玉ねぎといえば辛味があるのが特徴ですが、辛味が強すぎて食べにくいこともありますよね。本記事では玉ねぎの辛味の抜き方について詳しく解説します。
玉ねぎといえばツンとする辛味が特徴の野菜です。玉ねぎの辛味の正体は、玉ねぎに含まれている「硫化アリル」と呼ばれる成分です。鼻にツンとくる独特の香りも硫化アリルによるものです。
硫化アリルは玉ねぎと同じく辛味のある長ネギやニラ、らっきょうなどにも含まれています。
硫化アリルの存在は辛いのが苦手な方や小さなお子様にとっては食べにくさを感じる原因の一つと言えますが、硫化アリルによる辛味を軽減する方法があります。
硫化アリルによる辛味を軽減することで、辛味が苦手な方や小さなお子様にとってはグンと食べやすくなりますが、栄養価が低くなるというデメリットがあります。
硫化アリルには、様々な効果・効能が期待できます。例えば、硫化アリルの一種である「アリシン」には、血栓を予防する作用があるといわれています。玉ねぎを食べると血がサラサラになるといわれるのはこのためです。また、血液中の悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす働きがある他、動脈硬化を遅くして心臓血管障害や脳血管障害を予防するといわれています。
また、ある種の硫化アリルは胃の中に住み着いているピロリ菌を殺す作用も期待できます。さらには、血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防したり血圧を下げて高血圧を防ぐ効果があるといわれています。
栄養価を下げたくないという方は、辛味を抜かずに食べるのが良いでしょう。
硫化アリルは、揮発性の高い成分です。そのため、玉ねぎの繊維を断ち切るようにして切る(繊維に直角に切る)ことで揮発し辛味を軽減することができます。
まず繊維に沿って半分に切ったら、切った玉ねぎを90度傾けて玉ねぎの繊維が横になるように置いてから切ります。素早く切ると細胞が壊れ辛味が出やすいといわれているため、ゆっくり切るようにしましょう。
繊維を断ち切ることで食感も柔らかくなります。
また、玉ねぎを切る時に、できるだけ薄くスライスする方が硫化アリルが揮発しやすくなります。薄くスライスすると硫化アリルが残ったとしても、体積が小さいぶん辛味を感じにくくなるというメリットがあります。
包丁でカットしにくい場合は、スライサーなどを使うのもおすすめです。
玉ねぎの辛味を抑えたいときには、新玉ねぎやサラダ玉ねぎを使って調理をするのも一つの手です。
新玉ねぎは、一般的に食べられている玉ねぎよりも水分量が多く、硫化アリルの含有量は少ないため生で食べても匂いや辛味が比較的弱く、口当たりがよいです。そのため一般的な玉ねぎは苦手でも新玉ねぎのほうが食べやすいという方は多くいます。ただし、新玉ねぎは辛味が少ないといえど個体差があり、同じ農園で育てられた新玉ねぎでも辛味が強いものもあります。
新玉ねぎは、温暖な地域で3~4月頃に出荷される早取りの玉ねぎのことをいいます。一般的に食べられている玉ねぎは、春に収穫された玉ねぎを一度乾燥させて保存性を高めてから出荷されています。一方で新玉ねぎは収穫された後、乾燥させずに出荷されているという違いがあります。一般的な玉ねぎとは異なり茶色いパリパリとした茶色い皮がついていないので見た目でも判別することができます。
サラダ玉ねぎは、「ホワイトオニオン」や「白玉ねぎ」と呼ばれる品種の玉ねぎです。一般的に販売されている玉ねぎとは品種が異なります。サラダ玉ねぎは一般的な玉ねぎと比較して水分量が多く糖度が高いのが特徴で、辛味が少ないので生でも食べやすいです。
玉ねぎの辛味を抜く方法には様々な方法がありますが、それぞれのやり方にメリット・デメリットがあります。
玉ねぎの辛味成分である硫化アリルは、水溶性であるため流水である程度洗い流すことができます。メリットとしては、水にさらして辛味成分を水に溶かすよりも栄養素の流出を最小限に抑えられるという点です。
デメリットはそれほど辛味が抜けるわけではないという点です。そのため、多少辛味が残っていたほうが良いという方は流水で洗い流すのがおすすめです。
カットした後に水にさらしておくことで硫化アリルを水に溶かすことができるので、辛味やツンとする臭いが軽減されます。
水にさらす場合はカットした玉ねぎをボウルに入れ、水を入れた後5分〜10分程水に浸けておきます。水にさらしておくことで玉ねぎをシャキっとした食感にすることができるというメリットもあります。
デメリットは、水にさらすことで硫化アリルだけではなくビタミンCなどの水溶性の栄養素も一緒に流出してしまうという点です。少しでも栄養素を残すためには、長時間つけすぎないことが大切です。様子を見て好みの辛さになったらすぐに水を流しましょう。
