ドローインは、腹横筋を鍛える呼吸方法であり、他のエクササイズと組み合わせることができます。今回は、ドローインを意識したクランチのやり方およびコツについてご紹介します。
ドローイングは、腹式呼吸に合わせて腹筋の中でも腹横筋を鍛えるエクササイズですが、エクササイズというよりは「呼吸法」という側面が非常に強いです。ドローイングは、「ドローイン」とも表記される場合があり、両者ともに全く同様の動作を意味します。
ドローインは、基本的には仰向けになった状態で実施するエクササイズではありますが、慣れてくると立った状態でも実施できるようになります。これが何を意味しているかというと、日常生活の中でドローインを実施することができるということであり、これにより、理論上はほぼ常時、ドローインの効果を期待できます。
ドローインに良く似た呼吸方法として丹田呼吸法がありますが、丹田呼吸法ではおへその約4〜5cm下側にある丹田を意識して呼吸をするのに対して、ドローインではお腹全体を意識して実施するという違いがあります。
クランチは英語で「crunch」で、「押しつぶす」エクササイズです。このままでは意味不明ですが、「身体をすぼめる」動作を指します。
この「身体をすぼめる」動作ですが、具体的には上体を起こすことで腹直筋上部を収縮させる動きを指します。
いわゆる「腹筋」といわれるエクササイズであるシットアップと大きく異なるのは、支点の位置です。シットアップはほぼ腰を支点にして動かすのに対して、クランチは肩甲骨あたりから身体を起こして実施します。
そのため、クランチはシットアップと比較して、可動域が狭く負荷が限定的です。
筋トレ初心者の場合、ドローインを意識したクランチは8〜10回を3セット実施します。
クランチ自体はそこまで難易度の高いエクササイズではありませんが、ドローインと組み合わせると話が異なります。そもそも、ドローインを他の種目と組み合わせるということは比較的難易度の高いということが言え、筋トレ初心者の方が実施する場合にはまずは8〜10回を3セット実施するようにしましょう。
ドローインを意識したクランチに少し慣れた方の場合、ドローインを意識したクランチは、ウォーミングアップのセット、仕上げのセットを追加して5セット実施します。
ドローインを意識したクランチに少し慣れた方の場合、まず、ウォーミングアップのセットを追加します。ウォーミングアップのセットは、8〜10回を実施します。次に、仕上げのセットを追加します。仕上げのセットでは、本番の3セットに対してやや回数を増やして10回きっちり実施しましょう。
筋トレ上級者の場合、前述したやり方に加えて、アセンディング法、スーパーセット等を実施するようにします。
アセンディング法とは、別名ピラミッドセットと呼ばれる方法です。Max重量の50%で12回程度、Max重量の60%で10回程度、Max重量の70%で8回程度、Max重量の80%で6回程度、Max重量の85%で4回程度と徐々に重量を増やしていきながら、それに伴って実施回数を減らすやり方です。怪我を防止しながら高強度のトレーニングを実施できるため、おすすめの方法です。
スーパーセットとは、2種類の種目をインターバルなしで実施する方法です(3種目実施する場合にはトライセット、5種目以上実施する場合にはジャイアントセットと呼ばれます)。スーパーセットの種目の設定方法は様々であり、例えばドローインを意識したクランチと一緒に実施するならば、クランチ、レッグレイズ、シットアップなどを実施するのがおすすめです。回数設定に厳密な指定はありませんが、基本的には何れの種目も10〜12回実施できるようにしましょう。
腹直筋上部は、身体の中ではそこまで大きな筋肉ではありません。
そもそも、腹直筋が分類される腹筋は身体の中でも大きい筋肉ではないため、例えば、大腿四頭筋や大臀筋といった身体の中で筋肉が大きい部位と比較すると、鍛えることでの代謝の改善効果は限定的です。
それでも、腹直筋は、腹筋の中では最も大きい筋肉であり、これにより、ドローインを意識したクランチで鍛えることで基礎代謝の改善効果を期待できます。代謝を改善するということは、脂肪を燃焼させやすい身体を作るということであり、これによりダイエット効果を期待できます。
ドローインを意識したクランチで腹直筋上部を鍛えることで、特にお腹周りについている脂肪を燃焼することを期待できます。また、ドローインを意識したクランチでは腹横筋を鍛えることが期待できるため、腹横筋がお腹を締め上げることでコルセットのような役割を果たすことが期待できます。以上より、ドローインを意識したクランチでは腹直筋上部及び腹横筋を鍛えることでお腹周りをすっきりさせることを期待できます。
