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ほうれん草・小松菜・チンゲン菜の違い|見た目・味・栄養を比較

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ほうれん草・小松菜・チンゲン菜の違い|見た目・味・栄養を比較

ほうれん草・小松菜・チンゲン菜はどれもよく似た葉物野菜ですが、違いをご存知でしょうか。本記事ではほうれん草と小松菜、チンゲン菜の違いを解説します。

ほうれん草について

ほうれん草

見た目

ほうれん草は、ヒユ科アカザ亜科ホウレンソウ属の植物です。

ほうれん草の見た目は、葉と茎どちらも緑色をしていて、小松菜やチンゲン菜と比較すると葉が薄く茎が細いのが特徴です。葉の形は品種によって異なり、東洋種の場合は葉先がとんがって深い切れ込みがあり、西洋種の場合は丸みがあります。

また、東洋種の根本は赤色をしており、これは小松菜やチンゲン菜にはない特徴です。ただし、近年では東洋種と西洋種をかけ合わせた交雑種も多く販売されており、必ずしも根本が赤いというわけではありません。

ほうれん草は、小松菜やチンゲン菜と比較してシュウ酸の含有量が多く苦味があるのが特徴です。

シュウ酸は栄養素というよりも老廃物で、えぐみや苦味を感じさせ料理の味を損ねるいわゆるアク(灰汁)となる成分です。たけのこや里芋などにも含まれていることで知られています。ほうれん草はシュウ酸が多く含まれているため、食べるときには茹でたり水につけたりしてアク抜きをしてから調理をします。

ほうれん草は古くからおひたしや汁物の具材として食べられてきましたが、現在は和食はもちろんのことバターで炒めてソテーにして肉などの付け合せとして添えられたり、グラタンやキッシュなどにして食べられることも多いです。近年では品種改良によりアクが少ないサラダほうれん草なども販売されており、サラダにして食べることもあります。

原産

ほうれん草の原産国はペルシア(現在のイラン)です。西方へは8世紀頃に中近東からヨーロッパへ伝わり、東方へはネパール経由で中国に伝わりました。日本へは17世紀頃に中国から渡来したと言われています。

ほうれん草の「ほうれん(菠薐)」は、原産国であるペルシアを差す「頗稜(ホリン)国」に由来しています。中国から伝わった野菜であったため、当初は「唐菜(からな)」とも呼ばれていました。

日本で栽培され始めたのは小松菜とほぼ同じ頃ですが、ほうれん草はアクが強いことから人気が出ず、一般的に食べられていたのは小松菜でした。ほうれん草が一般的に食べられるようになったのは第二次世界大戦後と言われています。

栄養

ほうれん草の可食部100gあたりに含まれている三大栄養素は下記の通りです。

  • エネルギー...18kcal

  • 水分...92.4g

  • たんぱく質...2.2g

  • 炭水化物...3.1g

  • 脂質...0.4g

  • 食物繊維...2.8g

糖質は(炭水化物から食物繊維を引いた値)0.3gです。

ほうれん草はカロテンやビタミンC、B1、B2の他、葉酸を多く含み、無機成分も豊富に含まれています。また、ほうれん草の根本の赤い部分には、貧血を防ぐ鉄分や骨を作るマンガンが多く含まれています。他にもポリフェノールも入っているので、捨てずにしっかり洗って使いましょう。茎よりも栄養素が豊富です。また、根本は栄養と一緒に甘みも蓄えています。

小松菜について

小松菜

見た目

小松菜は、アブラナ科アブラナ属の植物です。

小松菜の葉と茎はほうれん草と同じく緑色です。葉は丸みがあり、ほうれん草と比較して肉厚であるのが特徴です。茎はほうれん草よりも太いですが、チンゲン菜と比較すると細いです。

小松菜はほうれん草と比較してシュウ酸の含有量が少ないため、アク抜きをしなくても苦味やエグみを感じにくく調理がしやすいのが特徴ですが、チンゲン菜と比較すると若干の苦味があります。

