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クックヒップリフトとは?正しいやり方と効果を高める方法を解説

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クックヒップリフトとは?正しいやり方と効果を高める方法を解説

クックヒップリフトは、片脚を抱えた状態で実施するヒップリフトです。今回は、クックヒップリフトのやり方及びコツについてご紹介します。

クックヒップリフトとは

クックヒップリフトは英語で「Cook Hip Lift」です。「Cook」ですが、「料理をする」の意味ではなく、本種目の実施を考案した理学療法士のGray Cookの名前から付けられています。

クックヒップリフトは、別名で「レッグロックブリッジ」と表現されることもあります (「クックヒップリフト」の状態が「脚を固定している」かのような状態であることからこの名称がついたのでしょう)。

クックヒップリフトは、片脚で実施するシングルレッグヒップリフトに分類されるトレーニングであると言え、通常のヒップリフトより負荷が高いです。ただし、片脚を伸ばしているわけではないため、脚を伸ばして実施するシングルレッグヒップリフトよりは負荷は小さいといえます。

クックヒップリフトで鍛えられる部位

クックヒップリフトで鍛えられる筋肉の部位

大臀筋

大臀筋は、お尻の大部分を占めている筋肉であり、単一の筋肉では身体の中で占める割合が最も大きい筋肉です。

お尻には、大臀筋の他に、中臀筋と小臀筋という筋肉があります。中臀筋はお尻の外側についている筋肉、小臀筋はお尻の中で最もインナー部分に存在する筋肉です。ただ、両者ともに大臀筋と比較すると、筋肉としては小さいため、お尻を効果的に鍛えたいならば大臀筋を鍛えると効率的です。

ハムストリングス

ハムストリングスとは、太ももの裏側に位置する3つの筋肉(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)の総称です。

「ハムストリング」と表記される場合もありますが、以上のように3つの筋肉で構成されていることを考慮して、ここでは「ハムストリングス」と呼称します。どちらで呼称しても問題ありません。 ハムストリングスは、太ももの前側にある大腿四頭筋と比較するとサイズは小さくなりますが、それでも筋肉の大きさとしては身体の中でも非常に大きい部類に分類することができます。

脊柱起立筋

脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)は、腸肋筋(ちょうろくきん)、最長筋(さいちょうきん)、棘筋(きょくきん)からなり、背中の中央部を縦に背骨に沿うように走る背中の筋肉です。

脊柱起立筋は、背中の代表的な筋肉である広背筋や僧帽筋と比較すると小さい筋肉ですが、姿勢を維持する役割を果たしています。このため、脊柱起立筋は身体が横になっている状態以外、常に働いている筋肉になります。

腹横筋

腹横筋は、横腹についている筋肉であり、腹筋では最も深層にある筋肉です。このため、腹横筋は筋肉の種類としてはインナーマッスルに分類されます。

腹横筋は、コルセット筋とも呼ばれます。コルセットとは、ウエスト周りを締め付けることでウエストラインを矯正する器具であり、腹横筋もコルセットと同様にウエストを締め付けることでウエストラインをタイトに保つ役割があります。また、コルセットの役割を果たしていることから推察できる通り腰痛を予防する役割もあります。

クックヒップリフトの効果

ヒップラインの引き上げ

ヒップラインを引き上げるためには、お尻の筋肉である大臀筋を鍛えるアプローチと、大臀筋の下側にあるハムストリングスを鍛えるアプローチがあります。

大臀筋を直接鍛えることで、お尻の余分の脂肪を燃焼させ、メリハリのあるお尻を期待できます。

ハムストリングスを鍛えることで、お尻と太ももの境目をはっきりさせることを期待できます。

つまり、クックヒップリフトでは、これら2つの筋肉を合わせて鍛えることを期待できるため、効率的なヒップラインの引き上げを期待できます。

代謝アップによるダイエット効果

クックヒップリフトでは、ダイエット効果も見込むことができます。 その理由は、身体の中の筋肉の約60〜70%が下半身に集中しており、下半身の中でも臀部(お尻)が占める筋肉の割合が非常に高いためです。クックヒップリフトでは、臀部に加えて、ハムストリングスを鍛えることが期待できるため代謝が向上します。脂肪が燃焼するためには代謝の向上が不可欠なので、ダイエット効果が見込めます。

