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ニラの食べ過ぎは危険?適量はどのくらい?吐き気の対処法は?

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ニラの食べ過ぎは危険?適量はどのくらい?吐き気の対処法は?

日本で古くから食べられている緑黄色野菜のニラですが、食べ過ぎるとリスクがあることはご存知ですか?

ニラが食べ過ぎNGな理由

アリシンによる吐き気・胃痛

ニラにはアリシンという香気成分が含まれています。アリシンはニンニクやネギに多く含まれています。

アリシンは殺菌作用が強く、刺激が強いのが特徴です。そのため食べすぎると胃壁や腸内を刺激してしまい、胃痛や下痢などの症状が出てしまいます。胃腸が弱っているときは摂取量を控えた方がいいでしょう。

一般的な対処法は、

  • 白湯など水分を摂って安静にする

  • それでも腹痛が収まらなければ、病院へ

  • ニラを食べる前に乳製品を摂取しておく

です。

水分を摂取して胃の中を薄め、安静にしましょう。それでも腹痛や頭痛などが治らない場合は、アリシンの刺激ではなくアレルギー等の可能性もあるので、医療機関に相談をして治療を受けましょう。

事前に乳製品を摂取しておくことで胃粘膜が保護され、アリシンの吸収を抑えることができるといわれています。

また、腹痛にならなくとも臭いが強いため、食後の口当たりが悪く、気持ち悪くなることがあります。口臭が気になるということも...。りんごに含まれるリンゴ酸がアリシンを分解する作用があるといわれているため、口臭対策にリンゴジュースがおすすめされます。

栄養が偏る

ニラの食べ過ぎは、アリシンによる胃痛以外に、栄養が偏ることが懸念されます。

ニラに不足している栄養素には、例えば、ビタミンB12とビタミンDがあります。ビタミンB1、B2も少なめです。

ビタミンB1は糖質がエネルギーに変わるのを助ける大切な栄養素で、不足すると疲労が感じやすくなります。日本人に不足しがちな栄養素として有名です。

野菜にあまり含まれていないビタミンB12・Dは、ニラにも含まれていません。ビタミンB12には赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります。不足すると、骨粗しょう症や貧血のリスクが伴います。レバーや牡蠣、あさりやしじみ、海苔などに多く含まれています。ビタミンDは骨の形成を助け、ビタミンB12は赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります。不足すると、骨粗しょう症や貧血のリスクが伴います。ビタミンDは、肉類や卵に多く含まれています。

様々な食材を積極的に摂取し、バランスの良い食事を心がけましょう。

ニラと似たスイセンに注意

「スイセン」というニラに似た植物があります。このスイセンには毒が含まれており、食べると食中毒を引き起こし、下痢や嘔吐などの症状が出ます。

見た目が酷似しているため一見ニラかスイセンどちらか分からないことが多く、2022年4月には、ニラと勘違いしてスイセンを幼稚園の給食に出してしまい、園児が食中毒を起こしてしまう事件もありました。

大きな差は、臭いです。スイセンはちぎって嗅いでもニラ特有の臭いがしません。またニラは平たくやや厚みがありますが、スイセンは中央が浅くくぼんでいます。そしてスイセンには鱗茎(球根)がありますが、ニラにはありません。

「ニラ」を譲ってもらった場合は注意しましょう。

食物繊維による便秘

特段多いわけではありませんが、ニラには食物繊維が含まれています。食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、ニラには両方が含まれています。

不溶性の食物繊維は腸内の水分を吸収してカサを増やし、便の量を多くすることで、大便の蠕動(ぜんどう)運動を触発して便秘の解消をしてくれます。また、腸内の有害物質が腸壁に触れる時間を短くしてくれます。しかし、摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になります。

水溶性の食物繊維は、腸内の有害物質が体内に吸収されるのを防ぎ、素早く便として体外へ排泄してくれます。また、食べた時の血糖値の上昇速度を緩やかにしてくれます。しかし、水溶性食物繊維は摂りすぎると軟便や下痢症状を引き起こします。

便秘や下痢にならなくても、食物繊維の摂り過ぎは、気持ち悪くなったり、腹痛になる場合もあります。

薬の飲み合わせに注意

ニラには比較的多くビタミンKが含まれています。

ビタミンKには、ワルファリン(ワーファリン、クマジンとも言われている)という抗凝血剤(血栓の治療薬)の効果を低下させる可能性があります。

というのも、ワルファリンは血液を固まりにくくし血栓ができるのを防ぐ作用があります。しかしビタミンKは血液が固まるのに必要な成分であるため、効果を下げてしまいます。