小松菜はおひたしや漬物にすることが多い野菜で「ツケナ(漬菜)」とも言われます。ツケナとは、アブラナ科に属する植物のうち、漬物や煮物に用いられることが多い非結球性葉菜類の総称です。

おひたしや漬物だけではなく、古くからすまし汁やお味噌汁などにして食べられることも多いです。また、癖のない味わいから今日では和食だけではなく洋食、中華と幅広く使われ、炒め物にして食べられることもあります。

原産

小松菜を始めとするアブラナ科の植物の原産国は、地中海・中央アジア地域とされていますが、種分化については諸説あり、小松菜はカブの一種である「クチタチナ」を祖先とし、現在の東京都江戸川区小松川で誕生した地方品種であると言われています。

誕生した当初は「葛西菜」や「冬菜」と呼ばれていましたが、8代目将軍徳川吉宗が鷹狩りで小松川村を訪れ食事をした際に、すまし汁に添えられていた青菜を気に入ったことから地名にちなんで「小松菜」と名付けたと言われています。

栄養

可食部100gあたり(生の小松菜)に含まれている三大栄養素は下記の通りです。

  • エネルギー...13kcal

  • 水分...94.1g

  • たんぱく質...1.5g

  • 炭水化物...2.4g

  • 脂質...0.2g

  • 食物繊維...1.9g

糖質は0.5gです。

小松菜もほうれん草と同様にたんぱく質・炭水化物・脂質の三大栄養素の他に、β-カロテン、ビタミンCに加えて、ミネラルも豊富に含む栄養価の高い野菜です。特にカルシウムに富み、鉄も多く含まれているのが特徴です。カルシウムが不足することで起こる骨粗しょう症や、鉄が不足することで起こる貧血を予防するのに効果があると言われています。

チンゲン菜について

チンゲン菜

見た目

チンゲン菜も小松菜と同じくアブラナ科アブラナ属の植物です。

チンゲンサイの葉と茎は小松菜よりもやや明るい緑色で、丸みがあり肉厚です。葉の形や厚さは小松菜と似ていますが、ほうれん草や小松菜と比較して茎の幅が広く厚みがあるのが大きな特徴です。

チンゲン菜にも苦味やエグみを感じさせるシュウ酸が含まれていますが、小松菜よりもさらに含有量が少なく苦味やエグみを感じにくいので苦味が苦手な方や小さなお子様でも食べやすいという特徴があります。

チンゲン菜は上述したように小松菜よりも茎が太いですが、柔らかく甘味がありシャキシャキとした食感を楽しむことができます。

チンゲン菜も小松菜と同じく「ツケナ」と言われ、おひたしや漬物などに使われることがありますが、炒めものや煮物、鍋物、サラダ、スープと幅広く使われます。特に油との相性がよく、高温でサッと炒めることで色合いも鮮やかになるのに加え歯ごたえもよくなります。

原産

チンゲン菜の原産国は中国で、本来の和名は「タイサイ(体菜)」と言います。中国語では「青梗菜」と表記し、軸と茎を指す「梗」が青いことに由来していると言われています。

チンゲン菜は、アブラナ科の植物が中国に伝播し、栽培種に分化した際に華中方面で「タイサイ型ツケナ」として栽培されていたうちの一つがチンゲン菜で、現在でも揚子江(ようすこう)を中心に栽培され中華料理の代表的な野菜の一つとして知られています。

チンゲンサイが日本に伝わり食べられるようになったのは1972年以降であり、ほうれん草や小松菜と比較すると歴史は浅いです。

栄養

チンゲン菜の可食部100gあたりに含まれている三大栄養素は下記の通りです。

  • エネルギー...9kcal

  • 水分...96.0g

  • たんぱく質...0.6g

  • 炭水化物...2.0g

  • 脂質...0.1g

  • 食物繊維...1.2g

糖質は0.8gです。

チンゲン菜も三大栄養素の他に、ビタミンAやCなどが豊富に含まれビタミン供給源として食べると体に抵抗力がつき風邪にかかりにくくなると言われています。また、カルシウムやカリウムなどのミネラル類や食物繊維も含まれていて、ストレスや便秘の解消、貧血や動脈硬化を防止する効果が期待できます。