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ワイドプッシュアップで効果が出ない原因。意味ないフォームとは?

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ワイドプッシュアップで効果が出ない原因。意味ないフォームとは?

ワイドプッシュアップは、フォームを非常に慎重に設定する必要があり、そうでないと中々効果を感じにくいという問題があります。今回は、ワイドプッシュアップで意味がない、効果がない、と感じる原因と対策についてご紹介します。

ワイドプッシュアップとは

ワイドプッシュアップは英語で「wide pushup」で、「広いプッシュアップ」を意味する種目です。この「広い」は手幅の大きさを意味しており、手幅が大きければ「ワイドプッシュアップ」、狭ければ「ナロープッシュアップ」となります(一方、その間で実施するプッシュアップは、「ミドルプッシュアップ」とは呼ばず「プッシュアップ」と呼びます。)。

ワイドプッシュアップは、通常のプッシュアップに対して、より大胸筋を稼働して実施します。言い換えると、上腕三頭筋を使えなくなることから、エクササイズ強度は増大します。トレーニングを十分に実施している方ではないと大胸筋が発達しているケースは多くないため、ワイドプッシュアップを実施するためにはそもそも通常のプッシュアップを十分に実施できている必要があります。

以上から、ワイドプッシュアップは、トレーニング初心者レベルを脱した方向けの種目であると言えます。

ワイドプッシュアップで効果が出ない原因と対処法

トップポジションで肘を伸ばし切っている

ワイドプッシュップを実施する際に、トップポジションで肘が伸ばし切っていると効果がでないと感じることがあります。

ワイドプッシュアップに限らず、すべてのエクササイズは基本的には動作のすべての中で常に対象となる部位に負荷が入っている必要があります。ワイドプッシュアップでこれを達成するためには、特にトップポジションでも肘を曲げておく必要があり、言い換えると、肘が伸び切っていると大胸筋に対して効果がないと感じることがあります。

この場合、トップポジションで肘をやや曲げましょう。少しでも肘を曲げるだけで効果があるので、しっかりと意識しましょう。

下半身が落ちている

ワイドプッシュアップを実施する際に、下半身が落ちていると効果が出ないと感じることがあります。

ワイドプッシュアップでは、大胸筋を使って上半身と下半身をしっかり動かすことで大胸筋に対して負荷を与えることを期待できます。以上を言い換えると、下半身が常に落ちた状態でワイドプッシュアップを実施すると、大胸筋を使って上半身しか動かしていないため効果が出ないと感じることがあります。

この場合、上半身から下半身までをしっかり一直線に保つようにしましょう。特に下半身は落ちやすいため、やや上げるように意識することが有効なこともあります。

動作をコントロールできていない

ワイドプッシュアップでは、他のエクササイズと同様に、動作をしっかりとコントロールする必要があります。

「動作をコントロールする」とは、後述する「ネガティブムーブメント」をしっかりと意識することです。また、ボトムポジションでの切り返しも惰性で実施するのではなく、しっかりと丁寧に意識する必要あありまる。以上を言い換えると、これらを意識できていないとワイドプッシュアップで効果がないと感じることがあります。

この場合、ワイドプッシュアップの動作を丁寧に実施する必要があります。多回数を実施する必要はなく、少回数で問題ないのでしっかりと丁寧に実施しましょう。

ワイドプッシュアップの効果

姿勢改善

姿勢が悪くなっている状態は、猫背もしくは反り腰になっている状態であると考えられます。
猫背は、前屈みの姿勢を長時間取ることで骨盤が後傾することで発生します。特に、現代人は、長時間デスクワークをすることが多いことから、長時間前屈みの姿勢をとることで猫背になってしまっている可能性が挙げられます。

反り腰は、腹筋及び背筋のバランスが崩れ、前側にかかった重みを背中が側で支えるようにすることで骨盤が前傾することで発生します。特に、筋肉量が少ない女性に発生しやすいと言われています。

特に猫背になっている状態は、大胸筋が凝り固まっている状態であり、これにより胸を張る動作が実施困難になっています。このため、大胸筋を鍛えることで、大胸筋周りの血流を改善することにより、胸を張りやすい状態を作り、これにより猫背の改善効果を期待できます。

基礎代謝アップ

代謝の改善をする働きがある筋肉というと、大腿四頭筋や大臀筋のように極端に大きい筋肉の印象がありますが、実は大胸筋を鍛えても代謝の改善を期待できます。大胸筋は、そこまで印象がないかもしれませんが、実は身体の中の筋肉の大きさを比較した時、比較的、大きい筋肉に分類されます。このため、大胸筋を鍛えることで代謝の改善効果を期待できます。

