ナロープッシュアップは、上腕三頭筋、つまり「二の腕」を鍛えることができる種目であるため女性にもおすすめです。今回は、女性向けのナロープッシュアップのやり方及びコツについてご紹介します。
ナロープッシュアップは英語で「narrow pushup」で「狭いプッシュアップ」を意味する種目です。この「狭い」は手幅の大きさを意味しており、手幅が狭ければ「ワイドプッシュアップ」、広ければ「ワイドプッシュアップ」となります(一方、その間で実施するプッシュアップは、「ミドルプッシュアップ」とは呼ばず「プッシュアップ」と呼びます。)。
ナロープッシュアップは、通常のプッシュアップに対して上腕三頭筋を優位に稼働して実施することができます。上腕三頭筋は、そこまでトレーニングをしていなくても発達しているケースが多いため、プッシュアップの中でも比較的実施しやすい種目です。
一方、手幅を狭くするほど、身体を支えづらくなりナロープッシュアップとしての負荷は高まります。その最たる例が両手が付くほど狭く設定するダイヤモンドプッシュアップです。ただし、手幅を狭くすると、負荷も大きくなりますが、肘にかかかる負担も増大するため注意が必要です。
上腕三頭筋は、腕の筋肉の大半を占めているため、鍛えることで二の腕をすっきりさせることが期待できます。
同じく上腕を形成する主な筋肉として、上腕二頭筋がありますが、上腕二頭筋と上腕三頭筋の大きさを定量的に比較すると、人によってばらつきはありますが、上腕三頭筋の方が1.5倍から2倍程度大きいと言われています。
このことから、二の腕をスッキリさせること、つまり二の腕の脂肪を燃焼させるためには、二の腕に効率的に筋肉をつける必要があり、そのためには上腕三頭筋を鍛える方が効率的であると言えます。
姿勢が悪くなっている状態は、猫背もしくは反り腰になっている状態であると考えられます。
猫背は、前屈みの姿勢を長時間取ることで骨盤が後傾することで発生します。特に、現代人は、長時間デスクワークをすることが多いことから、長時間前屈みの姿勢をとることで猫背になってしまっている可能性が挙げられます。
反り腰は、腹筋及び背筋のバランスが崩れ、前側にかかった重みを背中が側で支えるようにすることで骨盤が前傾することで発生します。特に、筋肉量が少ない女性に発生しやすいと言われています。
ここで、特に、猫背になっている状態は、大胸筋および三角筋が凝り固まっている状態であり、これにより、胸を張る動作が実施困難になっている状態です。このため、大胸筋、三角筋を鍛えることで、大胸筋、肩周りの血流を改善することにより、胸を張りやすい状態を作り、これにより猫背の改善効果を期待できます。
肩もしくは首が凝っているというのは、基本的には何かしらの原因で首から肩にかけての筋肉がこわばっている状態です。筋肉がこわばると、血管を圧迫するため、これにより血流が悪化させるのと同時に、リンパの流れを悪化させます。血流及びリンパの流れは、疲労物質を流す作用があるため、血流が悪化した状態だとこの疲労物質が蓄積し、「肩、首が重い、だるい」といった症状を引き起こしてしまいます。
肩の筋肉を鍛えることで、肩周りの血流及びリンパの流れを改善することが期待できます。これにより、廃物が流れるようになることで、血管を圧迫しなくなり、これにより肩こり、首こりの改善を期待できます。
ナロープッシュアップでは、上腕三頭筋、大胸筋、三角筋と幅広い筋肉を鍛えることを期待できます。
これらの筋肉は、単独の筋肉、筋群で比較すると大腿四頭筋や大臀筋と言った筋肉よりも小さい筋肉にはなりますが、合わせるとかなりの大きい部位となり、上半身の大部分を刺激することを期待できます。つまり、ナロープッシュアップは、上半身の非常に幅広い筋肉を刺激することができるため、効率的に代謝の改善を促すことが期待できます。
デコルテラインとは、首筋から肩周り、胸の上部のラインまでを指します。
大胸筋は、鎖骨と接続しているため、大胸筋を鍛えることで鎖骨周辺がスッキリとした状態になり、デコルテラインがきれいに見えるようになることが期待できます。
前述したバストアップ、バストの形の改善効果を含めて、ナロープッシュアップで大胸筋を鍛えることは胸周りがより美しくなるということを覚えておきましょう。
大胸筋は、バストの下に存在しバストの土台となります。そのため、大胸筋を鍛えることで、バストアップを期待することができます。また、バストの形を美しくする効果も見込めます。
