大胸筋は、バスト周辺の形作りに大きく寄与するため、女性に特に鍛えて欲しい部位です。今回は、女性向けの大胸筋の筋トレ方法及びそのコツをご紹介します。
大胸筋は、胸の大部分を占める筋肉です。ちなみに、「大」胸筋があることから、「小」胸筋もあり、小胸筋は大胸筋にある小さな筋肉を指します。
大胸筋は単一の筋肉ですが、上部、中部、下部、または、内側、外側に分けることができ、見栄えの良い大胸筋を作るためには全てをバランス良く鍛える必要があります。
普通に鍛えていると大胸筋の中部と外側ばかりに刺激が入るため、下部を意識したトレーニングを取り入れることが重要です。
一般的に、大胸筋は胸の筋肉であることから、女性が鍛えてもあまりメリットがないように思えますが、実は大胸筋は、特にバストの見栄えを改善するのに非常に重要な役割を持っており、むしろ、女性だからこそ鍛えて欲しい筋肉です。
大胸筋上部は、大胸筋の上部(上側1/3)に該当する部位です。
大胸筋上部は、腕を肩よりも上に上げる動き、つまり「屈曲(くっきょく)動作」を行う際に使う部位です。このため、腕を肩よりも上に上げる動作であるインクライン系の種目を実施することで効率良く鍛えることができます。
ちなみに、大胸筋上部を鍛えるプレス系の種目では、三角筋前部に刺激が入ります。
大胸筋中部は、大胸筋の中央(中央1/3)に該当する部位です。
大胸筋中部は、腕を90度まで上げて胸の前で閉じるような動き、つまり「水平内転動作」を行う際に使う部位です。まさにこの動作を行う「ダンベルフライ」は、大胸筋中部を鍛えるために有効な種目といえます。
大胸筋中部を鍛えるのに「胸の前で閉じる」という動作が有効なため、多くの人はチェストプレスのトップポジション(一番高く上げた状態)においてダンベルを寄せるような動作を行いますが、玄人でないと負荷が抜けやすいのでおすすめしません。
大胸筋下部は、大胸筋の下側 (下側1/3)に該当する部位です。
大胸筋下部は、90度に上げた腕の上腕部を身体に近づける動き、つまり「内転動作」を行う時に使われる部位です。このため、身体を腰より下側に配置して腕が下半身方向に動きやすくなるディクライン系の種目で効率よく鍛えることができます。
大胸筋内側は、大胸筋の中央側(右胸ならば左1/3、左胸ならば右1/3)に該当する部位です。
大胸筋内側は、大胸筋が内側に寄る動き、つまり「内水平屈曲」を行う時に使われる部位です。基本的に、大胸筋の内側を単独で鍛えられる種目は非常に限られているため、鍛える際には、大胸筋のその他の部位を鍛える種目でやや内側の動きを意識(トップポジションで大胸筋の収縮を意識)しながら実施します。
大胸筋外側は、大胸筋の中央側(右胸ならば右1/3、左胸ならば左1/3)に該当する部位です。
大胸筋外側は、大胸筋が外側に引っ張られる動き、つまり「外水平屈曲」を行う際に稼働される部位です。大胸筋を鍛える上で、大胸筋が外側に引っ張られる動作を行う種目は多く、ボトムポジションで大胸筋の伸展を意識しながら実施します。
バストとは、「bust」、つまり、「上半身」を意味しますが、女性の場合には「胸部」を指します。大胸筋とバストの関係について、大胸筋は筋肉であるのに対して、バストを構成する胸は基本的には脂肪であることから、大胸筋を鍛えると胸が小さくなると考える人が多いですが、必ずしもそうではありません(ボディビルダーや運動を生業としている方の場合がこの例外に当てはまり、以上のような職業柄で高頻度かつ高強度のトレーニングを行うとバストが減少する可能性があります)。これは、大胸筋のつき方及び役割からそのように言えます。大胸筋は、バストの下に存在しバストの土台となります。これにより、大胸筋を鍛えると、よりしっかりとしたバストの土台を作ることを期待でき、これにより、バストアップを期待することができます。また、大胸筋を刺激することでバストの形を整えることも期待できます。
デコルテラインとは、「decollete line」、つまり、「襟ぐりを大きくくったライン」を意味します(フランス語です)。この「襟ぐりを大きくくった」とは、あまりな馴染みないかもしれませんが、ワンピースなど腕、胸元、背中を大きく出して仕立てたものを指します(このように仕立てたワンピースは非常に格式高い装いとされています)。つまり、デコルテラインとは、首筋から肩周り、胸の上部のラインまでを指します。一般的な日常生活の中ではデコルテラインが目立つ服というのはあまり着ることはありませんが、少し胸元が目立つカジュアルな服装や、デコルテのそもそもの語源となっている格調高い服装を着用する場合には、見栄えという観点で非常に重要な部位です。大胸筋は、鎖骨と接続しているため、大胸筋を鍛えることで鎖骨周辺がスッキリとした状態になり、これにより、デコルテラインがきれいに見えるようになることが期待できます。
姿勢が悪くなっている状態は、猫背もしくは反り腰になっている状態であると考えられます。
猫背は、前屈みの姿勢を長時間取ることで骨盤が後傾することで発生します。特に、現代人は、長時間デスクワークをすることが多いことから、長時間前屈みの姿勢をとることで猫背になってしまっている可能性が挙げられます。