ただし、やはり、前述したような大腿四頭筋や大臀筋のように極端に大きい筋肉と比較すると、筋肉の大きさは劣るため、大胸筋を鍛える際には代謝の改善というよりは「大胸筋の形を作る」ということを主目的にしてトレーニングを行った方がよいかもしれません。全身の代謝を上げて、ダイエット効果を期待したい方には、なんといってもスクワットがおすすめです。

二の腕の引き締め効果

上腕三頭筋は、いわゆる二の腕と呼ばれる場所にある筋肉なので、女性の場合は鍛えることで二の腕を引き締めることができます。

ここでよく心配されるのが「女性も男性と同じように、鍛えすぎると腕が太くなるのではないか」という点ですね。女性も戦略的に筋トレを実施すれば腕は太くなりますが、自宅でできる範囲で毎日実施しても、男性ほどの筋肉が大きくなることは考えにくいといえます。男性ホルモンと呼ばれる「テストステロン」が少ないためです。

万が一腕が太くなってきてしまったら、筋トレを止めて、筋肉量が徐々に落ちるのを待ちましょう。

肩こり改善効果

肩が凝っているというのは、基本的には何かしらの原因で首から肩にかけての筋肉がこわばっている状態です。筋肉がこわばると、血管を圧迫するため、これにより血流が悪化させるのと同時に、リンパの流れを悪化させます。血流及びリンパの流れは、疲労物質を流す作用があるため、血流が悪化した状態だとこの疲労物質が蓄積し、「肩が重い、だるい」といった症状を引き起こしてしまいます。

以上のような肩こりが発生している際には、肩をもみほぐす、もしくはトレーニングを行うことで血流改善をすることが有効とされているケースが多いです。ワイドプッシュアップでは、副次的に僧帽筋や三角筋にも負荷を与えることができるため、肩周りの筋肉を揉みほぐし、肩こりの改善効果を期待できます。

その他の効果

ワイドプッシュアップでは、大胸筋、三角筋、上腕三頭筋を鍛えることができるため、その他の効果として以下を期待できます。

  • 筋トレの幅が広がる。

  • 身体の見栄え改善。

  • バストアップ(女性)。

  • デコルテラインが綺麗に(女性)。

ワイドプッシュアップの正しいやり方

ワイドプッシュアップ

フォーム

  1. 手幅を肩幅の1.5倍程度に設定する。
  2. 肩甲骨を寄せた状態を作る。
  3. 正面を向いて、顎が床に付くか付かないかくらいまでゆっくり下げる。
  4. 2の状態まで素早く戻る。
  5. 3から4を繰り返す。

回数

初心者

筋トレ初心者は、ワイドプッシュアップを6〜8回3セット実施します。

ワイドプッシュアップは、通常あまり筋肉のない大胸筋をメインターゲットとして稼働するため、筋トレ初心者は中々実施することが難しいです。そのため、まずはフォームをしっかり確認するという意味でも、まずは6〜8回3セット実施しましょう。

少し慣れたら

ワイドプッシュアップに少し慣れてきたら、8〜10回3セット実施します。

ワイドプッシュアップは慣れてくると、大胸筋の発達により安定して実施することを期待できます。そのため、ワイドプッシュアップに少し慣れてきたら、初心者のときよりも回数をやや増やして、8〜10回3セット実施するようにしましょう。

上級者

筋トレ上級者の場合、ワイドプッシュアップを実施する際には、その他の大胸筋を鍛える種目と組み合わせて実施します。

筋トレ上級者がワイドプッシュアップを実施する場合には、ウォーミングアップ種目として実施します。本番種目としてダンベルチェストプレス、ダンベルフライなどを実施するのがおすすめです。この場合、ワイドプッシュアップを12〜15回を実施し、ダンベルチェストプレス、ダンベルフライを10〜12回3セット実施しましょう。

ワイドプッシュアップの効果を高めるコツ

肩甲骨を常に寄せる

ワイドプッシュアップでは、肩甲骨を常に寄せることで大胸筋を伸展した状態を作り出すことができ、効率的に大胸筋を刺激できます。

フリーウェイトやマシンを使った大胸筋を鍛えるエクササイズでは、肩甲骨を寄せることが必要とされています。これは、肩を痛めないだけではなく、大胸筋を伸展させるために必要なテクニックです。ワイドプッシュアップでも同様であり、やや難易度が高いですが肩甲骨を常に寄せる必要があります。

ワイドプッシュアップで肩甲骨を寄せる際には、通常のプッシュアップのポジションになったら、肩甲骨の緊張を解き肩甲骨が寄るようにします。この状態を可動域のすべての中で維持するようにします。

