にんにくは保存していると芽が出てくるのはもちろんのこと、根が生えてくるということもあります。本記事ではにんにくの根について詳しく解説します。
普段「にんにく」として食べているのは、鱗茎(りんけい)と呼ばれる養分を蓄えて肥大し球状になった白い部分です。にんにくの根は鱗茎の下から伸びる白いひげのような部分のことです。
にんにくは収穫されると、根を切ってから乾燥させて出荷されます。根をそのままにしておくと、残った根が呼吸を始めてしまい、可部分である鱗茎が痩せてしまうことがあるためです。そのため、基本的に販売されているにんにくには根がついていませんが、常温保存していると自然に発芽や発根が起こります。
以前は発芽や発根を止めるための薬品が使われていたため、芽や根が生えてくることはありませんでした。しかし、現在では薬品の使用が禁止されているため発芽や発根が起こりますが、薬品が使われていないという証拠でもあります。
根が出たにんにくは、一片ずつ土に植えると一片が複数の株に分かれて大きくなりにんにくとして収穫できることがあります。ただし、本来にんにくは秋に植えて、翌年の梅雨前に収穫する野菜ですので、時期を間違えてしまうと鱗茎が成長する前に枯れてしまうこともあります。
にんにくの根には、じゃがいもの芽に含まれるソラニンやチャコニンのような天然毒素は含まれていません。そのため食べても人体には何の影響もありませんが、取り除いて食べるのが一般的です。
根が生えてしまったにんにく自体も食べることができます。ただし、一般的にすべての野菜に言えることですが、発芽する過程で鱗茎に蓄積されていた栄養素は芽に使われてしまいます。そのため、普段にんにくとして食べている白い部分の栄養価は下がります。また、風味や味が落ちているということもありますので、毒素はなくて食べられるといっても芽が生えてしまう前に食べきるのが良いです。
にんにくには「ひげにんにく」と呼ばれる芽や根ごと食べれる品種もあります。ひげにんにくは、根の部分がひげに似ていることに由来して「ひげにんにく」という名前がつきました。
ひげにんにくは、一般的に食べられているにんにくよりも辛味や匂いの元であるアリシンの含有量が少ないため辛味がマイルドなのが特徴です。さらに匂いも少ないため口臭や体臭も気になりにくいです。
にんにくの根の部分はカビが生えやすい場所です。特に根元を下にして保存すると、通気性が悪くなり黒カビや青カビが生えてくることがあります。
黒カビの正体は「アスペルギルス属(コウジカビ)」や「クラドスポリウム属」、「アルタナリア属」と呼ばれるものです。黒カビは喘息や気管支炎などのアレルギー症状を引き起こしてしまう可能性があります。
青カビは「ユーロチウム属」のカビで、カワキコウジカビとも呼ばれます。特有のカビ臭いにおいがします。乾燥した環境を好み、また糖や塩濃度の高い食品(パンや餅、ジャムなど)で発生しやすいです。意外かもしれませんが、にんにくも糖質を多く含む(収穫直後の生にんにくの糖度はなんと41.5度!)ため青緑色のカビが生えるのです。
カビの種類に問わず、カビが生えたにんにくは基本的には食べずに廃棄する方がよいです。カビが生えている部分をしっかりと洗い切り落とせば食べることができるとも言われていますが、目に見える範囲のカビを取り除いても、菌がまだ残っている可能性があるためです。
にんにくの根をとるときは、根が残らないように包丁を使って根本からカットするだけです。このとき可食部である鱗茎を傷つけないよう気をつけましょう。鱗茎に傷がついてしまうと傷から菌が入って病気になったりカビが生えてしまうことがあります。
一般的ににんにくを栽培している農家では、にんにくの根切専用のナイフで、根の部分だけをキレイに取り除いてから乾燥させ、出荷しています。
はさみを使ってにんにくの根を切ることもできます。はさみを使う場合も可食部を傷つけないように根本からカットします。
にんにくの根切専用のハサミも販売されています。にんにくの根切専用のはさみは、にんにくの形にフィットするようになっているので、にんにくの可食部を傷つけずにしっかりと根を切り落とせるように設計されています。
ひげにんにくの定番料理は素揚げや天ぷらです。ひげにんにくを素揚げや天ぷらにすると、外側のカリカリの食感とひげにんにくのホクホクした食感を楽しむことができます。
素揚げや天ぷらの他にもバターじょうゆで焼いたり、ホイル焼きにして食べるのも人気があるようです。一般的なにんにくと同じようにカットして炒めものに使うこともできます。にんにくの風味がありながら臭いがきつくないので、人に合う約束をしているときでも安心して食べることができます。
にんにくの根に毒性はないものの、切り取ったにんにくの根だけを使う料理はありません。上述したようにひげにんにくの場合は根ごと食べますが、スーパーなどで販売されている通常のにんにくの場合は切り取った根は破棄するのが一般的です。
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