数あるスクワットの中でもナロースクワットの難易度は比較的高く、「できない」と感じている人が少なくない種目です。今回は、ナロースクワットができない原因とその対策についてご紹介します。
ナロースクワットは脚幅を狭くしてスクワットを行うため、通常のスクワットと比較して、大腿四頭筋全体を使って身体を上げるのではなく、特に外側広筋(大腿四頭筋の中で最も大きく、外側に位置している筋肉)を使って身体を上げることになります。このため、外側広筋が十分に発達していないと身体を下げても、戻ってくるのが難しくなります。
ただし、以上の理由は、「そもそもナロースクワットが実施できるけども中々重量を扱うことができない」という方の原因です。ナロースクワットが根本的にできないという原因は、むしろ後述する4つの理由の何れかによります。
ナロースクワットを実施する上で、非常に重要なのが股関節の柔軟性です。通常のスクワットでは、脚幅を腰幅程度に設定して実施することが一般的であるため、股関節が開いた状態となり、「身体を下げて上げる」という動作を実施するための難易度がそこまで高くありません。一方で、ナロースクワットでは、場合によっては踵同士をつけて実施することもあり、このようにすると股関節が閉じた状態になります。そのようになると、通常は身体の上げ下げは非常に窮屈になり、重要になるのが股関節の柔軟性です。ここで、股関節の柔軟性が十分であると股関節が閉じた状態でも身体の上げ下げをできるようになります。
また、脚首の柔軟性もスクワットで深くしゃがむ際には非常に重要な役割を果たします。脚首の柔軟性は、ナロースクワットだけではなく、通常のスクワットでも重要であり、スクワットでより深くしゃがみたいならば改善する必要があります。
足首や股関節は、日頃のストレッチで柔らかくすることができますので、お風呂上がり等に実施しましょう。また、ワイドスクワットを行うことで股関節が柔らかくなります。ぜひトライしてみてください。
これは非常に極端な場合ですが、体重が重すぎるとナロースクワットで上げるための重量が増えます。そのため、ナロースクワットを実施する上で、できないとなる原因となる場合があります。ただし、人間は基本的には直立及び歩行しており、直立もしくは歩行しているということは自身の体重を脚で支えているということであるため、スクワット、もしくはナロースクワットができないほどの体重というのは一般的には非常に極端な原因であると言えます。
ナロースクワットでは、通常のスクワットと比較して、膝がつま先よりも前に出易くなります。これは、ナロースクワットのフォーム上、問題ないことなのですが、それに伴って膝に入る負担もどうしても増大してしまいます。そのため、膝を痛めた状態でナロースクワットを実施しようとすると、そもそも膝に大きな負担がかかる種目であるため、実施することが困難となる可能性があります。ナロースクワットだけではなく、スクワット全般において少しでも膝に違和感や、痛みがある場合には実施するのはやめましょう。
通常のスクワットでも非常に重要なテクニックではありますが、つま先の向きが悪いことでナロースクワットができないという場合があります。つま先の向きは、股関節の開き方と関係があり、通常のスクワットでもより深くしゃがめるようにするためにつま先をやや外側に設定します。ナロースクワットでは、通常のスクワットよりも股関節の開き方が制限されているため、つま先の向きについてより気を配る必要があります。ここで、ナロースクワットを実施しているときのつま先の向きを両脚並行に設定していると股関節が完全に閉じた状態になり、ナロースクワットを実施するのが困難になります。
ワイドスクワット、ナロースクワットなど、スクワット全般に対して、教科書的には「膝はつま先よりも前に出てはいけない」というテクニックがありますが、正しくありません。そもそも、スクワットはパワー種目であることから、それを意識し過ぎて縮こまったフォームで実施するならば、膝がつま先よりも出てダイナミックにパワフルに実施する必要があります。
特に、ナロースクワットの場合、「膝がつま先よりも前に出ない」ということを過剰に意識すると、実施することが困難となり、場合によっては、お尻ばかり後ろに出て可動域が非常に狭い不恰好なナロースクワットになります。スクワットを実施するならば、可動域を確保することが最優先であるため、このようなスクワットの実施は避けた方が良いでしょう。
まずは上記で説明した原因を解決しましょう。
筋力不足の場合は、別のトレーニングを行って筋肉をつけましょう。運動不足の場合は、毎日ウォーキングをするだけでも筋肉がついてきます。出勤の際にひと駅分多く歩いたり、移動をする際になるべく早歩きをするように意識するだけでも変わってきますので、ぜひ試してみてください。
柔軟性不足の場合は、先ほども伝えた通り日頃のストレッチが大事になってきます。またワイドスクワットから始めることで股関節が柔らかくなってきますので、いきなりナロースクワットにチャレンジするのではなく、ワイドスクワットから始めてみましょう。
体重が重すぎる場合は、標準体重になるようダイエットをするしかありません。食事制限や運動などでまずは体重を落としましょう。体重が重すぎるのに無理してスクワットを続けると、それこそ膝を痛める原因となります。すでに膝が痛い人は、痛みが治るまで待ちましょう。待てど暮らせど痛みが治らない場合は、医者に相談をして然るべき処置をしてもらいましょう。
つま先の向きが悪い場合には、つま先を通常のスクワットと同様にやや外側に向けるようにしてみましょう。つま先の向きが悪いという場合には、通常のスクワットでもつま先の向きが悪い可能性が高いため、通常のスクワットでもフォームを矯正するようにしましょう。
