腓腹筋は、ふくらはぎの筋肉の一種であり、鍛えることで脚全体の血流を改善することを期待できます。今回は、腓腹筋を鍛えるコツ及びその方法についてご紹介します。
腓腹筋は、ふくらはぎの筋肉の一つです。
ふくらはぎの筋肉は、下腿三頭筋と呼ばれており、腓腹筋及びヒラメ筋から構成されています。ヒラメ筋はふくらはぎの下側についている筋肉であり、腓腹筋はふくらはぎのやや上側左右についている筋肉です。
腓腹筋は膝関節と脚関節の動きに寄与するのに対して、ヒラメ筋は脚関節の動きのみに関係する筋肉です。また、腓腹筋は身体の急激な動きに対応する筋肉であるのに対して、ヒラメ筋は身体の状態を維持することに対応する筋肉です。
どちらもバランス良く鍛えることが重要であり、基本的にはふくらはぎを鍛えるエクササイズは腓腹筋及びヒラメ筋を同時に鍛えることができるものがほとんどです。
腓腹筋は、内側頭と外側頭から構成されます。このような呼び方をすることから明らかな通り、腓腹筋は鍛えることでふくらはぎが左右に張り出したようになります。
腓腹筋が存在するふくらはぎを鍛えることで、血流、リンパの流れを改善することを期待できます。これにより、手脚の末端部が過度に冷えてしまう「冷え性」、皮膚の下に水分を過度に保持することで特定部位がふくらんでしまう「むくみ」を改善することを直感的にも想定できます。実際には、腓腹筋が存在するふくらはぎは、第二の心臓と形容される位、血流に対して重要な役割を果たしています。また、腓腹筋が存在するふくらはぎの上部には膝があり、膝にはリンパが集まる膝窩(しっか)リンパ節が存在し、むくみを改善するために重要な部位といえます。以上より、腓腹筋を鍛えることで血流、リンパの流れを効率的に改善できるため、冷え性、むくみを効果的に改善することを期待できます。
腓腹筋が存在するふくらはぎは、前述した通り、血流という点では第二の心臓、リンパの流れという点ではリンパ節が近くにあるという点から、血液、リンパの流れの何れにも重要な部位です。血流が改善すると、筋肉に溜まった疲労物質を流し、また筋肉に運ばれる酸素の量も増大するため、これにより、筋疲労を軽減することを期待できます。また、リンパの流れが改善すると、溜まった老廃物、疲労物を流すことで疲労軽減効果を期待できます。以上から、ヒラメ筋を鍛えることで疲労回復効果を期待できるといえます。
運動能力の中でも、走る、ジャンプをするという能力は、アキレス腱の強さが重要な役割を果たしています。アキレス腱は、そもそも、地面に接触した衝撃力を、強制的に引き伸ばすことで受け止め、この伸びたアキレス腱が縮むときに発生する強い力によってキックやジャンプを行っています。アキレス腱は、ふくらはぎと接続しており、ふくらはぎの筋肉である腓腹筋を鍛えるということは、アキレス腱がより強い力を発揮しやすくなるということであり、これにより、地面や床を蹴る力が改善することで運動能力の改善を期待できます。
特に男性の場合ですが、脚をたくましく見せようと意図した場合において、ふくらはぎの、特に、腓腹筋は重要な役割を果たしています。腓腹筋は、前述したように、脚の中でも膝下の筋肉に相当します。膝下は、通常では筋肉が発達していないと、すらりと伸びている部分になりますが、ここで腓腹筋が発達していると局所的に太くなっている部分が発生することで脚のたくましさが改善します。同じく、ふくらはぎと呼ばれているヒラメ筋と比較した場合、腓腹筋はより脚のたくましさを改善するという点で顕著な効果を期待できます。
一方で、女性が腓腹筋を鍛えても男性のようにふくらはぎが左右にはみ出したような逞しい脚になることはほとんどありません。これは、女性の骨格的な問題もありますが、そもそも、筋肉をつけるときに働くテストステロン値について女性はそこまで高くないためです。むしろ、女性が腓腹筋を鍛えた場合には、ふくらはぎ周りに付いた余計な脂肪を落とし、これにより、より引き締まった脚の実現を期待できます。これにより、脚のシルエットがはっきりする衣服、例えばスキニージーンズを履いたときのシルエットがよりぴったりとすることで大幅に改善することを期待できます。
トレーニングの原則として、筋肉を発達させるためには高重量を扱うことは原則ですが、腓腹筋及びヒラメ筋などのふくらはぎの筋肉では、かなりの上級者でないと高重量を扱ってもなかなか発達させづらいです。この理由としては、後述するように、ふくらはぎの筋肉では完全伸展、完全収縮を意識することが特に重要である部位であることから、高重量を扱った場合においてそれを意識するのがかなり難しくなるためです。このことから、ふくらはぎを鍛える際には重量を扱うよりも回数を重視して、しつこく刺激することで効果的に鍛えることを期待できます。「重量を意識しない」ということは、普段、高重量を扱ってエクササイズを行っている方には抵抗があるかと思いますが、実はかなり効果的であるため、ぜひとも意識して頂きたいポイントです。
