長ネギの青い部分は生の状態だと食べにくさがあるため、捨てられてしまうことも多いと思いますが、肉や魚の臭み取りとして使うことができます。本記事では長ネギの青い部分が臭み消しに使える理由や、長ネギの青い部分以外の臭み取りに使える野菜や調味料などを紹介します。
長ネギの青い部分は肉や魚を使って煮物を作るときなどに、一緒に入れることがあります。これは、長ネギの青い部分が魚や肉の臭み消しとして使えるためです。
長ネギの青い部分が臭み消しとして使える理由は、長ネギに含まれている「硫化アリル」と呼ばれる成分にあります。硫化アリルはユリ科の植物に含まれている成分で、長ネギのツンとした臭いや辛み成分として知られています。
硫化アリルのツンとした刺激臭は、肉や魚の異臭をマスキングすることによって感覚的に臭いを気にならなくさせる効果があります。厳密にいえば、肉や魚の異臭の元になる成分を消す作用があるわけではありません。
硫化アリルは揮発性の成分で細かく刻んだほうが香りが強くなるため、薬味として使われるときには細かく刻んで使われることが多いです。お刺身などでネギを薬味に使うのも、生魚の生臭さを硫化アリルの刺激臭によって緩和するためです。
煮物を作るときなどには臭み消しとして青い部分が使われますが、青い部分だけが使えるわけではありません。動物性の異臭を緩和させる硫化アリルは白い部分にも多く含まれているため、白い部分を一緒に煮込んでも同じように臭みを消すことができます。
煮物などに長ネギの青い部分が使われる理由としては、長ネギの青い部分は最も香りが強く、辛みも強いことに加えて食感が悪く青臭さもあり料理には使いにくく用途が少ないという点があげられます。長ネギは青い部分も食べられるものの、調理に使う際はカットして白い部分のみが使われることが多いですよね。
しかし、長ネギの青い部分は白い部分に比べて香りが強いですし、白い部分よりも硬くしっかりとしているため長く煮ても溶けてしまうことはありません。そのため臭み消し効果を狙うのなら、青い部分が最適であると言えます。
長ネギにも様々な栄養素が含まれていますし、捨ててしまうのはもったいないですよね。そのため臭み消しとして活用されることが多いのです。
臭み取りとして肉や魚と一緒に煮込んだ青い部分は食べられるのか疑問に思ったことがある方は多いのではないでしょうか。
臭み取りに使った後の青い部分は、そのまま一緒に食べても問題ありません。青い部分は生の状態だと非常に食べにくい部位ですが、煮込まれた青い部分は柔らかくなりトロトロとしていて食べやすくなっています。
臭み取りに使った後の青い部分は食べても問題はないものの、捨てる人も多いです。実際に料理店などで豚の角煮に長ネギの青い部分が入っている状態で出すことは、あまりありません。そのため、家庭でも青い部分はお皿にもらず捨ててしまう人が多いようです。
長ネギの青い部分に栄養素も豊富に含まれていますが、一緒に煮込む事によって水溶性の栄養素は流出している状態です。スープにして汁ごと飲むなら、水溶性の栄養素も一緒に摂取することができますが煮物などの場合は単に栄養素も減っていて、臭み取りとしても用済みのため捨てられることが多いのだと考えられます。
長ネギの青い部分以外にも臭み取りとして使える野菜は多くあります。長ネギがないときに代用として使える野菜を紹介します。
玉ねぎも長ネギと同じくユリ科の植物で、硫化アリルを豊富に含む野菜の一つです。そのため長ネギと同じように肉や魚の異臭を軽減する効果があります。
豚肉や魚と一緒に炒めたりするだけでも効果がありますが、予めすりおろしておいた玉ねぎをまぶしておくとより効果的です。これはすりおろして細胞を壊すことにより硫化アリルが出て香りが強くなるためです。
にんにく・ニラも長ネギや玉ねぎと同じくユリ科の植物であるため、硫化アリルが豊富に含まれていて臭み消しとして使うことができます。
例えばとんこつラーメンのスープを作るときには、豚を煮込んでスープを作りますが、臭み取りとしてにんにくやニラを一緒に入れて煮込むことも多いです。
焼いたりするときにも一緒に使うことで効果がありますが、にんにくやニラは臭いがきつく肉や魚の臭みは消えてもにんにくやニラの臭いで口臭が気になるといったこともあるので注意が必要です。
生姜も臭みとりによく使われる野菜の一つですよね。生姜も一緒に調理をすることで魚や肉の異臭を軽減する効果があります。
生姜にはショウガオールやトリメチルアミン、ピペリジンなどの香辛性物質が豊富に含まれています。これらの香辛性物質は、硫化アリルと同じように肉や魚の臭いをマスキングするため臭いが気にならなくなります。また、肉などに含まれているタンパク質と結合する性質があるため臭いが気にならなくなるともいわれています。
臭み消しに有効な有効成分は、生姜の皮の内側に多く含まれています。そのため臭み消しとして生姜を使う場合は皮ごとカットして使うのがおすすめです。
青ネギは葉の部分が多いネギの種類で「葉ネギ」ともいわれます。長ネギは一般的に青い葉の部分よりも白い部分のほうが多いですが、これは土寄せをして日光に当たらないようにしているためです。青ネギは土寄せをせずに日光に当たった状態で生長しているため葉緑体が生成されて青い部分が多くなります。青ネギの品種には例えば「九条ネギ」などがあります。
青ネギは長ネギの青い部分とは異なり、煮物をするときなどの臭み消しとして使われることはあまりありませんが、青ネギにも硫化アリルが含まれているため同様の効果があると考えられます。
