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パイクプレスのやり方。効果を高めるポイントも解説

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パイクプレスのやり方。効果を高めるポイントも解説

パイクプレスは、自重で三角筋を鍛えることができる数少ないエクサイズの一つです。今回は、パイクプレスのやり方及びコツをご紹介します。

パイクプレスとは

パイクププレスは英語で「pike press」で「槍のように押す」エクササイズを意味します(「パイクプッシュアップ」と表現することもありますが、全く同一の種目を指します)。これだけでは全く意味不明ですが、実際にパイクプレスが地面に頭を突き刺すように(実際には突き刺しませんが)して実施するエクササイズであることを考えると合点がいくかもしれません。 「プレス」というと、どうしても腕の筋肉、もしくは胸の筋肉を鍛える種目である印象が非常に強いですが、パイクプレスはそれとは少し異なります。前述したように、わざと、槍の様にして頭を地面に突き刺すようなエクササイズを行うことで、主に、肩の筋肉で前部、中部、後部からなる三角筋の前部と中部を中心に鍛えます。

パイクプレスで鍛えることができる部位

三角筋前部、中部

三角筋のイラスト

三角筋は肩の筋肉であり、前部、中部、後部からなります。 三角筋前部は、肩の前部についている筋肉で、大胸筋上部の上側に位置します。大胸筋とは、胸の筋肉で上部、中部、下部に分けることができます。大胸筋の中で三角筋と密接な関係があるのは、上1/3が該当する大胸筋上部です。三角筋前部が発達していると、大胸筋上部との区別がはっきりとし、これにより肩がより丸みを帯びて見えることに繋がります。 三角筋中部は、肩の側面についている筋肉です。三角筋中部が発達していると、側面から見たときの腕の凹凸がはっきりすることはもちろんですが、正面から見たときの肩の張り出し感に繋がります。 三角筋後部は、肩の後ろについている筋肉であり、三角筋後部が発達していると、肩甲骨周りの凹凸感が出るようになり、非常に逞しい見た目になります。

三角筋は、パイクプレスのメインターゲット部位です。

上腕三頭筋

上腕三頭筋のイラスト

上腕三頭筋は、上腕の後ろ側についている筋肉です。 上腕三頭筋は、外側頭、長頭、内側頭からなります。外側頭は上腕三頭筋の外側の筋肉、長頭は上腕三頭筋の内側の上部の筋肉、内側頭は内側の下部の筋肉です。内側頭と外側頭を合わせて短頭ということもあります。 上腕三頭筋は、上腕を形成する上で最も大きい筋肉です。このため、腕を太くしたいと考える場合、多くの人は力コブである上腕二頭筋を鍛えようとしますが、上腕三頭筋を鍛える方が効率的です。

上腕三頭筋は、パイクプレスのメインターゲット部位です。

パイクプレスの効果

肩こり、首こりの改善

肩もしくは首が凝っているというのは、基本的には何かしらの原因で首から肩にかけての筋肉がこわばっている状態です。筋肉がこわばると、血管を圧迫するため、これにより血流が悪化させるのと同時に、リンパの流れを悪化させます。血流及びリンパの流れは、疲労物質を流す作用があるため、血流が悪化した状態だとこの疲労物質が蓄積し、「肩、首が重い、だるい」といった症状を引き起こしてしまいます。 肩の筋肉を鍛えることで、肩周りの血流及びリンパの流れを改善することが期待できます。これにより、廃物が流れるようになることで、血管を圧迫しなくなり、これにより肩こり、首こりの改善を期待できます。

代謝の改善

三角筋は、意外かもしれませんが、身体の中で非常に大きな筋肉です(大腿四頭筋、大臀筋に次ぐ3番目の大きさと言われています)。 代謝を改善するための筋肉というと、脚の筋肉である大腿四頭筋、お尻の筋肉である大臀筋、背中の筋肉である広背筋等が非常に有名ですが、実は三角筋を鍛えることでの効果も非常に大きいです。ここで、よく見逃されがちなのが、三角筋後部です。三角筋後部は、三角筋前部、中部と比較すると正面から見えないということで軽視されがちな三角筋の部位であるため、鍛えることで効率的な代謝の改善を期待できます。

姿勢改善

「姿勢が悪い」というのは、腰が曲がりすぎた「猫背」、または腰が反りすぎた「反り腰」が挙げられます。一般的に、猫背は、長時間下を向いたりすることで発生するため、デスクワークが多い方やスマホの使用が多い方が患う可能性が高いです。 一方、反り腰は、猫背を治そうとして背中を反ることで発生すると考えられています。このため、そもそも猫背が原因で反り腰が発生していることが多く、姿勢の改善を行うためには、まず猫背の改善を行う必要があります。
猫背の原因の一つとして、巻き肩が挙げられます。巻き肩は、肩の筋肉が凝り固まっていることで発生することが多いとされています。そのため、三角筋を鍛えることで血流を改善することが期待でき、これにより、肩の筋肉の凝りの解消を期待することで巻き肩の予防を期待できます。

