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くず餅とわらび餅の違いとは?カロリーや味、原料、作り方を比較

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くず餅とわらび餅の違いとは?カロリーや味、原料、作り方を比較

涼しげでつるんとした食感が美味しいくず餅とわらび餅ですが、味や食感、原料・製法などに違いがあるのはご存知ですか?本記事ではくず餅とわらび餅の違いを分かりやすく解説していきます。

くず餅とわらび餅の違い①原料

くず餅

まず「くずもち」には関東風の「くず餅」と、関西風の「葛餅」の2種類があります。名前が同じことや食べ方が似ているため同じものだと認識している人が多いですが、実は全くの別物です。

くず餅は、関東の銘菓で「久寿餅」と表記することもあります。

くず餅の原料は、グルテン(麩質)を取り除いた後に残る小麦粉でんぷんです。「くず」という名前がついていますが、原料に葛粉は使われていません。

葛餅

葛餅の原料は、葛粉(くずこ)または、本葛粉(ほんくずこ)です。

葛粉は、マメ科植物葛の根から得られるでんぷんを乾燥させて粉状にしたでんぷん粉の一種です。

葛の根っこの部分を掘り起こし、粉砕して水の中でもみだし根の中に含まれているでんぷんを沈殿させた後、水で晒してアク抜きし沈殿させる工程を何度も繰り返しで不純物を取り除き、適当な大きさに砕いて乾燥させるという製造方法で作られています。

葛粉は生産量が少なく高価であるため、最近ではさつま芋のでんぷんを乾燥させて粉状にした甘藷澱粉(かんしょでんぷん)や、じゃが芋のでんぷんを乾燥させて粉状にした馬鈴薯澱粉(ばれいしょでんぷん)などと合わせたものが「葛粉」として販売されています。製造メーカーによってくず粉の配合量などは異なり、近年では全くくず粉を配合していない甘藷澱粉100%のものが「葛粉」として販売されていることも多いです。

葛粉以外のでんぷん粉を配合していないものを「本葛粉(ほんくずこ)」といいます。

わらび餅

わらび餅の原料はわらび粉または、わらびもち粉です。

わらび粉は、シダ植物の一種であるわらび(蕨)の根からとれるでんぷんを原料にして作られたてんぷん粉の一種です。

地下に埋まっているわらびの茎を掘り出し、20cm〜25cmほどに切り、臼で粉砕します。粉砕したら水を加えてでんぷんを洗い出し、水洗いします。水洗いしたら、再びでんぷんを沈殿させて洗うの作業を繰り返すという製造方法で作られています。

わらびから採れるでんぷん粉はわずか7〜8gと少なく、さらに製造に手間がかかることから価格が高いです。
スーパーなどでは、わらび粉に甘藷澱粉や馬鈴薯澱粉などを合わせた「わらびもち粉」が安価で販売されています。

わらび粉のみを使用したものは「本わらび粉」といいます。

くず餅とわらび餅の違い②作り方

くず餅は、和菓子で唯一の発酵食品であり、葛餅やわらび餅とは作り方が大きく異なります。

また、葛餅とわらび餅の作る方は非常によく似ていますが、完全に同じというわけではありません。葛餅は本葛粉に水を入れて溶いた後に火にかけて、透明になったら冷やし、冷やした後に食べやすい大きさに切ってきな粉や黒蜜をかけて完成します。一方わらび餅は、わらび粉に水を入れて溶いた後に火にかけて、透明になったらきな粉をまぶし、食べやすい大きさにした後に粗熱をとって黒蜜をかけて完成します。

くず餅の作り方

くず餅は、まず水で練った小麦粉を水中で揉んでグルテン(麩質)を取り除いた後、残った小麦粉でんぷんを、1年〜2年寝かせて発酵させます。次に発酵させた小麦粉でんぷんの中に水を入れて不純物を取り除き、加熱をします。加熱をしてとろみのある液体になったら、型に入れて蒸して完成です。

くず餅は1〜2年かけて発酵させて作る必要があるため、自宅で作るのは非常に難しいです。

葛餅の作り方

材料(12×15cmの流し缶1台分)

