ドローイングは、腹式呼吸を行うことで腹筋を鍛えるためのエクササイズ (呼吸)です。今回は、ドローイングの正しいやり方、効果、ポイント等についてご紹介します。
ドローイングは、腹式呼吸に合わせて腹筋の中でも腹横筋を鍛えるエクササイズですが、エクササイズというよりは「呼吸法」という側面が非常に強いです。ドローイングは、「ドローイン」とも表記される場合があり、両者ともに全く同様の動作を意味します。
ドローイングは、基本的には仰向けになった状態で実施するエクササイズではありますが、慣れてくると立った状態でも実施できるようになります。これが何を意味しているかというと、日常生活の中でドローイングを実施することができるということであり、これにより、理論上はほぼ常時、ドローイングの効果を期待できます。
ドローイングに良く似た呼吸方法として丹田呼吸法がありますが、丹田呼吸法ではおへその約4〜5cm下側にある丹田を意識して呼吸をするのに対して、ドローイングではお腹全体を意識して実施するという違いがあります。
腹横筋は、横腹についている筋肉であり、腹筋では最も深層にある筋肉です。このため、腹横筋は筋肉の種類としてはインナーマッスルに分類されます。
腹横筋は、コルセット筋とも呼ばれます。コルセットとは、ウエスト周りを締め付けることでウエストラインを矯正する器具であり、腹横筋もコルセットと同様にウエストを締め付けることでウエストラインをタイトに保つ役割があります。また、コルセットの役割を果たしていることから推察できる通り腰痛を予防する役割もあります。
腹横筋は、前述した通りお腹の周りについており、コルセットのような役割をしています。コルセットは、「衣装着用のために、肋骨の周りに巻いてウエストを細く締め付ける役割がある」という役割があるため、同じく、コルセットのような役割をしている腹横筋にもウエストの引き締め効果を期待できます。腹筋というと、鍛え上げるとウエストが逆に太くなってしまうことで有名ですが、腹横筋はその逆で発達させるとウエストを細くさせることを期待できます。
前述したように、腹横筋はコルセットのような役割をしています。コルセットは、衣装着用の他の用途として、腰痛が酷い人に処方されることがあり、これは、巻くことで体幹の役割を補助することで体幹を安定させ、これにより、無駄な力が腰にかかることを防ぐ役割があるためです。そのため、同じくコルセットのような役割をする腹横筋にも体幹を安定させ、これによる腰痛予防を期待できます。ただし、根本的な腰痛の予防を図るならば、腹横筋以外の腹筋、及び背中の筋肉を鍛えることで体幹をしっかりと支えることができるようになりましょう。
あまり知られていませんが、内臓は自重があるため、そのままだと実際のあるべき位置に対して、下側に落ちた状態になっています。このとき、腹筋が発達していて、特に腹横筋が発達していると、コルセットのように、お腹の周りを締め上げる働きがあることから、臓器が下側に落ちてしまうという問題を防ぐことが期待できます。このようにすることで、姿勢改善を期待でき、それにより、ぽっこりお腹の改善を期待できます。特に、臓器位置の改善によるぽっこりお腹の改善は、身体全体でお腹周りだけが出ている人におすすめです。
前述した通り、ドローイングは、エクササイズというよりは呼吸という側面が非常に強いため、運動が苦手な方でも実施することが期待できます。ただし、慣れないうちは比較的難しいエクササイズであることから、後述するように、最初から立って実施するのではなく、まずは仰向けになってしっかりドローイングを習得する必要があります。ドローイングを実施している中で、腹筋が収縮するという感覚を掴むことができれば、日常生活の中で応用することはもちろんですが、その他ののエクササイズ(腹筋を鍛えるエクササイズ)でも応用することが可能です。
ドローイングは、前述した通り、慣れてくると立った状態や座った状態でも実施できるようになるので、ドローイングをするために特別な時間を設定する必要がなく、いつでもどこでも実施することができるようになります。つまり、ドローイングを完全にマスターすることができれば、日常生活で「常にドローイング」を行うことが可能となり、実際にそのように実施して問題ありません。ただし、繰り返しになりますが、まずはしっかりと仰向けになった状態でドローイングを実施できるようになりましょう。
自重トレーニングを除いて、一般的なトレーニングを行おうとした場合には、基本的にはダンベル、バーベル、チューブ、マシンなどの特定の器具を用意する必要があり、場合によってはジムに行く必要も発生します。しかし、ドローイングは、呼吸方法でもあることから実施するために特別な器具は必要ありません。慣れれば、前述した通り、立った状態でも実施することができるようになるため、「全くコストがかからないエクササイズである」ということが言えます。