腕がたくましくなる

上腕三頭筋は上腕の中で最も大きい筋肉なので、男性の場合は鍛えることで効率的に上腕を大きくすることができます。特に上腕三頭筋を鍛えると、男性の場合は二の腕が馬の蹄(ひづめ)のような形になります。基本的に、腕はトレーニングをしないとほぼ円柱の様な形状であるのに対して、鍛えることで馬の蹄のような凹凸ができると、腕が非常にたくましく見えるようになることが期待できます。 男性が上腕三頭筋をよりたくましくみせるために、外側頭、長頭、内側頭をバランスよく鍛えることが重要です。これらの筋肉の発達具合を確認するために、鏡の前で肩を出して腕を後ろに組む様なポーズをして、上腕三頭筋肉を出し、どの部位が発達が遅れているかを確認することは効果的です。この発達が遅れている部位を補うようにしてトレーニングメニューを組むとなお良いです。

その他の効果

パイクプレスでは、三角筋と上腕三頭筋を鍛えることができるため、その他の効果として以下も期待できます。

  • 身体の見栄え改善。

  • 二の腕の引き締め効果。

  • 運動パフォーマンスの向上。

パイクプレスのやり方

フォーム

  1. 腕立て伏せの状態で身体をくの字にした状態(=お尻を上げた状態)を作る
  2. おでこが床に付くように、斜めに身体を動かす。
  3. 元に戻る。このとき、肩をすくめる。
  4. 2から3を繰り返す。

回数

初心者

筋トレ初心者は、パイクプレスを8〜10回3セット実施します。

パイクプレスは、慣れていないと負荷の高い種目であり、特に腕立て伏せのような種目であるため初心者にはとってはかなり難易度の高い種目です。このため、フォームをしっかり確認するという意味で、まずは8〜10回3セット実施しましょう。

少し慣れたら

パイクプレスに少し慣れてきたら、10〜12回3セット実施します。

パイクプレスは慣れてくると、動作に慣れることでより安定して実施することを期待できます。そのため、パイクプレスに少し慣れてきたら、初心者のときよりも回数をやや増やして、10〜12回3セット実施するようにしましょう。

上級者

上級者の場合、パイクプレスを実施する際には、その他の三角筋を鍛える種目と組み合わせて実施します。

上級者がパイクプレスを実施する場合には、ウォーミングアップの種目として実施します。本番種目として、ダンベルショルダープレス、ダンベルサイドレイズなどの種目を実施するのがおすすめです。この場合、パイクプレスを12〜15回を実施し、ダンベルショルダープレス、ダンベルサイドレイズを10〜12回3セット実施しましょう。

パイクプレスの効果を高めるポイント

肘を伸ばし切らない

パイクプレスでは、他の種目と同様に、負荷が入っている可動域の中で実施することが重要です。

パイクプレスにおいて、可動域を完全に設定しようとした場合には、肘を完全に伸ばした状態から、おでこが床に付く場所まで下げ、再び肘を完全に伸ばす必要があります。しかし、肘が伸び切ってしまうと、身体の重さを肘で支えることになり、肩に刺激が入り難くなります。このため、肘は伸ばし切らずに実施することが重要であり、トップポジションにおける肘がやや曲がった状態に設定するようにしましょう。

脚を台の上に乗せる

パイクプレスでは、脚をどのように設定するかで負荷が大きく変わります。

通常のパイクプレスでは、床でつま先立ちになって実施しますが、通常のプッシュアップと同様に、負荷を高めるためには少々高い場所に脚を置くことも効果的です。これにより、ボトムポジションにおいて、肩にかかる体重由来の負荷が高くなるためであり、究極的には完全に脚が頭の上にある逆立ちプッシュアップが最も負荷が高くなります(負荷が高い割には、実施するのが難しく、かつ、安全性に問題があるためおすすめではありませんが)。

逆に、負荷を小さくする場合には、膝立ちで実施しても問題なく、通常のパイクプレスを実施するのが難しい方は、まずは膝立ちで実施できるようにしましょう。

プッシュアップバーを使う方法も

パイクプッシュアップでネックになるのが、基本的におでこを床につけて実施しますが、三角筋の可動域に対してパイクプッシュアップで設定できる可動域は限定的です。これを解決できるのがプッシュアップバーです。

プッシュアップバーとは、プッシュアップを実施するための持ち手を床に作るトレーニンググッズです。プッシュアップバーをプッシュアップを実施する際に使用するメリットとして、プッシュアップバーの持ち手の高さの分だけボトムポジションを下に設定できるため、これによりストレッチの負荷をより積極的に入れることが可能です。