  • 本葛粉…50g

  • 水…250ml

  • きな粉…適量

  • 黒蜜…適量

作り方

  1. 本葛粉をボウルにいれて、水を加えてよく混ぜる。
  2. ザルでこしながら鍋に入れ、火にかけて透明になるまで練る。
  3. 透明になったら流し缶へ入れ、氷水に入れるなどして冷やす。
  4. 冷えたら、流し缶から取り出して食べやすい大きさに切る。
  5. きな粉や黒蜜をかける。

まず、本葛粉をボウルに入れたら、水を加えてダマにならないようによく混ぜます。混ざったら、ザルでこしながら鍋に入れて火にかけ、透明になるまでよく練ります。次に透明になった生地を流し缶に入れて、流し缶ごと氷水に入れて冷やします。冷やしたら、食べやすい大きさに切り、きな粉や黒蜜をかけて完成です。

わらび餅

材料(4人分)

  • 本わらび粉…50g

  • 水…250ml

  • グラニュー糖…150g

  • きな粉…適量

  • 黒蜜…適量

作り方

  1. ボウルに本わらび粉を入れる。
  2. 水を少しずつ加え、粉のかたまりを指で軽く握って潰しながら溶かしていく。
  3. ざるでこしながら鍋に入れ、グラニュー糖を加える。
  4. 鍋を中火にかけ、かき混ぜながら煮る。
  5. 半透明になり艶が出て強い粘りが出てきたら、きな粉を敷いたバットの上に移す。
  6. まんべんなくきな粉をまぶす。
  7. 一口大に丸める。

まず、ボウルに本わらび粉を入れます。ボウルに入れたわらび粉に、水を少しずつ加えながら粉のかたまりを指で軽く握って潰します。ダマが残らないようにサラサラになるまで潰しましょう。指で潰してもダマが残っている場合があるので、ざるでこしながら鍋に入れ、火をかける前にグラニュー糖を加えます。次に、鍋を中火にかけて、木べらでかき混ぜながら煮ます。このとき、底から返すように混ぜてしまうと、うまく粘り気が出ないので、鍋肌(鍋の内側の側面)に沿って混ぜるのがポイントです。生地が半透明になり、艶が出て強い粘り気が出てきたら、きな粉を敷いたバットに移してきな粉をまぶし、一口大に丸めます。一口大に丸めて粗熱がとれたら黒蜜をかけて完成です。

食べる直前に冷蔵庫で冷やしても美味しく食べることができますが、本わらび餅で作るわらび餅は冷やしすぎると固くなってしまうので冷やしすぎないように注意が必要です。

くず餅とわらび餅の違い③特徴

くず餅の食感・味

くず餅は乳白色で弾力があり、歯切れが良い食感が特徴です。でんぷんのたんぱくな味で、製造過程で発酵させているためほのかな酸味があります。

くず餅は、ひし形に切ってきな粉や黒蜜をかけて食べることが多いです。子孫繁栄や長寿の願いが込めて「菱餅(ひしもち)」と同じようにひし形に切るようになったといわれています。

また、くず餅は葛餅やわらび餅にはない発酵臭がかすかにします。多くの人がくず餅が発酵食品であることを知らないため「腐っているのではないか」と驚くようですが、腐敗しているわけではありません。

葛餅の食感・味

葛餅の見た目は透明で、ぷるんとした食感が特徴です。冷やしても透明感が失われることはなく、なめらかな口当たりでのどごしが良いです。

本葛粉で作られた葛餅は、若干の苦味がありますが、砂糖を加えて作ることで苦味を抑えることができます。

わらび餅の食感・味

わらび餅はもっちりとした弾力と、コシのある食感が特徴です。

わらび粉以外のでんぷん粉が配合されている「わらびもち粉」を使ってわらび餅を作ると、透明な見た目になります。

本わらび粉を使って作るわらび餅は黒くなり、良く伸びます。また、甘藷澱粉など水分を多く含むことができるでんぷん粉を使用していないため固くなってしまうのが早いです。そのため、本わらび粉で作るわらび餅は、できたて30分以内に食べるのがより美味しく食べるポイントです。

