ダンベルヒップリフトはダンベルを身体に乗せて実施するヒップリフトです。今回はダンベルヒップリフトのやり方及びコツについてご紹介します。
ダンベルヒップリフトは、ダンベルを用いて実施するヒップリフトを指します。
ダンベルを身体の上に乗せて実施することから、体重が擬似的に重くなったようにしてヒップリフトを実施することができ、エクササイズ強度を高めることを期待できます。
ダンベルヒップリフトは、実施しているときにダンベルが上体の方向に落ちてくるという問題があります。この問題に対して、椅子の上など高さがあるところに上体を設定して実施すると防ぐことが期待できます。ただし、このように実施すると「ヒップスラスト」になることには留意しましょう。
大臀筋は、お尻の大部分を占めている筋肉であり、単一の筋肉では身体の中で占める割合が最も大きい筋肉です。
お尻には、大臀筋の他に、中臀筋と小臀筋という筋肉があります。中臀筋はお尻の外側についている筋肉、小臀筋はお尻の中で最もインナー部分に存在する筋肉です。ただ、両者ともに大臀筋と比較すると、筋肉としては小さいため、お尻を効果的に鍛えたいならば大臀筋を鍛えると効率的です。
ハムストリングスとは、太ももの裏側に位置する3つの筋肉(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)の総称です。
「ハムストリング」と表記される場合もありますが、以上のように3つの筋肉で構成されていることを考慮して、ここでは「ハムストリングス」と呼称します。どちらで呼称しても問題ありません。 ハムストリングスは、太ももの前側にある大腿四頭筋と比較するとサイズは小さくなりますが、それでも筋肉の大きさとしては身体の中でも非常に大きい部類に分類することができます。
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)は、腸肋筋(ちょうろくきん)、最長筋(さいちょうきん)、棘筋(きょくきん)からなり、背中の中央部を縦に背骨に沿うように走る背中の筋肉です。
脊柱起立筋は、背中の代表的な筋肉である広背筋や僧帽筋と比較すると小さい筋肉ですが、姿勢を維持する役割を果たしています。このため、脊柱起立筋は身体が横になっている状態以外、常に働いている筋肉になります。
腹横筋は、横腹についている筋肉であり、腹筋では最も深層にある筋肉です。このため、腹横筋は筋肉の種類としてはインナーマッスルに分類されます。
腹横筋は、コルセット筋とも呼ばれます。コルセットとは、ウエスト周りを締め付けることでウエストラインを矯正する器具であり、腹横筋もコルセットと同様にウエストを締め付けることでウエストラインをタイトに保つ役割があります。また、コルセットの役割を果たしていることから推察できる通り腰痛を予防する役割もあります。
ヒップラインを引き上げるためには、お尻の筋肉である大臀筋を鍛えるアプローチと、大臀筋の下側にあるハムストリングスを鍛えるアプローチがあります。
大臀筋を直接鍛えることで、お尻の余分の脂肪を燃焼させ、メリハリのあるお尻を期待できます。
ハムストリングスを鍛えることで、お尻と太ももの境目をはっきりさせることを期待できます。
つまり、ダンベルヒップリフトでは、これら2つの筋肉を合わせて鍛えることを期待できるため、効率的なヒップラインの引き上げを期待できます。
ダンベルヒップリフトでは、ダイエット効果も見込むことができます。 その理由は、身体の中の筋肉の約60〜70%が下半身に集中しており、下半身の中でも臀部(お尻)が占める筋肉の割合が非常に高いためです。ダンベルヒップリフトでは、臀部に加えて、ハムストリングスを鍛えることが期待できるため代謝が向上します。脂肪が燃焼するためには代謝の向上が不可欠なので、ダイエット効果が見込めます。
ただし、ダンベルヒップリフトは代謝向上を促すことまでしかできません。ウォーキングやランニングなどの有酸素運動と、食事制限もダイエットをする上では必須です。
前述した通り、ダンベルヒップリフトは脊柱起立筋、腹横筋に刺激が入り鍛えることができるので、副次的に様々な効果が期待できます。
例えば、
姿勢改善。
腰痛改善。
運動機能の改善。
ウエストの引き締め効果。
臓器の位置の安定。
などです。
筋トレ初心者のダンベルヒップリフトの目安の重量は5〜10 kg程度です (自身の体重にもよります)。
ダンベルヒップリフトは身体の上にダンベルを設定することから、筋トレ初心者でも比較的高重量を扱うことができます。以上では重量は5〜10 kgと述べましたが、実際には、自身の筋肉量に合わせて10〜12回をきちんと(ある程度余裕のある形で)実施できる重量を選択するようにしましょう。
ダンベルヒップリフトに少し慣れた方のダンベルヒップリフトの目安の重量は10〜20 kg程度です(自身の体重にもよります)。
ダンベルヒップリフトで鍛えるお尻の筋肉はサイズが大きい部位であることから、鍛えると比較的早い速度で扱うことができる重量が伸びます。ただし、少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では10〜20 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてダンベルヒップリフトを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。
筋トレ上級者のダンベルヒップリフトの目安の重量は50 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、ダンベルヒップリフトで50 kg以上を正確なフォームで実施できれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、これだけの重量になってくるとダンベルヒップリフトではダンベルを支えるのが難しくなるため、ヒップスラストに移行しましょう。
初心者は、ダンベルヒップリフトを10〜12回3セット実施します。
ダンベルヒップリフトは、ダンベルを使用している分、通常のヒップリフトに対して、負荷の高いエクササイズですそのため、一般的な筋トレにおける標準的な回数よりもやや少ない10〜12回3セットを目標に実施する様にしましょう。
ダンベルヒップリフトに少し慣れてきたら、ダンベルヒップリフトを12〜15回3セット実施します。
ダンベルヒップリフトは慣れてくると、大臀筋の発達により10〜12回3セットでは負荷が足りなくなることを感じます。そのため、初心者のときよりも回数をやや増やして、12〜15回3セットを実施するようにしましょう。
