ブリッジは,体操の種目の1つとして考えがちですが、筋トレとして捉えて実施することも期待できます。今回は、筋トレとして実施するブリッジのやり方及びコツをご紹介します。
ブリッジとは、「bridge」、つまり「橋」を意味します。ブリッジを実施しているときの状態が、まるで身体が橋のようになっていることからこの名前が付いたと考えられます。
ブリッジというと、我々日本人は小学生のときに実施するマット運動での種目の一つという印象が強いです。これを考えると、「ブリッジはそもそも筋トレなのか?」という疑問が発生するかと思いますが、ブリッジは捉え方によっては筋トレもしくはストレッチになります。
当時のことを思い出してみるとわかる通り、ブリッジは実施するのが中々難しかった種目だと思います。この理由は、自重を腕で支える必要があったためです。つまり、ブリッジとはプッシュアップと同様の動作を仰向けで実施する種目であるということが言え、このことからも、慣れるまではやや難易度の高いエクササイズであると言えます。
ブリッジを実施する上で、そもそも、背中の柔軟性が非常に重要です。ブリッジは、背中を海老反りにして実施しますが、このとき、背中の柔軟性が足りないとそもそもブリッジを実施することが難しいです。このため、ブリッジを実施できる段階で背中の柔軟性はある程度高いと言えますが、ブリッジを後述するようなトレーニングとして実施すると背中の柔軟性をさらに向上させることが期待できます。背中の柔軟性を改善すると、身体全体のバランスを改善することが期待できます。これにより、怪我の防止に加えて、身体全身の痛みの軽減を期待できます。
ブリッジを実施する上で、ブリッジが肩甲骨で上半身を支えるようなフォームを取って実施することから、肩甲骨周りの筋肉に刺激が入ります。ここで、肩こりの原因は、肩の血流が悪化している状態であり、これは、肩甲骨周りの筋肉が凝り固まっているのとほぼ同様です。肩甲骨周りの筋肉を鍛えることで、筋肉の凝りが解消し、これに伴い、血流が改善することが期待できます。特に、ブリッジでは、肩甲骨周りの筋肉、特に、僧帽筋や三角筋の後部を刺激することが期待でき、これにより、肩こりの改善を期待できます。
ブリッジでは、その動作の特性上、背中を後ろ側に反るような海老反りを実施します。姿勢が悪い状態というのは、腰が曲がりすぎた「猫背」、もしくは、腰が反りすぎた「反り腰」が挙げられます。一般的に、猫背は、長時間下を向いたりすることで発生するため、デスクワークが多い方やスマホの使用が多い方が患う可能性が高いです。一方、反り腰は、猫背を治そうとして背中を反ることで発生すると考えられています。このため、そもそも猫背が原因で反り腰が発生しているということが言え、姿勢の改善を行うためには猫背の改善を行う必要があります。ブリッジを行うことで背中の筋肉の柔軟性を向上させ、かつ、筋肉量を増やすことができれば、体幹部を保つ筋肉を改善し、姿勢の改善を期待できます。
ブリッジでは上体を大きく反らすことで、背中側は収縮し、お腹側は伸展を促すことが期待できます。お腹を過度に伸展させることで、普段は鍛えることが難しいとされている深部の筋肉まで十分に伸展させることが期待できます。これにより、特に、腹筋のインナーマッスルと言われている腹横筋を刺激することが期待できます。腹横筋は、コルセット筋とも呼ばれる筋肉であり、ウエストを細く保つことに寄与しています。このため、ブリッジを実施することでお腹側を伸展させ、腹横筋を刺激することでお腹の引き締め効果を期待できます。
腹横筋を鍛えるという点では、呼吸方法としてドローイングを実施することも有効です。ドローイングは、鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、口から息をゆっくり吐いてお腹を凹ませ、この状態を3-5秒程度キープする方法です。基本的には、仰向けになった状態から練習し、慣れてくると立った状態でもできるようになります。また、熟達していくと様々なエクササイズと組み合わせることが可能となり、特に、ドローイングは静的なトレーニングと相性が良く、ブリッジの呼吸方法として取り入れるのもオススメであり、これにより、ウエストの引き締め効果を期待できます。
ブリッジは、10〜15秒3セットを実施します。
ブリッジは、基本的には腕の力を使って上体を持ち上げるエクササイズであることから、エクササイズの強度は比較的高いです。また、頭を持ち上げるという動作があるため、落ちたときに頭を強打する可能性があり、安全面でも課題があるエクササイズです。このため、最初は3〜5秒程度のかなり短い秒数から始めて、最終的には10〜15秒を3セットできるようになりましょう。
そこまで負荷の高いエクササイズではないので毎日やってもいいですが、腰を痛めたり、頭を強打しないように注意しながら実施しましょう。
通常のブリッジができない場合には、腕の代わりに肩で支えるようにして実施することが有効です。
ブリッジができない最大の理由は、腕で上半身を支えることが難しいためです。腕で上半身を支えるのが難しいのは支える上半身と腕との距離が大きいためであり、これは、逆に、上半身そのもので上半身を上げるようにすればブリッジができることを意味します。そのために、上半身で最も腕に近い肩で身体を支えることは有効です。腕の代わりに、三角筋後部を床と接触させ、その状態で、脚で床を押しながらおへそを上げるようにして実施することが有効です。つまり、グルートブリッジを行うことで通常のブリッジの代用とします。
通常のブリッジができず、さらに、グルートブリッジの実施も難しいという場合には、椅子もしくは動画にあるような高さのある器具を使うことが有効です。
