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ウォッカと焼酎の違い。原料・製法・味・度数・飲み方を比較

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ウォッカと焼酎の違い。原料・製法・味・度数・飲み方を比較

ロシアの強いお酒ウォッカと、日本生まれの焼酎。どちらも強めのお酒というイメージがありますが、この記事では、ウォッカと焼酎それぞれの原料や製法、味や香りといった観点から両者の違いについて紹介します。

ウォッカと焼酎の違い①原料

ウォッカの原料

ウォッカの原料のライ麦

ウォッカは、大麦、小麦、ライ麦、トウモロコシ、ジャガイモといった穀物などの原料を加工して造られる、ロシア発祥のお酒です。ウォッカは氷点下でも凍らないため、超低温地域で重宝されてきた歴史があります。
 
なお、EU(欧州連合)では、サトウキビやブドウなどを原料とする蒸留酒をウォッカと認めるか意見が分かれていたようですが、最終的には原材料を明記することによって、ウォッカと認めることになりました。現在ではミルクやフルーツなど様々な原料から造られるウォッカが流通しています。

焼酎の原料

焼酎の原料の米

焼酎の原料は多岐にわたります。製法の項目にて詳しく紹介しますが、製法で焼酎は「甲類焼酎」と「乙類焼酎」に分けられ、それぞれの代表的な原料は以下の通りです。

  • サトウキビ、酒粕(甲類):サトウキビの廃糖蜜(砂糖を作る際に出る搾りかす)や、日本酒を造る際に生じる酒粕を原料として発酵させます。

  • 芋(乙類):芋焼酎の原料には、サツマイモが使われます。主に九州南部の宮崎県や鹿児島県で製造されています。現在では、焼き芋を原料とした「焼き芋焼酎」も作られています。

  • 米(乙類):米焼酎の原料には、日本酒の原料と同じく、米が使用されます。主に熊本県の人吉地方や、新潟県や秋田県といったお米の生産県などで作られています。

  • 麦(乙類):麦焼酎の原料には、大麦が使用されます。長崎県で製造が始まり、日本全国で作られています。


甲類焼酎でも米や芋、大麦、トウモロコシなどが使われる場合もあります。また、乙類焼酎でも、上記以外に黒糖やそば、粟など、様々な原料から造られています。
 
米麴から造られる沖縄県の「泡盛」も、製法にやや違いがあるものの、焼酎の一種と分類されています。

ウォッカと焼酎の違い②製法

どちらも蒸留酒の一種

ウォッカ・焼酎のどちらも穀物などの原料を糖化・発酵させ、蒸留することで製造される蒸留酒です。大きな違いとしては、ウォッカは蒸留したものを濾過するのですっきりとした味わいが特徴で、焼酎は蒸留したものを貯蔵・熟成させるのでまろやかな味わいとなります。焼酎は製法によって「甲類焼酎」と「乙類焼酎」に分類されます。

甲類焼酎(連続式蒸留焼酎)

「甲類焼酎」は、近代的な蒸留方法である「連続式蒸留」によって蒸留された焼酎です。伝統的な方法で造られる乙類焼酎に対して、甲類焼酎は「新式焼酎」と呼ばれることもあります。   連続式蒸留はもともとはウイスキーやジン造りなどに使われていた蒸留方法で、19世紀のイギリスで誕生したものです。連続式蒸留機は大きな蒸留器の中で何度も蒸留を繰り返すシステムになっている蒸留方法で、単式蒸溜に比べて効率的に不純物を取り除き、純度の高いアルコールを抽出できることから、出来上がるお酒がクリアな味わいになるのが特徴です。
 
単式に比べると効率よく蒸留が行えることから、大量生産向きで、価格の低い製品が多くなっています。

乙類焼酎(単式蒸留焼酎)

「乙類焼酎」は、昔ながらの蒸留方法である「単式蒸溜」で蒸留された焼酎です。旧式の製法で造られることから、「旧式焼酎」と呼ばれることもあります。また、甲、乙という呼び名が優劣をつけるような呼び名であることから、乙類焼酎は「本格焼酎」とも呼ばれます。   単式蒸留とは、一度のもろみ(発酵させた焼酎の原料)の投入につき、一度だけ蒸留を行う蒸溜方法で、蒸留は一回のみなので、使われる原料の個性や癖が現れやすいのが特徴です。比較的シンプルな構造であり、設備も簡単に作れるため、小規模な蒸留所で用いられています。
 
