ワンハンドローイングは、低重量でも十分に広背筋に刺激を与えることができるため、女性にもおすすめのエクササイズです。今回は女性向けのワンハンドローイングの実施方法及びそのコツをご紹介します。
ワンハンドローイングの語源は英語「one hand rowing」で、「片手で引く」を意味します。
片手で引くと言っても、バーベルを片手で引くケースはほとんどないため、「ワンハンドローイング」と表記するだけで「ダンベルワンハンドローイング」を指します(ワンハンドローイングを「ワンハンドロー」と表記する場合もあります)。
ワンハンドローイングは、立って実施する方法と、ベンチ台で実施する方法があります。これらを使い分けることで、高重量を扱うこともできれば、低重量でしっかりと効かせることもできます。そのため、ワンハンドローイングは、女性にも効率的に実施できるエクササイズで、広背筋を鍛えるに大変おすすめといえます。
一般的に、ベントオーバーローイングとワンハンドローイングは、両手で実施するか片手で実施するかが違いになります。
そもそも、ワンハンドローイングは、正式名称としては「ワンハンドダンベルベントオーバーローイング」ですが、それを縮めて「ワンハンドローイング」、もしくは「ワンハンドロー」と表記するのが一般的です。もっというと、一般的に、「ベントオーバーローイング」と呼称するエクササイズはバーベルを用いて実施する「バーベルベントオーバーローイング」であるため(こちらも縮めて「ベントオーバーロー」、もしくは「バーベルロー」と表記するのが一般的です)、そこから考えるとそもそもバーベルとダンベルで実施するという違いがあるとも言えます。
背中の筋肉は、脚の筋肉と並んで身体の中で締める割合が大きい部位です。ダンベルベントオーバーローで鍛えることができる広背筋、僧帽筋、大円筋、三角筋後部は背中のかなり広い部分をカバーすることができます。
そのため、以上の筋肉を鍛えることで、効率的に代謝の改善を促すことが期待できます。例えば、体温が1度上昇することで代謝量は13%程度向上すると言われています。そのため、ダンベルベントオーバーローで広背筋、僧帽筋、大円筋、三角筋後部を鍛えることで代謝を改善するということは、ダイエットの近道であるということが言えます。
「姿勢が悪い」というのは、腰が曲がりすぎた「猫背」、もしくは、腰が反りすぎた「反り腰」が挙げられます。一般的に、猫背は、長時間下を向いたりすることで発生するため、デスクワークが多い方やスマホの使用が多い方が患う可能性が高いです。
一方、反り腰は、猫背を無意識に治そうとして背中を反ることで発生すると考えられています。このため、そもそも猫背が原因で反り腰が発生していることが多く、姿勢の改善を行うためには、まず猫背の改善を行う必要があります。
猫背になってしまっているのは、背中を真っ直ぐに支える力が弱くなってしまっているためです。ダンベルベントオーバーローで鍛えることができる広背筋、僧帽筋、三角筋後部は背中を支え姿勢を改善する効果があります。
お腹が出ている状態というのは、いくつかの原因があり、その一つとして、「背中の筋肉が弱いことでお腹が出ている」ということが挙げられます。これは、猫背になっている状態を想像すると非常にわかりやすいですが、猫背になると自然と背中と逆側にあるお腹は出るようになります。
つまり、姿勢が悪くなると腹筋をうまく使うことができず、これによりお腹が出やすい状態になります。この現象は、体脂肪率が低いにも関わらず、お腹が出ている方に多く見られるものであり、身体が痩せ型にも関わらず、お腹が出てしまっている場合には姿勢を改善するようにしましょう。
また、姿勢を改善することができれば、腹筋を使うことができるようになり、結果としてお腹周りの引き締め効果を期待できます。
肩もしくは首が凝っているというのは、基本的には何かしらの原因で首から肩にかけての筋肉がこわばっている状態です。筋肉がこわばると、血管を圧迫するため、これにより血流が悪化させるのと同時に、リンパの流れを悪化させます。血流及びリンパの流れは、疲労物質を流す作用があるため、血流が悪化した状態だとこの疲労物質が蓄積し、「肩、首が重い、だるい」といった症状を引き起こしてしまいます。
以上のような肩こり、首こりが発生している際には、肩や首をもみほぐす、もしくはトレーニングを行うことで血流改善をすることが有効とされているケースが多いですが、実は背中を鍛えることも有効です。特に、ダンベルベントオーバーローで鍛えることができる筋肉は、背中の大部分をカバーしていることから、鍛えることでリンパの流れを改善することが期待でき、また、筋肉の大きさから血流を改善することが期待できるためです。このため、肩こりを改善したい場合には、ダンベルベントオーバーローを実施する様にしましょう。
女性の筋トレ初心者のワンハンドローイングの目安の重量は片手で3〜5 kg程度です (自身の体重にもよります)。
ワンハンドローイングは、背中を鍛えるエクササイズであることから、筋トレ初心者でも比較的高重量を扱うことができます。以上では重量は3〜5 kgと述べましたが、実際には、自身の筋肉量に合わせて12〜15回をきちんと(ある程度余裕のある形で)実施できる重量を選択するようにしましょう。
ワンハンドローイングに少し慣れた方のワンハンドローイングの目安の重量は片手で5〜10 kg程度です(自身の体重にもよります)。
