胸鎖乳突筋は、首の横に走っている筋肉で、鍛えることで肩凝り、首痛、顔のむくみを改善する効果があります。今回は、胸鎖乳突筋の鍛えるコツ及びその方法をご紹介します。
胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)とは、首の左右側面についている筋肉であり、頭を支え、首を曲げる、捻る際に関与する筋肉です。胸鎖乳突筋は、そのままだと非常にイメージしにくいですが、この名前自体は、「胸鎖」と「乳突」に分けることができます。「胸鎖」は、「胸骨と鎖骨」を意味しており、「乳突」は「乳様突起」を意味しています。それぞれで胸鎖乳突筋がどこからどこまでついているのかを表しています(これを解剖学の用語で起始(基本的には心臓に近い方)と停止(指先、足指に近い方)と呼びます)。
胸鎖乳突筋が非常に重要になるスポーツは、ラグビー、アメリカンフットボール、レスリングなどの、低い体勢でタックルするようなスポーツです。これらのスポーツでは、接触時に首を守るために、胸鎖乳突筋を鍛えるエクササイズを別で取り入れています。このことから分かる通り、胸鎖乳突筋は、運動パフォーマンスに直接関与するというよりは、むしろ、怪我や痛みの予防に関与する筋肉です。
以上だけを見ると、ラグビー、アメリカンフットボール、レスリングをしない人が胸鎖乳突筋を鍛えるメリットはないような印象を受けますが、実は、胸鎖乳突筋を鍛えるということは後述するように日常生活をより快適に送る上でメリットがあります。
首回りは服を着ていても常に見える部分なので、見栄えを改善するという意味では非常に重要です。
首はそこまで多くの脂肪が乗る部位ではないため、首回りの見栄えが悪くなる主な原因は、シワやたるみです。胸鎖乳突筋は、首の横にある筋肉であることから、鍛えることで首に付いた脂肪の燃焼はもちろん、筋肉を発達させることでたるみを改善することを期待できます。
胸鎖乳突筋は首に近い筋肉であり怪我をすると危ないため、基本的には意識的に鍛えないと刺激が入らない部位です。
胸鎖乳突筋がある部位は、頸部リンパ節が存在します。このリンパ節は、リンパが流れるリンパ管が集まっている部分であり、フィルターのような役割をしています。リンパは、筋肉を動かすことで流れることが促される部位です。つまり、筋肉が動いていないとリンパの流れは悪くなり、リンパ節の役割も低下し、フィルターによる老廃物、余分な水分を除去する能力が低下し、むくみの原因となります。頸部リンパ節の周りがむくむと二重顎の原因にもなります。
これが、胸鎖乳突筋を鍛えると小顔になるとよくいわれる所以です。
首や肩の痛みは、何かしらの原因で首から肩にかけての筋肉がこわばっている状態です。筋肉がこわばると、血管を圧迫するため、血流が悪化させるのと同時に、リンパの流れを悪化させます。血流及びリンパの流れは、疲労物質を流す作用があるため、血流が悪化した状態だとこの疲労物質が蓄積し、「肩や首が重い」「だるい」といった症状を引き起こします。言い換えれば、筋肉の緊張を解き、血流及びリンパの流れを改善することができれば肩や首の痛みを改善することが期待できると言えます。
そもそもなぜ首から肩にかけての筋肉がこわばってしまうかといえば、胸鎖乳突筋が発達してないがために頭を支えることを目的として筋肉が緊張しているからです。言い換えれば、胸鎖乳突筋を鍛えておけば、首、肩が緊張しなくても頭を支えることができるようになり、これにより、例えばデスクワークなどで同じ姿勢を長時間続けても肩こりや首の痛みを感じ難くなります。
胸鎖乳突筋は、首の横に走る筋肉であり、前述した通り、頭を支える役割があります。頭を支えるということは、日常生活の中では、肩こり、首の痛みを改善する役割があります。
その他にも特定のスポーツを実施した場合には衝撃から不用意に首が動くことを防ぎ、首の怪我を予防する働きがあります。
一方で、胸鎖乳突筋が首を支える役割があるということは、胸鎖乳突筋を鍛えると自然と首が太くなってしまうため、首を太くしたくないという方は鍛える際には注意が必要となる部位です。
頭痛の原因は様々ですが、そのひとつは血行不良による首の凝り、肩の凝りであると言われています。前述した通り、胸鎖乳突筋を鍛えると、血流、リンパの流れを改善することで、肩、首の痛みを改善することを期待できるため、頭痛の予防、改善を期待できます。
ただし、胸鎖乳突筋を鍛えても肩・首のコリを感じるという場合には、僧帽筋、三角筋などのその他の肩こりの改善を期待できる部位を鍛えることも効果的です。
