さが感じられる「ビーフィーター ピンクストロベリー(37度)」があります。
「タンカレー(Tanqueray)」は、1830年にチャールズ・タンカレーがロンドンで創業したジンの銘柄です。緑色のボトルに赤い封蝋(ふうろう)のマークのデザインが印象的なジンです。
タンカレーのジンは、ジュニパーベリーをはじめとする4種類のボタニカルを使用して製造されています。特に、看板商品の「ロンドン ドライジン」は、47.3度の高いアルコール度数で、ジュニパーベリー、コリアンダー、エンジェリカ、リコリスの4種類のみボタニカルに使用しているので、スパイシーな風味とジュニパーベリーの強い香りが特徴的な、とりわけドライさが強いジンに仕上がっており、ドライさが決め手のカクテル「マティーニ」のベースとして使われることが多くなっています。
ラインナップは「ロンドン ドライジン(47.3度)」、生のフルーツをボタニカルに使った「ナンバーテン ジン(47.3度)」、強いライムやジンジャーの風味が楽しめる「ラングプール(41度)」、ハーブのフローラルさとペッパーのスパイシーな風味が楽しめる「ラヴァージュ(47.3度)」などがあります。
「ボンベイ・サファイア(Bombay Sapphire)」は、青いガラスのボトルが特徴的な、世界中で人気のジンです。4大ジンの中では最も新しい銘柄で、1987年に登場し、当時低迷期に陥っていたジン業界を再興した革新的なジンでもあります。「ヴェイパー・インフュージョン製法」という、ボタニカルを漬け込むのではなく、蒸留器の蒸気の通り道において香り付けするという独自の方法で製造していることでもよく知られています。
ボンベイ・サファイアは、世界中から集められた10種類のボタニカルを使用して製造されており、華やかでフローラルな香りと、ジンらしいドライな口当たりを持つジンに仕上がっています。ボタニカルの香りが強く感じられるので、ジンジャーエールやトニックウォーターとの相性がよく、「ジン・バック」や「ジン・トニック」などのカクテルによく使われます。
ラインナップは、レギュラーモデルの「ボンベイ・サファイア(47度)」、柑橘類の香り際立つ「ボンベイ・サファイア プレミアクリュ(47度)」、エレガントな味わいの「ボンベイ・サファイア サンセット(43度)」、伝統的な味わいが楽しめる「ボンベイ・ドライ(40度)」などがあります。
「ゴードン(Gordon's Gin)」は、イギリスのロンドンで創業されたジンの銘柄で、1769年にアレクサンダー・ゴードンが作り始めたドライジンです。1925年には、ジンとしては初めて「ロイヤルワラント(英国王室御用達)」の認定を取得するなど、知名度とクオリティの両方が高いジンでもあります。
ゴードンのジンは、ジュニパーベリーをはじめとする数種類のボタニカルを使用して製造されており、味の特徴としてはジュニパーベリーのウッディーな風味が強く、スパイシーな風味が特徴的なジンに仕上がっています。ジン・トニックやマティーニなどのシンプルかつジンの風味が活きるカクテルによく使用されています。
ラインナップは、定番の「ゴードン ロンドン ドライジン(37.5度、43度)」、イチゴやラズベリーのフレーバー香る「ゴードン プレミアムピンク ジン(37.5度)」、シチリアレモンの爽やかな香りが楽しめる「ゴードン シシリアンレモン ジン(37.5度)」、などがあります。4大ジンの中ではアルコール度数が低めなのも特徴です。
「No.3 ロンドンドライジン」は、イギリスのロンドンで創業されたジンの銘柄で、1700年代からロンドンで高品質の酒類を販売している老舗の酒商「BB&R(Berry Bros. & Rudd)社」がオランダで生産しているドライジンです。
オフィスの住所である「No.3 St James’s Street, London(セント・ジェームス・ストリート3番地)」と、ボタニカルに3種のスパイス(アンジェリカルート、コリアンダーシード、カルダモンポッズ)と3種のフルーツ(ジュニパーベリー、オレンジピール、グレープフルーツピール)を使用していることから「No.3」と名付けられました。鍵のモチーフと青緑色のボトルが印象的でおしゃれなジンです。
「クラシックドライマティーニに最もあうジンであること」という商品コンセプトからもわかるように、ドライジンの王道ともいえるテイストで、様々なカクテルのベースによく合うジンです。ラインナップはレギュラーモデル(46度)のみです。
1857年にイギリスのロンドンでギルビー兄弟が製造を始めた、「ギルビー」ブランドのウォッカとジンは、世界的にポピュラーな銘柄です。「ギルビージン」はギルビー家秘伝のレシピを用いて造られており、ラベルに記された5つの星マークは、W&Aギルビー社の歴史と製造のこだわりの証です。
ギルビーのジンは、ジュニパーベリーをはじめとした12種類ものボタニカルを使用して製造されています。柑橘類の清涼感が感じられるフルーティーな香りとスパイシーな風味が特徴的な味わいで、レギュラーボトルのアルコール度数も37.5度と、飲みやすいテイストなのが特徴です。また、比較的リーズナブルな価格帯なので、手軽に楽しめるジンとしても人気があります。