ただし、クックヒップリフトは代謝向上を促すことまでしかできません。ウォーキングやランニングなどの有酸素運動と、食事制限もダイエットをする上では必須です。

その他の効果

前述した通り、クックヒップリフトは脊柱起立筋、腹横筋に刺激が入り鍛えることができるので、副次的に様々な効果が期待できます。
例えば、

  • 姿勢改善。

  • 腰痛改善。

  • 運動機能の改善。

  • ウエストの引き締め効果。

  • 臓器の位置の安定。

などです。

クックヒップリフトのやり方

フォーム

  1. 仰向けになる。
  2. 片脚を抱える。
  3. 肩甲骨を支点にして上体を上げる。
  4. ゆっくり元に戻る。
  5. 3から4を繰り返す。

回数

初心者

初心者は、クックヒップリフトを片脚12〜15回3セット実施します。

クックヒップリフトは、通常のヒップリフトに対して、やや負荷の高いエクササイズですが膝を曲げている分、強度の高まり方は限定的です。そのため、一般的な筋トレにおける標準的な回数である片脚12〜15回3セットを目標に実施する様にしましょう。

少し慣れたら

クックヒップリフトに少し慣れてきたら、クックヒップリフトを片脚15〜18回3セット実施します。

クックヒップリフトは慣れてくると、大臀筋の発達により片脚12〜15回3セットでは負荷が足りなくなることを感じます。そのため、初心者のときよりも回数をやや増やして、片脚15〜18回3セットを実施するようにしましょう。

上級者

上級者の場合、その他の大臀筋、ハムストリングスを鍛える種目と組み合わせて実施しましょう。

基本的に、クックヒップリフトは大臀筋を鍛える種目の中ではエクササイズ強度が高い種目ですが、他の大臀筋を鍛えることができる種目と一緒に実施するとより負荷を高めることが期待できます。実施する際には、何れの種目でも15〜18回3セットを実施するようにしましょう。

クックヒップリフトの効果を高めるポイント

身体をしっかり上げ切る

クックヒップリフトで最も負荷が高まるのは後述するように身体を上げ切ったトップポジションです。

このトップポジションの設定ですが、身体をしっかりと上げ切らないで中途半端に設定してしまうと、大臀筋がほとんど収縮していない状態になります。この状態で切り返してしまうと、そもそも負荷が入っていない範囲の中でエクササイズを実施することになり非効率的です。

そのため、クックヒップリフトでは身体をしっかりと上げ切ることを意識しましょう。

膝をしっかり抱え込む

クックヒップリフトで重要なことは、しっかりと膝を抱え込むことです。

ヒップリフトの動作を実施していると、身体の上げ下げによりどうしてもこの「膝を抱え込む」ということを意識しづらくなります。その場合には、鼠蹊部(そけいぶ)あたりでテニスボールを太ももと腹直筋で挟み込むことが有効です。これにより、ボールを落とさないようにすれば、自然と「膝を抱え込む」ということを意識しやすくなり、エクササイズ効率を高めることを期待できます。

トップポジションで静止する

クックヒップリフトはトップポジションで最も刺激が大きくなるので、この部分で静止すると更に負荷が高めることを期待できます。

通常のエクササイズとは異なり、クックヒップリフトではトップポジションで腰を上げ切ることで、クックヒップリフトの主たるターゲットである大臀筋の収縮を促すことができます。

トレーニングにおける「ボトムポジション」とは、身体が一番低い状態にあることを指します。スクワットではしゃがんだ状態です。多くは筋肉がピンっと張った状態です。反対に「トップポジション」は身体が一番高い状態にあることを指します。その間を「ミッドレンジ」といいます。

種目によっては、「上げ切る動作」を行うと負荷が抜けてしまうものもありますが、ヒップリフトはそれに分類されないことに留意しましょう。

身体を戻しすぎない

クックヒップリフトに限った話ではありませんが、トレーニングではターゲットとなる部位に負荷が入っている範囲内で実施する必要があります。

クックヒップリフトでは、身体を戻しすぎてしまうとお尻と床が接触した状態になり、この部分ではターゲットとなる部位に負荷が入っていない状態になります。そのため、クックヒップリフトでは身体を戻しすぎないことが重要であり、お尻がやや浮いた状態をボトムポジションに設定しましょう。

プレートを使用する

クックヒップリフトでは、通常のヒップリフトとは異なり、トップポジションで片脚が床と平行になるため、プレートを用いて負荷を高めることが期待できます。

通常のヒップリフトでは、トップポジションにおいて大腿が床に対して角度がついた状態になるため、プレートを乗せることがはかなり困難となります。一方、クックヒップリフトでは、片脚の膝を抱え込んでいることから、抱え込んでいる方の太ももがトップポジションで床と平行になるためプレートを使用して負荷を高めることを期待できます。

