天ぷらの具材として定番なお肉には鶏肉や豚肉などがあります。お肉には様々な部位があり、天ぷらに向いている部位とそうでない部位があります。今回は、天ぷらにおすすめのお肉の種類や部位をご紹介していきます。天ぷらの基本的な作り方や天ぷらをサクサクに揚げるコツもあわせてご紹介しています。
天ぷらを作るときは、まずお好みの具材を用意します。筋や脂、皮などが付いている肉は包丁や調理バサミを使って取り除きます。
厚みのある肉は火の通りやすい薄さ、大きさに切ります。
ひと手間かかりますが、ここで切ったお肉全体に小麦粉を薄くつけておくと、具材全体に衣が均一につくので綺麗に揚がります。大きめの容器に具材をいれて小麦粉をふりかけた後容器ごと振ると簡単に小麦粉をつけることができるのでおすすめです。
お肉の種類や部位によっては下味をつけることでより美味しく仕上がります。下味としておすすめなのは塩コショウや生姜、醤油などです。
天ぷらの衣は、小麦粉(薄力粉)と全卵、冷水で作ることができます。2〜3人分の天ぷらの場合、分量の目安はふるいにかけた小麦粉1カップ、全卵1/2個、冷水200mlです。
まず、全卵をよく溶きます。よく溶いたら冷水を加えて泡が出るまでしっかりと混ぜましょう。次にふるった小麦粉を数回にわけて入れながら、泡立て器でさっくりと混ぜ合わせます。
天ぷらの衣はサラッとした状態が良いです。混ぜすぎるともったりとしてしまうので注意しましょう。
油の量は2cm〜3cmが適量です。多すぎても少なすぎても上手に揚げることができません。深さのある揚げ物用の鍋がない場合は深めのフライパンでも大丈夫です。
油を鍋に入れたら、170~175℃になるまで熱します。温度計があればきちんと図ったほうが良いですが、ない場合は菜箸に衣をつけて落として確認しましょう。落とした衣が一度沈み、すぐに上がってくれば適温になっているサインです。
油が適温になったら、具材を衣にくぐらせてそっと油に落とします。勢いよく入れてしまうと衣が落ちてしまいます。また、沢山の具材を一気に入れてしまうと油の温度が下がってべちょっとした仕上がりになってしまうので注意してください。
具材を油に入れて、衣が固まってきたらひっくり返します。天かすが出てきたら天かすは小まめに取り除きましょう。泡が大きくなりパチパチと高い音がしたら火が通ってきた合図です。さらに火を通して泡が収まってきて、菜箸で持ち上げたときに「ジジジジ」という感覚がすればそのまま取り出します。
複数の具材を揚げる場合は、水分の少ない具材から揚げていくのも大切なポイントです。水分の多い野菜は衣がふやけてしまいやすいので、最後に揚げて、揚げたらすぐに半分に切って蒸気を逃しておくとベチャッとしにくくなります。
とり天やかしわ天で鶏むね肉を使うことが多いですよね。丸亀製麺では、かしわ天に鶏むね肉を使用していますが、もも肉やささみを使ってもOKで厳格なルールはありません。鶏のむね肉は、脂肪が少ないため低カロリーです。タンパク質を多く含む部位で、肉質がやわらかく、味があっさりとしています。
鶏むね肉を天ぷらにする際は皮を剥ぎ、食べやすい大きさにそぎ切りします。高温だとパサパサとした食感になってしまいますので、低温でじっくり揚げるのがポイントです。
鶏もも肉は、鶏むねと比較すると脂肪分が多く肉厚でややかたく、ジューシーな部位です。丸亀製麺で提供しているとり天では鶏もも肉を使用していますが、こちらもかしわ天同様に、むね肉やささみで作ることもできます。
鶏もも肉を天ぷらにする際は、皮を剥ぎ、不要な筋や脂などを取り除いてから食べやすい大きさに切って、中温(170℃)で揚げます。
ささみは、鶏むね肉の一種で、胸骨に沿った部位を指します。鶏むね肉と同様に脂肪は少なめで、鶏肉の部位の中でタンパク質を最も多く含みます。肉質はやわらかく淡白な味わいが特徴です。植物の笹の葉に形が似ていることからささみと名付けられたといわれてます。
ささみを天ぷらにする際は、筋を包丁やフォークを使って取り除き、細めにカットします。細く切ることで揚げ時間を短縮でき、パサパサとした食感になるのを防ぐことができます。