反り腰は、腹筋及び背筋のバランスが崩れ、前側にかかった重みを背中が側で支えるようにすることで骨盤が前傾することで発生します。特に、筋肉量が少ない女性に発生しやすいと言われています。
特に猫背になっている状態は、大胸筋が凝り固まっている状態であり、これにより胸を張る動作が実施困難になっています。このため、大胸筋を鍛えることで、大胸筋周りの血流を改善することにより、胸を張りやすい状態を作り、これにより猫背の改善効果を期待できます。
代謝の改善をする働きがある筋肉というと、大腿四頭筋や大臀筋のように極端に大きい筋肉の印象がありますが、実は大胸筋を鍛えても代謝の改善を期待できます。大胸筋は、そこまで印象がないかもしれませんが、実は身体の中の筋肉の大きさを比較した時、比較的、大きい筋肉に分類されます。このため、大胸筋を鍛えることで代謝の改善効果を期待できます。ただし、やはり、前述したような大腿四頭筋や大臀筋のように極端に大きい筋肉と比較すると、筋肉の大きさは劣るため、大胸筋を鍛える際には代謝の改善というよりは「大胸筋の形を作る」ということを主目的にしてトレーニングを行った方がよいかもしれません。全身の代謝を上げて、ダイエット効果を期待したい方には、なんといってもスクワットがおすすめです。
各ポジションで10〜15秒キープした状態を3〜5セット実施します。
パームプレスは、自身の手のひらをできるだけ力を入れてお互いに押すことで負荷を入れるエクササイズであり、自身の力のかけ方によりますが、だいたい10〜15秒程度を目安に3セット実施するのがオススメです。
とにかく肘を張り、中央の方向に力を入れる。
余裕があれば左右にツイストさせる。
負荷が足りなければ重りを持って実施する。
その他の大胸筋のエクササイズと組み合わせて行う。
インクラインプッシュアップは、12〜15回を3セットを目安に実施します。
インクラインプッシュアップは、プッシュアップという名前が付いていますが、そこまで負荷の高いエクササイズではありません。このため、12〜15回を目安に実施します。
インクラインプッシュアップでは、身体の角度によって負荷が異なり、角度がキツくつくほど(=直立した状態に近くなるほど)負荷が弱くなります。このため、12〜15回を実施できる身体の角度を見つけ、その状態から身体の角度を少しずつ浅くしていくと効率的です。
12〜15回実施できる身体の角度を設定する。
台所の台などで実施しても効果的。
肩甲骨を常に寄せた状態を作る。
身体はゆっくり下げる。
トップポジションで肘を真っ直ぐにしない。
プランクウォークは、15〜18回を3セットを目安に実施します。
プランクウォークはプランクの状態で身体を左右に動かすことで大胸筋に刺激を入れるエクササイズです。身体の上げ下げを伴うエクササイズではないことから、大胸筋に対する負荷はそこまで高くないため、通常のエクササイズとしてはやや回数が多めの15〜18回を目安に実施します。
上半身から下半身までを一直線に設定する。
手脚を動かしているときも身体が下がらないようにする。
大胸筋を支えていることを意識する。
膝付きワイドプッシュアップは、10〜12回を3セット実施するようにしましょう。
膝付きワイドプッシュアップは、膝をついている分、ワイドプッシュアップよりも負荷は小さいですが、それでも、ワイドにしている分、かなり負荷は高いです。このため、10〜12回を目標に実施し、できない場合には、休みながらでも良いのできちんと10〜12回を実施し、それを3セット行うということを繰り返します。
これを繰り返していくうちに、休憩なしで10〜12回ができるようになり、最終的には膝をつかなくてもワイドプッシュアップを実施できるようになることが期待できます。
上半身から下半身までを一直線。
身体はゆっくり下げる。
トップポジションで肘を伸ばし切らない。
実施中は常に肩甲骨を寄せる。
Tプランクローテーションは、8〜10回を3セットを目安に実施します。
Tプランクローテーションは、トップポジションに置いて、片脚及び片手で自重を支える必要があることから、負荷は比較的高いエクササイズです(ただ、大胸筋というよりも腕に大きな刺激が入ることには留意する必要があります)。このため、一般的なトレーニングの回数としてはやや少なめの8〜10回3セットを目安に実施します。
上半身をしっかり外旋させる(外旋のさせすぎも注意する)。
トップポジションで一瞬静止する。
ゆっくり身体を動かす。
特にトップポジションでは、大胸筋で身体を支えていることを意識する。
これは、トレーニング用語で、「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックです。トレーニング中に刺激が入っている部位を意識することでトレーニング効率が増大するというものです。特に、女性は男性と比較して、高重量、高回数を実施しにくい分だけ、筋肉に対する意識をしっかりと持つことで効率を向上させることが重要です。このため、特に女性の方が大胸筋を鍛える際には、「大胸筋を鍛えている」ということを意識してトレーニングを行うようにしましょう。
