ダンベルクランチは、ダンベルを用いて行うクランチです。今回は、ダンベルクランチの実施方法及びコツについてご紹介します。
クランチは英語で「crunch」で、直訳すると「押しつぶす」という意味です。これが転じて「身体をすぼめる」という意味になり、筋トレ「クランチ」の動作を的確に表しています。
クランチは自重(自分の体重で負荷をかける)で実施することが一般的ですが、クランチの負荷を高めたい場合、ダンベルを使うのが有効です。ダンベルの重量の分だけ上半身が重くなり、エクササイズの効果を高めることができます。
ダンベルで負荷を高めて実施するクランチを「ダンベルクランチ」といいます。
ダンベルクランチでは、腹直筋上部を鍛えることが期待できます。
腹直筋の上部は、脂肪が薄いため、エクササイズを実施すると比較的すぐに効果を実感できる部位です(一方、腹直筋の下部は、一般的には脂肪が厚いため、かなりしつこくエクササイズをすることに加えて、有酸素運動をしないとなかなか効果を実感することが難しい部位です)。
腹直筋上部を鍛えることで、特にお腹周りの上部についている脂肪を燃焼することを期待できます。これにより、お腹周りをすっきりさせることが期待できますが、腹直筋上部だけを鍛えても得られる効果は限定的です。
腹直筋を鍛えてお腹周りをすっきりさせたい場合には、腹直筋全体を鍛えるシットアップなどのエクササイズに加えて、有酸素運動や食事制限を行う必要があります。
これは、シックスパックを作りたい際にも同様であり、シックスパックをしっかり出したい場合にはかなりの計画的な有酸素運動、もしくは食事制限を実施する必要があります。
腹直筋上部が構成する腹直筋は、前述した通り腹筋に分類される筋肉であり、腹筋は背筋とともに上半身を支える筋肉です。
腰痛が発生するメカニズムは、上半身の重さを支えることができなくなることで姿勢が悪化し、腹筋と背筋のバランスが崩れることで、上半身と下半身の付け根である腰に負担がかかってしまうということです。
特に、背筋は日常的に使用する機会が多い筋肉であるものの、腹筋は意識的に使用しないと鍛えることが難しい部位です。以上から、腹直筋を鍛えることで腹筋と背筋のバランスを改善することを期待でき、これにより、腰痛の予防はもちろんですが、既に腰痛を抱えている方も腰痛を改善することを期待できます。
姿勢が悪い状態というのは、腰が曲がりすぎた「猫背」、もしくは、腰が反りすぎた「反り腰」が挙げられます。一般的に、猫背は、長時間下を向いたりすることで発生するため、デスクワークが多い方やスマホの使用が多い方が患う可能性が高いです。
一方、反り腰は、猫背の人が無意識に身体のバランスを取ろうとして背中を反ることで発生すると考えられています。そのため、反り腰を改善するには、猫背を改善する必要があります。
猫背の大元の原因を紐解くと、骨盤の歪みが挙げられます。腹直筋上部が構成する腹直筋には骨盤の角度を調整する働きがあります。腹直筋に十分な刺激を与えていないと、腹直筋が凝り固まり、骨盤の角度調整機能が果たされず、骨盤が後傾するようになります。
筋トレ初心者のダンベルクランチの目安の重量は3〜5 kg程度です (自身の体重にもよります)。
ダンベルクランチは、重量を扱いにくい種目であり、特に筋トレ初心者の場合には無理に重量を扱う必要はありません。筋トレ初心者の場合には、ダンベルで負荷しない通常のクランチもしくは、ダンベルで負荷をかけても3〜5 kg程度とし、フォームをしっかり確認しながら実施しましょう。
ダンベルクランチに少し慣れた場合ダンベルクランチの目安の重量は5〜8 kg程度です (自身の体重にもよります)。
ダンベルクランチに少し慣れてくると、やや重量を扱うこともできますが、少し慣れた場合でもとにかくフォームが重要です。そのため、少し慣れた場合でもでもやや軽い重量を扱いましょう。以上では5〜8 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてダンベルクランチを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。
筋トレ上級者のダンベルクランチの目安の重量は30 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、ダンベルクランチで30 kg以上を正確な可動域の中で実施できれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、これはあくまでも「正確な可動域」での重量であり、可動域が小さい場合にはより高重量を扱うこともできますが、エクササイズ効率は高くないため、しっかりと可動域を設定しましょう。
