ダンベルデッドリフトは、低重量でも可動域を正確に設定することで十分に背中及び下半身に刺激を与えることができるため、女性にもおすすめのエクササイズです。今回は女性向けのダンベルデッドリフトの実施方法及びそのコツをご紹介します。
ダンベルデッドリフトは、ダンベルを用いて行うデッドリフトを指します。
デッドリフトは英語で「dead lift」であり、直訳すると「死体を持ち上げる」ことを意味します。デッドリフトが下方部から重量物を上げる動作であることからその特徴を端的に表しています。
デッドリフトは、ダンベルを用いて行う方法とバーベルを用いて行う方法があります。バーベルは自由度が低いことから、高重量を扱うことができます。
逆にいえば、ダンベルデッドリフトは自由度が高いため、そこまで重量を扱うことができなくなります。その分、正しいフォームで実施することが重要になります。
ダンベルデッドリフトで鍛えることができる広背筋は、その名の通り「広く」、背中の筋肉の大部分を占めます。
そのため、ボディメイキング的な観点で言うと、広背筋を鍛えることで背中の見栄えを改善することができます。女性の場合は、すっきりとした後ろ姿を手に入れることができます。
ヒップアップ効果は、お尻側からアプローチする方法と、お尻の下側にある太ももの裏側からアプローチする方法があります。
ダンベルデッドリフトではどちらの筋肉も鍛えることができ、ヒップアップに大変効果的と言えます。
お尻が垂れ下がった状態とは、お尻の筋肉がお尻全体の重さを支えきれなくなった状態を指します。お尻が垂れ下がると、まずはお尻の下部から垂れ下がり始め、徐々にお尻の上部も垂れ下がることで、最終的にはお尻全体が垂れ下がります。
美尻を求める女性は多く、そんな方にはダンベルデッドリフトは大変おすすめです。ダンベルなので自宅でできるのも嬉しい点です。
ダンベルデッドリフトでは太ももの裏側の筋肉である、ハムストリングスを鍛えることができます。
太ももの引き締めというと、太ももの表側である大腿四頭筋を鍛えることがメインですが、太ももの裏側であるハムストリングスを鍛えることも有効です。
というのも、大腿四頭筋は意識していなくても日常的に使われていることが多く、そこまで鍛えていなくても皮下脂肪が付いていることが気になることはそこまで多くありません。
一方、ハムストリングスは日常的に使用される機会が少なく、皮下脂肪が意外と目立つ部位です。そのため、ハムストリングスを鍛え、太もも裏側の脂肪を燃焼させることで、太ももの引き締め効果を期待できます。
ダンベルデッドリフトで鍛えることができる背中の筋肉および下半身の筋肉は、身体の中で締める割合が大きい部位です。
そのため、ダンベルデッドリフトを実施することで、効率的に代謝の改善を促すことが期待できます。
体温が1度上昇することで代謝量は13%程度向上すると言われています。ダンベルデッドリフトを実施することはダイエットにも効果的と言えます。
代謝を改善することで、冷え性などにも効果が期待できます。
「姿勢が悪い」には、主に「猫背」と「反り腰」があります。
一般的に、猫背は、長時間下を向いたりすることで発生するため、デスクワークが多い方やスマホの使用が多い方が患う可能性が高いです。一方、反り腰は、猫背のまま体のバランスを取ろうとして背中を反ることで発生すると考えられています。反り腰は身体の筋肉量が少ない女性に多いと言われています。
そのため、猫背を改善することが姿勢の矯正では非常に大切と言えます。
猫背の原因は、背中を真っ直ぐに支える力が弱くなっていることです。ダンベルデッドリフトで鍛えることができる広背筋、脊柱起立筋は、背中の非常に広い部分をカバーしており、鍛えることで背中を支える力を改善することが期待でき、姿勢改善を期待できます。
姿勢改善ができれば、首や腰のコリの改善や、お腹周りの引き締め、運動パフォーマンスの向上にも効果が期待できます。
女性の筋トレ初心者の場合、ダンベルデッドリフトは5〜8回を3セット実施します。
ダンベルデッドリフトは、基本的にはパワー種目、つまり、重量を扱う種目とされており、回数よりも重量を増やすことで負荷を与えるエクササイズです。ただし、ダンベルデッドリフトはフォームが本当に重要であるため、一般的な筋トレで標準的な回数よりもかなり少ないとされている5〜8回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
女性でダンベルデッドリフトに少し慣れた方の場合、ダンベルデッドリフトは、ウォーミングアップのセット、仕上げのセットを追加して5セット実施するようにします。
女性でダンベルデッドリフトに少し慣れた方の場合、まず、ウォーミングアップのセットを追加します。ウォーミングアップのセットは、8〜10回を実施できる重量設定にします。次に、仕上げのセットを追加します。仕上げのセットでは、本番の3セットに対して少しだけ重量を減らして8回きっちりとできる重量設定をするようにしましょう。
女性の筋トレ上級者の場合、前述したやり方に加えて、アセンディング法、スーパーセット等を実施するようにします。
アセンディング法とは、別名ピラミッドセットと呼ばれる方法です。Max重量の50%で12回程度、Max重量の60%で10回程度、Max重量の70%で8回程度、Max重量の80%で6回程度、Max重量の85%で4回程度と徐々に重量を増やしていきながら、それに伴って実施回数を減らすやり方です。怪我を防止しながら高強度のトレーニングを実施できるため、おすすめの方法です。