これは、パイクプッシュアップでも同様であり、プッシュアップバーの高さの分だけおでこを深くさげることができるため、パイクプッシュアップの可動域が三角筋の可動域に近くなり、より負荷を高めることができます。

鍛えている部位の動きを意識

パイクプレスに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。

このため、最初は難しいですが、パイクプレスで鍛えている部位の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中でのそれらの筋肉の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。

動作のスピード

パイクプレスに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。

具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。

ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。

呼吸

パイクプレスに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。パイクプレスでは、身体を下ろすときに息を吸い、身体を上げるときに息を吐くことを意識しましょう。

慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。

パイクプレスと一緒にやるのがおすすめの種目

ダンベルショルダープレス

なぜ一緒にやるのがおすすめか

ダンベルショルダープレスは、パイクプレスで鍛えることができる三角筋前部を鍛えることができるためです。 ダンベルショルダープレスは、三角筋前部を鍛えるためのエクササイズです。パイクプレスと比較した場合、ダンベルショルダープレスの方がエクササイズ強度が高くなります。実際に実施する場合には、パイクプレスを先に実施し、その後にダンベルショルダープレスを実施することで、三角筋前部をバランス良く鍛えることが期待できます。

やり方

  1. ユーテリティベンチ(アジャスタブルベンチの背もたれが短く、背もたれ角度が固定のもの)、もしくはアジャスタブルベンチの角度を75度くらいに設定して座る。
  2. ダンベルを両耳の横に配置する。
  3. ダンベルを直線的に、肘が伸び切らない部分まで動かす。
  4. ゆっくりもとに戻る。
  5. 3から4を繰り返す。

回数

ダンベルショルダープレスは、12〜15回を3セット実施します。 ダンベルショルダープレスは、扱う重量にもよりますが、基本的にはエクササイズ強度は通常のエクササイズに分類できます。このため、標準的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回3セットを目標に実施しましょう。

効果を高めるポイント

  • ダンベルの角度(軌跡)は床に対して垂直。

  • 肩甲骨を寄せない。

  • 肘を伸ばしきらない。

  • 重量設定を重すぎないようにする。

  • 背筋を曲げない。

ダンベルサイドレイズ

なぜ一緒にやるのがおすすめか

ダンベルサイドレイズは、パイクプレスで鍛えることができる三角筋中部を鍛えることができるためです。 ダンベルサイドレイズは、三角筋中部を鍛えることに特化したエクササイズです。パイクプレスと比較した場合、ダンベルサイドレイズの方がエクササイズ強度は高くなります。実際に実施する場合には、パイクプレスを先に実施し、その後にダンベルサイドレイズを実施することで、三角筋の中部を効率的に鍛えることを期待できます。

やり方

  1. ダンベルをしっかり握って立つ。
  2. ダンベルを小指側にツイストしながら上げる。
  3. ゆっくりもとに戻る。
  4. 2から3を繰り返す。

回数

サイドレイズは、まずは12〜15回を3セット実施します。 サイドレイズは、やり方にもよりますが基本的には比較的高重量を扱い難い種目です。ただし、サイドレイズはフォームが本当に重要であるため、やや軽めの重量で一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。

効果を高めるポイント

  • 高重量を扱わない。

  • しっかり握る。

  • 身体を煽りすぎない。

  • 小指を上げるように。

  • 「万歳」しない。

ダンベルリアレイズ

なぜ一緒にやるのがおすすめか

ダンベルリアレイズは、パイクプレスでは鍛えることが難しい三角筋後部を鍛えることが期待できるためです。 ダンベルリアレイズは、三角筋後部を鍛えることに特化したエクササイズです。パイクプレスと比較した場合、ダンベルリアレイズの方がエクササイズ強度は高くなります。実際に実施する場合には、パイクプレスを先に実施し、その後にダンベルリアレイズを実施することで、三角筋を効率的に鍛えることが期待できます。

やり方

  1. 立った状態で上体を曲げ、ダンベルが身体の前方下方になるようにする。
  2. 肘を曲げるようにして動かし、肘の角度が90度となる部分までダンベルを引き上げる。
  3. ゆっくりもとに戻る。
  4. 2から3を繰り返す。

回数

ダンベルリアレイズは、12〜15回を3セット実施します。 ダンベルリアレイズは、いくつかやり方がありますが、基本的には可動域をしっかりと設定して丁寧に実施することが要求されるエクササイズです。12〜15回を3セット丁寧に実施するようにしましょう。

効果を高めるポイント

  • ボトムポジションでしっかりと三角筋後部が床と平行になるようにし、しっかりと伸展させる。

  • トップポジションで一瞬静止するとより負荷が高まる。

  • 高重量で実施すると腰を痛め易いので注意が必要。