りんごの栄養素・成分、そして、それらの効能について解説していきます。
ヨーロッパでは「1日1個のりんごは医者を遠ざける」のことわざがあるほど栄養価が高いといわれています。体内の塩分を排出するカリウムやペクチンなどの食物繊維、ビタミンC、有機酸、ミネラル類が豊富に含まれています。
ただし、りんごには果糖やブドウ糖などの糖分も豊富なので、食べ過ぎには注意が必要です。
りんごはカリウムや食物繊維が多く含まれ、さらに有機酸やビタミン類も含まれます。そのため欧米では1日1個のりんごが医者を遠ざけると言われるほど。
β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換されます。皮膚や喉など全身の粘膜を健康に保ち、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐことで免疫力をアップします。また、抗酸化作用もあるので、アンチエイジング効果が期待できます。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目や視力低下の抑制効果、他にも皮膚の健康維持に関与していることから乾燥肌やニキビ肌の改善など美肌効果も期待できます。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。
カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。
リンの約80%はカルシウムやマグネシウムと結合して歯や骨の構成成分となっています。体内でビタミンB1やB2と結合して補酵素になり、糖質の代謝促進をします。さらに、エネルギー代謝にも関わり、エネルギー発生やエネルギーの貯蓄に関わっています。さらに筋肉や神経などの機能を正常に保つ効果もあります。
リンとカルシウムは血液中で一定のバランスを保っているため、この2つの成分のバランスがとても大切です。カルシウムとリンの割合は1:1で摂取するのが理想的な比率とされていますが、加工食品や清涼飲料水をよく飲食する人はリンを多く摂取しがちですので、カルシウムもバランスよく摂取するようにしましょう。
リンゴ酸は、疲労回復に効果があります。疲労の原因となる乳酸を減らすサポート作用があります。また、新陳代謝も活発にするので、疲れを取り除く働きもしてくれます。
リンゴ酸以外にも、クエン酸や酒石酸などの有機酸が含まれており、活性酸素の除去に役立つとされています。
りんごの皮に多く含まれるポリフェノールにりんごポリフェノール(プロシアニジン)があります。ポリフェノールは強い抗酸化力があるので、細胞などの老化予防に効果があります。また動脈硬化予防やアレルギー症状の抑制にも効果が期待できます。さらに、美白効果も期待できるので、美容を意識している人は積極的に取り入れたい栄養素です。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、りんごの食物繊維のほとんどが不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。
また、食物繊維はお腹の中で膨らむため満足感が高く、先に食べることで他の食事の食べ過ぎを抑えることができます。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
三大栄養素とは炭水化物・脂質・たんぱく質を指します。
可食部100gあたり
エネルギー...56kcal
水分...83.1g
たんぱく質...0.2g
炭水化物...16.2g
脂質...0.3g
食物繊維...1.9g
糖質は14.3gです(炭水化物から食物繊維を引いた値)。
いちご:糖質11.9g、31kcal
メロン:糖質9.8g、40kcal
温州みかん:糖質11.2g、49kcal
りんご:糖質14.3g、53kcla
マンゴー:糖質15.6g、68kcal
バナナ:糖質21.4g、93kcal
です。
他の果物と比べると、りんごのカロリーと糖質は平均的ですが、いちごやみかんよりも高くなっています。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
ビタミンCは熱に弱いと言われていますが、ビタミンC自体が熱に弱いわけではありません。ビタミンCには2種類あり、そのうちの1つが熱によって分解反応が加速してしまうためビタミンCが熱に弱いと誤解されています。
基本的に新鮮な果物や野菜に含まれるのは熱に強いビタミンCであるため、加熱によってビタミンCが大きく損失されることはありません。
焼きりんごやアップルパイなど、りんごを焼いて食べることがありますよね。
りんご100gあたり、焼くことでカリウムは120→170mg、β-カロテンは27→39mg、ビタミンCは6→7mgに増えます。
焼くことで水分が減り、100gあたりの栄養価が高くなったとことが考えられます。
りんごをジャムにすると、100gあたりのカロリーは203kcalにまで増えます。さらに、糖質は51.9gにもなるので、ジャムの食べ過ぎには注意しましょう。
りんごの皮には、食物繊維やアントシアニンなど栄養の3分の1が詰まっています。そのため皮を捨ててしまうのはもったいないです。なるべく皮ごと食べるようにしましょう。薄く輪切りにすると皮も気にならず、廃棄する部分も少なく済むのでおすすめです。また、まるごと食べるのも可◎
売られているりんごの表面がツヤツヤしていることってありますよね。皮膜剤(ワックス)が塗られているのかな、と思うことが多いかと思いますが、実はりんごそのものが持つ天然成分です。これは「油上がり」と呼ばれています。りんごは成熟するとリノール酸やオレイン酸などの脂肪酸が増え、皮に含まれるロウ物質を溶かして表皮に現れてきます。
りんごの本当に食べれない部分は種だけ!芯全体を切り落としてしまうのは、とてももったいないです。上述したように皮ごと輪切りにするのがおすすめです。そのまま種だけ抜いて食べるのが◎
ちなみに種には毒性があるので注意です。
りんごは熟すと、芯のまわりに蜜が出来ます。これは糖アルコールのソルビトールが滲み出てできたものです。はちみつに似ていることから「蜜」と呼ばれますが、実は甘いわけではありません。蜜ができているりんごは完熟しているので、全体の糖度が高く甘くなります。そのため、蜜=甘いと思われがちです。
皮を剥いたあと、変色してしまったりんごは、果汁100%のオレンジジュースに約10分間漬けるだけできれいな色にもどります。これは酸化して茶色くなった部分をビタミンCが還元してくれているからだそう。
りんごを通年おいしく食べられるのは、品質や風味が変化しない貯蔵法のおかげです。CA貯蔵法といって、Controlle Atmosphereの頭文字を取った、収穫後の果実の呼吸を抑えるために酸素や二酸化炭素、窒素の量を調整して鮮度を保つ技術です。
アルミ鍋の中に黒ずんでる位置まで水を入れ、りんごの皮や芯と沸騰させて15分間煮てから冷ますと黒ずみを落とすことが出来ます。その後、お米の研ぎ汁か、廃棄するくず野菜を煮立たせてよく乾かしてから使うといいでしょう。
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