胸鎖乳突筋は、首を支えるために、首の横に付着しているような筋肉であるため、鍛える際にはどうしても首に負担がかかります。ご存知の通り、首には多数の神経が走っています。つまり、他の部位と比較して、鍛える際には細心の注意を払う必要があるということです。
このため、胸鎖乳突筋を鍛える際には、「いきなり高い負荷をかけすぎないこと」「痛み、違和感を感じたらすぐにやめる」などを徹底し、安全面に注意する必要があるということがいえます(他のエクササイズとは異なり、胸鎖乳突筋を鍛えるエクササイズは自重トレーニングから危険なものが多いため、自重トレーニングから安全に気を付けて実施する必要があります)。
胸鎖乳突筋は、首の横についている筋肉であることから、鍛えようとした場合にはどうしても首を横に倒して実施するようなエクササイズを採用することが多いです。しかし、実際には、首を前後に動かすような種目でも胸鎖乳突筋を刺激することが期待できます。
他の部位と同様に、鍛える際には様々な刺激を入れる必要があるということは胸鎖乳突筋でも同様であり、前後、左右に動かす種目をバランス良く取り入れるのがオススメです。特に、首の怪我を防止するという目的で実施している場合には、怪我をする際には、何れの方向からの刺激でも怪我をしないようにするために、様々な角度から鍛えることが重要です。
胸鎖乳突筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、胸鎖乳突筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での胸鎖乳突筋の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
胸鎖乳突筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
胸鎖乳突筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。基本的には、胸鎖乳突筋が伸展するときに息を吸い、収縮するときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
1回ずつ、頭、肩甲骨を床につけない。
しっかり顎を引く。
ゆっくり動かす。
まずは自重のみで実施する。
負荷を高めるためには、動画のように頭の後ろにダンベルもしくは重りをのせる。
しっかり頭を下げる。また、しっかり頭を上げる。
ゆっくり頭を動かす。
まずは自重のみで実施する。
負荷を高めるためには、頭に重りを乗せ、天井側の手で抑える。
しっかり頭を下げる。また、しっかり頭を上げる。
ゆっくり頭を動かす。
まずは両膝、両手をついた状態で実施する。
段階的に「手を床から離す」、「膝ではなくつま先で支える」ことを実施する。
無理をしない。
ゆっくり頭を動かす。
頭が痛くなる場合にはタオルを敷く。
両手をついた状態で実施する。
段階的に「手を床から離す」ことを実施する。
無理をしない。
ゆっくり頭を動かす。
頭が痛くなる場合にはタオルを敷く。
上半身を曲げるときは、上体を張った状態にする (=腰を曲げない。)。
重量設定を重すぎないようにする。
無理やり前を向かないようにする。
ゆっくり動かす。
無理をしない。
姿勢をわざと悪くする。このため、腰に負担がかかりやすくなるため注意する。
僧帽筋を引き切り、収縮感を意識する。
重量設定を重過ぎないようにする。
重量設定を重すぎないようにする。
無理をしない。
ゆっくり動かす。
座る位置を工夫すれば、ネックラテラルフレクションも実施可能。
椅子に座った状態で、斜め後ろを見る様にすることで胸鎖乳突筋のストレッチを促します。20〜30秒間、3セット実施しましょう。
座った状態で、胸の前に手を置き、首を斜め後ろに倒すことで胸鎖乳突筋のストレッチを促します。このとき、息をしっかり吐き出しながら実施することを意識します。10〜20秒を左右それぞれ3セット実施しましょう。
座った状態で、倒す方とは逆の手で肩を抑えながら、首を斜めに倒すことで胸鎖乳突筋のストレッチを促します。このとき、息をしっかり吐き出しながら実施することを意識します。1とは異なり、首を曲げたときに上がってくる肩を抑えるため、より胸鎖乳突筋が伸展しやすくなります。左右で各10-20秒を3セット実施しましょう。
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