チートデイはダイエットを進める上でのテクニックの一つです。今回の記事では、チートデイのメリット/デメリットから正しい実施方法までご紹介します。
チートデイとは「ダイエットを目的とした食事制限中に、十分な食事をとってよい特別な日」を意味します。英語「cheat day」が由来で、直訳すると「ズルをする日」です。ボディメイキングの用語の一つで、ここでいう「ズル」とは「ダイエット中の食事」を指します。
摂取するカロリーを制限していると、最初は順調に痩せていきますが、ある一定値になると「ぴたり」と体重の減少が止まることがあります。カロリーを制限を一定期間していると、身体が飢餓状態にあると脳が錯覚します。(極度なカロリー制限は実際に飢餓状態になっているのですが...)そうすると、生存本能が働き、体重を落とす作用が弱くなります。この状態を一般的に「停滞期」と呼びます。
この停滞期を破るためにチートデイは有効です。脳に身体が飢餓状態ではないことを認識させ、身体の体重を落とす作用を維持できるためです。
ダイエット中のカロリー制限は、非常に辛いですよね。そんな中で、自分の好きなものを食べることができるチートデイを設定しておけば、その日まで頑張るためのモチベーションとなります。「ダイエット→チートデイ」を繰り返すことで最終的な目標体重まで減量を達成することが期待できます。
チートデイを導入することで、チートデイを導入しない場合と比較して、筋肉量を維持した減量が可能です。ダイエットの目的は脂肪燃焼ですが、ダイエットの過程で筋肉も必ず減少してしまいます。身体が飢餓状態になると一番最初に筋肉が分解されるのに起因します。このとき、チートデイを導入し一時的にカロリーを摂取することで、筋肉の分解が抑制されます。
チートデイを導入することで、低下した代謝を一時的に元に戻すことが可能です。食事制限により、食事をすることによって発生する代謝(食事誘発性熱産生)が減少し、また筋肉量が減ることで基礎代謝も低下します。ダイエット中に代謝が下がってしまうのは避けられないのですが、チートデイで食事を多く摂取することで、低下した代謝を一時的に戻すことが可能です。代謝は脂肪を燃焼する上で、非常に重要な役割を果たすので、チートデイの導入により効率的にダイエットを実施できます。
食事制限が進めば、体内の栄養状態が悪化し、その結果、免疫機能が低下します。このときチートデイを導入すれば、一時的ではありますが、栄養状態を改善することが可能であり、前述した筋肉の分解を防ぐことはもちろんですが、免疫機能を改善することもできます。
チートデイをする上で一番重要なことは「チートデイをして精神的に前向きになれるかどうか」という点です。チートデイを取り入れて「あー、せっかく減量していたのに、カロリーをいっぱい取ってしまった...」と後ろ向きになってしまう方は、むしろチートデイを取り入れない方がよいでしょう。 チートデイは、代謝もそうですが、精神状態を改善するという意味合いも強いので、精神面を重要視しましょう。
体脂肪率が高いほどチートデイとチートデイの間隔は長くなります。身体に蓄えられている脂肪が多く、この脂肪がエネルギー源となるため、停滞期の原因となる身体の飢餓状態になりにくいからです。
だいたいの目安として、体脂肪率基準で以下の様なチートデイの間隔が存在します。
10%未満:1〜2回/週
10-20%:1回/週
20-30%:1回/2週
30%以上:なし
ただし、この基準に関しては絶対にこれと決まってるわけではありません。「体重と食事内容を細かくチェックし、体重の減少が止まったらチートデイを設ける」というスタンスにしながら、自分がどのくらいで停滞期に入ってしまうのかを把握することが重要です。
ダイエット中の食事方法はいくつかありますが、最も一般的なのは糖質を減らすことで摂取カロリー数を減らす方法です。(カロリーとは身体を動かすためのエネルギーのことで、エネルギーになるのは、糖質、脂質、たんぱく質です)