ドローイングで鍛えることができる腹横筋は、コルセットのような役割があるため、前述した通り、鍛えることで腰痛の予防、改善を期待できます。ドローイング以外にも、腹筋や背筋を鍛えるエクササイズを実施することで腰痛の改善を期待できますが、これらのエクササイズは腰に負担のかかるエクササイズが多く、根本的に腰が痛い方が実施するためには「ハードルが高い」という問題点があります。一方で、ドローイングは、呼吸方法であることから腰痛を持っていても実施することができるエクササイズであり、むしろ、現在進行形で腰痛持ちの方にはぜひおすすめのエクササイズです。
寝ながら実施するドローイングは、ドローイングの中で最も基本的な実施方法です。お腹を凹ませる際は、お腹のやや下を中心にお腹全体にしっかりと圧力をかけるイメージで実施するようにしましょう。このとき、肩に力を入れず、身体全体でリラックスした状態で実施しましょう。
床に仰向けになった状態で実施するドローイングは、初心者向けの方法であり、10〜12回3セットを目安に実施します。
仰向けになってドローイングを実施すると、腹横筋の収縮と伸展を最も意識しやすいとされており、そのため、ドローイングを実施したことがない方が練習する上で最も適した方法です。最初は10〜12回3セットを目安に、徐々に負荷を増やしていくようにしましょう。
座りながら行うドローイングも、寝ながら行うドローイングを完全にマスターしたら実施したい種目です。エクササイズのバリエーションとして、バランスボールの上に座りながらやる方法もあります。バランスボールに座ることで、より身体のバランスを意識するようになり、左右の筋肉のバランスを整え、体幹部も鍛えることが可能です。
座った状態で実施するドローイングは、中級者向けの方法であり、10〜12回3セットを目安に実施します。
座った状態でドローイングを実施すると、背中の間隔を掴みづらいため、それに伴って腹横筋の収縮間を感じにくいとされていますが、姿勢を工夫する(やや姿勢を悪くする)ことで改善することができます。最初は10〜12回3セットを目安に、徐々に負荷を増やしていくようにしましょう。
立ったまま実施するドローイングは、寝ながら実施するドローイングを完全にマスターしてから実施した方が良いでしょう。立ってドローイングを行う際は、腰を反ったり前屈みにならないよう注意しましょう。
立った状態で実施するドローイングは、上級者向けの方法であり、10〜12回3セットを目安に実施します。
立った状態でドローイングを実施すると、そもそも、腹筋をかなり意識しづらくなるため、相当にドローイングに熟達していないと中々腹筋に効かせることが難しくなります。そのため、まずは、座った状態のドローイングをしっかりとできるようになってから実施する必要があり、最初は10〜12回3セットを目安に、徐々に負荷を増やしていくようにしましょう。
ドローイングは、前述した通り、エクササイズとしての側面はそこまで強くなく、代わりに、呼吸法としての側面が非常に強いです。そのため、呼吸をするだけで負荷を高める必要があり、そのためには「息を吐き切る」ということが非常に重要です。ドローイングでは、「どれだけお腹を凹ませることができるか」が重要であり、息を吐き切ることでお腹が完全に凹んだ状態を意図的に作り出します。これが通常の呼吸法と最も大きく異なる点であり、そのため、1回1回、きちんと息を吐き切って実施することが重要です。
ドローイングでは、前述した「息を吐き切る」ということが唯一の動作となり、「その状態をどれだけ長く保つことができるか」でエクササイズ強度は変化します。言い換えれば、「お腹をどれだけ長い時間の間、凹ませていられるか」ということがドローイングの強度を決める上で不可欠な要素です。単純にお腹を凹ます動作と考えると、非常に優しいように思えますが、実際にドローイングを実施してみると中々難しく、最初は短い時間から始めて、最終的には10〜20秒程度実施できるようになりましょう。
ドローイングでは、後述するように、腹横筋を意識しながら実施するのが良いのですが、腹横筋はそもそもインナーマッスルであるため中々意識しにくいという問題があります。ここで、重りをお腹の上に乗せて実施すると(仰向けになって実施するドローイング限定)、視覚的にお腹が凹むことを認識することが容易となり、これにより、腹横筋を意識することは難しいものの、「お腹を凹ませる」ということは意識しやすくなります。以上から、重りの重量を重くする必要はなく、軽い重量で重しを乗せた部分を意識して呼吸をするというようにして使いましょう。