手羽には手羽元、手羽先、手羽中と種類がありますが、これらはすべて鶏の翼の部分です。肉と皮のバランスがよく、脂肪やゼラチン質を多く含む部位です。手羽の骨は鶏ガラスープの出汁として使用することできます。
手羽を天ぷらにする際は、最初は高温の油で揚げて焼き色をつけ、その後は中温や低温の油でじっくり揚げて火を通していきます。上下を返して全体に火が通るようにしましょう。
せせりとは、鶏の首周りの肉です。引き締まった肉質が特徴で、プリプリとした食感がします。せせりはネックや首小肉ということもあります。1羽からとれる量が非常に少量な希少な部位です。
せせりには骨の部分があるので、揚げる前に包丁で削ぎ落としておくと食べやすいです。大きいと火が通るのに時間がかかるので、縦半分に切ってから食べやすい大きさにカットします。180〜190℃のやや高温の油で5分ほど揚げます。
砂肝は鶏の胃の一部である砂嚢(さのう)です。砂肝(砂ずり)はほとんどが筋肉なので、コリコリとした食感がします。内臓系の中ではクセが少なく食べやすい部位です。
銀皮とよばれる固い筋が付いていると食感が固くなってしまうので揚げる前に取り除きます。筋肉質な部位なので、切り込みを入れてから揚げると火が通りやすくなります。油に入れて浮いてきたら完成です。
一般的に軟骨というと、鶏むね肉にある柔らかい骨(胸骨)を指します。この場合は「ヤゲン軟骨」ということもあります。また、胸骨以外に膝の軟骨もあり、その場は膝軟骨といいます。骨なのでカルシウムやコラーゲンが豊富に含まれているのが特徴です。コリコリとした食感が特徴です。
胸骨の軟骨(ヤゲン軟骨)はそのまま揚げてもOKですが、食べやすい大きさに切ってから揚げると短時間で揚げることができます。
鶏皮は文字通り鶏の皮膚のことを指します。鶏むね肉や鶏もも肉を購入する際に皮がついた状態で売られていることがほとんどです。鶏皮を天ぷらにすると、カリッとした食感を楽しむことができます。
鶏皮を天ぷらにする際は、皮についている余分な油を切り落とします。油が残っていると、揚げている最中に油がハネたり、油臭さが残ってしまう可能性があります。洗って臭みを取り、キッチンペーパーで水けを拭き取ってから食べやすい大きさにカットして衣をつけ揚げます。
豚バラとは、豚の胴体のあばら骨周りのお肉を指します。脂身が多く肉質は柔らかいです。赤身と脂身が3層になっていることから「3枚肉」ともいいます。ベーコンになるのは豚バラ肉です。骨がついているバラ肉は「スペアリブ」といいます。
豚バラを天ぷらにする際は、食べやすい大きさにカットします。豚バラ単体で揚げても美味しいですが、チーズやしそ(大葉)などを巻いて天ぷらにしても美味しくいただけます。
豚ロースは、胸から腰の部分にかけての背中側のお肉です。赤身と脂身がはっきりと分かれており、肉質は柔らかいです。ロースハムに加工されてるのは豚ロース肉です。
豚ロースは厚切りと薄切りの2種類で店頭に並んでいることが多いです。豚ロースの赤身と脂身の境目の筋に包丁の刃先で切り込みを入れて筋切りをしておくことで、火が通りやすくなったり、肉が縮みにくくなります。
豚肩ロースは、ロースと肩肉や首の間の部分のお肉です。赤身の中に脂身が網目状に広がっているのが特徴で、豚ロースよりも肉質が柔らかいです。
豚肩ロースを天ぷらにする際は、薄切りにします。揚げる際は肉を広げながら揚げると綺麗に仕上がります。
豚ヒレは、ロースの内側にあるお肉です。一頭の豚から800g程度しかとれない希少部位です。脂身がほとんどなく、ジューシーなのにあっさりとした味わいが特徴です。
豚ヒレを天ぷらにする際は、筋が残っている場合は包丁で取り除きます。厚さ1cm程度のそぎ切りにすると火が通りやすくなります。
豚モモは、豚のお尻の周りのお肉です。運動量が多いため筋肉質で弾力のある食感が特徴です。脂身が少ないためあっさりとした味わいです。
豚モモを天ぷらで食べる際は、厚さ1cm程のそぎ切りにしてから揚げましょう。豚モモはパサつきやすい部位なので、低温の油でじっくり揚げるのがポイントです。
