長腓骨筋は、下腿部の外側側面を走る筋肉で、脚首の動きに関与し、特に歩行の際に大きく作用します。今回は長腓骨筋を鍛えるコツ及びその方法をご紹介します。
長腓骨筋は、下腿部(膝下、ふくらはぎの部分)の外側側面を走る筋肉であり、脚首の関節を外反(小指を視点にして脚首が曲がる方向)、底屈(脚の甲を伸ばそうとしたときに脚首が曲がる方向)させる作用があります。
以上から、長腓骨筋は脚首の動きに関与するということが言え、脚首の捻挫を防ぐことに寄与します。日常生活で凸凹道を歩いたときに捻挫を防止するのはもちろんですが、陸上競技などで脚首の捻挫を防ぐことで運動のパフォーマンスを向上することが期待できます。
脚の捻挫は、陸上競技で最も多い怪我と言われており、特に、女性のアスリートが怪我をしやすい部分であると言われています。そのため、特に、女性の方は怪我の防止で鍛えることがおすすめされます。
捻挫は大きく分けて2つ種類があります。1つは、脚の外側を支点にして脚の裏が内側を向くようにして発生する内反捻挫です。もう一つは、脚の内側を支点にして脚の裏が外側を向くようにして発生する外反捻挫です。ここから察することができる通り、捻挫の大半は先に述べた内反捻挫です。
翻って長腓骨筋は、脚首の外反動作を支える筋肉です。このため、運動をしているときや凸凹道を歩いているときに脚首を支えていることから、長腓骨筋を鍛えることで腱や靭帯の損傷を防止することで捻挫の防止を期待できます。
腓骨筋腱炎が発生する要因は様々ですが、基本的には、脚の外側に体重がかかること、靴の縁が当たること、着地の衝撃などが繰り返し発生することで摩擦が発生し、外側のくるぶし周辺に起きる炎症を指します。
特にランニングをしている方が発症しやすい症状です。一般的に、短い距離であるならばフォームが崩れていてもそこまで大きな問題にはなりませんが、ランニングのように長距離を走る場合にはフォームの崩れが、今回指摘したような腓骨筋腱炎の原因になる可能性があります。ここで、腓骨筋を鍛えることで脚首の外反動作を支えることが期待できるので、脚の外側にかかることで腱に与える負荷を低減させることが期待できます。
脚の指先に力を入れるという動作を少しやってみると分かりますが、指先に力を入れるとふくらはぎが収縮する動作がより促されるようになります。ここで、長腓骨筋は、ふくらはぎの側面を通り脚裏の親指側に接続しているため、脚裏の親指、すなわち母趾球に力を入れてトレーニングをすることが効果的です。長腓骨筋を鍛えるエクササイズのほとんどは、踵を上げるという動作を行い、単純に踵を上げることを意識するだけでも効果はありますが、この踵を上げたときに母趾球に力を入れてより収縮感を促すことで、よりエクササイズ効率を向上させることが期待できます。これを実施するためには、つま先をより意識する必要があり、例えば、裸足で後述する長腓骨筋を鍛えるエクササイズを実施したり、少し高いですが、五本指シューズを履いてエクササイズを行うことが効果的です(同様の理由で、五本指ソックスを履いてエクササイズをするのも効果的ですが、場所を選ぶため注意が必要です)。
トレーニングの原則として、筋肉を発達させるためには高重量を扱うことは原則ですが、長腓骨筋のようなふくらはぎの筋肉は、かなりの上級者でないと高重量を扱ってもなかなか発達させづらいといえます。
理由は、後述するように、ふくらはぎの筋肉では完全伸展、完全収縮を意識することが特に重要である部位であることから、高重量を扱った場合においてそれを意識するのがかなり難しくなるためです。
そのため、ふくらはぎを鍛える際には重量を扱うよりも回数を重視して、しつこく刺激することで効果的に鍛えることを期待できます。「重量を意識しない」ということは、普段、高重量を扱ってエクササイズを行っている方には抵抗があるかと思いますが、実はかなり効果的であるため、ぜひとも意識して頂きたいポイントです。
長腓骨筋を鍛えるエクササイズは、他の部位を鍛えるエクササイズとは異なりトレーニングに熟達していなくても高重量を扱いやすいと言われています。長腓骨筋を鍛えるエクササイズでは、ふくらはぎに重りなどで直接加重しているわけではなく、肩、腰、太もも等を介して負荷をかけていることも起因しています。
一方で、このようにして高重量を扱うと、前述したように可動域が非常に狭くなる傾向があります。長腓骨筋のエクササイズでは、そもそもの可動域が小さいからこそ、エクササイズ中には完全な可動域を設定して実施する必要があります。そのために、ボトムポジションではふくらはぎが切れそうになるくらいまで伸展させ、トップポジションではスネに痛みがくる位まで収縮させることが重要です。これを実施するためには、高重量を扱っての実施は難しく、やや軽いくらいの重量設定で実施することが重要です。
長腓骨筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、長腓骨筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での長腓骨筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
長腓骨筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
長腓骨筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。基本的には、長腓骨筋が伸展するときに息を吸い、収縮するときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
踵をしっかり上げる。
母趾球に力を入れることを意識する。
膝はできるだけ動かさない。
踵をしっかり上げる。
母趾球に力を入れることを意識する。
膝はできるだけ動かさない。
床に踵を付けない。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
通常のスタンディングカーフレイズと併せて実施すると効果的。
床に踵を付けない。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
床に踵を付けない。
指先に力を入れることを意識する。
高く飛ぶようにすると負荷が高まる。
これは台の上に足を乗せていますが、足をおろして座った状態で行うこともできます。
可動域は小さいがしっかり動かす。
膝はできるだけ動かさない。
バンドを片手に持って実施しても良い。
指の付け根でトレーニングチューブを把持する。
トレーニングチューブは短く把持する。
重すぎる重量を設定しない。
片脚ずつ実施するのも効果的。
ボトムポジションでふくらはぎを完全伸展させる。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
プレートや台などで傾斜をつけても良い。
床に踵を付けない。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
動画の様に、つま先を高さのあるものに設定すると、伸展の刺激を入れることが可能になる。
バーベルが落ちる危険性があるので、パワーラックやスクワットラックの中で実施する。
重量設定を重すぎないようにする。
重すぎる重量を設定しない。
片脚ずつ実施するのも効果的。
ボトムポジションでふくらはぎを完全伸展させる。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
重量を扱いやすいふくらはぎのパワー種目。
背中を張って腰を曲げない。
ボトムポジションでふくらはぎを完全伸展させる。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
重量を扱い過ぎない。
片脚ずつ実施するのも効果的。
ボトムポジションでふくらはぎを完全伸展させる。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
重量を扱いやすいふくらはぎのパワー種目。
片脚ずつ実施するのも効果的。
ボトムポジションでふくらはぎを完全伸展させる。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
座った状態で脚を組み、脚を組んだ方の脚首を脚の甲が自分の身体の方に向く様に意識して長腓骨筋を伸展させます。両脚で10〜20秒、3セット実施しましょう。
アキレス腱を伸ばす様な姿勢になり、壁や椅子などに重心をかけ、前に出している脚の外側の側面部を床につけることで、長腓骨筋を伸展させます。動画では脚を傾けていませんが、このように椅子に重心をかけるようアキレス腱を伸ばす体勢になり、くるぶしを付けるようなイメージで行います。両脚で10〜20秒、3セット実施しましょう。
椅子に座った状態で両脚の裏と裏を付け、この状態で腕の力も使いながら立とうとすることで長腓骨筋を伸展させます。10〜20秒、3セット実施しましょう。
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