しかし青ネギは一緒に煮込んだりするよりも、刺し身を食べるときの薬味として使われることが多いです。
セロリは基本的に白い茎の部分を食べることが多いですが、実は葉も食べることができます。
セロリはセリ科の植物で、強い香りをもつのが特徴です。セリ科の植物の強い香りも硫化アリルと同じように肉や魚の臭みをマスキングし軽減する効果があります。
例えば、肉や魚をシチューやスープにして煮込む際に、セロリの葉を束ねて縛ったもの一緒に加えると臭みが軽減され、風味がよくなります。
セロリの葉は捨てられてしまうことも多いですが、茎よりも多くの栄養が含まれているため捨てずに臭み取りなどに有効活用するのがおすすめです。
野菜を使わずとも調味料で肉や魚の臭みを取ることもできます。臭み取りとして有効な調味料を紹介します。
肉や魚の臭みとなる「トリメチルアミン」と呼ばれる成分は、アルカリ性であるため酸性の調味料である酢を使うことで、中和され臭いを消すことができます。
ちなみにクエン酸を多く含むものにも同じ効果があるので、梅干しやレモンなどの柑橘系の果汁を使っても臭いが軽減されます。さらにクエン酸は、肉や魚の油に含まれる臭い物質の生成(酸化)を抑制する作用もあります。
また、肉や魚はpH値が酸性になると保水性が高まることがわかっており、保水性が高まると筋繊維に水分が入るため柔らかくなります。酢を使うことで臭みがとれるだけではなく、柔らかく仕上げることができるので一石二鳥ですね。
料理酒も肉や魚の臭み取りによく使われる調味料の一つです。
料理酒が臭み取りになるのは、アルコールが揮発性の成分で、加熱したときに臭いの元になる成分をともなって蒸発してくれるためです。また、料理酒には肉や魚を柔らかくしたり、味を染み込ませやすくする、煮崩れを防止するといった効果もあります。
ちなみに、一般的に販売されている料理酒には大別して「純米酒」と「調味料理酒」の2種類あります。調味料理酒は塩分や糖類、アミノ酸などを添加しています。純米酒は日本酒本来の香りがしっかりとしていて、食材本来の味が活きやすいです。塩分量が気になる方などは特に純米酒を選ぶと良いでしょう。
肉や魚の臭み取りには塩が使われることもあります。調理の過程で、肉や魚に塩をふってしばらく置いておいた経験がある方は多いのではないでしょうか。
これは肉や魚に塩をふることで、肉や魚から水分が出てくるためです。水分と一緒に臭いの原因となる成分も出てくるので、臭いが軽減されます。
<塩をふっておくと水分が出るのはなぜ?>
異なる物質同士の細胞の成分濃度が違うと、成分が薄い方から濃い方へと水が移動して、両方の濃さを揃えようとする力が働く。これを「浸透圧」という。塩を食材にふると、食材の水分に塩が溶け濃い塩水ができ食材の外側の塩分濃度が高くなるため、濃度を調整しようと浸透圧が働き、食材の内側から水分が出てくる。
長ネギの青い部分は捨てていたという方も多いのではないでしょうか。長ネギの青い部分は上述したように辛みや刺激臭がきつく食感も悪いため食べにくい部位ですが、栄養素もたっぷり含まれているので捨ててしまうのはもったいないです。青い部分が肉や魚の臭み取りに使えることはおわかりいただけたかと思いますが、その他にどのような使い方ができるのが紹介します。
長ねぎの青い部分は青臭さがありますが、青臭さの原因である3-ヘキセノールと呼ばれる成分は揮発性が高い成分であるため、加熱をすることで食べやすくなります。
また、長ネギの青い部分に多く含まれているβ-カロテンは加熱することで吸収率が1.5〜2倍にアップ。これは細胞内で溶解して、吸収されやすくなるからです。そのため、長ねぎの青い部分を食べるときは加熱料理をすると良いでしょう。
さらにβ−カロテンは脂溶性なので野菜炒めなど油を使うことで吸収率が6倍にもなることがわかっています。長ネギを調理するときは、油を使って他の食材と一緒に炒めものにするのがおすすめです。
長ネギの青い部分は、香りが強く辛みも強いため料理にパンチを与えてくれます。そのため卵焼きやチヂミの材料として加えるのもおすすめです。長ネギの青い部分の香りや辛みはたまごやチヂミの生地のほのかな甘味とよく合います。
また、たまご焼きもチヂミも油を使って作る料理なので、β−カロテンも効率的に摂取することができます。さらに綺麗な緑色は料理の彩りにもなり見た目もよくなるメリットもあります。
長ネギの青い部分には白いネバネバとした粘質物が含まれています。これはフルクタンと呼ばれるものです。
フルクタンは、複合多糖類の食物繊維の1つであり、長ねぎの甘み成分でもあります。免疫細胞を活性化する働きがあるため、免疫力を高める効果が期待できます。さらに血糖値の上昇を抑えると言われています。人体に害がある成分ではありませんので、食べても大丈夫です。
フルクタンが多く含まれている長ネギの青い部分はみじん切りにすると調味料とよく絡みます。そのため細かく刻んで味噌ダレにするのもおすすめです。
長ネギの青い部分は味噌ダレにすることで、ネギのうまみも引き出されて大変美味しくなります。味噌ダレは冷奴に乗せて食べたり、肉料理などの味付けに使うこともできます。
長ネギの青い部分は白い部分と一緒に刻んで低温の油で熱して「ネギ油」にすることができます。
ネギ油とは、簡単に言えば油にネギの香りをつけたもので調味料として使うと、ごま油のように料理にネギの風味を加えることができます。例えばチャーハンや炒めものに使ったり、ラーメンにかけて食べるなど幅広い用途があります。
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