1. Fily
  2. Fitness
  3. 片足ヒップスラストのやり方。効果を高めるコツを解説

片足ヒップスラストのやり方。効果を高めるコツを解説

公開日

更新日

片足ヒップスラストのやり方。効果を高めるコツを解説

ヒップスラストは片足で実施することでより負荷を高めることを期待できます。今回は、片足で実施するヒップスラストであるシングルレッグヒップスラストのコツ及びやり方についてご紹介します。

シングルレッグヒップスラストとは

シングルレッグヒップスラストとは、「single leg hip thrust」で、「片足で実施するヒップスラスト」を意味する種目です。

通常、ヒップスラストは自重およびバーベルなどの重さを両足で支えて実施しますが、シングルレッグヒップスラストではそれを片足で支えて実施する種目です。つまり、通常、のヒップスラストに対して2倍の負荷がかかるようになります。

一方、支えている方の足にしか負荷がかからないようになるため、片足交互に実施する必要があります。そのため、両足をバランスよく鍛えるためには、やや時間がかかるという問題があります。

シングルレッグヒップスラストで鍛えられる部位

シングルレッグヒップスラストで鍛えられる部位

大臀筋

大臀筋は、お尻の大部分を占めている筋肉であり、単一の筋肉では身体の中で占める割合が最も大きい筋肉です。

お尻には、大臀筋の他に、中臀筋と小臀筋という筋肉があります。中臀筋はお尻の外側についている筋肉、小臀筋はお尻の中で最もインナー部分に存在する筋肉です。ただ、両者ともに大臀筋と比較すると、筋肉としては小さいため、お尻を効果的に鍛えたいならば大臀筋を鍛えると効率的です。

大臀筋はシングルレッグヒップスラストのメインターゲット部位の一つです。

ハムストリングス

ハムストリングスとは、太ももの裏側に位置する3つの筋肉(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)の総称です。

「ハムストリング」と表記される場合もありますが、以上のように3つの筋肉で構成されていることを考慮して、ここでは「ハムストリングス」と呼称します。どちらで呼称しても問題ありません。 ハムストリングスは、太ももの前側にある大腿四頭筋と比較するとサイズは小さくなりますが、それでも筋肉の大きさとしては身体の中でも非常に大きい部類に分類することができます。

ハムストリングスはシングルレッグヒップスラストのメインターゲット部位の一つです。

脊柱起立筋

脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)は、腸肋筋(ちょうろくきん)、最長筋(さいちょうきん)、棘筋(きょくきん)からなり、背中の中央部を縦に背骨に沿うように走る背中の筋肉です。

脊柱起立筋は、背中の代表的な筋肉である広背筋や僧帽筋と比較すると小さい筋肉ですが、姿勢を維持する役割を果たしています。このため、脊柱起立筋は身体が横になっている状態以外、常に働いている筋肉になります。

脊柱起立筋はシングルレッグヒップスラストのサブターゲット部位の一つです。

腹横筋

腹横筋は、横腹についている筋肉であり、腹筋では最も深層にある筋肉です。このため、腹横筋は筋肉の種類としてはインナーマッスルに分類されます。

腹横筋は、コルセット筋とも呼ばれます。コルセットとは、ウエスト周りを締め付けることでウエストラインを矯正する器具であり、腹横筋もコルセットと同様にウエストを締め付けることでウエストラインをタイトに保つ役割があります。また、コルセットの役割を果たしていることから推察できる通り腰痛を予防する役割もあります。

腹横筋はシングルレッグヒップスラストのサブターゲット部位の一つです。

大腿四頭筋

大腿四頭筋は、太ももの前面についている筋肉であり、大腿直筋(だいたいちょっきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)、外側広筋(がいそくこうきん)から構成されています。

中間広筋は深層にあり、大腿直筋がかぶさっています。 大腿直筋は、大腿四頭筋の表層の中央部に相当し、膝関節の伸展、股関節の屈曲に寄与します。大腿直筋が発達していると、大腿四頭筋の凹凸感がはっきりするようになることが期待できます。

外側広筋は、大腿四頭筋の外側に相当し、膝関節の伸展に寄与してます。大腿四頭筋の見た目に対して重要な役割を果たしており、外側広筋を鍛えていると正面から見た時の太ももの太さが際立つことが期待できます。

