ポストンプレスは、アーノルドプレスに非常によく似た種目で、ダンベルショルダープレスの状態でダンベルの内旋、外旋動作を繰り返して三角筋を鍛えます。今回は、ポストンプレスのやり方及びコツについてご紹介します。
ポストンプレスは英語で「Poston press」であり、「ポストンが考案した押す」動作の種目です。このポストンですが、プロメンズフィジーカーであるJason Postonを指しており、彼がメンズフィジークで最も重要とされる三角筋を発達させるために考案したとされています。
ポストンプレスについて、その動作を見る限りでは同じく三角筋を鍛えるエクササイズであるアーノルドプレスから着想したと考えられます。アーノルドプレスでは、上下方向の動きがあるのに対して、ポストンプレスは左右方向の動きが主体となる種目です。そのため、エクササイズ強度はアーノルドプレスの方が高くなります。
三角筋は肩の筋肉であり、前部、中部、後部からなります。
三角筋前部は、肩の前部についている筋肉で、大胸筋上部の上側に位置します。大胸筋とは、胸の筋肉で上部、中部、下部に分けることができます。大胸筋の中で三角筋と密接な関係があるのは、上1/3が該当する大胸筋上部です。三角筋前部が発達していると、大胸筋上部との区別がはっきりとし、これにより肩がより丸みを帯びて見えることに繋がります。
三角筋中部は、肩の側面についている筋肉です。三角筋中部が発達していると、側面から見たときの腕の凹凸がはっきりすることはもちろんですが、正面から見たときの肩の張り出し感に繋がります。
三角筋後部は、肩の後ろについている筋肉であり、三角筋後部が発達していると、肩甲骨周りの凹凸感が出るようになり、非常に逞しい見た目になります。
三角筋は、パイクプレスのメインターゲット部位です。
三角筋は発達していると外見から非常に分かりやすいです。特にそれが顕著であると言われるのが三角筋の中部、つまり、肩の側面に付いている筋肉です。三角筋中部が発達していると、男性ならばシャツを着たときにシルエットが非常にはっきりするようになり、女性の場合は肩周りがスッキリすることでスラッと美しくなります。
また、肩が張り出したような状態になるため、相対的に身体が逆三角形に見えるようになることが期待できます。一方で、肩の張り出しが大きくなるということは、発達させすぎると入る服が少なくなるため注意が必要です。
肩もしくは首が凝っているというのは、基本的には何かしらの原因で首から肩にかけての筋肉がこわばっている状態です。筋肉がこわばると、血管を圧迫するため、これにより血流が悪化させるのと同時に、リンパの流れを悪化させます。血流及びリンパの流れは、疲労物質を流す作用があるため、血流が悪化した状態だとこの疲労物質が蓄積し、「肩、首が重い、だるい」といった症状を引き起こしてしまいます。
肩の筋肉を鍛えることで、肩周りの血流及びリンパの流れを改善することが期待できます。これにより、廃物が流れるようになることで、血管を圧迫しなくなり、これにより肩こり、首こりの改善を期待できます。
三角筋は、意外かもしれませんが、身体の中で非常に大きな筋肉です(大腿四頭筋、大臀筋に次ぐ3番目の大きさと言われています)。
代謝を改善するための筋肉というと、脚の筋肉である大腿四頭筋、お尻の筋肉である大臀筋、背中の筋肉である広背筋等が非常に有名ですが、実は三角筋を鍛えることでの効果も非常に大きいです。ここで、よく見逃されがちなのが、三角筋後部です。三角筋後部は、三角筋前部、中部と比較すると正面から見えないということで軽視されがちな三角筋の部位であるため、鍛えることで効率的な代謝の改善を期待できます。
「姿勢が悪い」というのは、腰が曲がりすぎた「猫背」、または腰が反りすぎた「反り腰」が挙げられます。一般的に、猫背は、長時間下を向いたりすることで発生するため、デスクワークが多い方やスマホの使用が多い方が患う可能性が高いです。
一方、反り腰は、猫背を治そうとして背中を反ることで発生すると考えられています。このため、そもそも猫背が原因で反り腰が発生していることが多く、姿勢の改善を行うためには、まず猫背の改善を行う必要があります。
猫背の原因の一つとして、巻き肩が挙げられます。巻き肩は、肩の筋肉が凝り固まっていることで発生することが多いとされています。そのため、三角筋を鍛えることで血流を改善することが期待でき、これにより、肩の筋肉の凝りの解消を期待することで巻き肩の予防を期待できます。
筋トレ初心者のポストンプレスの目安の重量は片手で5〜8 kg程度です (自身の体重にもよります)。