水にさらしておくだけでも効果的ですが、水に酢を加えても良いです。酢水の場合は、水300mlに対して酢を小さじ1杯入れます。酢を加えることで硫化アリルが溶けるだけでなく、酢の酸味が加わり辛みを和らげることができます。
デメリットとしては、酢をすぎてしまうと玉ねぎがお酢の味が強くなってしまうということがあげられます。少量であれば気にならない程度ですが、入れすぎには注意しましょう。サラダやマリネであればお酢の味がついてしまっていても気になりません。
上述したように硫化アリルは揮発性の高い成分であるため、空気にさらしておくだけでも辛味を軽減させることができます。
空気にさらすときは、カットした玉ねぎをバットなどに並べて15分ほど置いておきます。またはラップをして冷蔵庫に1時間ほど入れておいても辛味が抜けます。
水にさらすよりも硫化アリル以外の水溶性の栄養素を残すことができるため、最も栄養素の流出を最小限に抑えられる方法であると言えます。さらに、空気にさらして冷蔵庫に入れることで玉ねぎの甘味が増します。
デメリットとしては空気にさらすことで部屋中に玉ねぎの匂いが充満してしまう点です。玉ねぎの臭いが苦手な方は、換気扇を回しておくなどの対策をすると良いです。
硫化アリルは加熱することによっても揮発するため、熱湯にさらすことでも辛味を抑えることができます。
熱湯でさらすときは、熱湯をボウルにカットした玉ねぎを1分程さらした後、すぐに氷水で冷やします。熱湯にさらすことでしんなりとしてしまいますが、氷水で冷やすことでシャキとした食感に戻すことができます。水や酢水にさらすよりも短時間で辛味を抜けるというメリットがあります。
デメリットはやはりその他の水溶性の栄養素も一緒に流出してしまうという点です。また、熱湯に長くさらし続けてしまうと食感が柔らかくなってしまうので、サラダなどに使う場合に物足りなくなってしまいます。
レンジを使う場合は、耐熱皿の上にカットした玉ねぎを広げ、ラップをせずに600Wで30秒程加熱します。30秒でまだ食べられないほど辛味が残っている場合は、好みの辛さになるまで10秒ずつ追加で加熱をしてください。
レンジで辛味を抜く方法には、水や熱湯にさらすよりも栄養素を残せるという点があげられます。また、耐熱皿に乗せて加熱するだけなので手軽ですし、時短にもなります。
デメリットは、レンジで加熱をすることにより食感が柔らかくなってしまうことです。食感を残したい方はやはり水にさらすなどの方法が良いでしょう。
ラーメンやちゃんぽんなどの麺類のトッピングやチャーハンの薬味として入れる場合など、熱い料理の上に乗せたり混ぜ込む場合は、水にさらしたりしなくてもある程度の辛味は抜けます。
メリットとしては、適度な辛味を残しシャキシャキとした食感も損なわれないという点です。また、栄養素の流出も最小限に抑えることができます。さらに水にさらすなどの下処理をしなくても良いので時短になります。
デメリットとしてはやはり辛味が完全に抜けるわけではないという点です。そのため完全に辛味を抜きたいという方には不向きです。玉ねぎの辛味や香り、食感は残したいけれど少し辛味を抑えたいという方にはおすすめです。
玉ねぎを塩もみすることで玉ねぎの水分が出て、それと同時に硫化アリルも流れ出るので辛味を抑えることができます。
塩もみするときは、スライス玉ねぎをザルに入れて、塩を適量(小さじ1杯程度)を振ってよく揉み込み、10分ほど放置します。その後しっかりと水洗いをし水けをキッチンペーパーで取ります。
デメリットとしては多少塩気が残ることと、水分が出ることでシャキシャキとした食感が損なわれるという点です。気になる場合は水にさらすと食感がある程度戻ります。ただし、上述したように水に漬けると硫化アリル以外の栄養素も流出してしまいますので注意が必要です。
<塩もみすると水分が出るのはなぜ?>
異なる物質同士の細胞の成分濃度が違うと、成分が薄い方から濃い方へと水が移動して、両方の濃さを揃えようとする力が働く。これを「浸透圧」という。玉ねぎを塩でもむと、玉ねぎの水分に塩が溶け濃い塩水ができ玉ねぎの外側の塩分濃度が高くなるため、濃度を調整しようと浸透圧が働き、玉ねぎの内側から水分が出てくる。
「塩もみ」ではなく「砂糖もみ」をすることでも、玉ねぎの辛味を軽減することができます。
塩もみする時と同じように、スライスした玉ねぎに適量の砂糖をまぶして揉み込み、10分ほど放置します。その後、水洗いをして水けを取ります。
塩もみするよりも味がまろやかになると言われています。
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