子持ち昆布はニシンが卵を産み付けた昆布です。 縁起の良い食べ物で、お正月に食べるおせちに入っていることが多いです。本記事では子持ち昆布について詳しく解説します。
子持ち昆布とは、ニシンが卵を産み付けた昆布です。
ニシンの卵は粘着性があり、昆布などの海藻にくっつくと卵同士密着し層を作り、孵化(ふか)するまでの期間を過ごします。子持ち昆布は孵化する前のニシンの卵がついた昆布を塩漬けにしたり味付けをして食べやすくしています。
昆布の旨味はもちろんのことニシンの卵のプチプチとした食感を楽しむことができます。
子持ち昆布の産地は、北太平洋です。現在は、主にカナダ東海岸のブリティッシュコロンビア州アメリカのアラスカ州で生産・収穫されています。昔は日本近海でニシンが多く獲れていましたが、近年は漁獲高が減ってしまったため、販売されている子持ち昆布の多くはカナダ産またはアメリカ産のものです。
天然の子持ち昆布とは、人間が手を加えず自然にニシンの卵がついた昆布を収穫したものです。ニシンは常に昆布に卵を産み付けるわけではないので、天然の子持ち昆布は見つけるのが難しく希少価値が高いです。また、天然の子持ち昆布は卵の層が薄いといった理由から現在はほとんどが人間が手を加え人工的に作られています。
「人工」といっても人間が昆布にニシンの卵を貼り付けているわけではありません。産卵期に浅瀬に近づくニシンの通り道に昆布を並べて吊るしておき、そこへニシンを誘導し昆布に卵を産み付けさせます。ニシンは昆布に幾重にも卵を産み付けるため、均等に卵を産み付けるように調整しながら適度な厚さの層になったら引き上げて収穫します。
昆布を吊るすタイミングや設置する場所など技量が必要となる他、資源保護のためニシン漁について厳しく管理されているため、カナダやアメリカのライセンスをもつ限られた漁師のみが子持ち昆布を作ることができます。
近年では、カラフトししゃもやホキなどニシンの卵以外の魚卵をほぐして昆布に付着させたものが子持ち昆布として販売されていることがあります。
例えばフジッコ株式会社が製造販売している「ふじっ子煮 こもち昆布」は、からふとししゃもの卵や、まだらの卵を使って作られてた佃煮です。厳密には子持ち昆布とは異なるもので、値段も子持ち昆布と比較して安価ですが、炊き込みご飯の具材として使ったり、おにぎりの具材として人気があります。
子持ち昆布はお正月に食べるおせち料理などに入っていることが多い食材です。
昆布はもともと「こんぶ」=「喜ぶ」という語呂合わせで縁起の良い食べ物として古くからお正月に食べたり結婚のお祝いとして贈られている食べ物です。さらにニシンの卵も子孫繁栄や子宝の象徴とされています。
子持ち昆布はまさに縁起の良い食材が組み合わさった食べ物であり、子孫繁栄の縁起物としておせちに入れて食べることが多くなりました。
数の子(かずのこ)とはニシンの卵です。
数の子も子孫繁栄や子宝を表す縁起物としておせちには欠かせない食材の一つです。
子持ち昆布と数の子はどちらもニシンの卵であり、子持ち昆布には「数の子昆布」という別名があります。子持ち昆布と数の子の大きな違いは、子持ち昆布はニシンが産卵した昆布を収穫しているのに対して、数の子はニシンの卵巣から産卵前の卵を取り出しているという点です。
市販されている子持ち昆布には塩漬けされたものと味付けされたものがあります。味付けされているタイプはそのまま食べることができますが、多くは塩漬けにされたもので塩抜きをして食べる必要があります。
子持ち昆布は薄い塩水に浸けて塩抜きをします。浸ける時間は半日〜1日程で、ほどよい塩辛さを感じる程度になったらザルにあけて完了です。急ぎの場合は、こまめに水を取り替えながら行うと早く塩抜きすることができます。塩抜きしすぎてしまうと味が全くしなくなってしまうので放置しすぎず様子を見ながら塩抜きを行いましょう。
塩抜きをした子持ち昆布は、そのままでもほどよい塩辛さとポリポリとした食感を楽しむことができますが、薄口醤油やめんつゆなどで味付けをして食べることが多いです。
子持ち昆布に薄口醤油をかけ鰹節(かつおぶし)を乗せて食べても良いですし、薄口醤油やみりん、酒、和風顆粒だしを混ぜ合わせたものに子持ち昆布を一晩漬けこんで食べても美味しく食べることができます。
また、和風の味付け以外にもマヨネーズやドレッシングをかけて食べるという方もいます。
子持ち昆布は寿司ネタとしても人気があり、スシローやすしざんまいなどのチェーン店でもメニューにあります。