腓腹筋を鍛えるエクササイズは、他の部位を鍛えるエクササイズとは異なりトレーニングに熟達していなくても高重量を扱いやすいと言われています。これは、腓腹筋などのふくらはぎを鍛えるエクササイズでは、腓腹筋に重りなどで直接加重しているわけではなく、肩、腰、太もも等を介して負荷をかけていることも起因しています。一方で、このようにして高重量を扱うと、前述したように可動域が非常に狭くなる傾向があります。腓腹筋などのエクササイズでは、そもそもの可動域が小さいからこそ、エクササイズ中には完全な可動域を設定して実施する必要があります。そのために、ボトムポジションではふくらはぎが切れそうになるくらいまで伸展させ、トップポジションではスネに痛みがくる位まで収縮させることが重要です。これを実施するためには、高重量を扱っての実施は難しく、やや軽いくらいの重量設定で実施することが重要です。
脚の指先に力を入れるという動作を少しやってみると分かりますが、指先に力を入れるとふくらはぎが収縮する動作がより促されるようになります。腓腹筋を鍛えるエクササイズのほとんどは、踵を上げるという動作を行い、単純に踵を上げることを意識するだけでも効果はありますが、この踵を上げたときに指先に力を入れてより収縮感を促すことで、よりエクササイズ効率を向上させることが期待できます。これを実施するためには、つま先をより意識する必要があり、例えば、裸足で後述する腓腹筋を鍛えるエクササイズを実施したり、少し高いですが、五本指シューズを履いてエクササイズを行うことが効果的です(同様の理由で、五本指ソックスを履いてエクササイズをするのも効果的ですが、場所を選ぶため注意が必要です)。
バランスの良い腓腹筋を実現するためには、内側頭と外側頭をバランス良く鍛える必要があります。腓腹筋を鍛えるエクササイズは、後述するように、踵を上げて実施する種目が多いですが、このとき、あまり意識していないとつま先の向きというのは個々人でやりやすい方向に勝手に向いてしまう傾向があります。ここで、諸説ありますが、基本的に、つま先を内側にすると腓腹筋の外に刺激を与えることができ、つま先を外側に設定すると腓腹筋の内側に刺激を与えることができると言われています。つまり、つま先の向きを意識しないでトレーニングを続けていると、内側、もしくは外側だけに偏った腓腹筋になる可能性があります。このため、自身が意図してつま先の向きを設定する必要があり、基本は真っすぐにして実施し、自身の腓腹筋のバランスを見ながら、つま先を内側、もしくは外側に設定しながらエクササイズを実施する必要があります。
腓腹筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。このため、最初は難しいですが、腓腹筋の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での腓腹筋の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
腓腹筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
腓腹筋を鍛えるエクササイズに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。基本的には、腓腹筋が伸展するときに息を吸い、収縮するときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
床に踵を付けない。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
通常のスタンディングカーフレイズと併せて実施すると効果的。
床に踵を付けない。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
床に踵を付けない。
指先に力を入れることを意識する。
高く飛ぶようにすると負荷が高まる。
重すぎる重量を設定しない。
片脚ずつ実施するのも効果的。
ボトムポジションでふくらはぎを完全伸展させる。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
プレートや台などで傾斜をつけても良い。
重量を扱いやすいふくらはぎのパワー種目。
背中を張って腰を曲げない。
ボトムポジションでふくらはぎを完全伸展させる。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
重量を扱い過ぎない。
片脚ずつ実施するのも効果的。
ボトムポジションでふくらはぎを完全伸展させる。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
重量を扱いやすいふくらはぎのパワー種目。
片脚ずつ実施するのも効果的。
ボトムポジションでふくらはぎを完全伸展させる。
トップポジションでふくらはぎを完全収縮させる。
指先に力を入れることを意識する。
立った状態で片足を前に出し、椅子などに手を掛けながら前に体重をかけることで腓腹筋のストレッチを促します。この状態を10〜20秒程度を3セット行いましょう。
座った状態で片脚を伸ばし、つま先を立てて、タオルをつま先に回してタオルの両端を引くことで腓腹筋のストレッチを促します。両脚を10〜20秒程度を3セット行いましょう。
腕立て伏せの様な状態を作ったら、お尻を上げ、片脚をもう片方の脚にかけてストレッチします。10〜20秒程度3セット実施しましょう。
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