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白玉粉・上新粉・もち粉・だんご粉の違いと使い分け

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白玉粉・上新粉・もち粉・だんご粉の違いと使い分け

白玉粉・上新粉・もち粉・だんご粉の違いをご存知でしょうか。全て米を原料にして作られる米粉の一種ですが、米の種類や製造方法が異なるためそれぞれ異なる特徴があります。本記事では白玉粉・上新粉・もち粉・だんご粉の違いを解説します。

米粉の定義と種類

米粉は米の粉化製品の総合総称です。本記事で紹介する白玉粉・上新粉・もち粉・だんご粉はすべて米粉です。

米粉は大別してもち米から作られるものと、うるち米から作られるものがあります。

うるち米は一般的に食べられている半透明のお米のことです。有名な品種にはコシヒカリやあきたこまちなどがあります。もち米は白く不透明で、お餅やお赤飯にする粘性のあるお米のことです。

また、製法によって「アルファ型(α型)」と「ベータ型(β型)」に分類されます。
白玉粉・上新粉・もち粉・だんご粉はすべてアルファ型です。(それぞれの詳しい製造方法は後述します。)

「アルファ型」は、製造の過程で加熱処理していない米粉を指し、「生粉製品(なまこせいひん)」ともいいます。


「ベータ型」は、製造の過程で加熱処理している米粉を指し、「糊化製品(こかせいひん)」ともいいます。ベータ型の米粉はみじん粉や寒梅粉、道明寺粉などがあります。

ちなみに、一般的に「米粉」または「米の粉」という名称で売られている商品は単に「製菓用米粉」と呼ばれます。原料がうるち米かつベータ型で、粒子がとても細かいという特徴があります。

白玉粉とは

原料・製造方法

白玉粉の原料はもち米です。

まずもち米を水洗いして12時間程度水に浸して吸水させます。吸水させたら原料に対して1〜2倍の水を加えながら石臼で水びきします。この時に出る乳液をふるいにかけて粗粒を分離して、再び粗粒を水びきしたら、沈殿したもの(でんぷん)を圧搾機で脱水し、脱水したものを賽の目切りにして乾燥させるという製造方法で作られています。

米粉の中でも製造工程が多いため、上新粉やもち米などと比較して販売価格が高いです。

特徴

白玉粉は、充分に乾燥し光沢がある純白で微細な粉末のものが良質であるとされています。

白玉粉の見た目は白いです。粒子は細かく、細かなかたまりがたくさんありザクザクとしています。サラサラとした粉状になっていないのは、もち米からでんぷんを取り出し、一度賽の目に切ってから乾燥させているからだと考えられます。品質が悪いからではありません。白玉粉の細かいかたまりは、触れるとすぐに崩れます。

白玉粉の原料であるもち米のでんぷんは、粘り気を出す働きのあるアミロペクチンでできているので白玉粉には強い粘り気を出すという特徴があります。

用途

白玉粉は、白玉団子や大福などの和菓子に使われることが多いです。

和菓子作りだけではなく、料理に白玉粉を使うこともできます。例えば、白玉粉の原料はもち米なので、白玉粉を入れてご飯を炊くことでもちもちとした食感が出て、もち米がなくてもおこわ風の炊き込みご飯を作ることができます。

また、白玉粉ももち米のでんぷんを取り出して作られているため、じゃが芋のでんぷんを取り出して作られている片栗粉と同じように、料理にとろみをつけることができます。白玉粉は粒が細かいので片栗粉よりもだまになりにくく、片栗粉と同じように濃厚なとろみをつけることができます。

小麦粉の代用として、揚げ物の衣として使うこともできます。揚げ物の衣として使うとサクサクでしっかりとした食感のある仕上がりになります。また、白玉粉は油の吸収率が小麦粉よりも低いので白玉粉を衣にして揚げると、サクサク感が長続きしますしカロリーを低くすることができます。

団子にしたときの食感

白玉粉は粒子が細かいため、白玉粉を使って作る団子の表面はつるんとしていて、なめらかで柔らかい食感になります。また、冷めても固くならないという特徴があり、あんみつなど冷やして食べるときに使われることが多いです。

上新粉とは

原料・製造方法

上新粉の原料はうるち米です。

2ロール製法という製造方法で製粉したうるち米をふるいにかけて粒子の粗いものと細かいものとでわけたもののうち、目の細かいほうが上新粉になります。ちなみに目の粗いほうは「並新粉(なみしんこ)」になります。上新粉と並新粉の総称を「新粉(しんこ)」といいます。

2ロール製法は、水洗いした米を乾燥させロール製粉機で製粉するという方法です。胴搗き製法したものよりも強い粘性がありますが、水分量が少ないため硬化が早いです。

特徴

上新粉の見た目は白く、サラサラとしています。粒子の大きさは白玉粉と同程度です。

上新粉の原料であるうるち米のでんぷんは、約2割がアミロースで約8割が粘り気を出す働きのあるアミロペクチンでできているため粘度はもち米より劣りますが、ほど良い粘りを出すという特徴があります。