筋トレ初心者の場合、ダンベルクランチは12〜15回を3セット実施します。
ダンベルクランチは、重量を扱いにくい種目であり、基本的には筋トレ初心者の場合には通常のクランチを実施すれば問題ありません。それでもダンベルクランチを実施する場合には軽い重量で、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施するようにしましょう。
ダンベルクランチに少し慣れた方の場合、ダンベルクランチは、ウォーミングアップのセット、仕上げのセットを追加して5セット実施します。
ダンベルクランチに少し慣れた方の場合、まず、ウォーミングアップのセットを追加します。ウォーミングアップのセットは、12〜15回を実施できる重量設定にします。次に、仕上げのセットを追加します。仕上げのセットでは、本番の3セットに対して少しだけ重量を減らして15回きっちりとできる重量設定をするようにしましょう。
筋トレ上級者の場合、前述したやり方に加えて、アセンディング法、スーパーセット等を実施するようにします。
アセンディング法とは、別名ピラミッドセットと呼ばれる方法です。Max重量の50%で12回程度、Max重量の60%で10回程度、Max重量の70%で8回程度、Max重量の80%で6回程度、Max重量の85%で4回程度と徐々に重量を増やしていきながら、それに伴って実施回数を減らすやり方です。怪我を防止しながら高強度のトレーニングを実施できるため、おすすめの方法です。
スーパーセットとは、2種類の種目をインターバルなしで実施する方法です(3種目実施する場合にはトライセット、5種目以上実施する場合にはジャイアントセットと呼ばれます)。スーパーセットの種目の設定方法は様々であり、例えばダンベルクランチと一緒に実施するならば、クランチ、レッグレイズ、シットアップなどを実施するのがおすすめです。回数設定に厳密な指定はありませんが、基本的には両種目とも10〜12回実施できるようにしましょう。
IVANKO(イヴァンコ)のクロームダンベルは、トレーニングジムにも置いてある非常に本格的なダンベルです。
ダンベルの種類としては固定式です。
イヴァンコは、プレートやダンベルのメーカーとして非常に有名であり、高品質の製品を販売しています。そのため、値段は少々張りますが、表面が錆びにくく長く使えることから長期的な投資と考えれば、そこまで高くはないかと思います。
また、表面にクロームがメッキされていることから外見も美しく、自宅に置いておいてもあまり不自然ではありません。ただし、本格的にトレーニングを行うためには複数種類のダンベルを揃える必要があるという点はデメリットです。
FLEXBELL(フレックスベル)のアジャスタダンベルは、可変式のダンベルとしては非常に一般的な製品です。
ダンベルの種類は可変式です。
本製品はダンベル1つで重さをダンベルの使用範囲内なら即座に切り替えることができるというものです。可変式ダンベルのブランドの中で、FLEXBELLの製品は比較的有名であり、品質も安定しています。
1つのダンベルで、複数の重さを設定できることからダンベルとしては値段が少々高めではありますが、複数のダンベルを何個も買うことと比較すればお得です。ただし、見た目は少々ゴツいため、自宅に置くのが少々憚られるというのはデメリットです。
PROIRONのダンベルはスポーツクラブでよく見る製品です。
ダンベルの種類は固定式です。
本製品の特徴ですが、ダンベルがラバーで覆われているため、フローリングの上にうっかり落としてしまっても床が傷つきにくいというメリットがあります。値段も上の2つの製品と比較して非常に良心的な料金設定であり、ダンベルを使ってみたいという方にオススメできる製品になります。
ただし、ラバー部分は使っていると切れて見栄えが悪くなるため、そこはデメリットです。そうなった場合には新しい物を購入するようにしましょう。
教科書的なダンベルクランチでは、ダンベルを胸の前に把持(はじ。しっかり持つこと)して実施することが推奨されます。これにより、胸でダンベルを支えることができるため、通常負荷のダンベルクランチを実施する場合にはこれで十分です。
このフォームよりも負荷を高めたい場合には、頭の後ろでダンベルを持つようにしましょう。こうすると、ダンベルの重さで身体を引く働きが増大するため、負荷が高まります。
ダンベルクランチは、ダンベルを上半身全体で支えるエクササイズです。
しかし、ダンベルを重くしすぎると、可動域を大きく制限することになり、結果としてエクササイズ効率が大きく低下します。