上級者の場合、その他の大臀筋、ハムストリングスを鍛える種目と組み合わせて実施しましょう。
基本的に、ダンベルヒップリフトは大臀筋を鍛える種目の中ではエクササイズ強度が高い種目ですが、他の大臀筋を鍛えることができる種目と一緒に実施するとより負荷を高めることが期待できます。実施する際には、何れの種目でも15〜18回3セットを実施するようにしましょう。
ダンベルヒップリフトで最も負荷が高まるのは後述するように身体を上げ切ったトップポジションです。
このトップポジションの設定ですが、身体をしっかりと上げ切らないで中途半端に設定してしまうと、大臀筋がほとんど収縮していない状態になります。この状態で切り返してしまうと、そもそも負荷が入っていない範囲の中でエクササイズを実施することになり非効率的です。
そのため、ヒップリフトマーチでは身体をしっかりと上げ切ることを意識しましょう。
ダンベルヒップリフトはトップポジションで最も刺激が大きくなるので、この部分で静止すると更に負荷が高めることを期待できます。
通常のエクササイズとは異なりダンベルヒップリフトではトップポジションで腰を上げ切ることで、ダンベルヒップリフトの主たるターゲットである大臀筋の収縮を促すことができます。
トレーニングにおける「ボトムポジション」とは、身体が一番低い状態にあることを指します。スクワットではしゃがんだ状態です。多くは筋肉がピンっと張った状態です。反対に「トップポジション」は身体が一番高い状態にあることを指します。その間を「ミッドレンジ」と言います。
種目によっては、「上げ切る動作」を行うと負荷が抜けてしまうものもありますが、ヒップリフトはそれに分類されないことに留意しましょう。
ダンベルヒップリフトでは、他の種目と同様に可動域をしっかりと設定することが重要です。特にバックスクワットで重量設定が重すぎると、可動域が狭くなることに加えて、怪我をしやすくなります。
また、ダンベルヒップリフトに限って言えば、高重量にするほど、ダンベルが上体に落ちてくること避けるためにダンベルを固定するのが難しくなります。この「ダンベルを固定する」動作は、ダンベルヒップリフトを実施する上で本質的な動作ではないことから、そもそも、あまりそこに意識を働かせないことが重要です。
そのために、ダンベルヒップリフトでは、高重量を扱う場合にはヒップスラストのように高さのある台に背中を預けて実施するのがおすすめです。
ダンベルヒップリフトに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、大臀筋、ハムストリングスの動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での大臀筋、ハムストリングスの動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ダンベルヒップリフトに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ダンベルヒップリフトに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、ダンベルヒップリフトでは、身体を下ろすときに息を吸い、身体を上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは絶対に避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
ヒップリフトは、ダンベルヒップリフトの基本となる種目であるためです。
ヒップリフトは、ダンベルを使用しない種目で、ダンベルヒップリフトの基本となる種目です。実際に実施する場合には、ヒップリフトをウォーミングアップ種目として実施し、本番種目としてダンベルヒップリフトを一緒に実施することでハムストリングス、大臀筋を効率的に鍛えることを期待できます。
ヒップリフトは10〜12回3セット実施します。
ヒップリフトは、大臀筋のエクササイズの中では比較的難易度が低く、初心者や女性の方でも無理なく実施できるエクササイズです。ただし、腰痛を防ぐためには通常よりも少ない回数を実施する必要があり、10〜12回3セットを目標に実施する様にしましょう。
トップポジションで静止する。
お尻を下げすぎない。
大臀筋の動きを意識する。
ワイドスクワットは、ダンベルヒップリフトと同様に大臀筋、ハムストリングスを効率的に鍛えることができるためです。
ワイドスクワットは、ダンベルヒップリフトと同様にハムストリングス、大臀筋等を鍛えることができます。負荷の大きさを比較した場合、ワイドスクワットの方が大きくなります。実際に実施する場合には、ダンベルヒップリフトを本番種目として実施し、仕上げの種目としてワイドスクワットを一緒に実施することハムストリングス、大臀筋を効率的に鍛えることを期待できます。
ワイドスクワットは、12〜15回を3セット実施します。
スクワットと同様に、ワイドスクワットも自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要です。また、ワイドスクワットは、股関節周りを動かすトレーニングであることから、高回数で実施すると怪我をする原因となるため注意が必要です。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
身体を下げすぎない。
背中をできるだけ倒さない。
臀部の動きを意識する。
スクワットは、ダンベルヒップリフトと同様に大臀筋、ハムストリングスを効率的に鍛えることができるためです。
スクワットは、ダンベルヒップリフトと同様にハムストリングス、大臀筋等を鍛えることができます。負荷の大きさを比較した場合、スクワットの方が大きくなります。実際に実施する場合には、ダンベルヒップリフトを本番種目として実施し、仕上げの種目としてスクワットを一緒に実施することハムストリングス、大臀筋を効率的に鍛えることを期待できます。
ノーマルスクワットは、12〜15回を3セット実施します。
ノーマルスクワットを自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要であり、それを意識できていないと、回数が少ない分だけ負荷が弱くなります。
トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。
身体をゆっくり下げる。
膝がつま先よりも前に出ないということを過度に意識しない。
背中を張ったまま実施する。
初動は臀部から動かすことを意識する。
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