ワンハンドローイングで鍛える背中の筋肉はサイズが大きい部位であることから、鍛えると比較的早い速度で扱うことができる重量が伸びます。ただし、少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では5〜10 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてワンハンドローイングを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。
筋トレ上級者のワンハンドローイングの目安の重量は片手で30 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、ワンハンドローイングで30 kg以上を正確なフォームで実施できれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、これはあくまでも「正確なフォームで実施した場合」の重量です。背中の倒す角度が浅くなってくると高重量を扱いやすくなることから、きちんと背中を倒して実施するのがおすすめです。
女性で筋トレ初心者の場合、ワンハンドローイングは12〜15回を3セット実施しましょう。
ワンハンドローイングは、やり方にもよりますが基本的には比較的高重量を扱いやすい種目です。ただし、ワンハンドローイングはフォームが重要であるため、やや軽めの重量で一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
女性でワンハンドローイングに少し慣れた方の場合、ワンハンドローイングは、ウォーミングアップのセット、仕上げのセットを追加して5セット実施するようにしましょう。
ワンハンドローイングに少し慣れた方の場合、まず、ウォーミングアップのセットを追加します。ウォーミングアップのセットは、15〜18回を実施できる重量設定にします。次に、仕上げのセットを追加します。仕上げのセットでは、本番の3セットに対して少しだけ重量を減らして15回きっちりとできる重量設定をするようにしましょう。
女性で筋トレ上級者の場合、前述したやり方に加えて、アセンディング法、スーパーセット等を実施するようにしましょう。
アセンディング法とは、別名ピラミッドセットと呼ばれる方法です。Max重量の50%で12回程度、Max重量の60%で10回程度、Max重量の70%で8回程度、Max重量の80%で6回程度、Max重量の85%で4回程度と徐々に重量を増やしていきながら、それに伴って実施回数を減らすやり方です。怪我を防止しながら高強度のトレーニングを実施できるため、おすすめの方法です。
スーパーセットとは、2種類の種目をインターバルなしで実施する方法です(3種目実施する場合にはトライセット、5種目以上実施する場合にはジャイアントセットと呼ばれます)。スーパーセットの種目の設定方法は様々であり、例えばダンベルベントオーバーローと一緒に実施するならばダンベルプルオーバー、チンニング、デッドリフトなどを実施するのがおすすめです。回数設定に厳密な指定はありませんが、基本的には両種目とも12〜15回実施できるようにしましょう。
ワンハンドローイングは背中のエクササイズです。そのため、基本的には背中に常に負荷がかかっている必要があります。ワンハンドローイングで背中に負荷を入れるためには、背中をしっかりと張る必要があります。背中をしっかりと張ることで、ダンベルを引いたときに背中が負けないため収縮の刺激をしっかりと与えることができ、また伸展するときも負荷が腰に入り難いというメリットがあります。このテクニックは非常に基本的ではありますが、特に立ってワンハンドローイングを実施していると忘れがちであるため、意識的に実践するようにしましょう。
背中を張るためには目線が重要です。目線が下に向いてしまっていると、人間の骨格の問題上、どうしても背中が丸まってしまう傾向があります。そのため、基本的に目線は正面に設定するようにしましょう。特に、ワンハンドローイングでは、どうしてもダンベルに対して目線が行きがちであり、それにより「背中を張る」というテクニックが疎かになりがちです。そのため実施する際には、予め、特定のポイントを決めておいてその部分をしっかりと見ながらワンハンドローイングを実施するのがおすすめです。
ワンハンドローイングは、ダンベルを引くエクササイズであることから、慣れていないとダンベルを引いたときのダンベル角度まで意識できない場合があります。このとき、立った状態でも、ベンチ台で実施する場合にはワンハンドローイングではダンベルは床に対して垂直(=持ち手部分が床に対して平行)になるようにして実施します。よくある間違いが、特に立って実施する場合に、上体に角度が付いてしまっていることからそれに伴って、ダンベルにも角度が付いてしまう場合です。ダンベルに角度が付いてしまっていると、ダンベルの全ての重さが広背筋に乗っていわけではなくなってしまい、エクササイズ効率が低下してしまうため注意しましょう。
