踵上げ、つまり、ステンディングカーフレイズは、自重でも十分に負荷を与えることを期待できるため女性にもおすすめです。今回は、女性向けのステンディングカーフレイズのやり方及びコツについてご紹介します。
カーフレイズは英語で「calf raise」で、「踵(かかと)上げ」を指します。「calf」は「ふくらはぎ」を意味します。
通常、カーフレイズは、立って実施する「スタンディングカーフレイズ」を指すことが多いですが、カーフレイズを実施する全ての種目を包括的に指す場合も多いです。
カーフレイズは、基本的には重さよりも回数を重視して実施する種目です。そのため、「重さ」というよりも「回数」という側面でカーフレイズをやりすぎるという場合が多々発生します。
女性がスタンディングカーフレイズにより下腿三頭筋を鍛えても男性のようにふくらはぎが左右にはみ出したような逞しい脚になることはほとんどありません。
これは、女性の骨格的な問題もありますが、そもそも、筋肉をつけるときに働くテストステロン値について女性はそこまで高くないためです。むしろ、女性が下腿三頭筋を鍛えた場合には、ふくらはぎ周りに付いた余計な脂肪を落とし、これにより、より引き締まった脚の実現を期待できます。これにより、脚のシルエットがはっきりする衣服、例えばスキニージーンズを履いたときのシルエットがよりぴったりとすることで大幅に改善することを期待できます。
スタンディングカーフレイズにより下腿三頭筋を鍛えることで、血流、リンパの流れを改善することを期待できます。
手脚の末端部が過度に冷えてしまう「冷え性」、皮膚の下に水分を過度に保持することで特定部位がふくらんでしまう「むくみ」を改善することを直感的にも想定できます。
実際には、腓腹筋が存在するふくらはぎは、第二の心臓と形容される位、血流に対して重要な役割を果たしています。また、腓腹筋が存在するふくらはぎの上部には膝があり、膝にはリンパが集まる膝窩(しっか)リンパ節が存在し、むくみを改善するために重要な部位といえます。以上より、腓腹筋を鍛えることで血流、リンパの流れを効率的に改善できるため、冷え性、むくみを効果的に改善することを期待できます。
スタンディングカーフレイズで鍛えることができる下腿三頭筋は、前述した通り、血流という点では第二の心臓、リンパの流れという点ではリンパ節が近くにあるという点から、血液、リンパの流れの何れにも重要な部位です。血流が改善すると、筋肉に溜まった疲労物質を流し、また筋肉に運ばれる酸素の量も増大するため、筋疲労を軽減することを期待できます。
また、リンパの流れが改善すると、溜まった老廃物、疲労物を流すことで疲労軽減効果を期待できます。以上から、下腿三頭筋を鍛えることで疲労回復効果を期待できるといえます。
女性の筋トレ初心者は、スタンディングカーフレイズを20〜30回を3セット実施します。
12〜15回が適正と言われるトレーニングが多いですが、スタンディングカーフレイズではそれの2倍以上の30〜40回が目安です。ただそれを初心者のときから実施するのは難しいことから、やや少なめの回数である20〜30回を3セット実施します。実施している最中ふくらはぎが疲れたら、一度休憩しても問題ありません。ただ、1回ずつ丁寧に行うことが大事です。
女性でスタンディングカーフレイズに少し慣れたらスタンディングカーフレイズを30〜40回を3セット実施します。
片足スタンディングカーフレイズに少し慣れるとふくらはぎに筋肉が付くことで実施するのがやや容易になります。そのため、初心者のときよりもやや回数を増やして30〜40回を3セット実施するようにしましょう。
女性の筋トレ上級者は、スタンディングカーフレイズに加えて、他に下半身を鍛えることができる種目を実施しましょう。
具体的には、片足カーフレイズ、ヒップリフト、スクワットなどの種目と組み合わせるのが効果的です。カーフレイズで下半身の血流が改善しているため、これらの種目をより効率よく実施することを期待できます。
トレーニングの原則として、筋肉を発達させるためには高重量を扱うことは原則です。しかし、ふくらはぎの筋肉は、かなりの上級者でないと高重量を扱ってもなかなか発達させづらいという特徴があります。
理由は、高重量を扱うときに重要である「完全伸展、完全収縮を意識すること」が、ふくらぎの場合は特に難しいためです。
そのため、片足スタンディングカーフレイズを実施する際には重量よりも回数を重視して、しつこく刺激することで効果的に鍛えることを期待できます。「重量を意識しない」ということは、普段、高重量を扱ってエクササイズを行っている方には抵抗があるかと思いますが、実はかなり効果的であるため、ぜひとも意識して頂きたいポイントです。
ふくらはぎを鍛えるエクササイズは、他の部位を鍛えるエクササイズとは異なりトレーニングに熟達していなくても高重量を扱いやすいと言われています。これは,ふくらはぎに重りなどで直接加重しているわけではなく、肩、腰、太もも等を介して負荷をかけていることも起因しています。
一方で、このようにして高重量を扱うと、前述したように可動域が非常に狭くなる傾向があります。スタンディングカーフレイズのような下腿三頭筋のエクササイズでは、そもそもの可動域が小さいからこそ、エクササイズ中には完全な可動域を設定して実施する必要があります。そのために、ボトムポジションではふくらはぎが切れそうになるくらいまで伸展させ、トップポジションではスネに痛みがくる位まで収縮させることが重要です。これを実施するためには、高重量を扱っての実施は難しく、やや軽いくらいの重量設定で実施することが重要です。
脚の指先に力を入れるという動作を少しやってみると分かりますが、指先に力を入れるとふくらはぎが収縮する動作がより促されるようになります。
腓腹筋を鍛えるエクササイズのほとんどは、踵を上げるという動作を行い、単純に踵を上げることを意識するだけでも効果はありますが、この踵を上げたときに指先に力を入れてより収縮感を促すことで、よりエクササイズ効率を向上させることが期待できます。