ドローイングは前述した通り、「どれだけお腹を凹ませるか」が重要となる呼吸法です。お腹を凹ませる際には、胃の中に「どれだけ食べ物が残っているか」が非常に重要な要素となり、胃の中に食べ物が残っているとお腹を凹ませることが困難となり、それに伴ってドローイングの効果も小さくなります。以上から、お腹を大きく凹ませるためには胃の中ができるだけ空の状態を作る必要があり、そのためには、ドローイングは空腹時に実施するのがおすすめです。
ドローイングは腹横筋を鍛えることが可能であり、それに伴って、ウエストを細くすることは「特定の条件」を満たすと可能となります。この「特定の条件」とはある程度、お腹に脂肪が乗っていない状態であり、言い換えれば、お腹に脂肪が乗っている状態でドローイングだけを実施してもウエストを細くする効果はほとんど期待できません。そのため、ウエストを細くすることでダイエット効果を期待する場合には、ドローイングを実施した後に有酸素運動を実施する必要があります。さらに、食事制限も実施することで更に効率良く体重を落とすことを期待できます。
ドローイングは腹横筋を鍛えるエクササイズであり、腹横筋はそもそも、インナーマッスルであることからドローイングを実施してもバキバキのお腹(=シックスパック)は手に入りません。トレーニングに熟達している人がウエストを細くするという目的でドローイングを実施することはかなり有効ですが、それ以前の問題として、割れた腹筋を手に入れたいならば、別に腹筋のエクササイズを実施する必要があります。
ドローイングに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。特に、腹横筋については、インナーマッスルであることから意識することは難しいですが、実施する前に腹横筋の場所をインターネットや本で視覚的に認識してからドローイングに臨むと非常に効果的です。
プランクは、2の動作を45〜60秒間を3セット実施します。
プランクは、体幹及びトレーニングに必要な非常に基本的な筋肉をつけるために有効なエクササイズですが、トレーニング初心者や女性の方にはやや負荷の高いエクササイズです。このため、まずは30秒を3セット実施することから始め、最終的には60秒を3セット実施することを目指しましょう。
シットアップは、12〜15回を3セット実施します。
シットアップは、腹直筋全体を鍛えるエクササイズですが、腰をかなり痛めやすいエクササイズです。このため、レッグレイズと同様に回数を多くして実施しないことがポイントであり、一般的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回を実施するようにしましょう。
腹直筋に負荷が入る範囲で実施する(=上体を上げすぎない、下げすぎない)。
トップポジションで顎を出す。
上体を上げるときはしっかりと息を吐き、戻すときに息を吸う。
高回数で実施しない。
レッグレイズは、15〜18回を3セット実施します。
レッグレイズは、腹直筋下部を鍛えるための標準的な腹筋のエクササイズです。基本のレッグレイズはそこまで負荷が高くないため、標準的な筋トレの回数よりもやや回数が多い15〜18回を実施します。
とにかく足の動きをコントロールする。
腹直筋下部を鍛えるときよりも、トップポジションをやや深めに設定する。
足を床ぎりぎりまで下げる。
膝を真っ直ぐにしすぎない。
呼吸を意識する。
クランチは、12〜15回を3セット実施します。
クランチは、腹直筋上部を鍛えるエクサイズであり、可動域は小さいですが、しっかりやるのが中々難しい種目です。このため、回数を多くこなそうとするのではなく、回数は抑えめで、しっかりとフォームを維持できる回数で実施するのが重要であり、そのために、一般的なトレーニングで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施しましょう。
肘の動き、つまり、トップポジションでは肘を締めるようにし、ボトムポジションでは肘を開けるようにする。
トップポジションで腹筋の収縮を意識する。
呼吸を意識する。
腹筋ローラーは、5〜8回を3セット実施します。
腹筋ローラーは、数多くある腹筋のエクササイズの中でも三本の指に入るくらい強度の高いエクササイズです。そのため、基本的には5〜8回を3セットを目標に実施するだけでも十分に効果は高いです。負荷が高すぎる場合には膝付きで実施しても全く問題ありません。
ローラーを戻しすぎない。
手首は掌屈。
肘を伸ばさない。
身体は「くの字」。
ボトムポジションを深く設定する。
負荷が高すぎる場合には膝を付く。
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