グルートブリッジをするためには、三角筋後部で上半身を支える必要がありますが、三角筋後部で床と接触する部分は比較的小さく、中にはそれをすることも難しいと感じる方もいるかと思います。その場合には、上半身が接触する部分を増やしながらもグルートブリッジを実施する方法を適用することが有効です。具体的には、椅子を使えば、椅子の座面全体が上半身と接することになるため、この状態ならばほぼ全ての方は問題なくグルードブリッジをできるかと思います。ただ、椅子を使うとどうしてもストレッチという側面が強くなるため、適宜、強度を増やしてエクササイズを実施することが重要です。
ブリッジができない場合には、壁を使うことも有効です。
ブリッジができない第二の理由として背中の柔軟性に問題があるということが挙げられます。背中の柔軟性を高めるためには、背中に少しずつ負荷を入れることが重要です。ブリッジでは、いきなり、上半身を床から上げて海老反りすることで背中に負荷を入れますが、壁を使い、壁で手を置く場所を少しづつ変えれば、背中の海老反りの度合いを少しずつ変化させることができます。これにより、少しずつ背中の柔軟性を改善することが期待できます。ただし、壁を使ってブリッジを行う場合には、戻れなくなる可能性があるため、慣れるまでは、必ず2人1組で実施するようにしましょう。
ブリッジは、前述した通り負荷の高いトレーニングであるため、対象となる部位以外に各関節に比較的大きな負荷がかかります。特に、ブリッジをする上で負荷がかかる部位は、手首の関節、肩関節、首、肘、腰です。怪我をしないためにも、ブリッジを実施する前にこれらの部位を入念にストレッチしてから行うようにしましょう。また、関節をストレッチして関節の可動域を確保することで、ブリッジを後述するようなよりシビアな姿勢で実施することを可能になることが期待できます。これにより、ブリッジのトレーニング効果をさらに高めることが期待できます。
ブリッジで重要なのは、ブリッジ状態になったときに「背中をどれだけ収縮させ、お腹をどれだけ伸展させるか」です。ブリッジ状態になるときに、単純に上体を上げただけでもある程度、この状態は達成されていますが、実際にさらにこの状態での負荷を高めるためには、ブリッジした状態で脚を上半身側に近づける必要があります。このようにすることで、背中がよりアーチ状になることから、これにより、背中と拮抗する位置にあるお腹は伸展し、負荷を高めることが期待できます。ただし、この「シビアな状態」を作る場合には、各関節の柔軟性が不可欠であるため、ブリッジの前に関節をストレッチする必要があります。また、最初からこの状態を作ることは難しいため、徐々に負荷を上げていき、最終的にこのような状態を作れるようになることを目指しましょう。
ブリッジに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。ブリッジの場合には、静的なトレーニングとなるため、腹筋が伸展し、脊柱起立筋が収縮するということに注意する必要があります。慣れていないと、これらを意識することは中々難しいかもしれませんが、イメージとしては腹筋が引き伸ばされる意識を持つと、腹筋が伸展すると拮抗する脊柱起立筋も伸展することが期待できます。
ブリッジでは、前述した通りドローイングの呼吸法を意識するのがおすすめです。一般的に、トレーニングで実施する呼吸法では、力を入れるときに息を吐くことが一般的ですが、ブリッジはそもそも静的なトレーニングであるため、局所的に力を出し切る部分が存在しません。このため、一般的なトレーニング方法とは呼吸方法が異なります。基本的には、呼吸を止めずに実施すればそこまで問題ありませんが、お腹の引き締め効果を狙うならばドローイングを実施するのが効果的です。ドローイングは、鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、口から息をゆっくり吐いてお腹を凹ませ、この状態を3-5秒程度キープする方法です。これにより、腹横筋を刺激し、お腹の引き締め効果を期待できます。
プランクは、2の動作を45〜60秒間3セット実施します。
プランクは、体幹及びトレーニングに必要な非常に基本的な筋肉をつけるために有効なエクササイズですが、トレーニング初心者や女性の方にはやや負荷の高いエクササイズです。このため、まずは30秒を3セット実施することから始め、最終的には60秒を3セット実施することを目指しましょう。
上半身から下半身までを一直線にしてキープする。
脊柱起立筋により身体が曲がらないようにすることを意識する。
上半身は三角筋を使って支えることを意識する。
グルートブリッジは、45〜60秒を3セット実施するようにしましょう。
グルートブリッジは、エクササイズの強度としてはそこまで高くありません。このため、やや長いと思うかもしれませんが、45〜60秒を3セットが良いでしょう。これだけ長い秒数を実施することが難しい場合には、まずは30秒5セットと秒数を少なくセット数を多く実施し、そこから秒数を少しずつ伸ばし、セット数を少なくしていくようにしましょう。
お尻に効かせる場合には、身体の近くに脚を配置し、ハムストリングスに効かせる場合には身体の遠くに脚を配置する。
上半身を真っ直ぐにすることを意識する。
大臀筋の収縮を意識する。
シットアップは、8〜10回を3セット実施します。
シットアップは、正確に実施すると比較的負荷の高い腹直筋のエクササイズであることに加えて、回数を多く実施しすぎると腰痛の原因になります。このため、一般的なトレーニングを実施する上での標準的な回数としてはやや少なめの8〜10回を3セットを目標にしましょう。
常に腹直筋に刺激が入っていることを意識する。
上半身を上げすぎない。
上半身を下げすぎない。
上半身を上げるときに息を吐く。
ボトムポジションで反動を使わない。
トップポジションで顎を前に出すように。
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