ただし、モロヘイヤやブロッコリー、ほうれん草など他の食品と比べてもそこまで多く含まれていないため食べすぎなければ気にする必要はないと思います。

ビタミン過剰症の心配はない

ビタミンAの過剰摂取はとても危険です。過剰摂取によって頭痛や筋肉痛、皮膚の乾燥や脱毛などの症状が現れます。また妊婦さんは特に気にかけた方がよく、妊娠初期に過剰摂取すると胎児に器官形成異常が怒ってしまう可能性が高くなることが分かっています。ただし、体内でβカロテン全てがビタミンAに変換されるわけではなく、必要量のみビタミンAに変換されます。そのためニラをたくさん食べてもビタミンAの過剰症になることはありません。

ビタミンCは過剰摂取すると下痢や便秘、腹痛などを引き起こすことがあります。これは消化器官に不調をきたすためです。もし肝臓機能に障害がある場合は尿路結石のリスクが高まるとも言われています。また、虚血状態である場合、ビタミンCを摂りすぎると細胞死を招く可能性があります。ただし、ビタミンCは多く摂取しても、余剰分は尿と一緒に排出されるので、体内に多くのビタミンCが蓄積されることはほとんどありません。そのため特に食品からビタミンCを摂取する場合は、摂りすぎの心配はありません。

高カリウム血症の心配はほぼない

細胞内液に存在するカリウムは、細胞外液にあるナトリウム(塩分)とお互いに作用しながら細胞の浸透圧を維持し、どちらかの水分量が多くならないように、適正な水分を保っています。つまり、カリウムには、余分なナトリウム(塩分)を体外へ排出を促す作用があります。

カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。高カリウム血症の症状は、軽度ならば筋力低下がみられる程度ですが、重度の場合は不整脈や心停止することがあります。

日本人は塩や醤油、味噌を使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。

太る心配もほぼない

ニラ100gあたりのカロリーは18kcalで糖質は1.3gです。糖質が高い野菜ではないので、食べ過ぎによって太ってしまうという心配はあまりありません。ニラに限らず野菜は基本的にカロリーや糖質が低いのでたくさん食べて太ることはないでしょう。ただ、味付けには注意が必要です。砂糖や油、塩分を多く使って調理するとその分カロリーは上がってしまいます。

ちなみに、ごはん100gあたりカロリー156kcalで糖質35.6gです。

出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)

ニラの1日の摂取目安量

ニラの1日の摂取目安量は明確に定まっていませんが、厚生労働省が発表している各栄養素などの摂取目標量などを基準に目安を把握することはできます。

緑黄色野菜

大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。

緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。

ニラは緑黄色野菜に分類されるので、他の緑黄色野菜と合わせて、120g以上を目安にすればよいでしょう。他の緑黄色野菜を食べることを考慮すると、ニラの1日あたりの摂取量は50gあたりが妥当といえます。

出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)

食物繊維

食物繊維は不足している人が多いことから、摂取目標量が設定されています。厚生労働省が発表してる日本人の食事摂取基準(2020年版)における、18〜64歳の食物繊維の1日あたりの摂取目標量は女性が18g以上、男性が21g以上です。キャベツなら2玉以上分の食物繊維です。

ニラ100gには、食物繊維が約2.7g含まれています、そのため、ニラ660〜770gで目標量を超える計算となります。実際には他の食品にも食物繊維は含まれるので、これくらい食べたら明らかな食べ過ぎといえます。ニラは一束100〜200gほどです。

食物繊維を多く含む食材には、玄米やとうもろこしなどの穀類、グリーンピースをはじめとした豆類、ごぼうやれんこんなどの根菜類、モロヘイヤなどがあります。

出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)

ニラの栄養素

ニラの食べ過ぎはよくありませんが、適量を食べれば素晴らしい効能が期待できます。

アリシン

アリシンはにおいや辛味成分のひとつで、硫化アリルの仲間です。

アリシンは糖の代謝を促し、エネルギーを生み出すビタミンB1と結びついて吸収を助けその効果を持続させる働きがあります。ビタミンB1には疲労回復や滋養強壮に効果があります。
また、アリシンはビタミンB1と協力して、血糖値を正常に保つインスリンを分泌し血糖値の上昇を抑え糖尿病を予防します。コレステロール値の上昇も抑えるので、高血圧をはじめとする生活習慣病予防の効果が期待されています。
さらにアリシンには抗酸化作用あるので、その点でも生活習慣病予防に役立つとされています。