豚こまとは、様々な部位の切れ端を集めた肉をさします。豚肉をカットする際に出る切れ端を集めて、豚こま肉として販売されています。モモや肩、バラなどの部位がランダムに入っています。
豚こまを天ぷらにする際は、厚みがあったり大きいお肉は食べやすい大きさにカットします。厚みや大きさをなるべく均一にすることで、火の通りも均一になります。
耳皮とは文字通り豚の耳のお肉を指します。皮と軟骨で構成されているためコリコリとした食感がします。
ミミガーは、耳皮を加工した食材で主に沖縄県で消費されています。ミミガーの天ぷらは沖縄料理店で提供されることが多いです。
耳皮を調理する前には下処理が必要になります。未加工のもので毛が残っていたらコンロなどの火で炙ります(やけどに注意!)。下処理する前に酢や塩でもみ洗いします。20分下茹でした後に水を入れ替えてさらに10分ほど茹で、ねぎや生姜などの香味野菜を加えてさらに30分ほど茹でます。
リブロースは牛ロースの一種で、肋骨やあばら骨周りのお肉を指します。牛ロースの中で最も霜降り(脂肪が網目に入っている状態)になりやすい部位です。次にご紹介するサーロイン、ヒレと並び、牛肉の最高級部位として親しまれています。
リブロースを天ぷらにする際は、食べやすい大きさにカットします。リブロースはレアでも食べられる部位ですので、完全に火を通さなくてもOKです。シソ(大葉)を巻いて食べても美味しくいただけます。
サーロインは背中の中央部分(腰の上部)のお肉です。運動量が少ない部位なので、筋肉が少なく肉質は柔らかいです。ステーキとして食べることがほとんどですが、天ぷらにしても美味しく食べることができます。
牛ロースを天ぷらにする際は、食べやすい大きさにカットします。サーロインは生でも食べることができるので、完全に火を通す必要はありません。リブロースと同様にシソを巻いて揚げるのもおすすめです。
牛ヒレは、サーロインの内側にあるお肉です。脂肪が少なく、運動量がかなり少ないため肉質は柔らかいです。一頭でとれる量がごくわずかな希少な部位です。「フィレ」や「ヘレ」ということもあります。また、シャトーブリアンでは、ヒレの最も太い部分が使われます。
牛ヒレもリブロースやサーロインと同様に、食べやすい大きさにカットしてから天ぷらにします。シソを巻いて揚げたり、フォアグラをヒレ肉で挟んでロッシーニ風にして揚げても美味しくいただけます。
ランプとは、牛の腰、もも、お尻にかけてのお肉です。サーロインの隣にある部位で、脂身と赤身のバランスがよく柔らかい肉質が特徴です。脂っぽさがないため、お肉の脂が苦手な方でも食べやすい部位です。
牛ランプを天ぷらにする際は、一口大など食べやすい大きさにカットします。厚みがある場合は表面に細かく切れ目を入れると火が通りやすくなります。ランプもレアでも食べられる部位なので、さっと揚げる程度でOKです。
牛モモは、牛の後ろ足の太ももの部分を指す総称です。具体的には、内モモと外モモがあります(さらにランイチやシンタマを含む場合も)。内モモは後ろ足の付け根の部分のお肉で、筋肉質で最も脂肪が少ない部位です。外モモは後ろ足の太ももの外側の部分のお肉で、内モモよりも少しかための肉質です。
牛モモを天ぷらにする際も一口大など食べやすい大きさにカットします。薄切りなどで販売されている場合はそのまま揚げてOKです。
牛こまとは、牛の様々な部位の切れ端を集めた肉をさします。牛をカットする際に出る切れ端を集めて、牛こま肉として販売されています。モモや肩、バラなどの部位がランダムに入っています。
牛こまを天ぷらにする場合、厚みがあるお肉は食べやすい大きさにカットします。お肉の大きさや厚みを揃えることで、火の通りが均一になります。
ラムチョップやジンギスカンなどで食べることが多い羊肉。子羊の肉をラム、ラムよりも成長した肉をマトンといいます。また、羊肉もロースやモモ、バラ、肩など様々な部位があります。
羊肉を天ぷらにする場合は、ラムチョップやバラ肉以外の部位がおすすめです。薄切りの場合はそのまま、厚切りの場合は食べやすい厚さにカットしてから天ぷらにします。羊肉特有の臭いが気になる場合は、料理酒に漬けたり、下茹でしたりしてから揚げるとよいです。
