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ソルベ・シャーベット・ジェラートの違いと使い分けを解説

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ソルベ・シャーベット・ジェラートの違いと使い分けを解説

ソルベとシャーベット、ジェラートはどれも冷菓です。それぞれ原料などが異なります。本記事ではソルベとシャーベット、ジェラートの違いを詳しく解説します。

日本のアイスの分類

ソルベとシャーベット、ジェラートはすべて原料となる食品を凍らせて作る冷菓の一種で、それぞれ原料や製造方法が異なります。

また、日本では冷菓について食品衛生法に基づく厚生労働省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)で、乳固形分などの分量によって下記の通り細かく分類されています。

  • アイスクリーム...乳固形分15%以上含み、うち乳脂肪分が8.0%以上のもの。

  • アイスミルク...乳固形分10.0%以上含み、うち乳脂肪分が3.0%以上のもの。

  • ラクトアイス...乳固形分3.0%以上含むもの。

  • 氷菓...乳固形分3.0%未満のもの。

日本の定義ではソルベとシャーベットは氷菓、ジェラートはアイスミルクに分類されます。ソルベとシャーベットの分類は同じですが、ソルベは乳固形分を全く含まないという点が異なります。

ソルベ・シャーベット・ジェラートの違い①原料

ソルベ

ソルベの原料は果汁にリキュールなどのアルコールを混ぜ合わせたシロップです。果汁ジュースやピューレにシロップを混ぜ合わせたものを原料に作るアルコールを含まないソルベもあります。

ジェラートやシャーベットとは異なり原料に牛乳などの乳製品が使われていないのが大きな特徴です。ソルベは日本では氷菓に分類されます。

フランス発祥の冷菓で、口当たりがさっぱりとしているソルベは、フランス料理でも肉料理を出した後に口直しとしてソルベが出されることが多いです。

シャーベット

シャーベットは基本的に果汁を主な原料とし、砂糖や香料、牛乳、卵白、ゼラチンなどを混ぜ合わせて作ります。

米国では乳脂肪分を1%〜2%含んでいるものを「シャーベット」、乳脂肪分を全く含まないものを「ソルベ」として販売しています。日本で販売されているシャーベットは米国に近く、乳脂肪分を含まれているものが多いです。日本の定義ではシャーベットも氷菓に分類されます。

シャーベットはアイスクリームやジェラートの原型といわれていて、古くは冷たい飲み物として扱われていました。そのためアラビア語で「飲み物」やジュースを意味する「シャルバト」が由来となって「シャーベット」と呼ばれるようになったといわれています。

ジェラート

ジェラートは、基本的に牛乳などの乳製品を主原料に果物やコーヒー、チョコレート、ピスタチオ、野菜など材料を加えて作ります。

日本の定義ではジェラートはアイスミルクに分類されます。ただし、日本のアイスミルクには濃厚な味わいに近づけるためにヤシ油や菜種油などの植物油を加えていることが多いのに対して、ジェラートは植物油脂を加えることがないという違いがあります。(ピスタチオなどのナッツ類は、風味づけの目的で使われています)

ジェラートは、イタリアのフィレンツェ発祥の冷菓です。イタリアの住む人にとって夏には欠かせないもので、「ジェラテリア」と呼ばれるジェラート専門店が多く立ち並んでいます。日本ではデザートとして食べられることが多いですが、ブリオッシュと呼ばれるパンにジェラートを挟んで朝食に食べることもあります。

ソルベ・シャーベット・ジェラートの違い②基本的な作り方

ソルベ

ソルベの作り方は様々ありますが、基本的には砂糖と水を煮詰めて作ったシロップにレモン汁などの果汁とアルコールを加えてバットなどに移して凍らせたあと、フードプロセッサーなどで撹拌してさらにシャリシャリになるまで凍らせて作ります。

オレンジなどの果物を皮を剥いて小さくきった状態で凍らせて、砂糖と一緒にミキサーにかけて撹拌するという方法もあります。果汁や果物ではなくオレンジジュースなどの果汁ジュースを使ったり、アルコール抜きで作ることもできます。

シャーベット

シャーベットも作り方は各国によって様々ですが、基本的に果汁をベースに砂糖や香料、牛乳や卵白、ゼラチンなどを混ぜ合わせた液体を空気を加えながら撹拌した後、型に流し入れて凍らせて作ります。

ソルベと同じように作ることができますが、乳製品が入っているという点でソルベよりも凍るのに時間がかかります。家庭で作る際は、ソルベと同じように乳製品を加えないで作られることが多いです。シャーベットはソルベとは異なりアルコールを加えて作ることはほとんどありません。

ジェラート

ジェラートは、基本的に牛乳などの乳製品をベースに果物やコーヒー、チョコレート、ピスタチオ、野菜など材料を混ぜ合わせた後、高機能ミキサーに入れて空気を混ぜ込みながら撹拌(かくはん)し冷却するという方法で作られます。

ソルベ・シャーベット・ジェラートの違い③食感・味

ソルベ

ソルベはシャリシャリとした食感が特徴です。また、乳製品を使っていないためあっさりとしています。上述したように、元々コース料理のお口直しとして出されるものがあるといったことから、レモンなどのさっぱりとした味わいのものが多いです。

シャーベット

シャーベットもソルベと同じようにシャリシャリとした食感がありますが、材料を撹拌する際に20~60%の空気が含まれるためソルベよりも口当たりが滑らかです。また、ソルベとは異なり乳製品が使われているためソルベよりも味が濃いものが多いです。

ジェラート

ジェラートは材料を撹拌する際に20~40%の空気が含まれます。シャーベットと比較すると空気の含有量は少ないため、密度が高くなり濃厚でねっとりとした形状になります。また、シャーベットよりも乳脂肪分が多く含まれているため、濃厚な味わいです。

ソルベ・シャーベット・ジェラートの違い④カロリー

ソルベ

ソルベのカロリーは、文部科学省の食品データーベースなどにも記載がないため不明ですが、乳脂肪分を含まないため、シャーベットやジェラートと比較してカロリーが低いと考えられます。ただし、果汁を主原料として作られるため、フレーバーによっては糖質量も多くなるでしょう。

シャーベット

シャーベットのカロリーは、フレーバーや製造メーカーによっても異なりますが、100gあたり128kcal程といわれています。

比較的カロリーが低いといえますが、シャーベットもソルベと同様に果汁を主原料に砂糖などの糖類も含まれているため基本的にはジェラートと比較して糖質量が多くなります。あっさりとした味わいから低カロリー、低糖質だと思われがちですが食べすぎないように注意が必要です。

ジェラート

ジェラートのカロリーもフレーバーによっても異なりますが、最もオーソドックスなバニラ(100g)は約184kcalで糖質量は約24gとなります。

ソルベやシャーベットよりも乳脂肪分を多く含むため、カロリーが高くなります。チョコレートやキャラメルなどフレーバーによっては200kcalを超えるものもあるため、ダイエット中の方はカロリーが低く糖質量の少ないフレーバーを選ぶと良いでしょう。

出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)