肘を伸ばし切らない

ワイドプッシュアップでは、その他のエクササイズと同様に大胸筋に負荷が入っている中で実施する必要があります。そのためには、トップポジションで肘を伸ばし切らないようにする必要があります。

トップポジションで肘を伸ばし切ってしまうと、確かに大胸筋が外側から収縮させるようにすることができますが、前述した「肩甲骨を寄せる」ということを意識しづらくなります。そのため、ワイドプッシュアップではトップポジションにおいて肘をやや曲げておく必要があり、そのようにすることで大胸筋に常に負荷が入った状態になります。

上半身から下半身を一直線

ワイドプッシュアップを実施する際に、大胸筋に効率的に負荷を与えるためには上半身から下半身までを一直線にする必要があります。この様にすることで、大胸筋を稼働して動かす部分が増大することに伴いエクササイズ強度が増大するためです。

通常のプッシュアップと同様に、ワイドプッシュアップでは上半身と下半身の接続部である臀部が下方に落ちやすくなります。このようになってしまうと、大胸筋で動かす部分は上半身だけになってしまい、エクササイズ効率が低下するため注意が必要です。

特に、筋トレ初心者の場合には上半身から下半身までを一直線に保つのは非常に難しいことが多いです。そのため、鏡を見ながら実施したり、ビデオで撮影したり、第三者にアドバイスをもらって実施するのも有効です。

鍛えている部位の動きを意識

ワイドプッシュアップに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。

このため、最初は難しいですが、ワイドプッシュアップで鍛えている部位の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中でのそれらの筋肉の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。

動作のスピード

ワイドプッシュアップに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。

具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。

ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。

呼吸

ワイドプッシュアップに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。ワイドプッシュアップでは、身体を下げるときに息を吸い、身体を上げるときに息を吐きます。

慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。

大胸筋を鍛えることができる他の種目

ダンベルチェストプレス

やり方

  1. 肩甲骨を寄せた状態で、ダンベルを持って仰向けになる。
  2. 脇の角度を90度にしてゆっくりダンベルを下げ、大胸筋が十分にストレッチする部分(ダンベルと大胸筋が付くか付かないか)までダンベルを下げる。
  3. 肘の角度が100度になるくらいまでダンベルを戻す。
  4. 2から3を繰り返す。

回数

ダンベルチェストプレスは、12〜15回を3セット実施します。

ダンベルチェストプレスは、高重量を比較的扱い種目ですが、怪我をしやすい(特に肘、肩を痛め易い)種目です。このため、ダンベルの重量設定に注意しながら12〜15回を3セット実施できるようにしましょう。あくまでも、「ぎりぎり12〜15回を実施できる重量」を選択することが重要であり、楽に12〜15回を実施できる重量を選択しないようにしましょう。

効果を高めるポイント

  • 肘を伸ばし切らない。

  • ダンベルを下げすぎない。

  • ダンベルの軌道は弧を描くのではなく、直線。

  • 床に対して肘は常に垂直。

ダンベルフライ

やり方

  1. 肩甲骨を寄せた状態で、ダンベルを平行 (=持ち手が平行)となるように把持し、仰向けになる。
  2. 大胸筋を使うことで、大胸筋が十分にストレッチする部分まで、大胸筋が開くようにダンベルが平行に動かす。
  3. ダンベルが三角筋前部の上にくる部分まで戻す。
  4. 2から3を繰り返す。

回数

ダンベルフライは、まずは12〜15回を3セット実施しましょう。

ダンベルフライは、基本的には大胸筋のみを狙う比較的負荷の高いエクササイズです。特に初心者の場合には、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。

効果を高めるポイント

  • 肘を動かすのではなく大胸筋を動かすことを意識。

  • 肘の角度は常に固定(肘を真っ直ぐにしない)。

  • ダンベルを下げすぎない。

  • ダンベルを戻しすぎない。

ベンチプレス

やり方

  1. 肩甲骨を寄せた状態で仰向けになる。
  2. 手幅を肘の角度が90度となるくらいの部分に設定する。
  3. バーベルを胸元上部にもってきて、肘をやや曲げる。
  4. バーベルを胸につくかつかないか位まで下げる。
  5. 肘の角度が100度になるくらいまでバーベルを戻す。
  6. 4〜5を繰り返す。

回数

ベンチプレスは、まずは8〜10回を3セット実施しましょう。

ベンチプレスは、重量を扱うことができる種目であり、かつエクササイズ強度が非常に高いという特徴があります。このため、ベンチプレスはフォームを確認するという意味でもまずは8〜10回を3セット実施しましょう。

効果を高めるポイント

  • 適度にアーチを作る。

  • 肩甲骨を寄せる。

  • 肘を伸ばし切らない。

  • バーベルを下げすぎない。

  • 床に対して肘は常に垂直。