通年手に入り、味にクセがなく、さまざまな調理で使えるしめじですが、食べ過ぎには注意が必要です。本記事ではしめじをたくさん食べた場合に起こりうるリスクについて解説していきます。
しめじには食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、しめじの食物繊維はほとんどが不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になります。
ちなみに水溶性食物繊維は摂りすぎると軟便や下痢に可能性があります。また、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまうことになりますので注意しましょう。
どのくらい摂取すると過剰摂取になるかの明確な数値はありませんが、摂取目標量については後述しています。
出典:
栄養学博士 新出真理 監修(2014)『第2版 くらしに役立つ栄養学』ナツメ社
しめじはそこまで栄養価の高い野菜ではなく、しめじばかり食べていると栄養が偏ってしまいます。
しめじに含まれていない栄養には、β-カロテンやビタミンB12があります。β-カロテンは体内で必要な分だけビタミンAになり皮膚や喉などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。ビタミンB12は赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります
様々な食材を摂取して、バランスの良い食事を心がけましょう。
出典:農林水産省 厚生労働省「食事バランスガイド」
きのこにもアレルギーがあり、その中でもしめじ・しいたけ・舞茸での報告がされています。症状としては口腔アレルギー症候群が多いです。口腔アレルギー症候群の場合、もともと発症の原因となった野菜が違くても、しめじを食べることでアレルギーを起こすことがあります。さらに花粉症の人は口腔アレルギー症候群を引き起こすことも多く、注意が必要です。
また、きのこはカビの仲間になるので、アトピー性皮膚炎や気管支喘息を持っている人の中には、カビの一種であるカンジダがアレルゲンである人が多く、アレルギー症状が出てしまうことがあります。
出典:厚生労働省|食物アレルギー
しめじが持つ、たんぱく質を分解する酵素のプロテアーゼという成分は、有害な毒性です。この酵素を失活させるためには加熱が必要です。生焼けではなくきちんと加熱して酵素を壊すことが大切です。
調理をしてもやや苦味があるしめじですが、生焼けの場合、強い苦味を感じます。加熱したのにすごく苦く感じたら、注意しましょう。
出典:食品安全委員会『生活の中の食品安全−キノコに気をつけよう−その1』
しめじに限らずきのこ類にはビタミンDが豊富です。
ビタミンDの過剰摂取は消化管から吸収されるカルシウムの量が著しく多くなり、高カルシウム血症を引き起こす可能性があります。血管壁や腎臓、心筋、肺などに多量のカルシウムが沈着してしまいます。 そのため腎機能障害や食欲不振、嘔吐、などの症状が出てしまいます。
ただし、普通にしめじを食べているだけではビタミンDの過剰摂取にはならないので心配する必要はありません。また本来ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収を促進させる作用があります。またカルシウムの骨への沈着を助けたり、筋力を強くする働きもあるため、骨や葉の形成や成長促進に不可欠な栄養素となっており、積極的に摂取したい栄養素のひとつです。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
きのこは、90%が水分であり、ぶなしめじは100gあたり糖質が26kcalで糖質は1.8gです。カロリーも糖質も低いため太る心配はありません。例えば、じゃがいもは59kcal、かぼちゃは91kcalです。
相当な量を食べない限り太る心配はいりませんが、味付けには注意が必要です。砂糖や油を多く使い調理するとその分カロリーは上がってしまいます。
ちなみに、ごはん100gあたりカロリー156kcal、糖質35.6gです。
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
しめじの1日の摂取目安量は明確に定まっていませんが、厚生労働省が発表している野菜の摂取目標量を基準に目安を把握することはできます。
大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
しめじは淡色野菜に分類されるので、他の淡色野菜と合わせて、230gを目安にするとよいでしょう。メジャーな淡色野菜には玉ねぎ、キャベツ、レタス、大根、れんこん、カリフラワー、セロリ、ごぼうなどがあります。石づきのままのしめじ1株は200g前後であることが多いため、1/4〜半分くらい(50〜100g)を使いのがよいでしょう。
出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)
日本人が不足しがちなビタミンB1が含まれています。
糖質がエネルギーに変わるときには酵素が働きますが、その酵素の働きを促す補酵素の役割を果たすのがビタミンB1です。糖質の分解をサポートし、体を元気にします。
また、糖質は脳や神経系のエネルギー源ですから、イライラを抑える作用もあります。
ビタミンB2は動物性食品に多いビタミンですが、植物性食品にもわずかに含まれています。ビタミンB2は脂質とたんぱく質の分解に働きます。
ビタミンB1が糖質の代謝に作用するのに対し、ビタミンB2は特に脂質の代謝を助けます。そして細胞の再生を助けて成長を促し、健康な肌や髪つくり、目や口などの粘膜を守ります。「発育のビタミン」とも呼ばれており、発育促進や健康に欠かせない栄養素です。
ナイアシンは糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素を代謝する際に、補酵素として酵素の働きを助けます。また、血行促進作用があるため、冷え性を改善したり、血行不良による頭痛にも効果的です。さらに、アルコールの分解にも働き、2日酔いにも効果があるといわれています。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
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