上新粉の糊化温度(粘りを出す温度)は、90℃前後と白玉粉などと比較して高めです。そのため、団子を作る場合など粘りを出したい場合はお湯でこねる必要があります。

用途

上新粉は食品の表面を滑らかにし、やわらかくもっちりとした歯ごたえを出します。そのため、まんじゅうの主原料として使われます。また、お湯を加えてこねるとお餅のようにな粘りがでるという性質を利用して、団子や柏餅、すあま、ういろうなどの和菓子を作る際に使われることも多いです。

また、上新粉も料理にとろみをつけることができます。上新粉の粘度は低いため、さらっとしたとろみになります。そのため、ホワイトソースを作るときなどに適しています。

小麦粉の代用として、揚げ物の衣として使うこともできます。上新粉の油の吸収率も低いため、小麦粉を衣にするときと比較してカラっと揚がり、サクサクとした食感を持続させることができる他、カロリーが低くなります。

団子にしたときの食感

上新粉は粘度は低いため、上新粉で作った団子はあまりのびずにちぎれます。そのため、歯切れがよくしっかりとしたコシと歯ごたえのある食感になります。

もち粉とは

原料・製造方法

もち粉の原料はもち米です。

原料は白玉粉と同じですが、製造方法が異なります。

もち粉の製法は、

  • 2ロール製法

  • 胴搗き製法(スタンプミル製法)

  • 衝撃製法

の3種類あります。

2ロール製法は上記で説明したものです。

胴搗き製法(どうつきせいほう)は、精米後にもち米の水分が多く保たれた状態で、杆搗き臼(きねつきうす)で徐々に細かくしていく製法です。別名杵搗き式(きねつきしき)ともいいます。時間はかかりますが、良い粉を得ることができます。関西では、古くから胴付き製法で作られています。


衝撃製法

回転盤に角柱状の突起が複数ある機械にもち米を入れ、その回転盤が高速回転することで製粉する製法です。急激に粉砕することにより、熱が発生しでんぷんの質が落ちるため粘性やコシが落ちますが、粒子の大きさが均等になります。

特徴

もち粉の見た目も白くサラサラとしていて、白玉粉よりも粒子が細かいです。

もち粉の原料はもち米であるため粘度が高く、水で溶くとお餅のようになる性質があります。

もち米のでんぷんを乾燥させて粉状にしている白玉粉とは異なり、もち米をそのまま粉状にしているためもち米の風味が強いです。

用途

もち粉は、求肥の材料として使われることが多いです。そのため全国的に「求肥粉」ともいわれています。関西では「もち粉」といわれることが多いです。

求肥の他には、大福やしるこ、最中などの和菓子を作ることができます。また、和菓子だけではなく、もちもちの食感を出すためにケーキなど洋菓子を作るときの材料としても使うこともあります。

揚げ物の衣としても使うことができます。もち粉を衣として使った代表的な料理には「モチコチキン」があります。モチコチキンはハワイの料理で、日本でいうところの唐揚げです。

団子にしたときの食感

もち粉は粒子が細かく粘度が高いため、もち粉で作った団子は口当たりなめらかでよく伸びます。お餅と似た食感であるため、ぜんざいなどに入れて食べることが多いです。

だんご粉とは

原料・製造方法

だんご粉の原料はもち米とうるち米です。

だんご粉は、うるち米ともち米を(2つのお米の割合はメーカーによって異なります)精白し、水につけたあと挽き、乾燥させるという製法で作られています。メーカーによっては、でんぷんを入れている場合もあります。

特徴

だんご粉の見た目も白くサラサラとしています。白玉粉や上新粉、もち粉と比較して粒子は粗いです。

だんご粉はもち米とうるち米の両方を原料にしているため、もち米を原料にしている白玉粉ともち粉、うるち米を原料にしている上新粉の中間程度の粘度があります。

用途

だんご粉は、その名の通り団子を作るのに適しています。加熱後にこねなくてもほど良い粘りを出すことができるため、初心者の方でも簡単に団子を作ることができます。

だんご粉は、団子の他にも求肥や大福などの和菓子を作ることもできます。ただし、だんご粉は冷めると伸びくくなってしまいます。そのため、だんご粉を使って大福を作る場合は生地が冷めないうちにあんこを包む必要があります。

だんご粉を使ってクッキーやチーズケーキなどの焼き菓子を作ったり、揚げ物の衣にすることもできます。だんご粉を使うとしっかりとした歯ごたえを出すことができます。

団子にしたときの食感

だんご粉はもち米とうるち米の両方を原料にしているため、だんご粉で作る団子は柔らかくなりすぎずしっかりとしているため、串団子にするのにぴったりです。しっかりとしたコシと歯ごたえがあります。