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サラダ油とは?原料は?体に悪い?キャノーラ油との違いは?

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サラダ油とは?原料は?体に悪い?キャノーラ油との違いは?

サラダ油は、日本生まれの植物油です。スーパーなどで一般的に販売されている油なので、料理をする際に使ったことがあるという方は多いのではないでしょうか。本記事ではサラダ油の原料や製造方法、体に悪いといわれる理由などを解説します。

サラダ油の原料・製造方法

サラダ油は、低温でも結晶化しないように油に含まれている蝋(ろう)を除去した日本生まれの植物油です。

原料はメーカーによって異なりますが、綿実・大豆・ごま・サフラワー・ひまわり・とうもろこし・ぶどう・菜種・米が使われます。2種類以上の植物油を合わせていることもあり、その場合「調合サラダ油」といいます。

サラダ油などの植物油は、まず原料に含まれている茎や葉を取り除き精製した後に油分をとりやすくするために加熱したり、破砕、平たく潰すなどの前処理をして、圧搾式製法または抽出法で原料から油を抽出します。

抽出した油は、温水を加えてリン脂質を水和させた後に遠心分離機を使って油と分離し、リン脂質を取り除きます。リン脂質の性状からガム質と呼ばれこの製造工程を「脱ゴム」といいます。脱ゴムを行ったら、遊離脂肪酸や微量金属の一部や色素を取り除き脱臭をします。菜種油などの植物は脱臭を行った後ろ過し、容器に充填して完成しますが、サラダ油はろ過をする前に蝋(ろう)を取り除く「脱ロウ」という工程が入ります。

サラダ油は精製度が高く、低温下でも濁ったり固化することがないという特徴があります。

圧搾式製法は、化学溶剤を使わずに圧力だけで油を抽出します。中でも「玉締め圧搾法」と呼ばれる圧搾式製法は、機械でゆっくりと手間をかけ自然に近いかたちで抽出するため栄養価が非常に高くなります。


抽出製法は、ヘキサンなどの溶剤を溶かして油を抽出します。


圧搾式製法では原料残油が10~20%あり、この残りを採油するために抽出法を併用する圧抽法を使うこともあります。

サラダ油の由来

日本では古くから菜種油などの植物油を揚げ油や炒め油など加熱調理に使用しており、西洋のようにドレッシングにして生野菜にかけて食べるといった習慣はありませんでした。そこで日清オイリオ(日清オイリオグループ株式会社)が開発した非加熱でも濁ったり固まったりしないサラサラとした良質の油が「サラダ油」です。

「サラダにも使える油」という意味で「日清サラダ油」と名付けられました。英語では「salad oil」や「植物油」を意味する「vegetable oil」といわれます。

現在は日本農林規格(JAS規格)が定めている基準を満たしているもののみが「サラダ油」と表示して販売することを許されています。ちなみにお煎餅などのスナック菓子にも「サラダ味」がありますが、これらはサラダ油をからめて塩で味付けをしているものです。

出典:

キャノーラ油との違い

キャノーラ油は、菜種油の原料であるセイヨウアブラナを品種改良したキャノーラ種から抽出された植物油です。

セイヨウアブラに含まれている不飽和脂肪酸の一種「エルカ酸」や病害虫を寄せ付けない働きをしている「グルコシノレート」という成分を長期間摂取することが心臓疾患の要因になる可能性があるという研究結果が発表されて以降、主要生産国であるカナダで品種改良されエルカ酸を含まずグルコシノレート含量も削減された品種がキャノーラです。

「キャノーラ」は開発国である「canada(カナダ)」と「oil(オイル)」を組み合わせた造語です。

サラダ油とキャノーラ油の用途も同じで料理に用いるうえで違いはほとんどありませんが、非加熱で使うのに向いているサラダ油とは反対にキャノーラ油は熱に強く酸化しにくいという特徴があるため、揚げ油や炒め油に適しています。また、原料に使われている植物の品種が異なるため含まれている栄養素も若干異なります。例えばキャノーラ油はオレイン酸を多く含む他、菜種油の2倍のビタミンEを含みます。