ただし、以上だけでは腹直筋上部だけではお腹周りをすっきりさせるためには効果が限定的です。
腹直筋上部及び腹横筋を鍛えてお腹周りをすっきりさせたい場合には、腹直筋上部を鍛えるエクササイズに加えて有酸素運動や食事制限を行う必要があります。これは、シックスパックを作りたい際にも同様であり、シックスパックをしっかり出したい場合にはかなりの計画的な有酸素運動、もしくは食事制限を実施する必要があります。
ドローインを意識したクランチで鍛えることができる腹直筋上部は、前述した通り腹筋に分類される筋肉であり、腹筋は背筋とともに上半身を支える筋肉です。これにより、腹直筋を鍛えることで上半身をしっかり支えることができるようになります。
また、ドローインを意識したクランチで鍛えることできる腹横筋は、コルセットのような役割を果たすことで、お腹周りをすっきりさせるだけではなく、体幹を安定させ無駄な力が腰にかかることを防ぐ役割があります。
腰痛が発生するメカニズムは、上半身の重さを支えることができなくなることで姿勢が悪化し、これにより、腹筋と背筋のバランスが崩れることで、上半身と下半身の付け根である腰に負担がかかってしまうということです。特に、背筋は日常的に使用する機会が多い筋肉であるものの、腹筋は意識的に使用しないと鍛えることが難しい部位です。
以上から、腹直筋上部及び腹横筋を鍛えることで腹筋と背筋のバランスを改善することを期待でき、これにより、腰痛の予防はもちろんですが、既に腰痛を抱えている方も腰痛を改善することを期待できます。
姿勢が悪い状態というのは、腰が曲がりすぎた「猫背」、もしくは、腰が反りすぎた「反り腰」が挙げられます。
一般的に、猫背は、長時間下を向いたりすることで発生するため、デスクワークが多い方やスマホの使用が多い方が患う可能性が高いです。一方、反り腰は、猫背を治そうとして背中を反ることで発生すると考えられています。このため、そもそも猫背が原因で反り腰が発生しているということが言え、姿勢の改善を行うためには猫背の改善を行う必要があります。
猫背の大元の原因を紐解くと、骨盤の歪みが挙げられます。ここで、腹直筋には骨盤の角度を調整する働きがあります。腹直筋に十分な刺激を与えていないと、腹直筋が凝り固まり、これにより、骨盤の角度調整機能が十分な役割を果たさず、骨盤が後傾するようになります。このため、ドローインを意識したクランチで腹直筋上部を鍛えることで骨盤を正しい位置に戻すことを期待でき、これにより猫背を改善して姿勢改善効果を期待できます。
あまり知られていませんが、内臓は自重があるため、そのままだと実際のあるべき位置に対して、下側に落ちた状態になっています。
このとき、ドローインを意識したクランチで鍛えることができる腹横筋が発達していると、コルセットのように、お腹の周りを締め上げる働きがあることから、臓器が下側に落ちてしまうという問題を防ぐことが期待できます。このようにすることで、姿勢改善を期待でき、それにより、ぽっこりお腹の改善を期待できます。特に、臓器位置の改善によるぽっこりお腹の改善は、身体全体でお腹周りだけが出ている人におすすめです。
ドローインを意識したクランチを正確に実施するためには、そもそも、ドローインを完璧にマスターする必要があります。
ドローインは、いわば呼吸により腹横筋を鍛えるエクササイズであり、聞くだけだと実施するのは非常に簡単そうに思えます。しかし、実際にやってみると意外と難しく、他の動作と組み合わせるとさらに難度が上がります。
そのため、まずはドローインをしっかりとマスターする必要があります。
具体的には、まずは仰向けになった状態でドローインを練習します。これができるようになったら、座りながらでもできるように練習します。これもできるようになったら、立ちながらでもできるように練習します。以上ができたら初めてクランチと組み合わせるようにし、このような段階を踏むことで効果的なドローインを意識したクランチを実施することが期待できます。
ドローインを意識したクランチに限らず、ほぼ全てのエクササイズでは可動域の中で常に負荷が入っていることが重要です。
ドローインを意識したクランチの場合、よく実施されているフォームは「背中が床についた状態」から実施することですが、このように実施するとボトムポジションで負荷が逃げてしまいます。これを防ぐためには、「背中が床に対してやや上がった状態」から、を可動域と設定して実施する必要があります。
このことから、通常の「一般的に実施されているクランチ」に対して可動域がかなり小さくなることに留意して実施するようにしましょう。