なお、レギュラーモデルの赤いラベル(37.5度)と、緑のラベル(45度)がラインナップされています。前者はジン初心者の方におすすめで、強めが好みの方は後者がおすすめです。
「ボルス(Bols Genever)」は、オランダ発祥のジン「ジュネヴァ」の銘柄で、1664年にルーカス・ボルスによって創業されました。世界最古の歴史を持つ酒造メーカーでもあります。
ボルスは、ライ麦、トウモロコシ、小麦を蒸留して造られるモルトワインに、ジュニパーベリー単独の蒸溜液とアンジェリカ・ジンジャー・コリアンダーといったボタニカルの蒸溜液を加え、さらに秘伝の材料をブレンドすることで作り出されています。ライ麦や穀物の風味が強く、やや甘味もある複雑でまろやかな味わいは、ウォッカやウイスキーに近い味わいとも評されます。ネグローニやオールド・ファッションドなどのカクテルによく使われるほか、ストレートで楽しむこともできます。
ラインナップはレギュラーモデルの「ボルス ジュネヴァ(42度)」、オーク樽で熟成されることで、まろやかで芳醇な味わいの、黄金色の見た目をした「ボルス バレル エイジド ジュネヴァ(42度)」があります。
「シュリヒテ(Steinhäger Schlichte)」は、ドイツ北西部のニーダーザクセン州で製造される「シュタインヘーガー」と呼ばれるジンの銘柄の1つで、ドイツでもっとも有名なブランドです。
シュタインヘーガーは、他のジンとは異なり、乾燥させたジュニパーベリーのスパイスではなく、生のジュニパーベリーを蒸留させて製造されているのが特徴で、ジュニパーベリーの蒸留液と通常のジンのベーススピリッツをブレンドして作られており、味わいはドライジンとジェネヴァの中間程度のバランスの良い風味で比較的飲みやすいと言われています。ドイツではストレートで飲まれることが多いですが、カクテルに使用されることもあります。
ラインナップは、アルコール度数38度のレギュラーモデル「シュリヒテ(Steinhäger Schlichte)」のみとなっています。
「ヘイマンズ(Hayman's Old Tom Gin)」は、イギリスのヘイマンズ社が製造するオールドトムジンの銘柄の一つです。19世紀に人気があったオールドトムジンの再現というコンセプトで、当時のオリジナルレシピそのままに作られているジンです。
ヘイマンズのオールドトムジンは、トウモロコシを主原料としたアルコールに、10種類のボタニカルによるバランスのとれた香りが最大限に引き出されています。オールドトムジンならではの甘味は、サトウキビ由来のエッセンスによるものです。カクテルのベースとして使用されることが多く、有名な「トム・コリンズ」をはじめとしたクラシックカクテルのベースに用いられています。
ラインナップはレギュラーモデルの「ヘイマンズ オールドトムジン(41.4度、緑色のラベル)」のみですが、ヘイマンズはドライジン(青いラベル、41.2度)も生産しています。
「翠(SUI)」、「ジャパニーズクラフトジン ROKU(六)」は、どちらも日本のサントリーが製造するジャパニーズクラフトジンです。
日本の食事に合うジンとして開発された「翠(SUI)」は、2020年に販売が開始され、CMや店頭で見かけることの多いジンです。
ジュニパーベリーをはじめとした伝統的なジンの8種のボタニカルに加え、日本の食卓に馴染みの深い和素材3種(柚子・緑茶・生姜)を使用しており、柚子の華やかな香りや緑茶のうまみ、後味に感じる生姜のすっきりとした辛みなどが引き出されています。ソーダ割での飲み方が推奨されており、初めてジンを飲む方にも飲みやすいジンとなっています。
ラインナップはアルコール度数40度のレギュラーモデルに加え、ソーダ割になっていて手軽に楽しめる缶のタイプ(7度)があります。
同じサントリーの「ROKU(六)」は、海外進出を意識して造られたジンです。厳選された素材と高級感のあるデザインが特徴的で、日本のみならず世界中で人気を博しているクラフトジンです。
ROKUには、ジュニパーベリーをはじめとした、8種類のジンの伝統的なハーブやスパイスに加え、6つの日本産の原料(桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子)が使用されており、四季を感じるような華やかで深みのある味わいが特徴です。飲み方は、ストレートで深い味わいを感じることもできますが、炭酸水やトニックウォーターとの相性も良く、爽やかでフルーティーな味わいを楽しむことができます。また、ROKUは瓶も美しくデザインされており、贈り物としても人気があります。
ラインナップは、アルコール度数47度のレギュラーモデルと、空港免税店でのみ購入できる、桜の香りが際立つ「ジャパニーズクラフトジン ROKU〈SELECT EDITION〉(43度)」があります。
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