対象部位にしっかりと刺激を与えるためには、むしろ(ダンベルを軽くして)可動域を意識する必要があります。ダンベルクランチではやや軽すぎると思うくらいの重量設定で実施するのがおすすめです。
ダンベルクランチに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、腹直筋上部の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での腹直筋上部の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ダンベルクランチに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ダンベルクランチに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、ダンベルクランチでは、身体を下ろすときに息を吸い、身体を上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは絶対に避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
クランチは、ダンベルクランチの基本のエクササイズであるためです。
クランチは、ダンベルクランチの基本となるエクササイズであり、エクササイズ強度はダンベルクランチよりも小さいです。実際に実施する場合には、クランチを先に実施し、ダンベルクランチを後に実施することで効率的に腹直筋上部を鍛えることを期待できます。
クランチは、12〜15回3セット実施します。
クランチは、腹直筋上部を鍛えるエクサイズであり、可動域は小さいですが、しっかりやるのが中々難しい種目です。このため、回数を多くこなそうとするのではなく、回数は抑えめで、しっかりとフォームを維持できる回数で実施するのが重要であり、そのために、一般的なトレーニングで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施しましょう。
肘の動き、つまり、トップポジションでは肘を締めるようにし、ボトムポジションでは肘を開けるようにする。
トップポジションで腹筋の収縮を意識する。
呼吸を意識する。
レッグレイズは、ダンベルクランチでは鍛えることが難しい腹直筋下部を刺激できるためです。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるためのエクササイズです。ダンベルクランチと比較した場合には、レッグレイズの方がエクササイズ強度は小さいです。実際に実施する場合には、レッグレイズを先に実施し、後半にダンベルクランチを実施することで腹直筋をバランス良く鍛えることが期待できます。
レッグレイズは、特に初心者の場合には15〜18回3セット実施します。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるための標準的な腹筋のエクササイズです。基本のレッグレイズはそこまで負荷が高くないため、標準的な筋トレの回数よりもやや回数が多い15〜18回を丁寧に実施し、まずはフォームをしっかりと身につけるようにしましょう。
脚の下げる位置/上げる位置。
膝を真っ直ぐにしすぎない。
腹直筋下部を意識する。
シットアップは、腹直筋全体を刺激できるためです。
シットアップは、ダンベルクランチで鍛えることができる腹直筋上部を含めて腹直筋全体をバランス良く鍛えることを期待できます。ただし、フォームはダンベルクランチと比較してもかなりシビアであり、効率的に実施するには難易度の高いエクササイズです。実際に実施する際には、フォームが崩れやすいシットアップを先に実施し、後半にダンベルクランチを実施することで腹直筋下部を中心に、腹直筋をバランス良く鍛えることが期待できます。
シットアップは、12〜15回3セット実施します。
シットアップは、腹直筋全体を鍛えるエクササイズですが、腰をかなり痛めやすいエクササイズです。このため、レッグレイズと同様に回数を多くして実施しないことがポイントであり、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施するようにしましょう。
腹直筋に負荷が入る範囲で実施する(=上体を上げすぎない、下げすぎない)。
トップポジションで顎を出す。
上体を上げるときはしっかりと息を吐き、戻すときに息を吸う。
高回数で実施しない。
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