中間広筋は、大腿四頭筋の深層の中央部に相当し、膝関節の伸展に寄与します。中間広筋は、深層にあるため、外から確認することが難しい部位ですが、下半身を安定化させるためには重要な筋肉です。

内側広筋は、大腿四頭筋の内側に相当し、膝関節の伸展に寄与します。内側広筋を鍛えることで膝の保護や安定性に寄与することが期待できます。

大腿四頭筋はシングルレッグヒップスラストのサブターゲット部位の一つです。

シングルレッグヒップスラストの効果

ヒップラインの引き上げ

ヒップラインを引き上げるためには、お尻の筋肉である大臀筋を鍛えるアプローチと、大臀筋の下側にあるハムストリングスを鍛えるアプローチがあります。

大臀筋を直接鍛えることで、お尻の余分の脂肪を燃焼させ、メリハリのあるお尻を期待できます。

ハムストリングスを鍛えることで、お尻と太ももの境目をはっきりさせることを期待できます。

つまり、シングルレッグヒップスラストでは、これら2つの筋肉を合わせて鍛えることを期待できるため、効率的なヒップラインの引き上げを期待できます。

代謝アップによるダイエット効果

シングルレッグヒップスラストでは、ダイエット効果も見込むことができます。

その理由は、身体の中の筋肉の約60〜70%が下半身に集中しており、下半身の中でも臀部(お尻)が占める筋肉の割合が非常に高いためです。シングルレッグヒップスラストでは、臀部に加えて、ハムストリングスを鍛えることが期待できるため代謝が向上します。脂肪が燃焼するためには代謝の向上が不可欠なので、ダイエット効果が見込めます。

ただし、シングルレッグヒップスラストは代謝向上を促すことまでしかできません。ウォーキングやランニングなどの有酸素運動と、食事制限もダイエットをする上では必須です。

その他の効果

前述した通り、シングルレッグヒップスラストは脊柱起立筋、腹横筋に刺激が入り鍛えることができるので、副次的に様々な効果が期待できます。
例えば、

  • 姿勢改善。

  • 腰痛改善。

  • 運動機能の改善。

  • ウエストの引き締め効果。

  • 臓器の位置の安定。

などです。

シングルレッグヒップスラストのやり方

フォーム

  1. ベンチに対して90度となる様に仰向けになり、肩甲骨の下側がベンチのヘリに当たる様にする。
  2. トップポジションで膝の角度が90度となるように脚の位置を決定する。脚の幅は腰幅、脚の向きは身体と平行かやや外側に設定する。このとき、片足を上げる。
  3. 脚の裏で地面を押して床と上半身が平行となる位まで身体を挙げる。
  4. お尻と床が付くか、付かないかの部分まで身体を下げる。
  5. 3-4を繰り返す。

重量

初心者

筋トレ初心者のシングルレッグヒップスラストの目安の重量は5〜10 kg程度です (自身の体重にもよります)。

シングルレッグヒップスラストは、通常のヒップスラストほど重量を扱うことができません。
以上では重量は5〜10 kgと述べましたが、実際には、自身の筋肉量に合わせて10〜12回をきちんと(ある程度余裕のある形で)実施できる重量を選択するようにしましょう。

少し慣れたら

シングルレッグヒップスラストに少し慣れた方のシングルレッグヒップスラストの目安の重量は10〜15 kg程度です(自身の体重にもよります)。

シングルレッグヒップスラストで鍛えるお尻の筋肉はサイズが大きい部位であることから、鍛えると比較的早い速度で扱うことができる重量が伸びます。ただし、少し慣れた場合でもむしろフォームをしっかり意識するという意味で、やや軽い重量で行うようにしましょう。以上では10〜15 kgを挙げましたが、この重量はあくまでも目安であり、前述したように実際には自身の筋肉量に合わせてシングルレッグヒップスラストを12〜15回実施できる重量を選択するようにしましょう。

上級者

筋トレ上級者のシングルレッグヒップスラストの目安の重量は50 kg以上です(自身の体重にもよります)。

筋トレ上級者をどのように定義するかで変わってきますが、一般的に、シングルレッグヒップスラストで50 kg以上を正確なフォームで実施できれば比較的筋トレ上級者であると言えます。ただし、正確な可動域の中で実施しましょう。