大胸筋は筋肉であるのに対して、バストを構成する胸は基本的には脂肪であることから、大胸筋を鍛えると胸が小さくなると考える人が多いです。しかし、かなり高頻度かつ高強度のトレーニングを行う場合を除いて、大胸筋を鍛えると土台がしっかりし、バストアップ効果を期待することができます。
ナロープッシュアップでは、大胸筋、三角筋、上腕三頭筋を鍛えることができるため、その他の効果として以下を期待できます。
筋トレの幅が広がる。
身体の見栄え改善。
女性の筋トレ初心者は、ナロープッシュアップを4〜6回3セット実施します。
ナロープッシュアップは、比較的大きい部位である上腕三頭筋をメインターゲットとして稼働しますが、筋トレ初心者は中々実施することが難しいです。そのため、まずはフォームをしっかり確認するという意味でも、まずは4〜6回3セット実施しましょう。
女性でナロープッシュアップに少し慣れてきたら、6〜8回3セット実施します。
ナロープッシュアップは慣れてくると、上腕三頭筋の発達により安定して実施することを期待できます。そのため、ナロープッシュアップに少し慣れてきたら、初心者のときよりも回数をやや増やして、6〜8回3セット実施するようにしましょう。
女性の筋トレ上級者の場合、ナロープッシュアップを実施する際には、その他の上腕三頭筋を鍛える種目と組み合わせて実施します。
筋トレ上級者がナロープッシュアップを実施する場合には、本番種目として実施します。ウォーミングアップ種目として、プランクやハイプランクなどを実施するのがおすすめです。この場合、ナロープッシュアップを12〜15回を実施し、以上のウォーミングアップ種目を30〜45秒3セット実施しましょう。
ナロープッシュアップで上腕三頭筋に対する負荷を高める場合には、両手をしっかり近づける必要があります。
通常、手が肩よりも内側にある状態でプッシュアップを実施するとナロープッシュアップと言われますが、このとき両手が接するように実施すると最も負荷を高めることができます。これは、身体を支える上で最も不安定になるからであり、このようにすることで大胸筋の内側、及び上腕三頭筋を効率的に鍛えることを期待できます。
ただし、両手を近づけるほど、肘に対する負担も増大するため注意が必要です。
ナロープッシュアップでは、肩甲骨を常に寄せることで大胸筋を伸展した状態を作り出すことができ、効率的に大胸筋を刺激できます。
フリーウェイトやマシンを使った大胸筋を鍛えるエクササイズでは、肩甲骨を寄せることが必要とされています。これは、肩を痛めないだけではなく、大胸筋を伸展させるために必要なテクニックです。ナロープッシュアップでも同様であり、やや難易度が高いですが肩甲骨を常に寄せる必要があります。
ナロープッシュアップで肩甲骨を寄せる際には、通常のプッシュアップのポジションになったら、肩甲骨の緊張を解き肩甲骨が寄るようにします。この状態を可動域のすべての中で維持するようにします。
ナロープッシュアップで大胸筋に負荷を与える場合には、あくまでも自然な形で実施する必要があります。
このためには、脇を不自然に開けないことが重要です。ナロープッシュアップでは、脇を開けようとすると、肘が真横に向いた状態になりますが、このようにすると、上腕三頭筋を稼働できないため、そもそもナロープッシュアップを実施することができません。
これを防ぐために、脇はあくまでも自然の状態に設定して実施するようにしましょう。
ナロープッシュアップでは、その他のエクササイズと同様に大胸筋に負荷が入っている中で実施する必要があります。そのためには、トップポジションで肘を伸ばし切らないようにする必要があります。
トップポジションで肘を伸ばし切ってしまうと、上腕三頭筋を収縮させることができますが、同時に肘でも体重を支えるため、負荷が低下してしまします。このため、肘を怪我しないためにもトップポジションで肘を伸ばし切らないようにしましょう。
ナロープッシュアップを実施する際に、大胸筋、上腕三頭筋に効率的に負荷を与えるためには上半身から下半身までを一直線にする必要があります。この様にすることで、大胸筋、上腕三頭筋を稼働して動かす部分が増大することに伴いエクササイズ強度が増大するためです。