具体的には、トレーニング上級者でないと大胸筋が収縮しているときに大胸筋を意識することは中々難しいため、まずは、大胸筋が伸展している状態、例えば、プッシュアップのボトムポジション、において大胸筋を意識することが非常に効果的です。
大胸筋のトレーニングでは、大胸筋が伸展する時に息を吸い、大胸筋が収縮するときに息を吐きます。特に、大胸筋のトレーニングでは、大胸筋の伸展を意識すると発達が早いため、大胸筋が伸展するときはしっかりと息を吐くことを意識しましょう。
これを意識することが難しいときは、ひとまずは呼吸を止めない状態で実施するようにしましょう(呼吸を止めると、無理な血圧の上昇に繋がり、危険な状態になる場合もあるため注意が必要です)。
この良い例がプッシュアップであり、教科書的な基本のプッシュアップはつま先立ちになって実施することになっています。ただし、これは非常に負荷の高い実施方法であり、特に、女性の場合にはつま先立ちになった状態でプッシュアップを実施できる方は非常に限られると思います。
このように無理に負荷を高めてしまうと、怪我を誘発するだけではなく、トレーニングを継続的に行う上での精神的なハードルが高くなります。トレーニングを実施する上で、継続できないということが一番の問題点であるため、特に、女性がトレーニングを行う際には、無理に負荷を高めないことが重要です。
大胸筋のエクササイズは、多くの関節を稼働して行うものが多く、これにより、意外と怪我をしやすい種目が多いです。大胸筋を鍛える場合に多い怪我として、方、肘が挙げられ、これらは一度怪我をしてしまうと、日常的に使うことが多い部分であることから、治るまでにかなりの時間がかかってしまいます。
怪我を防ぐためには、正しいフォームで実施することが重要であり、自身で動画を調べて勉強して実施したり、可能であればトレーナーなどから指導を受けて実施するのが良いです。
女性が大胸筋トレーニングをするときの注意点・ポイントとして、大胸筋のトレーニング後は休養を設定し、栄養を補給することが挙げられます。
トレーニングは毎日実施した方が良いと考えるかもしれませんが、基本的には、休んでいるときに筋肉は成長します。このため、トレーニングの後はしっかり休憩するということが重要で、女性が自重トレーニングで大胸筋を鍛える頻度は週に2〜3回程度で十分で、それ以外の日は筋肉をしっかり休めるようにしましょう。これに伴って、睡眠をしっかり設定することも非常に効率的です。
また、栄養補給も重要であり、トレーニングの後にはしっかりと栄養を取ることが重要です。特に、トレーニングの後は、タンパク質、炭水化物をしっかり摂取するようにしましょう。炭水化物に関しては、体重が増えるという理由で毛嫌いする方が多いですが、タンパク質だけでは筋肉が作られないため、同時に炭水化物を摂取することが非常に重要です。
女性がスポブラを着用しないでエクササイズを行うと、バストが大きく揺れる原因となります。バストが大きく揺れると、身体が痛んだり、運動に集中できなくなることがなります。また、バストが大きく揺れ続けると、クーパー靭帯が伸長する原因となります。クーパー靭帯は、バストを支える役割を持っていますが、クーパー靭帯が伸長すると、バストを十分に支えることが難しくなり、これによりバストが垂れてしまう原因となります。
特に、うつ伏せで実施する大胸筋のエクササイズでは、バストが大きく揺れる原因となるため、スポーツブラを着用することで、運動中のバストの揺れを抑え、これによりバストの垂れ下がりを防止しましょう。
女性が大胸筋のトレーニングを敬遠する理由の一つに、「ゴリゴリになってしまう」ということを主張する方がいますが、そんなに簡単にゴリゴリにはなりません。
女性は、そもそも、筋肉を作るテストステロンの量が少なく、これにより、筋トレをしても筋肉が付きにくい身体の作りとなっています。また、ゴリゴリになるためには、バーベルやダンベル、マシンを満遍なく使い、かつ、栄養もコントロールする必要があります。一般的には、バストアップを目的に実施する際にはそこまではしないため、ゴリゴリになるということを恐れる必要はありません。
大胸筋のほとんどのエクササイズは、腕を介して大胸筋に刺激を入れることから、ほとんどの場合において腕に刺激が入ることを避けることは困難です。
ある程度、腕の筋肉をつけてくると、大胸筋を鍛えているのにも関わらず、腕に刺激が入り、筋肉痛になってしまうということが発生することはほとんどありませんが、トレーニングを始めたての場合には、腕にどうしても刺激が入ってしまいます。このとき、バストアップを目的にして大胸筋を鍛えているのに腕に刺激が入ることで、腕がゴリゴリになってしまうからという理由で大胸筋のエクササイズを実施することを止めないようにしましょう。
先にも書いた通り、特に女性の場合にはそんなに簡単にゴリゴリになる可能性は極めて低く、また、初心者の場合に腕に刺激が入るのは当然の反応です。慣れてくれば、腕に刺激が入ることをほとんど感じなくなるため、継続して実施することが重要です。
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