ポストんプレスは、ダンベルショルダープレスに似たエクササイズであることから、初心者でもある程度の重量を扱いやすい種目です。ただし、フォームをしっかりと身につけるという意味で、筋トレ初心者の方は、片手で5〜8 kg程度のやや軽い重量でフォームをしっかりと確認しながら実施しましょう。
ポストンプレスに少し慣れた方のポストンプレスの目安の重量は片手で8〜10 kg程度です(自身の体重にもよります)。
ポストンプレスは、少し慣れるだけで比較的重量を扱うことができますが、少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では8〜10 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてポストンプレスを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。
筋トレ上級者のポストンプレスの目安の重量は片手で30 kg以上です(自身の体重にもよります)。
筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、ポストンプレスで片手30 kg以上を正確な可動域の中で実施できれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、これはあくまでも「正確な可動域」での重量であり、可動域が小さい場合にはより高重量を扱うこともできますが、エクササイズ効率は高くないため、しっかりと可動域を設定しましょう。
筋トレ初心者の場合、ポストンプレスは12〜15回を3セット実施します。
ポストンプレスは、やや重量を扱い易い種目であり、エクササイズ強度が比較的高い種目です。回数としては、一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
ポストンプレスに少し慣れた方の場合、アポストンプレスは、ウォーミングアップのセット、仕上げのセットを追加して5セット実施します。
ポストンプレスに少し慣れた方の場合、まず、ウォーミングアップのセットを追加します。ウォーミングアップのセットは、15〜18回を実施できる重量設定にします。次に、仕上げのセットを追加します。仕上げのセットでは、本番の3セットに対して少しだけ重量を減らして15回きっちりとできる重量設定をするようにしましょう。
筋トレ上級者の場合、その他の三角筋を鍛えることができる種目と組み合わせます。
上級者がポストンプレスを実施する場合には、仕上げの種目として実施します。本番種目として、ダンベルショルダープレス、ダンベルサイドレイズなどの種目を実施するのがおすすめです。この場合、以上の種目を12〜15回を実施し、仕上げでポストンプレスを12〜15回3セット実施しましょう。
ポストンプレスは、ダンベルの内旋、外旋動作を行います。このとき教科書的には旋回角度が180度、つまり半周させます。
しかし、こうするとダンベルを持ったまま、肩関節が開く動作と閉まる動作を行う必要があり、初心者の方は肩関節を怪我をする恐れがあります。また、ポストンプレスでは掌を少し回すだけで三角筋前部が伸展する負荷が入るため、135度以降ダンベルを内旋させても意味がありません。
このことから、ダンベルの旋回角度は135度程度に設定し、過度にダンベルを旋回させないように意識しましょう。
ポストンプレスを安全かつ効果的に実施するためには、ダンベルの角度の設定は非常に重要です。
ダンベルが常に床と垂直であることを意識します。肘が前に入る、もしくは肩が前に入ることで、肘の角度が床に対して垂直でなくなると怪我の原因となるため注意しましょう。
ダンベルが床と平行にすると(縦ではなく横に動かすと)高い確率で負荷が抜けてしまい、エクササイズの効率が下がってします。
肩甲骨は寄せることで大胸筋がしっかりと張った状態になります。このため、ベンチプレスやダンベルチェストプレスでは、大胸筋を稼働させるための必須テクニックと言えますが、ポストンプレスでは基本的には逆効果です。
ポストンプレスはあくまでも三角筋を鍛える筋トレなので、肩甲骨を寄せることで大胸筋上部に刺激を入れてしまわないように注意する必要があります。
重量が重すぎると正しいフォームで実施できなくなってしまうので、注意が必要です。
ポストンプレスでは、掌が三角筋前部の正面にくる場所をボトムポジションに設定する必要があり、高重量を扱いすぎると、この設定が困難になります。