スーパーセットとは、2種類の種目をインターバルなしで実施する方法です(3種目実施する場合にはトライセット、5種目以上実施する場合にはジャイアントセットと呼ばれます)。スーパーセットの種目の設定方法は様々であり、例えばダンベルデッドリフトと一緒に実施するならばヒップリフト、スーパーマン、ワイドスクワットなどを実施するのがおすすめです。回数設定に厳密な指定はありませんが、基本的には両種目とも10〜12回実施できるようにしましょう。
女性の筋トレ初心者のダンベルデッドリフトの目安の重量は片手で3〜5 kg程度です (自身の体重にもよります)。
ダンベルデッドリフトでターゲットとなる部位は、大臀筋、脊柱起立筋、広背筋と非常に大きい筋肉が中心になるため、筋トレ初心者の方でもかなりの重量を扱える傾向があります。ただし、フォームが重要であるため、以上では重量は5〜10 kgと述べましたが、実際には、自身の筋肉量に合わせて5〜8回をきちんと(ある程度余裕のある形で)実施できる重量を選択するようにしましょう。
女性のダンベルデッドリフトに少し慣れた方のダンベルデッドリフトの目安の重量は片手で5〜10 kg程度です(自身の体重にもよります)。
ダンベルデッドリフトは少し慣れるだけで、比較的高重量を扱うことができます。しかし、少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では10〜15kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてダンベルデッドリフトを8〜10回実施できる重量を選択するようにしましょう。
女性の筋トレ上級者のダンベルデッドリフトの目安の重量は片手で30 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、女性でダンベルデッドリフトで50 kg以上を「正確な可動域」で実施することができれば筋トレ上級者であると言えます。ただし、可動域が小さくなればその分、重量を扱いやすくなることから、正確な可動域を設定するのが極めて重要です。
IVANKO(イヴァンコ)のクロームダンベルは、トレーニングジムにも置いてある非常に本格的なダンベルです。
ダンベルの種類としては固定式です。
イヴァンコは、プレートやダンベルのメーカーとして非常に有名であり、高品質の製品を販売しています。そのため、値段は少々張りますが、表面が錆びにくく長く使えることから長期的な投資と考えれば、そこまで高くはないかと思います。
また、表面にクロームがメッキされていることから外見も美しく、自宅に置いておいてもあまり不自然ではありません。ただし、本格的にトレーニングを行うためには複数種類のダンベルを揃える必要があるという点はデメリットです。
FLEXBELL(フレックスベル)のアジャスタダンベルは、可変式のダンベルとしては非常に一般的な製品です。
ダンベルの種類は可変式です。
本製品はダンベル1つで重さをダンベルの使用範囲内なら即座に切り替えることができるというものです。可変式ダンベルのブランドの中で、FLEXBELLの製品は比較的有名であり、品質も安定しています。
1つのダンベルで、複数の重さを設定できることからダンベルとしては値段が少々高めではありますが、複数のダンベルを何個も買うことと比較すればお得です。ただし、見た目は少々ゴツいため、自宅に置くのが少々憚られるというのはデメリットです。
PROIRONのダンベルはスポーツクラブでよく見る製品です。
ダンベルの種類は固定式です。
本製品の特徴ですが、ダンベルがラバーで覆われているため、フローリングの上にうっかり落としてしまっても床が傷つきにくいというメリットがあります。値段も上の2つの製品と比較して非常に良心的な料金設定であり、ダンベルを使ってみたいという方にオススメできる製品になります。
ただし、ラバー部分は使っていると切れて見栄えが悪くなるため、そこはデメリットです。そうなった場合には新しい物を購入するようにしましょう。
基本のダンベルデッドリフトは、あくまでも背中の動作でダンベルを引くことが重要です。
ダンベルデッドリフトの種類の中には、ルーマニアンデッドリフトと呼ばれる臀部(お尻)主導で行うエクササイズもありますが、基本のダンベルデッドリフトはあくまでも背中を中心に鍛えるエクササイズです。
そのため、臀部を主導にしてダンベルを引くのではなく背中の筋肉を主導にしてダンベルを引くようにしましょう。「臀部の力を全く使ってはいけない」ということではなく、臀部は補助的に使うということを意識して実施します。
デッドリフトにおいて、「ダンベルもしくはバーベルを引き切る」というやり方で実施している人を多く見かけますが、そのフォームは実際には必ずしも正しくありません。
ダンベルもしくはバーベルを引き切ってしまうとトップポジション(ダンベルが一番高い位置にある状態)において負荷が抜け切ってしまうとされていることから、ボトムポジションは直立した状態から前方に15度程度角度が付いた部分に設定するのが正しいとされています。
そのため、基本的には、ダンベルデッドリフトを実施する際にはダンベルを引き切らないようにしましょう。
ただし、「引き切って効かせる」というやり方もないわけではありません。初心者の方は「引き切らない」ということを意識しましょう。
ダンベルデッドリフトは、背中を介してダンベルを支えることから背中を常に張った状態を意識することが重要です。
背中を張った状態を意識できないと、腰を支点にしてダンベルが引っ張られるようになり、腰を痛める原因となります。
ただし、背中をわざと曲げて下背部に刺激を入れる方法も存在します。初心者の方は「背中を常に張った状態を意識する」ということを心がけましょう。