ただし、プレートを使用する場合には重量設定が重すぎにならないように気をつけましょう。

大臀筋、ハムストリングスの動きを意識する

クックヒップリフトに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、大臀筋、ハムストリングスの動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での大臀筋、ハムストリングスの動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。

動作のスピード

クックヒップリフトに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。

具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。

ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。

呼吸

クックヒップリフトに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、クックヒップリフトでは、身体を下ろすときに息を吸い、身体を上げるときに息を吐くことを意識しましょう。

慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは絶対に避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。

クックヒップリフトと一緒にやるのがおすすめの種目

ヒップリフト

ヒップリフト

なぜ一緒にやるのがおすすめか

ヒップリフトは、クックヒップリフトの基本となる種目であるためです。

ヒップリフトは、両脚で実施する種目で、クックヒップリフトの基本となる種目です。実際に実施する場合には、ヒップリフトをウォーミングアップ種目として実施し、本番種目としてクックヒップリフトを一緒に実施することでハムストリングス、大臀筋を効率的に鍛えることを期待できます。

やり方

  1. 仰向けになり、膝の角度を90度にする。
  2. 肩甲を支点にして上体を上げてお尻を浮かせる。
  3. ゆっくり元に戻る。
  4. 2〜3を繰り返す。

回数

ヒップリフトは10〜12回3セット実施します。

ヒップリフトは、大臀筋のエクササイズの中では比較的難易度が低く、初心者や女性の方でも無理なく実施できるエクササイズです。ただし、腰痛を防ぐためには通常よりも少ない回数を実施する必要があり、10〜12回3セットを目標に実施する様にしましょう。

効果を高めるポイント

  • トップポジションで静止する。

  • お尻を下げすぎない。

  • 大臀筋の動きを意識する。

ワイドスクワット

ワイドスクワット

なぜ一緒にやるのがおすすめか

ワイドスクワットは、クックヒップリフトと同様に大臀筋、ハムストリングスを効率的に鍛えることができるためです。

ワイドスクワットは、クックヒップリフトと同様にハムストリングス、大臀筋等を鍛えることができます。負荷の大きさを比較した場合、ワイドスクワットの方が大きくなります。実際に実施する場合には、クックヒップリフトをウォーミングアップ種目として実施し、仕上げの種目としてワイドスクワットを一緒に実施することハムストリングス、大臀筋を効率的に鍛えることを期待できます。

やり方

  1. 脚幅を肩幅の1.2〜1.5倍程度に設定し、つま先はやや外側に設定する。
  2. 太ももと床が平行位になるところまでゆっくり身体を下げる。
  3. 膝が真っ直ぐに伸び切らないところまで身体を戻す。
  4. 2から3をくり返す。

回数

ワイドスクワットは、12〜15回を3セット実施します。
スクワットと同様に、ワイドスクワットも自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要です。また、ワイドスクワットは、股関節周りを動かすトレーニングであることから、高回数で実施すると怪我をする原因となるため注意が必要です。

効果を高めるポイント

  • トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。

  • 身体をゆっくり下げる。

  • 身体を下げすぎない。

  • 背中をできるだけ倒さない。

  • 臀部の動きを意識する。

スクワット

スクワット

なぜ一緒にやるのがおすすめか

スクワットは、クックヒップリフトと同様に大臀筋、ハムストリングスを効率的に鍛えることができるためです。

スクワットは、クックヒップリフトと同様にハムストリングス、大臀筋等を鍛えることができます。負荷の大きさを比較した場合、スクワットの方が大きくなります。実際に実施する場合には、クックヒップリフトをウォーミングアップ種目として実施し、仕上げの種目としてスクワットを一緒に実施することハムストリングス、大臀筋を効率的に鍛えることを期待できます。

やり方

  1. 脚幅を腰幅位に設定し、つま先はやや外側に設定する。
  2. 太ももと床が平行よりも少し深くなる位までゆっくり身体を下げる。
  3. 膝が真っ直ぐに伸び切らないところまで身体を戻す。
  4. 2から3をくり返す。

回数

ノーマルスクワットは、12〜15回を3セット実施します。

ノーマルスクワットを自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要であり、それを意識できていないと、回数が少ない分だけ負荷が弱くなります。

ポイント・コツ

  • トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。

  • 身体をゆっくり下げる。

  • 膝がつま先よりも前に出ないということを過度に意識しない。

  • 背中を張ったまま実施する。

  • 初動は臀部から動かすことを意識する。