そしてアリシンは血液が固まりやすくなるのを防ぎ血栓が出来ないようにする効果もあり、脳梗塞や心筋梗塞の予防にも役立ちます。不規則な生活習慣などで血流の流れが悪くなり、血栓ができやすくなった身体にとても大事な成分です。

また、アリシンは強い殺菌力があるので風邪予防にも役立ち、またアリシンの香りが食欲増進と消化吸収上昇の効果があります。

アリシンは時間で変身する成分です。
10分で活性ピーク、15分以上立つと血糖値を抑えるジスルフィドになり、30分以上立つと血栓予防効果のあるトリスルフィドに変化します。

セレニウム(セレン)

セレニウムはセレンとも呼ばれているミネラルで、肝臓や腎臓に存在しています。セレニウムは、活性酸素を分解する働きのあるグルタチオンペルオキシダーゼという酵素の生成に不可欠です。活性酸素は細胞の老化を進めてしまうため、セレニウムは老化予防に大事な成分です。またセレニウムは酵素の成分として甲状腺ホルモンの代謝やビタミンCの代謝にも関与していおり、健康に不可欠です。基本的にはレバーなどの肉類や魚介など動物性食品に含まれています。

β-カロテン

β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換される成分のうちのひとつで、その中でも最も活性が高くなっています。

β-カロテンには強い抗酸化作用があり、体内に発生した活性酸素を除去します。活性酸素は本来ウイルスと闘うなど健康維持に大切ですが、増えすぎると害を及ぼし、老化の促進などに繋がります。活性酸素はストレスや紫外線、不規則な生活習慣や加工食品、また喫煙などによって増加しすぎると言われています。

ビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目もあり、夜盲症の予防や視力低下の抑制があります。そのため、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぎ感染症を予防する効果が大きく、免疫力を高めます。また皮膚の健康維持に関与していることから、美肌効果もあります。皮膚の新陳代謝が高まることで、乾燥肌やニキビ肌の改善が考えられます。

ビタミンC

ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。

さらにビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
また抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。

多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。また喫煙者はビタミンCの消費が激しいので、一般成人の2倍は摂ることをおすすめします。

ビタミンE

通常、野菜からはなかなか摂れないと言われているビタミンEが、ニラには含まれています。
ビタミンEは抗酸化作用があります。体内の脂質が酸化するのを抑え、老化の予防をしてくれます。ビタミンEは血液中の悪玉コレステロールの酸化を抑える働きがあり、酸化によって進行してしまう動脈硬化の予防に役立ちます。さらにビタミンEは末梢血管の拡張させる働きがあるため、血行促進に繋がります。

また副腎や卵巣にも蓄えられる成分で、女性ホルモンや男性ホルモンなどを含むホルモンの代謝にビタミンEは関与しています。性ホルモンの生成や分泌の調整をする脳下垂体に働きかけ生殖機能の維持にも役立ちます。ビタミンEを十分に摂取することで、生理痛や月経前のイライラ、また生理不順などを改善する効果もあります。

ビタミンK

ビタミンKは血液を凝固させる成分を合成する働きがあり、出血を止める役割があります。月経による出血が多い場合も、症状を軽減する効果が期待できます。ただ、血液は出血している箇所以外(血管内など)は正常に流れていなければなりませんが、ビタミンKは血流が悪くならないよう凝固の抑制にも働きかけています。

さらにビタミンKは、骨から血液中にカルシウムが放出されるのを抑え、骨にカルシウムが沈着するのを助けてくれます。そしてカルシウムの合成に必要なたんぱく質を生み出し、腸内でカルシウムが吸収されるのを助けます。ビタミンDと並び、健康な歯や骨を作るのに欠かせないビタミンです。

加齢や女性ホルモンの減少、またダイエットなどにより骨密度は低下します。それが重症化すると骨粗しょう症を発症します。特に女性に多いこの病気とされているので、日頃からカルシウムの吸収を助けるビタミンKとビタミンDを一緒に摂り、骨密度アップを心がけましょう。