サラダ油の用途

サラダ油は、ごま油などの植物油とは異なり無味無臭です。また上述したように精製度も高く不純物が少ないため様々な用途があります。

ドレッシング

サラダ油は製造工程で蝋(ろう)を除去しているため、冷えても濁ったり固まったりしないため非加熱でも使いやすく塩や酢などを加えてドレッシングにするのに適しています。サラダ油を使って手作りマヨネーズなども作ることができます。

揚げ油・炒め油

サラダ油は非加熱でも使いやすいという特徴がありますが、加熱料理に向いていないというわけではありません。もちろん揚げ油や炒め油としても使うことができます。

サラダ油はクセがなくあっさりとしているため、食材そのものの味を邪魔することがありません。

ただし、サラダ油は熱に弱く酸化しやすいため揚げ油として使う場合は何度も繰り返し使わないようにしましょう。酸化した油を使ってしまうと揚げ上がりがべちょっとしてしまいますし、味が落ちてしまいます。

焼き菓子

サラダ油はバターの代用品としてクッキーやケーキ、マフィン、カステラなどの焼き菓子やフォッカチャなどのパンを作ることもできます。

固形で使うときに常温に戻したり溶かす必要があるバターに対して、サラダ油は液体油脂であるため溶かす下準備が不要で使いやすいという利点があります。また、焼き上がりは油っぽくなりにくく、時間がたってもふわふわしっとりとした状態を保つことができます。ただし、バターを使うときとは風味が変わります。

サラダ油の栄養成分・カロリー

サラダ油100gに含まれている栄養成分は下記の通りです。

  • たんぱく質…0g

  • 脂質…100g

  • 炭水化物…0g

  • ビタミンE…12.8g

  • ビタミンK…170μg

  • オレイン酸…40000mg

  • リノール酸…34000mg

  • α-リノレン酸…6800mg

サラダ油には、不飽和脂肪酸の一種でオメガ9(n-9)系脂肪酸に属するオレイン酸と、オメガ6(n-6)系脂肪酸に属するリノール酸、オメガ3(n-3)系脂肪酸に属するα-リノレン酸を豊富に含み、その他にもビタミンEやビタミンKが含まれています。

サラダ油100gのカロリーは921kcalで、糖質量は0gです。油脂ですのでカロリーは高いです。摂取のしすぎは太ってしまう原因になるのでダイエット中の方は注意しましょう。

サラダ油が体に悪いと言われる理由

サラダ油が体に悪いと言われるのにはいくつか理由があります。

化学溶剤の使用

一つは、抽出法で油を抽出している場合、化学溶剤が使われているということです。スーパーなどで一般的に安価で売られているものは、コストを抑えて大量生産するために「ヘキサン」とよばれる溶剤を使った抽出法で油を抽出していることが多いです。ヘキサンは石油にも含まれている成分であるため「体に悪い」と言われています。商品として販売する際にはもちろん化学溶剤は除かれ、安全性をチェックしたものが販売されていますが、心配な方は「圧搾式製法」で抽出しているメーカーのサラダ油の購入がおすすめです。

トランス脂肪酸

二つ目は、トランス脂肪酸が含まれていることです。サラダ油などの油脂製品は基本的に製造過程で原料の独特の匂いや不純物を取り除くために、200度以上の高温で処理されます。高温で処理をする際に不飽和脂肪酸の一種であるトランス脂肪酸が生成されます。トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減少させる働きがあるため、大量に摂取することにより動脈硬化などによる心臓病のリスクを高めるといわれ、WHOのトランス脂肪酸の一日の上限値は約2g未満としています。これはサラダ油を使ってトンカツを揚げた場合、約10枚分に相当します。相当な量に思えますが、サラダ油に限らずトランス脂肪酸が含まれている食べ物は沢山あり、知らず知らずのうちに摂取していることもありますので揚げ物を大量に食べるなど過剰摂取は避けたほうが良いでしょう。

