前鋸筋は、脇の下についている筋肉であり、鍛えることで腹筋の見た目を大きく改善可能です。今回は、前鋸筋の鍛えるコツ及びその方法をご紹介します。
前鋸筋(ぜんきょきん)は、脇の下についているノコギリ状の筋肉です。
前鋸筋は肩関節を動かす働きがあり、これにより、肩関節が稼働する「パンチする」等の動作に寄与します。このことから、特に、ボクシング選手で発達していることが多いため、ボクサー筋とも呼ばれます。
前鋸筋は、正確に表現すると腹筋に分類される筋肉ではないですが、前鋸筋が発達することで非常に完成度の高い腹筋を実現することができます。
前鋸筋を鍛えるメリットとして、男性ならば、完成度の高い腹筋を実現することが期待できることが挙げられます。
腹筋というと、シックスパックなど腹直筋をイメージする方が多いかと思います。腹直筋を鍛え、ダイエットもしっかり行うことでシックスパックが見えている状態は、腹筋の完成度として低いわけではありません。
ただし、上半身のトータルのバランスで見た場合において、シックスパックがしっかり見えていても、それが単独で発達してしまっているとバランスが悪いです。また、多くの人が腹直筋を鍛えるため、このままではシックスパックを持っている他の人と差別化が難しいのです!ここで前鋸筋を鍛えておくと、脇の下から腹直筋まで腹筋が連続しているかのように見え、バランスはもちろんですが、腹筋としての迫力が段違いに改善することが期待できます。
前鋸筋の男性に対する効果をみると、女性には関係のない筋肉のように思えます。確かに、前鋸筋を鍛えることで男性のような腹筋の見栄えを改善する効果は期待できませんが、別の効果を期待することができます。
前鋸筋は肩甲骨を外側に動かす作用の他に、肋骨を斜め上側に引っ張りあげる働きがあります。胸の下部は、肋骨の上にあるような位置関係であるため、肋骨が引っ張り上げられることで胸が上方中央に引き上げられるような状態になります。これにより、胸の垂れ下がりや離れ乳を改善し、バストアップと似た効果が期待できます。
前鋸筋を鍛えるメリットとして、運動パフォーマンスの向上が期待できることが挙げられます。
前述したように、前鋸筋は肩関節の動きに関係します。肩関節は、日常生活はもちろんですが、運動をする際に非常によく稼働する関節です。基本的に運動の動作というものは、下半身で生み出した力を上半身に伝え、それを肩関節を経由して腕や手に伝えるというものが多いため、肩関節の動きは運動パフォーマンスに直結することが期待されます。例えば、野球のピッチング、ボクシングのパンチ、空手の突き動作、バレーボールのスパイク動作などが挙げられます。これらの運動パフォーマンスを向上させるためには、肩関節の動きを改善する必要があり、そのためには前鋸筋を鍛えることが有効です。
その一方で、前鋸筋は身体の中でそこまで大きい筋肉ではありません。このため、前鋸筋を鍛えたからといって、ベンチプレスのような前鋸筋も稼働する種目での挙上重量が増大する訳ではないことには注意しましょう。
前述したように、前鋸筋は肩関節の動きに関与しており、肩関節を動かすために肩甲骨を動かしています。このことから、肩関節の動きは、肩甲骨の動きとして捉えることができ、肩甲骨の可動域が小さいと肩甲骨周辺の筋肉の可動域が小さくなることで血流も悪化します。肩甲骨周りの血流が悪化すると、筋肉の老廃物が蓄積し、これが血管を圧迫する原因となることで肩こりを誘発することがあります。以上を言い換えれば、前鋸筋を鍛えることで肩甲骨の動きを改善すれば、肩こりを改善することが期待できると言えます。
前鋸筋は、後述するように、比較的多数のエクササイズで鍛えることが可能である一方で、前鋸筋を独立して鍛えることができるエクササイズは非常に少ないです。このため、前鋸筋を無理して独立して鍛えるのではなく、どのようなエクササイズで前鋸筋に刺激が入るかを理解した上で、他の部位と複合的に鍛える方が効率的です。
前鋸筋に限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、前鋸筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での前鋸筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
これも前鋸筋に限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
これも前鋸筋に限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、前鋸筋のトレーニングでは、前鋸筋が伸展する際に息を吸い、前鋸筋が収縮する際に息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは絶対に避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
肩甲骨は動かすが、腕は動かさない。
肩甲骨を動かすことが意識できないときは、まず腕立て伏せの状態を作らないで肩甲骨を寄せる動作の練習をしてみる。
下半身から上半身までは一直線に設定する。
身体を下げたときに一直線が崩れないようにする。
身体をゆっくり下げる。
下半身から上半身までは一直線に設定する。
身体を動かしたときに一直線が崩れないようにする。
負荷を高めたい場合には、進む歩数を増やす。
実施中は常に肩甲骨を寄せたままにする。
トップポジションで肘を伸ばし切らない。
身体を下げるときはゆっくりにする。
上半身から下半身は常に一直線で実施する。
腕を動かさない。
身体はややブリッジの状態を作ると実施しやすい。
ダンベルの重量設定を重すぎないようにする。
ダンベルの重量設定を重すぎないようにする。
パンチを出すときは素早く出し、素早く戻す。
ステップを踏んでも良い。
身体を煽って上げない。
手首は掌屈。
手幅を狭くしすぎない。
ボトムポジションで肘を伸ばし切らない。
肘を伸ばし切らない。
バーベルを下げすぎない。
床に対して肘は常に垂直。
ベンチの角度が高いほど負荷は高まるが、三角筋前部にも刺激が入るようになる。
持つ部分を完全に握ることに拘泥しない(指が触れれば十分)。
肘を引き切る。
重量設定を重すぎないようにする。
目線は下側に設定する。
上半身はやや下半身にかかるように設定する。
トップポジションで重さを受け切る。
立った状態で身体を左右のいずれかに倒し、その状態を維持します。両側で10〜20秒を3セット実施しましょう。
壁に片手を配置した状態で、体側させることで前鋸筋のストレッチを促します。両手で10-20秒を3セット実施しましょう。
高さがあるものに前腕をかけ、その状態で上半身をツイストさせることで前鋸筋のストレッチを促します。両手で10-20秒を3セット実施しましょう。
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