鴨肉のほとんどがアイガモですが、他にはマガモやガチョウ、アヒルなどの種類も含まれます。鴨鍋や鴨南蛮、ローストなどにして食べることが多いですが、天ぷらでも美味しく食べることができます。他のお肉と同様にモモやむね、ささみ、レバーなど様々な部位があります。
鴨肉を天ぷらにする際におすすめの部位はむねやもも、ささみなどです。余分な筋や脂を取り除き、食べやすい大きさに切って(薄切りの場合はそのまま)揚げます。
肉を加工したソーセージも天ぷらの定番の具材です。小さなお子様もパクパク食べる人気の具材の一つです。ソーセージを天ぷらにすると、サクサクとした衣の食感とソーセージのジューシーな味わいを楽しむことができますよ。
ソーセージは丸ごと衣につけて揚げることができますが、破裂してしまうことがあるので念の為切り込みを入れておくと、破裂してしまうのを防ぐことができます。
ベーコンは、豚バラ肉を塩漬けして熟成し、低温燻製して作られます。炒め物やスープなどで使うことが多いですが、実は天ぷらにしても美味しく食べることができます。
ベーコンを天ぷらにする際は、食べやすい大きさにカットします。ベーコン単体で揚げてもよいですが、チーズやアスパラ、玉ねぎなどをベーコンで巻いてから揚げるのもおすすめです。
ハムは豚もも肉を塩漬けにし燻製して作られる加工食品です。サラダやサンドイッチの具材として食べることが多いハムですが、天ぷらにすることでおかずとしてはもちろんお酒のおつまみや間食としても楽しむことができます。
1枚まるごと揚げるか、2等分もしくは4等分にしてから揚げます。ハムでチーズを巻いてから揚げるのもおすすめです。
小麦粉には、弾力に富むが伸びにくいグルテニンと、弾力は弱いが伸びやすいグリアジンの2種類のたんぱく質が含まれており、水分によってグルテニンとグリアジンが結びつくとグルテンができます。グルテンは、強い粘り気を出すため、小麦粉で衣を作ると揚げたときにベタっとしてしまいます。
そのため揚げ衣を作る際は、グルテンを生成しない片栗粉または米粉を使ったほうがサクッと揚がります。また、片栗粉や米粉は油の吸収率が低いため、サクサクに揚がりやすいだけではなく時間が立ってもベチョっとしにくいですし、カロリーを抑えることもできます。
自宅に小麦粉しかないという場合は、氷水を一緒に加えるとグルテンを生成しにくくなるため粘りを抑えることができます。
天ぷらは水分が蒸発する前に衣がしっかり固まってしまうと水蒸気が衣の外へ抜け出しにくくなり、べちょっとした仕上がりになりやすいです。
そのため、水より沸点が低く蒸発しやすいアルコールを多く含む日本酒や焼酎などのお酒を加えることで、衣の水分の蒸発を促進し、サクサクに上がります。小麦粉を使っている場合でも、アルコールがグルテンを押し広げながら蒸発してくれるので、べちょっとしにくいです。
アルコールは蒸発してしまうので、お子様でも食べることができます。ただし、お酒の風味が残ってしまうことがあります。また、日本酒など糖質を多く含むお酒を使うと焦げやすいので注意しましょう。
衣に加える水の代わりに炭酸水を加えても良いです。炭酸水に含まれる気泡(炭酸)が油の熱によって衣から抜ける際に水蒸気も一緒に逃がすことができるため、サクサクに上がります。ただし、炭酸だと油に入れたときに跳ねることがあるので注意が必要です。
一般的に揚げ油として使われるサラダ油などは、空気に触れることで油が酸化してしまい劣化してしまいます。劣化してしまった油を揚げ油として使うと具材の風味が損なわれるだけではなく、べちょっとしてしまいやすいです。
オリーブオイルは「オレイン酸」と呼ばれる一価不飽和脂肪酸が主成分で、酸化しにくい性質があります。そのため、酸化しやすいサラダ油などを使って揚げるのと比較して、サクサクとした食感に揚がります。
また、油の量も重要です。少なすぎると焦げやすく、多すぎると温度が上がらず火が通るのに時間がかかってべちょっとしてしまうので注意しましょう。
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