甲類よりも乙類の方がアルコール度が高くなりますが、アルコール以外の成分も多く含まれており、濃厚で複雑な味わいと言われます。時間と手間がかかるため、値段の高い製品が多くなっています。

蒸留酒とスピリッツの違い

蒸留酒は高温で熱して造る「火の酒」であり、火の酒は人間の魂にはたらきかけ、肉体を目覚めさせ、また活力を与えることから、蒸留酒はスピリッツ(spirits)と呼ばれるようになったようです。
 
ウォッカ以外にもブランデー、ウイスキー、焼酎、ジン、ラム、テキーラも蒸留酒であり、広い意味ではこれら全て「スピリッツ」と呼べますが、日本において「スピリッツ」とはウォッカ、ジン、ラム、テキーラを指すことが多く、この4種類のお酒は「世界4大スピリッツ」とも呼ばれています。
 
日本における狭い意味での「スピリッツ(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ)」という呼称は、1953年に制定された酒税法における分類によって形作られたようです
1953年当時、蒸留酒のうち、既に日本である程度の知名度があった「ブランデー」、「ウイスキー」、「焼酎」は個別の分類とし、それ以外(ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ等)が「スピリッツ」に分類されました。
ちなみに、日本の酒税法における分類としての「スピリッツ」は、やや複雑な定義にはなりますが、「焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール以外の蒸留酒類で、エキス分が2度(2%)未満のもの」とされています。
 
なお、海外では蒸留酒は専ら「liquor(リカー)」と呼ばれています。

ウォッカと焼酎の違い③味・香り・度数

ウォッカの味・香り

ウォッカは製造における濾過の工程で雑味が取り除かれるため、無味無臭ですっきりとした味わい、まろやかな爽快感が特徴的で、世界4大スピリッツの中では最も癖のない風味と言われています。
 
なお、クリアさが特徴的なウォッカですが、スパイスやハーブ、香りや味を加えた「フレーバードウォッカ」もあり、世界中で様々な味のウォッカが流通しています。
 
アルコール度数は40度前後の製品が多く、飲む人の好みに合わせて37度前後のウォッカや、50度以上のウォッカも販売されています。世界最高のアルコール度数96度を誇る、「スピリタス」というポーランド産のウォッカもあります。

焼酎の味・香り

焼酎は甲類と乙類で味わいが異なります。甲類はすっきりとクリアな味わいで初心者でも飲みやすく、乙類は素材の味わいを感じられるようなまろやかなテイストです。

乙類は使われる素材ごとに味や香りが異なり、代表的なもので言えば、芋焼酎は芋のまろやかな甘みが感じられ、米焼酎はお米のふんわりとしたどこかフルーティーな甘みがあり、麦焼酎は癖が少なく、香ばしくすっきりとした味わいが特徴的です。

なお、甲類と乙類をブレンドした焼酎もあり、乙類の風味を甲類にブレンドした「甲乙混和焼酎」、癖の強い乙類を飲みやすくするために甲類をブレンドした「乙甲混和焼酎」があります。

アルコール度数は、甲類と乙類で上限が違うものの、どちらも熟成後に加水されて濃度が下げられており、甲類は20度、乙類は25度の製品が多くなっています。ウォッカやウイスキー、ブランデーといったほかの蒸留酒よりも度数が低いので飲みやすいとされています。

ウォッカと焼酎の違い④飲み方

ウォッカの飲み方

ウォッカは発祥の地ロシアではストレート以外の飲み方は邪道とされていますが、ウォッカの無味無臭とも言えるクリアな味わいがどのような割材にもよく合うので、ストレート以外にもロック、水やソーダ割り、ジュースを使ったカクテルなど、様々な嗜み方がされています。

焼酎の飲み方

焼酎はロック、水割り、ソーダ割り、お湯割りが王道の飲み方とされています。
 
クリアな味わいの甲類は、すっきりと楽しめるソーダ割や、お茶割りがおすすめです。癖の少ない味わいなので、レモンサワーなどのチューハイのベースにしても美味しく飲むことができます。
 
素材の味が強めの乙類は、焼酎そのものの味が楽しめるロックや水割りがおすすめです。お湯割りにすると焼酎の風味が引き立ちますよ。