膝の位置が歩い場合には、膝をつま先よりも前に出すことができるようにしましょう。具体的には、膝をもっと自由に(=あまり意識しすぎないで)してスクワットを実施するようにしましょう。
基本的にナロースクワットは練習あるのみで、最初はナローといっても少し広めから実施してそこから少しずつ脚幅を狭めていく実施するのがオススメです。
まずは、脚幅をやや広めに設定して行ってみましょう。脚幅を広めに設定すること、つまり、ワイドスクワットは、股関節が開いた状態で実施できるため、しゃがむ際の難易度はナロースクワットと比較してかなり低くなります。また、通常のスクワットも、ナロースクワットと比較するとしゃがむ際の難易度は低くなります。
また、他にやるべきエクササイズは、自重トレーニングだとシシースクワットがおすすめです。シシースクワットは、かなり負荷の高いエクササイズではありますが、基本的には何か物につかまりながら実施するエクササイズであるため、どうにかすれば実施することが期待できます。シシースクワットは、本格的に外側広筋を鍛えることが期待でき、ナロースクワットを実施するための筋肉を付けるのに役に立ちます。
ダンベルやバーベルを用いて、加重してナロースクワットを行うことで負荷が高くなり、筋肉への刺激が強くなります。そういった加重ナロースクワットがなかなかできないという人もいるでしょう。
この場合、まずは通常のナロースクワットができるようになるのが先です。
また、加重するタイプのナロースクワットは、案外バーを背負う位置を変えるだけで実施できるようになることがあります。できないという方はローバースクワットを試されるのが良いです。ローバースクワットとはバーベルを握り持つ部分が三角筋後部くらいのやや低めのスクワットで、日本人は実施するのに適していると言われています。
他にやるべきエクササイズは、ジムであればレッグエクステンション、ナロースタンスでのレッグプレス、ハックスクワットです。これで筋力アップ、かつ股関節の柔軟性を改善することができれば、ナロースクワットもできるようになるでしょう。
シシースクワットは、実施する上で股関節の柔軟性が関係なくナロースクワットでターゲットとなる大腿四頭筋の外側広筋を鍛えることができるためです。
シシースクワットは、大きく分けて2種類のやり方がありますが、何れの方法を用いてもマシンを使って実施し、ナロースクワットで最も難易度の高い身体を下げ切るという動作を行いません。それでもナロースクワットで鍛えることができる大腿四頭筋の外側頭を鍛えることができるため、ナロースクワットが実施できない方におすすめです。
シシースクワットは、5〜8回を3セット実施するようにしましょう.
シシースクワットは、自重で実施するスクワットとしては非常に負荷の高いエクササイズですが、比較的無理が効くエクササイズです。以下に示すやり方もあり、このように実践すると効果的にナロースクワットで鍛えたい外側広筋を鍛えることが期待できます。
ただし、前述した通り、負荷が高いのと、膝にも比較的大きな負荷がかかることから、標準的なトレーニングの回数としてはやや少なめの5〜8回を実施するようにしましょう。
トップポジションで膝をロックしない。
身体をゆっくり下げる。
膝がつま先よりも前に出ないということを過度に意識しない。
背中を張ったまま実施する。
パッドの位置が低くなると負荷は高くなる。
スミスマシンスクワットは、スタンスをナローにしても軌道が安定しているため比較的実施しやすいためです。
ナロースクワットが実施するのが難しいのは、バーベルの上げ下げを行う際にバーベルがどうしても不安定になるためであり、スミスマシンで実施する場合にはこの問題を解決することができます。スミスマシンで実施する際には、足幅をかなり狭くしても実施することが期待でき、むしろより外側頭を狙って刺激することが期待できます。
スミスマシンスクワットは8〜10回を3セット実施するようにしましょう。
スミスマシンスクワットは、バーの軌道が固定化しているため、比較的無理をできるスクワットです。スミスマシで固定するならば、ナロースクワットは比較的実施しやすい傾向があります。ただし、エクササイズの負荷としては比較的高いため、標準的なトレーニングの推奨回数としてはやや少なめの8〜10回を3セット実施するようにしましょう。
トップポジションで膝をロックしない。
やや無理が効くので、脚幅を非常に狭めで実施しても良い。
スミスマシンの軌道に沿って実施する。
ハックスクワットは、軌道が安定しているため、スタンスをナローにしても軌道が安定しているため比較的実施しやすいためです。
ハックスクワットもスミスマシンスクワットと同様に軌道が安定して実施することができるため、比較的無理をできるスクワットです。スミスマシンスクワットと比較した場合、より負荷の高いエクササイズであるといえ、スミスマシンナロースクワットで負荷が足りない場合にはハックスクワットを実施するようにしましょう。
ハックスクワットは8〜10回を3セット実施する。
ハックスクワットは、スミスマシンスクワットを角度をつけて実施するかのようなエクササイズであり、エクササイズ強度はかなり高いです。ただ、軌道が一定であるため、本エクササイズも比較的無理をすることができ、かかとをつけてわざとナロースクワットのようにしても軌道が固定化しているため比較的実施しやすいです。ただし、前述した通りエクササイズの負荷としては比較的高いため、標準的なトレーニングの推奨回数としてはやや少なめの8〜10回を3セット実施するようにしましょう。
トップポジションで膝をロックしない。
深く下げると負荷は高くなるが、負担が大きくなる。どうしても深く下げたい場合にはニーラップもしくはニースリーブを使う。
つま先はやや外側に設定する。
重量設定を高重量にしすぎない。
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