ドローインを意識したクランチなどの腹直筋を鍛えるエクササイズは、筋肉の動きを意識することが極めて重要です。
その一環で、トップポジションでしっかりと腹直筋を収縮させることが重要となります。このために、「腹直筋を収縮させる」ことを意識することも有効ですが、それだけでは不十分です。具体的には、トップポジションに移行するに伴い「顎を出す」ようにすることでトップポジションにおいて腹直筋が収縮するようになります。逆にボトムポジションでは顎を引く様にします。
以上の動作を繰り返すことで腹直筋の収縮をより意識できるようになることが期待できます。
ドローインを意識したクランチに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、腹直筋上部、腹横筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中でのこれらの筋肉の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ドローインを意識したクランチに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
クランチは、ドローインを意識したクランチの基本となる種目であるためです。
クランチは、ドローインを意識したクランチの基本となるエクササイズです。実際に実施する場合には、クランチをウォーミングアップ種目として先に実施し、ドローインを意識したクランチを本番種目として実施することでドローインを意識したクランチをより効率的に鍛えることを期待できます。
クランチは、12〜15回3セット実施します。
クランチは、腹直筋上部を鍛えるエクサイズであり、可動域は小さいですが、しっかりやるのが中々難しい種目です。このため、回数を多くこなそうとするのではなく、回数は抑えめで、しっかりとフォームを維持できる回数で実施するのが重要であり、そのために、一般的なトレーニングで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施しましょう。
肘の動きを意識。
腹直筋上部の動きを意識。
レッグレイズは、ドローインを意識したクランチでは集中的に鍛えることが難しい腹直筋下部を鍛えることができるためです。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるためのエクササイズであり、エクササイズ強度はチューブクランチと比較すると高くありません。実際に実施する場合には、ドローインを意識したクランチを先に実施し、レッグレイズをその後に実施することで腹直筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
レッグレイズは、15〜18回3セット実施します。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるための標準的な腹筋のエクササイズです。基本のレッグレイズはそこまで負荷が高くないため、標準的な筋トレの回数よりもやや回数が多い15〜18回を実施します。
とにかく足の動きをコントロールする。
腹直筋下部を鍛えるときよりも、トップポジションをやや深めに設定する。
足を床ぎりぎりまで下げる。
膝を真っ直ぐにしすぎない。
呼吸を意識する。
シットアップは、ドローインを意識したクランチでは集中的に鍛えることが難しい腹直筋全体を鍛えることができるためです。
シットアップは、腹直筋全体を鍛えるためのエクササイズであり、エクササイズ強度はドローインを意識したクランチよりも高いです。実際に実施する場合には、ドローインを意識したクランチを先に実施し、シットアップをその後に実施することで腹直筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。
シットアップは、12〜15回3セット実施します。
シットアップは、腹直筋全体を鍛えるエクササイズですが、腰をかなり痛めやすいエクササイズです。このため、レッグレイズと同様に回数を多くして実施しないことがポイントであり、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施するようにしましょう。
腹直筋に負荷が入る範囲で実施する(=上体を上げすぎない、下げすぎない)。
トップポジションで顎を出す。
上体を上げるときはしっかりと息を吐き、戻すときに息を吸う。
高回数で実施しない。
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