寿司には塩抜きした後だしに漬け込んだものを使います。また、まぐろなどの生魚と異なり柔らかいネタではないためのりを巻いてご飯にくくりつけるような形にしていることが多いです。酢飯とよく合う味わいで、ポリポリとした食感を楽しむことができます。
サーモンなどの脂身の多い生魚を使った寿司と比較すると、カロリーが低いためダイエット中の方にもおすすめです。
子持ち昆布はパスタの具材として使うこともできます。
パスタの具材にするときは予めボウルなどに子持ち昆布とバターなどを入れておき、茹でたパスタを入れて混ぜ合わせます。ご飯によく合う子持ち昆布ですが、パスタにもよく合います。
子持ち昆布は加熱調理をして食べることもでき、特に天ぷらや串揚げなどの揚げ物が人気です。
天ぷらにするときは、塩抜きした後キッチンペーパーなどで水気を拭き取り衣をつけて揚げます。生でも食べられるものですので、じっくり火を通す必要はありません。衣がサクサクに揚がったら取り出します。めんつゆにつけて食べても良いですし、シンプルに塩をつけるだけでも美味しいです。
串揚げにする場合も、塩抜きした後水気を拭き取ります。串にさしたら卵と小麦粉を混ぜ合わせた衣をパン粉をつけて揚げます。少量の油で揚げ焼きにしても良いです。
天ぷらと串揚げは、衣のサクッとした食感と子持ち昆布のプチプチとした食感が合わさった独特の食感とほどよい塩味、昆布の旨みが感じられくせになる味わいです。お酒にもよく合い居酒屋のおつまみメニューとしても人気があります。
子持ち昆布100gに含まれている栄養素は下記の通りです。
たんぱく質…1.8g
脂質…0.2g
炭水化物…0.3g
食物繊維…0.1g
ビタミンA…1μg
ビタミンD…1.9μg
ビタミンE…0.1mg
ナイアシン…0.6mg
ビタミンB12…0.5μg
葉酸…1μg
ナトリウム…61mg
カリウム…19mg
カルシウム…3mg
マグネシウム…2mg
リン…11mg
鉄…0.1mg
銅…0.01mg
ヨウ素…600μg
子持ち昆布には、ビタミンAやビタミンE、ビタミンB12などのビタミン類や、ナトリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラル類が含まれています。
昆布には水溶性食物繊維のアルギン酸が含まれており、コレステロール値を低下させたり血圧を下げるなどの効果が期待できます。ニシンの卵にはDHA(ドコサヘキサエン酸)が含まれており、脂肪燃焼の促進などの効果がある他、思考力や記憶力の維持に大きく働きます。また、子持ち昆布に含まれるヨウ素は甲状腺機能に大きく影響し、体の発育や新陳代謝を促進させ役割があるため特にヨウ素が欠乏しやすい妊娠中は胎児の骨や脳の発育のためにも摂取しておきたい成分です。しかし、過剰摂取は早産や死産、胎児の甲状腺機能異常を引き起こしてしまう可能性があります。適量を食べるようにしましょう。
子持ち昆布100gあたりのカロリーは9kcalで糖質量(炭水化物から食物繊維を引いた値)は0.2gです。カロリーが低く糖質量も少ないためダイエット中の方にもぴったりです。ただし、調理法によってはカロリーが高くなり糖質量も多くなるので注意しましょう。
子持ち昆布は年末などおせちを作る時期にはスーパーなどで購入することができますが、常時取り扱っている店舗は少ないため、Amazonや楽天などのネット通販の利用がおすすめです。
子持ち昆布の値段は販売元にもよりますが、500g3000円〜4000円で販売されていることが多いです。上述したように安価なものは、ニシンの卵ではないものを昆布につけて作られていることが多いので原材料を確認してから購入するようにしましょう。
塩漬けにされた子持ち昆布の賞味期限は、2週間〜3週間程です。ただし、塩抜きしてしまうと日持ちしないため2日を目安に早めに食べきりましょう。
子持ち昆布は基本的に密閉できる容器に移して冷蔵保存します。冷蔵で販売されている子持ち昆布に関しては、冷凍してしまうと食感や風味が損なわれてしまうため必ず冷蔵庫で保存し賞味期限内に食べ切るようにします。
冷凍された状態で販売されている子持ち昆布は、冷凍庫で保存し食べるときは冷蔵庫に移して自然解凍するか流水で解凍します。冷凍された状態で販売されている子持ち昆布も再冷凍はできませんので、食べきれない場合は密閉できる容器に移して冷蔵庫で保管し、早めに食べきるようにしましょう。
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