ポストンプレスでは、三角筋の他に、副次的にではありますが、体幹でも重量を支えています。このことから、体幹が曲がっていると高確率で腰を痛める原因となります。
特に立って実施した場合ですが、ダンベルを支えようとするために、背中を思いっきり反ってダンベルを把持(はじ)することで高確率で腰を痛めます。
そのため、ポストンプレスでは背中全体を支えることができるアジャスタブルベンチ、もしくはユーテリティベンチ上で実施することがおすすめであり、その際にも、背中を曲げないことを意識するようにしましょう。
ポストンプレスに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、三角筋前部の動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での三角筋前部の動きを意識するのがオススメです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
ポストンプレスに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ポストンプレスに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、ポストンプレスでは、ダンベルを下ろすときに息を吸い、ダンベルを上げるときに息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは絶対に避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
ダンベルショルダープレスは、ポストンプレスにで鍛えることができる三角筋前部を鍛えることができるためです。
ダンベルショルダープレスは、三角筋前部を鍛えるためのエクササイズです。ポストンプレスと比較した場合、エクササイズ強度はほぼ同様です。実際に実施する場合には、ダンベルショルダープレスを先に実施しポストンプレスを仕上げの種目として実施することで、三角筋前部を効率的に鍛えることが期待できます。
ダンベルショルダープレスは、12〜15回を3セット実施します。
ダンベルショルダープレスは、扱う重量にもよりますが、基本的にはエクササイズ強度は通常のエクササイズに分類できます。このため、標準的なエクササイズでの推奨回数である12〜15回3セットを目標に実施しましょう。
ダンベルの角度(軌跡)は床に対して垂直。
肩甲骨を寄せない。
肘を伸ばしきらない。
重量設定を重すぎないようにする。
背筋を曲げない。
ダンベルサイドレイズは、ポストンプレスで鍛えることができる三角筋中部を鍛えることができるためです。
ダンベルサイドレイズは、三角筋中部を鍛えることに特化したエクササイズです。ポストンプレスと比較した場合、エクササイズ強度はほぼ同様です。実際に実施する場合には、ダンベルサイドレイズを先に実施しポストンプレスを仕上げの種目として実施することで、三角筋を中部を効率的に鍛えることを期待できます。
サイドレイズは、まずは12〜15回を3セット実施します。
サイドレイズは、やり方にもよりますが基本的には比較的高重量を扱い難い種目です。ただし、サイドレイズはフォームが本当に重要であるため、やや軽めの重量で一般的な筋トレで標準的な回数とされている12〜15回を3セット実施できるような重量を設定して行うようにしましょう。
高重量を扱わない。
しっかり握る。
身体を煽りすぎない。
小指を上げるように。
「万歳」しない。
ダンベルリアレイズは、ポストンプレスでは鍛えることが難しい三角筋後部を鍛えることが期待できるためです。
ダンベルリアレイズは、三角筋後部を鍛えることに特化したエクササイズです。ポストンプレスと比較した場合、エクササイズ強度はほぼ同様です。実際に実施する場合には、ダンベルリアレイズを柵に実施し、ポストンプレスを仕上げの種目として実施することで、三角筋をバランス良く鍛えることが期待できます。
ダンベルリアレイズは、12〜15回を3セット実施します。
ダンベルリアレイズは、いくつかやり方がありますが、基本的には可動域をしっかりと設定して丁寧に実施することが要求されるエクササイズです。12〜15回を3セット丁寧に実施するようにしましょう。
ボトムポジションでしっかりと三角筋後部が床と平行になるようにし、しっかりと伸展させる。
トップポジションで一瞬静止するとより負荷が高まる。
高重量で実施すると腰を痛め易いので注意が必要。
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