通常のプッシュアップと同様に、ナロープッシュアップでは上半身と下半身の接続部である臀部が下方に落ちやすくなります。このようになってしまうと、大胸筋、上腕三頭筋で動かす部分は上半身だけになってしまい、エクササイズ効率が低下するため注意が必要です。
特に、筋トレ初心者の場合には上半身から下半身までを一直線に保つのは非常に難しいことが多いです。そのため、鏡を見ながら実施したり、ビデオで撮影したり、第三者にアドバイスをもらって実施するのも有効です。
ナロープッシュアップに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、ナロープッシュアップで鍛えている部位の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中でのそれらの筋肉の動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ナロープッシュアップに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ナロープッシュアップに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。ナロープッシュアップでは、身体を下げるときに息を吸い、身体を上げるときに息を吐きます。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
プランクは、エクササイズの基本となる筋肉を鍛えることができるためです。
プランクは、特に脊柱起立筋や腹直筋といった体幹部に対する刺激が中心のエクササイズであり、エクササイズに必要な最低限の筋肉を鍛えることを期待できます。プランクを30〜45秒3セットできるようになったら、ナロープッシュアップにチャレンジしてみましょう。
プランクは、まずは30秒を3セット実施します。
プランクは、動作自体は膝付きプランクに対して、脚を伸ばして実施するだけですが、体重をつま先と両腕で支えることになるため、比較的負荷が高いエクササイズです。そのため、まずは、30秒を3セットをしっかりとポイントを守りながら実施するようにしましょう。
上半身から下半身までを一直線にする。
臀部を"張る"(=外旋する)ようなイメージを持つ。
正面を向く。
ハイプランクは、上腕三頭筋を鍛えることができるためです。
ハイプランクプランクは、プランクに対して上腕三頭筋も鍛えることができる基本的な種目です。ハイプランクを30〜45秒3セットできるようになったら、ナロープッシュアップにチャレンジしてみましょう。
ハイプランクは、まずは30秒を3セット実施します。
ハイプランクは、腕立て伏せの身体を上げた状態を維持するエクササイズであり、腕に筋肉がある方は比較的簡単に実施することができますが、それとは逆に、腕に筋肉がないと実施するのが中々難しくなります。そのため、エクササイズ強度は、人によりますが、プランクと同じくらいであり、プランクと同様に30秒を3セットをしっかりとポイントを守りながら実施するようにしましょう。
上半身から下半身までを一直線にする。
お尻をやや上げるイメージ。
目線は正面。
膝付きプッシュアップは、ナロープッシュアップと同様に上腕三頭筋を刺激できるためです。
膝付きプッシュアップは、プッシュアップではありますが、膝を付いて実施する分、そこまでエクササイズ強度は高くありません。そのため、ナロープッシュアップと組み合わせるのが効果的で、一緒に実施する場合には何れの種目を先に実施しても問題ありません。
膝付きプッシュアップは、10〜12回を3セット実施するようにしましょう。
膝付きプッシュアップは、膝をついている分、プッシュアップよりも負荷は小さいです。このため、10〜12回を目標に実施し、できない場合には、休みながらでも良いのできちんと10〜12回を実施し、それを3セット行うということを繰り返します。 これを繰り返していくうちに、休憩なしで10〜12回ができるようになり、最終的には膝をつかなくてもプッシュアップを実施できるようになることが期待できます。
上半身から下半身までを一直線。
身体はゆっくり下げる。
トップポジションで肘を伸ばし切らない。
実施中は常に肩甲骨を寄せる。
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