チートデイで糖質を大量に摂取すると、ダイエット中の食事に戻した際に「糖質を摂りたい」という欲求が強くなってしまいます。これは、特にダイエット初心者に多くみられる傾向です。
食事制限中は、基本的にはタンパク質を中心にし、脂質、糖質の量を少なくしているので、チートデイで脂質多め、糖質多めの食事を摂ると、胃もたれや腹痛を誘発する可能性があります。食べる内容・量・スピードに十分注意しましょう。
身体が浮腫むということは、皮膚や皮下脂肪が水を蓄えてしまっている状態になります。チートデイで浮腫む原因には複数考えられ、チートデイ中の食事が塩分過多だった、チートデイ中に摂取した糖質が水分と結びついたなどが考えられます。いずれにせよ、身体の浮腫もクリーンな食生活に戻ればこの問題は解決しますから、そこまで心配する必要はありません。塩分を体外に排出する役割がある栄養素にカリウムがあります。カリウムは、いも類、野菜類、果物に多く含まれます。
チートデイでは摂取するカロリーが多くなることから、翌日は体重が増加するという場合が多いです。これは、ダイエットに失敗しているわけではなく、チートデイにより意図的に体重を増やしたと捉えることが重要です。「体重が増えてしまった...」と後ろ向きな気持ちになると、ダイエットにも悪影響が出てしまいます。節度をもってチートデイを実施すれば、増えた体重も2〜3日でチートデイ前と同様、もしくはそれ未満になるのであまり神経質になりすぎないようにしましょう。
チートデイの頻度・周期は、前述した通り自身の現在の体脂肪率に依存します。また、一応の目安は、前述した通りになりますが、個人差があります。
10%未満:1〜2回/週
10-20%:1回/週
20-30%:1回/2週
30%以上:なし
体脂肪率が高い方(20%以上)が「週に一回のチートデイ」を設けるのはチートデイの頻度が高すぎるといえ、逆に体脂肪率が低い方(10%未満)が「週に一回のチートデイ」を設けるのはチートデイの頻度が低すぎるといえます。
基本的には自身の体重に合わせて、前述した頻度でチートデイを設けていきます。しかし、個々人で代謝が大きく異なることから、理想的には食事内容と体重の記録をとり、自分がどのような食事内容で、どの位で停滞期に入ってしまうかを把握し、それを基に、チートデイを設けるというやり方がおすすめです。
チートデイで摂取するカロリーは、基本的に「ダイエット中の摂取カロリー×2」もしくは「ダイエット中の摂取カロリー+3000kcal」という目安があり、それに応じて食事の量を調整します。(他にもいくつか指標がありますが、これらが一般的です)このカロリーは体脂肪率に関係しないということが重要です。 上述した通り、体脂肪率の高い人は、チートデイの頻度を下げることで調整します。
チートデイという名前だけ聞くと「好きなものを好きなだけ食べていいんだ!」と勘違いしがちです。確かにダイエット上級者でこの様な手法を取る人がいるのも事実ですが、そのような人は自分自身の体重を完全に"自分の管理下"に置いており、「どの様な食事をするとどれだけ体重が増え、どの様なエクササイズを行うとどれだけ体重が減るか」を認識しています。そのため、ダイエット初心者の方がチートデイでこの方法を取ると体重が思ったように減らなくなるのでおすすめできません。
ただし、ここで挙げた数値も個人によって差があります。チートデイの目的は「身体が飢餓状態ではないことを脳に認識させること」ですから、厳密にはこの数値にこだわりすぎる必要はなく、ダイエットのレベルが上がるにつれて多少の修正をしてもよいでしょう。
チートデイで何を食べるかは、「どのようなチートデイを選択するか」に依存します。
「できるだけクリーンな食生活を心がけてチートデイをする」という方は、チートデイで食べるものの例として、玄米やそば、オートミールなどのクリーンなど炭水化物が中心となります。この方法では脂質の摂取量はチートデイ以前と大きく変わりません。炭水化物でチートを行い、自分へのご褒美として多少のお菓子やアルコール (蒸留酒)を許容するに留まります。一番おすすめの食事内容です。