ダンベルデッドリフトでは、ダンベルがふくらはぎあたりから太ももの中央部くらいになるようにして可動域を設定するようにします。
ダンベルが深い部分にあるときには臀部に刺激が入り、ダンベルが浅い部分にある時は背中に刺激が入るようになります。
基本のダンベルデッドリフトでは、背中、臀部を鍛えることを関係なく、この可動域の中で正確に実践するようにしましょう。可動域が狭くなっている場合には、後述するようにダンベルの重量が重すぎる可能性が高いため、その場合にはダンベルの重量設定を見直すようにしましょう。
ダンベルデッドリフトに限った話ではありませんが、特に、ダンベルデッドリフトのような負荷の高いエクササイズでは重量設定が非常に重要です。
ダンベルの重量が重すぎると、可動域が小さくなる原因となり、負荷が小さくなります。
ダンベルデッドリフトの負荷について考えた場合、扱うダンベルの重量を上げるよりも可動域を広く設定する方が負荷は高くなることから、基本的には、正確な可動域を設定できる重量設定を行う必要があり、やや軽いと思うくらいの重量設定で十分です。
特に女性の場合はダンベルの重さを重すぎないよう設定するのが大切です。
ダンベルデッドリフトに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、上腕筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での上腕筋の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ダンベルデッドリフトに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。
これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。
高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。
重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ダンベルデッドリフトに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、ダンベルデッドリフトでは、ダンベルを下ろすときに息を吸い、ダンベルを上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です
ヒップリフトは、ダンベルデッドリフトと同様に大臀筋を刺激できるためです。
ヒップリフトは、ダンベルデッドリフトと同様に大臀筋を鍛えることができますが、ダンベルデッドリフトよりも負荷が小さいという特徴があります。実際に実施する際には、ヒップリフトをウォーミングアップ種目として実施し、ダンベルデッドリフトを本番種目として実施することで大臀筋をより効率的に鍛えることが期待できます。
ヒップリフトは、12〜15回3セット実施するようにしましょう。
ヒップリフトは、前述した通り、そこまで負荷の高いエクササイズではないため、効果を高めるためにはフォームをしっかりと守って実施する必要があります。フォームをしっかりと守るために、やや回数が少ないと感じるかもしれませんが、12〜15回3セットをしっかりと実施するようにしましょう。
トップポジションで静止する。
お尻をゆっくり下げる。
お尻を上げる際に息を吐いて、お尻を下げるときに息を吸う。
ヒップリフトは、ダンベルデッドリフトと同様に脊柱起立筋を刺激できるためです。
ヒップリフトは、ダンベルデッドリフトと同様に脊柱起立筋を鍛えることができますが、ダンベルデッドリフトよりも負荷が小さいという特徴があります。実際に実施する際には、スーパーマンをウォーミングアップ種目として実施し、ダンベルデッドリフトを本番種目として実施することで脊柱起立筋をより効率的に鍛えることが期待できます。
スーパーマンは、最終的には15〜18回を3セット実施できるようになることを目指しましょう。
バックエクステンションよりも負荷の高いエクササイズであるため、最初は10回3セットをしっかり実施できる様になることを目指します。10回3セットをしっかりできるようになったら、12回、15回と目指して、最終的に18回を3セット程度実施できるようになれば十分です。
手脚を床につけない。
手脚はまっすぐ前に伸ばし、やや開く。
手脚をできるだけ高く上げる。
顔を床に向ける。
トップポジションで静止する。
ワイドスクワットは、ダンベルデッドリフトと同様に大臀筋、ハムストリングスを刺激できるためです。
ヒップリフトは、ダンベルデッドリフトと同様に大臀筋、ハムストリングスを鍛えることができますが、扱う重量にもよりますが基本的にはダンベルデッドリフトよりも負荷が小さいという特徴があります。実際に実施する際には、どちらを先に実施しても問題なく、これにより大臀筋、ハムストリングスを効率的に鍛えることが期待できます。
ワイドスクワットは、12〜15回を3セット実施します。
スクワットと同様に、ワイドスクワットも自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要です。また、ワイドスクワットは、股関節周りを動かすトレーニングであることから、高回数で実施すると怪我をする原因となるため注意が必要です。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
身体を下げすぎない。
背中をできるだけ倒さない。
臀部の動きを意識する。
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