これを実施するためには、つま先をより意識する必要があり、例えば、裸足で後述する腓腹筋を鍛えるエクササイズを実施したり、少し高いですが、五本指シューズを履いてエクササイズを行うことが効果的です(同様の理由で、五本指ソックスを履いてエクササイズをするのも効果的ですが、場所を選ぶため注意が必要です)。
トレーニングにおける「トップポジション」は身体が一番高い状態にあることを指します。反対に、身体が一番低い状態にあることを「ボトムポジション」と言います。その間を「ミッドレンジ」といいます。
スタンディングカーフレイズでは、トップポジションで収縮の刺激が、ボトムポジションで伸展の刺激が入るため、いずれの部分で一瞬静止することで負荷を高めることができます。エクササイズの中で最も負荷のかかる部分を意図的に長く経験することで負荷を高める方法であり、これはスタンディングカーフレイズの他にも有効なテクニックであるため、覚えておくと非常に効果的にトレーニングをできるようになります。
自重で実施するスタンディングカーフレイズは、何も工夫をしないで実施すると、ボトムポジションはかかとが床に付いた状態になります。
一方、この状態は、ふくらはぎの可動域を十分に設定できているとは言えません。ふくらはぎの可動域を十分に取るためには、かかとがつま先よりも深い部分にある状態を作り出す必要があり、そのためには段差を利用することが効果的です。段差を利用してスタンディングカーフレイズを実施する際には、壁などに片手をかけてしっかりとバランスをとりながら実施するようにしましょう。
スタンディングカーフレイズに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、下腿三頭筋,長腓骨筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中でのそれらの動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
スタンディングカーフレイズに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
スタンディングカーフレイズに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。基本的には、ふくらはぎが伸展するときに息を吸い、収縮するときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
片足スタンディングカーフレイズは、スタンディングカーフレイズと同様に下腿三頭筋及び長腓骨筋を鍛えることを期待できるためです。
片足スタンディングカーフレイズは、スタンディングカーフレイズと同様に下腿三頭筋及び長腓骨筋を鍛えるためのエクササイズであり、エクササイズ強度はスタンディングカーフレイズよりも低いです。実際に実施する場合には、スタンディングカーフレイズをウォーミングアップ種目として実施し、片足スタンディングカーフレイズを追い込みとして実施することで下腿三頭筋及び長腓骨筋を効率的に鍛えることを期待できます。
片足スタンディングカーフレイズを20〜30回を3セット実施します。
12〜15回が適正と言われるトレーニングが多いですが、片足スタンディングカーフレイズではそれの2倍以上の30〜40回が目安です。ただそれを初心者のときから実施するのは難しいことから、やや少なめの回数である20〜30回を3セット実施します。実施している最中ふくらはぎが疲れたら、一度休憩しても問題ありません。ただ、1回ずつ丁寧に行うことが大事です。
高回数を意識。
完全伸展、完全収縮を意識。
指先に力を入れる。
トップポジション、ボトムポジションで一瞬静止。
ふくらはぎがパンパンになってきたら休む。
(自重で実施する際には)段差を利用。
ヒップリフトは、大臀筋やハムストリングスという下半身の中心となる筋肉を鍛えることができるためです。
ヒップリフトは、身体の上げ下げを行うことで大臀筋やハムストリングスという下半身の大きい筋肉を鍛えるエクササイズです。カーフレイズで下半身の血流を改善しているため、組み合わせて実施することでより効率的にヒップリフトを実施することを期待できます。実際に実施する場合には、カーフレイズを実施した後にヒップリフトを実施しましょう。
ヒップリフトは、12〜15回3セット実施するようにしましょう。
ヒップリフトは、前述した通り、そこまで負荷の高いエクササイズではないため、効果を高めるためにはフォームをしっかりと守って実施する必要があります。フォームをしっかりと守るために、やや回数が少ないと感じるかもしれませんが、12〜15回3セットをしっかりと実施するようにしましょう。
トップポジションで静止する。
お尻をゆっくり下げる。
お尻を上げる際に息を吐いて、お尻を下げるときに息を吸う。
スクワットは、大腿四頭筋や大臀筋という下半身の中心となる筋肉を鍛えることができるためです。
スクワットは、身体の上げ下げを行うことで大腿四頭筋や大臀筋という下半身の大きい筋肉を鍛えるエクササイズです。カーフレイズで下半身の血流を改善しているため、組み合わせて実施することでより効率的にスクワットを実施することを期待できます。実際に実施する場合には、カーフレイズを実施した後にスクワットを実施しましょう。
スクワットは、12〜15回を3セット実施します。
スクワットを自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要であり、それを意識できていないと、回数が少ない分だけ負荷が弱くなります。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
膝がつま先よりも前に出ないということを過度に意識しない。
背中を張ったまま実施する。
初動は臀部から動かすことを意識する。
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