出典:農林水産省トランス脂肪酸に関する情報

遺伝子組み換え原料

日本で販売されているサラダ油の原料の多くは輸入品です。輸入品の場合、遺伝子組み換えによって開発された品種を使って作られているものが多いのですが、輸入品については遺伝子組み換えかどうかの表示義務がないため見分けるのが難しいのが現状です。

遺伝子組み換えの食材を避けている方は「国産原料100%」と明記されているものや、オーガニックの認定マークが付いたものを選ぶと良いでしょう。

カロリーが高い

やはりサラダ油は油脂ですのでやはりカロリーは高く、大さじ一杯(10g)でも90kcalもあります。そのためサラダ油はカロリーが高く太るというイメージが強い方が多いです。

しかし、体に良いと言われているオリーブオイルも実はカロリーはサラダ油と同じです。さらにサラダ油に含まれているオレイン酸にはコレステロール値を下げる働きがあり、完全に油を使わずに生活している人よりもある程度摂取している人の方が綺麗に痩せることができるともいわれています。

サラダ油がカロリーが高く太りやすいというイメージがあるのは、やはり揚げ油として使われるためでしょう。サラダ油には糖質0ですが、揚げ物に使われる衣は糖質が高くさらに油を多く吸収するためカロリーも高くなってしまいます。揚げものに使う場合は食べすぎないようにするなどやはり、摂取しすぎないようにすることが大切です。

サラダ油の売っている場所・値段

サラダ油はイオンや業務スーパーや西友などの一般的なスーパーで購入することができます。キャノーラ油など油脂製品が置かれている場所に陳列されています。

一般的にスーパーに置かれていることが多いのは、日清オイリオグループ株式会社が製造・販売している「日清サラダ油」です。上述したように原料や製造方法はメーカーによって異なるため、こだわりたいという方はAmazonや楽天などのネット通販の利用をおすすめします。

サラダ油の値段はメーカーによって異なります。例えば「日清サラダ油」は400g318円〜330円程で購入することができます。

サラダ油の賞味期限・保存方法

サラダ油の賞味期限は製造メーカーによって異なりますが、製造日から1年程です。ただし、表記されているのは未開封の場合や正しく保存できている場合の賞味期限です。特にサラダ油などの油脂製品は空気に触れることで酸化が進み劣化してしまうため、開封をしたら1ヶ月を目安に早めに使い切りましょう。

サラダ油は未開封、開封後共に直射日光の当たる場所や高温多湿の場所を避けた冷暗所で常温保存することができます。

賞味期限内であっても、色が濃くなっている場合や異臭がしたり、泡が出ている、粘りがでているなどの異変がある場合は酸化している可能性があるので使用を中止してください。酸化してしまったサラダ油は、味や風味が損なわれているだけではなく、食中毒を起こす原因になります。

サラダ油の捨て方

サラダ油などの油脂製品は、排水溝に流してしまうと排水管が詰まってしまう原因になります。また、そのまま川や海に流れ出てしまうと汚染に繋がりますので、適切に処理をする必要があります。

基本的には可燃ごみとして処分しますが、自治体によっては資源ごみとして回収している場合もあるので確認してみてください。

新聞紙に吸わせる

フライパンに1cmほどのサラダ油を入れて揚げ焼きにした場合など、それほど量が多くない場合は使ったフライパンに新聞紙を入れて油を吸わせて、可燃ごみとして処分しましょう。

紙パックに入れる

たっぷりサラダ油を入れて揚げ物をした場合など、油の量が多いときは牛乳パックなどの紙パックの中に新聞紙やペーパーを入れて、油を流し込み、ガムテープなどで漏れないように蓋をしてから可燃ごみとして処分します。気温の高い夏場などは自然発火を防ぐため、新聞紙やペーパーに水を少し含ませておきましょう。

紙パックが家にない場合は、ビニール袋に新聞紙やペーパーを入れて同様に油を流し込んで捨てることもできます。ビニール袋は二重にして漏れないようにしておくと安心です。

凝固剤で固める

凝固剤を使ってサラダ油を固めてからビニール袋などに入れて処分するという方法もあります。

凝固剤は一般的なスーパーをはじめドラックストア、100円均一でも手軽に購入することができるので用意しておくと便利です。使い方はメーカーによっても異なりますが、サラダ油がまだ熱いうちに投入して溶かすパターンが多いです。