くず餅とわらび餅の違い④成分・カロリー

くず餅

くず餅に含まれる栄養成分やカロリーは、製造メーカーによって異なります。

元祖くず餅の名店として有名な「船橋屋」のくず餅に含まれる成分は下記の通りです。

  • たんぱく質…18g

  • 脂質…1.3g

  • 炭水化物…34.8g

  • 食塩相当…0.02g

船橋屋のくず餅(6切れ)のカロリーは156kcalで、糖質量は約34gです。カロリーは低いですが、糖質量が多いことがわかります。黒蜜やきな粉をかけるとさらにカロリーは高くなり、糖質量も多くなるので食べ過ぎると太ってしまう原因になります。

くず餅を製造する際に、小麦粉でんぷんの発酵を促進しているのは植物性の乳酸菌です。植物性の乳酸菌は、動物性の乳酸菌に比べて小腸まで届きやすいという特徴があります。

そのため乳酸菌が含まれているくず餅には、体内の酸化還元を促進し、消化を助け腸内をきれいに保つ効果がある他、免疫力アップや抗アレルギー作用、美肌効果が期待できます。

葛餅

本葛粉で作る葛餅1人前(100g)に含まれる成分は下記の通りです。

  • たんぱく質…0.1g

  • 脂質…0.1g

  • 炭水化物22.5g

  • ナトリウム…1mg

  • カリウム…1mg

  • カルシウム5mg

  • マグネシウム…1mg

  • リン…3mg

  • 鉄…0.5g

  • 胴…0.01g

  • マンガン…0.01g

葛餅1人前(100g)のカロリーは91kcalで、糖質は22.5gです。葛餅もカロリーは低いですが、糖質量が多いため食べすぎると太ってしまう原因になります。甘藷澱粉など葛粉以外のでんぷん粉を配合している葛粉で作る葛餅の場合の成分やカロリーは、文部科学省の食品成分データーベースなどにも記載がないため不明です。

一般的にスーパーなどで売られている葛餅は本葛粉ではなく葛粉を用いて作られていることが多く、製造メーカーによって配合量などが大きく異るため、カロリーや糖質もそれぞれ違います。ダイエット中の方は原料やカロリー、糖質量などをよく見て購入するようにしましょう。

葛餅の原料である葛粉にはイソフラボンが多く含まれています。イソフラボンとは大豆胚芽に多く含まれるポリフェノールの一種です。イソフラボンには女性ホルモンの補助する働きがあり、更年期や月経前のつらい症状を和らげたり 肌荒れを改善するなどの美容効果や肩こり改善、イライラを抑えるなど精神を安定させるなどの効果が期待できます。

また、サポニンも含まれています。サポニンには血管を拡張する働きがあるため、血流をよくする効果があります。また、血管に付着したコレステロールや中性脂肪を洗い流すことにより、肥満予防の効果も期待できます。

わらび餅

わらびもち粉(甘藷澱粉)で作ったわらび餅100gに含まれる成分は下記の通りです。

  • たんぱく質…4.4g

  • 脂質…2.9g

  • 炭水化物…31.5g

  • 食物繊維2.13g

1人前(100g)のカロリーは169kcalで、糖質は29.4gです。ちなみに、馬鈴薯澱粉(じゃが芋のでんぷん)を使ったわらび餅のカロリーは165kcalで、糖質量40g、タピオカを使ったわらび餅のカロリーは173kcalで、糖42gです。

本わらび粉から作られている本わらび餅の成分やカロリー、糖質量は文部科学省の食品成分データーベースなどにも記載がないため不明です。

スーパーなどで販売されているわらび餅はわらびもち粉を使って作られていることが多く、本わらび粉のみで作られたわらび餅は高級和菓子店などで食べることができます。

スーパーなどで販売されているわらび餅は、配合量が製造メーカーによって異なるのでカロリーや糖質もそれぞれ違います。ダイエット中の方は原料やカロリー、糖質量などをよく見て購入するようにしましょう。

わらび餅は、不溶性食物繊維を含んでいるため不溶性食物繊維には便通を促す役割があり、便秘解消の効果が期待できます。