「好きなものは食べるけど、節度を持ってチートデイをする」という方は、1日1〜2回(3食すべてでチートしないので「節度」を持っている、としています)、自分の好きな物を食べます。自分が好きなものを食べるため、チートデイで食べるものの例として、ラーメンやとんかつ、ケーキ、日本酒など、ありとあらゆるものが挙げられ、クリーンなチートデイとの大きな違いは、脂質の摂取量も増えてチートを行うということになります。最も一般的なチートデイの食事内容です。
「好きなもの好きなだけ食べてチートデイをする」という方は、1日の全ての食事を自分の好きなものを好きな分だけ食べます。全ての食事をチートミールにするという点、「好きなものは食べるけど、節度を持ってチートデイをする」と異なります。これは筋トレ上級者向けのチート方法です。
2つ目と3つ目は確かに効果はあるのですが、無駄な脂質を摂りすぎてしまうので、1つ目の「できるだけ、クリーンな食生活を心がけてチートデイをする」がおすすめです。また、チートデイで大量のジャンクフードを取るのは、消化吸収に著しい問題を与える可能性があるので、推奨されません。
近年の低炭水化物ダイエット (=ケトジェニック)の流行により、「ダイエット=炭水化物を減らすこと」という認識が広まっています。確かにケトジェニックは体重を早急に減らす上では効果的です。しかし、炭水化物を極端に減らすと人によっては精神的にかなりの苦痛、また、ダイエットに成功してもリバウンドしやすいというデメリットがあります。
炭水化物には筋肉の分解を抑制する作用、タンパク質の吸収を促進する作用があるため、炭水化物を減らすことは筋肉を減少させることに直結します。筋肉が減少すると代謝も低下するので、その結果リバウンドしやすくなってしまいます。
そのため、炭水化物の前に脂質の量を見直すのが最優先です。
PFCバランスとは、Protein(タンパク質)、Fat(脂質)、Carbohydrate (炭水化物)のバランスを指します。
ダイエットでは、1ヶ月で落とす体重を決め、1日で摂取してよいカロリーを決め、1食で摂取するカロリーを決めるのが望ましいのですが、その際PFCバランスは非常に役に立ちます。
タンパク質、脂質、炭水化物の1 gあたりのカロリー数は、タンパク質が4kcal、脂質が9kcal、炭水化物が4kcalです。
筋肉量の維持には体重1kgあたり2gのタンパク質が必要なので、先にタンパク質で摂取カロリーを計算します。次に炭水化物ですが、だいたいお茶碗一杯 (=150g)で約250kcalなので、それを基準にしてどれくらいの炭水化物を摂取するか決定します。最後に、自身が摂取すべきカロリー数からタンパク質・炭水化物のカロリー数を引き、摂取すべき脂質を決定します。
「定時」に「決まったもの」を「繰り返す」ことによって、自分の体重が「なぜ増えてしまったのか」もしくは「なぜ減っているのか」という理由がわかります。自分が太りやすい食べ物を認識することで、ダイエットを効率良く進めることができます。「定時に」に食事を取るということは厳しい方は、「決まったもの」を「繰り返す」ことを意識しましょう。世の中一般で「ダイエットによい食べ物」とされているものが、必ずしも自分に合うとは限りませんので、必ず自分で確認するようにしましょう。
ダイエットをしているときは、毎日決まった時間に体重を測り、記録をつけましょう。1日1日の体重の上下に落胆せず、1週間単位のマクロで体重が増加の傾向にあるのか、減少の傾向にあるのか判断する必要があります。体重は、決まった食生活を送っていてもばらつきがどうしてもでてしまうことから、マクロで見て、今のダイエットだ成功しているのか停滞しているのか判断し、次に取るべき行動を決定しましょう。
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