凝固剤がない場合は、片栗粉で代用することも可能です。凝固剤のようにサラダ油の中に片栗粉を入れておくだけです。凝固剤を使うようにしっかりとは固まりませんが、ある程度固まり扱いやすくなります。

サラダ油の代用品

菜種油

菜種油(なたねあぶら・なたねゆ)はサラダ油と同じようにクセがなくあっさりとしているため、サラダの代用品になります。

菜種油は、アブラナ科アブラナ属の植物セイヨウアブラナの種子から抽出した植物油の一種です。サラダ油の原料としても使われています。

サラダ油は蝋が除去されているという点が菜種油として販売されているものとは異なりますが、用途はほぼ同じで、料理に用いるうえで違いはほとんどありません。菜種油は熱に強く酸化しにくいため、揚げ油や炒め油に使うのに適しています。

米油

米油もサラダ油の代用品になります。

米油は、玄米を精米する際に取り除かれる米ぬかと米胚芽から抽出した植物油の一種です。

ビタミンB群を中心としたビタミン類やカルシウムなどのミネラルなどの栄養素を豊富に含んでいる他、オレイン酸とリノール酸が理想的なバランスで含まれていて、なかでもビタミンEの含有量が植物油の中で最も多いといわれています。

米油は、上述した菜種油と同じく加熱しても酸化しにくく、揚げ油に適しています。米油を使って揚げ物をするとカラッと揚がり冷めても美味しさが長持ちする他、鍋につくゴミやべたつく油汚れが少ないという特徴があります。ニオイや味のクセがほとんどなく軽くてサラッとしているので、ドレッシングやお菓子づくりにもピッタリです。

太白胡麻油

太白胡麻油(たいはくごまあぶら)はクセがなく幅広い用途で使える油で、サラダ油の代用品として使うことができます。 

太白胡麻油は、ごまを原料に作るごま油の一種です。ごまには大別して「黒ごま」と「白ごま」があります。太白胡麻油の色から白ごまを使っていると思われがちですが黒ごまを使って作られていることもあり、多くは白ごまと黒ごまをミックスして使われています。

一般的に「ごま油」として販売されているものは、ごまを一度焙煎してから油を抽出しているのですが、太白胡麻油は生のごまから油を抽出しています。そのため、ごま油特有の匂いや風味がせず、揚げ油や炒め油に使っても食材の味を変えてしまうことがないので使いやすいです。また、ごまを原料に作られているためゴマリグナンなどの栄養素を多く含んでいます。

オリーブオイル

オリーブオイルはサラダ油の代用品になります。ただし、サラダ油とは原料が異なるため風味などに違いがでます。オリーブオイルはほとんど香りや風味がしないサラダ油とは異なり、オリーブの香りが濃厚なものも多いため料理によっては味が全く変わってしまうことがあるので注意が必要です。

オリーブオイルは、モクセイ科の植物オリーブの果実から抽出した植物油の一種です。

緑色でサラッとしていて高温に強く加熱しても酸化しにくいという特徴があり、揚げ油として使ったり炒め物をするときに使うことができる他、レモンなどを加えてドレッシングとして使うことも可能です。

マヨネーズ

マヨネーズはサラダ油を炒め油として使う場合の代用品になります。ただし、マヨネーズは卵や酢などを加えて作られているため、マヨネーズ特有の味がつきます。マヨネーズを加えても問題ない料理の場合は炒め油としてだけではなく味付けにもなるので一石二鳥ですが、マヨネーズと合わない料理の場合は味を損ねてしまうことがあります。また、原料に卵が使われているため卵アレルギーの方は代用品として使うことができません。

マヨネーズは、食用油や酢、卵を原料に作られている半固体状のドレッシングです。サラダにかけたり、玉ねぎなどを加えてタルタルソースを作るときに使われます。

カロリーが100gあたり679kcalと非常に高いため、ダイエット中の方は注意が必要です。