ワンハンドローイングに限った話ではありませんが、背中を鍛えるエクササイズのほとんどは肩甲骨の動きを意識することが極めて重要です。その一方で、肩甲骨の動きを意識するということは簡単なテクニックではありません。肩甲骨を動かすためには別の意識をする必要があり、そのために肘を引き切ることを意識することは非常に有効です。肘をしっかり引くことを比較的多くの人が意識しているテクニックになりますが、よりしっかり引くことを意識すると自然と肩甲骨がしっかりと寄る状態を作ることができ、ワンハンドローイングの効率を改善することが期待できます。
ワンハンドローイングは、重量が上がってくると、どうしても身体の近くでダンベルを引こうとしてしまいます。この場合、広背筋にも刺激が入らないわけではないですが、むしろ、三角筋後部を鍛えるためのエクササイズになってしまいます。広背筋に刺激を与えたい場合には、もっとダンベルを後方に動くような軌跡を設定して実施する必要があるため、そのためにダンベルを真っ直ぐ引くというよりは「やや後方に引く」ことをイメージして実施しましょう。具体的には、「お腹の横」よりも「お尻の横」と意識した方が広背筋に刺激を与えることが期待できます。
ワンハンドローイングを実施する際に、背中に満遍なく刺激を与えるためにはしっかりと上体の角度を設定する必要があります。上体の角度が浅くなると、シュラッグのようになってしまい、僧帽筋にばかり刺激が入るようになります。そのため、背中に満遍なく刺激を入れるためにはしっかりと上体の角度を設定する必要があり、そのためには、後述するようにダンベルの重量設定を重すぎないようにすることが重要です。
ワンハンドローイングに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、広背筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での上腕筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ワンハンドローイングに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ワンハンドローイングに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、ワンハンドローイングでは、ダンベルを下ろすときに息を吸い、ダンベルを上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
プランクは体幹を刺激できるためです。
プランクは、体幹を鍛えるための種目であり、鍛えることでワンハンドローイングを実施した場合により上半身を真っ直ぐに保ちやすくなることで高重量を扱うことが期待できます。実際に実施する場合には、プランクを先に実施し、ワンハンドローイングを後に実施することでより背中をまっすぐに保つことを意識した状態でワンハンドローイングを実施することが期待できます。
プランクは、45〜60秒間3セット実施します。
プランクは、体幹及びトレーニングに必要な非常に基本的な筋肉をつけるために有効なエクササイズですが、トレーニング初心者や女性の方にはやや負荷の高いエクササイズです。このため、まずは30秒を3セット実施することから始め、最終的には60秒を3セット実施することを目指しましょう。
上半身から下半身までを一直線にしてキープする。
脊柱起立筋により身体が曲がらないようにすることを意識する。
上半身は三角筋を使って支えることを意識する。
スーパーマンは、ワンハンドローイングでは鍛えることが難しい脊柱起立筋を鍛えることができるためです。
スーパーマンは、身体の中央部を走る脊柱起立筋を鍛えるための種目であり、鍛えることでワンハンドローイングを実施した場合により上半身を真っ直ぐに保ちやすくなることで高重量を扱うことが期待できます。実際に実施する場合には、スーパーマンを先に実施し、ワンハンドローイングを後に実施することでより背中をまっすぐに保つことを意識した状態でワンハンドローイングを実施することが期待できます。
スーパーマンは、最終的には15〜18回を3セット実施します。
バックエクステンションよりも負荷の高いエクササイズであるため、最初は10回3セットをしっかり実施できる様になることを目指します。10回3セットをしっかりできるようになったら、12回、15回と目指して、最終的に18回を3セット程度実施できるようになれば十分です。
できるだけ高く身体を上げる。
できるならば上半身から下半身を真っ直ぐ。
目線を無理に正面にしない。
インバーテッドローは、ワンハンドローイングと同様に広背筋を刺激できるためです。
インバーテッドローは、自重で広背筋に負荷を与えることができる数少ないエクササイズです。両者を比較した場合、エクササイズ強度はワンハンドローイングの方が高いです。実際に実施する際には、インバーテッドローイングを先に実施し、仕上げの種目としてワンハンドローイングを実施することで効率的に広背筋を刺激することが期待できます。
インバーテッドローは12〜15回3セット実施します。
インバーテッドローは、下半身が床に付いた状態で実施することからエクササイズ強度を抑えながら実施することができます。そのため、回数としては一般的なトレーニングの推奨回数である12〜15回3セット実施しましょう。
肘を引く。
ゆっくり戻す。
負荷が高い場合には、脚はやや曲げる。
グリップの幅、向きで様々なバリエーションで実施可能。
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