回数

初心者

初心者は、シングルレッグヒップスラストを8〜10回3セット実施します。

シングルレッグヒップスラストは、通常のヒップスラストに対して、負荷の高いエクササイズです。そのため、一般的な筋トレにおける標準的な回数よりも少ない8〜10回3セットを目標に実施する様にしましょう。

少し慣れたら

シングルレッグヒップスラストに少し慣れてきたら、シングルレッグヒップスラストを10〜12回3セット実施します。

シングルレッグヒップスラストは慣れてくると、大臀筋、ハムストリングスの発達により8〜10回3セットでは負荷が足りなくなることを感じます。そのため、初心者のときよりも回数をやや増やして、10〜12回3セットを実施するようにしましょう。

上級者

上級者の場合、その他の大臀筋、ハムストリングスを鍛える種目と組み合わせて実施しましょう。

基本的に、シングルレッグヒップスラストは大臀筋を鍛える種目の中ではエクササイズ強度が高い種目ですが、他の大臀筋を鍛えることができる種目と一緒に実施するとより負荷を高めることが期待できます。実施する際には、何れの種目でも12〜15回3セットを実施するようにしましょう。

シングルレッグヒップスラストの効果を高めるポイント

脚の裏の使い方

シングルレッグヒップスラストは、お尻を上げようとする意識が働くほど、つま先で床を押し切ろうとする意識が働きがちですが、むしろ、脚裏をしっかりと使って上げた方が効果的です。

つま先で床を押し切ってしまうと、シングルレッグヒップスラストのターゲットである臀部及びハムストリングスではなく、ふくらはぎに負荷が入ってしまいます、そのため、これらの部位にしっかりと刺激を入れるためには脚裏全体で床を押し切ることが重要であり、特に、かかとの方に意識を持って押すとより効果的なエクササイズになります。

脚の置く位置

シングルレッグヒップスラストでは、通常のヒップリフトと同様に、脚の置く位置によって下半身に負荷の入る部位が異なります。

シングルレッグヒップスラストは、脚の置く位置によってどこに刺激が入るのかが変わり、身体の近くだと大腿四頭筋、身体から遠くだとハムストリングス、その間だと大臀筋になります。そのため、漫然に脚の置く位置を決めるのではなく、自身の意図をしっかりと持って脚の置く位置を決めるようにしましょう。

重量設定

シングルレッグヒップスラストでは、他の種目と同様に、可動域をしっかりと設定することが重要です。特にシングルレッグヒップスラストで重量設定が重すぎると、可動域が狭くなることに加えて、怪我をしやすくなります。

一般的に、シングルレッグヒップスラストは通常のヒップスラストほとではありませんが、高重量を扱える種目であると考えられていることが多いです。ただ、この場合には、可動域を正確に設定できていない可能性がかなり高いです。

シングルレッグヒップスラストは、実は重量を扱う種目ではなく、限定的な重量で可動域をしっかりと使うことが非常に重要です。

大臀筋、ハムストリングスの動きを意識する

シングルレッグヒップスラストに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。

このため、最初は難しいですが、大臀筋、ハムストリングスの動きを鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中での大臀筋、ハムストリングスの動きを意識するのがおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。

動作のスピード

シングルレッグヒップスラストに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。

具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスーパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。

ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。

呼吸

シングルレッグヒップスラストに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、シングルレッグヒップスラスト
では、身体を下ろすときに息を吸い、身体を上げるときに息を吐くことを意識しましょう。

慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは絶対に避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。

シングルレッグヒップスラストと一緒にやるのがおすすめの種目

ヒップスラスト

ヒップスラスト

なぜおすすめか

ヒップスラストは、シングルレッグヒップスラストの基本となる種目であるためです。

ヒップスラストは両足で実施する種目であり、シングルレッグヒップスラストを実施する前にマスターしておく必要のある種目です。実際に実施する場合には、ヒップスラストのセットの中で追い込み種目としてシングルレッグヒップスラストを実施しましょう。

やり方

  1. ベンチに対して90度となる様に仰向けになり、肩甲骨の下側がベンチのヘリに当たる様にする。
  2. トップポジションで膝の角度が90度となるように脚の位置を決定する。脚の幅は腰幅、脚の向きは身体と平行かやや外側に設定する。
  3. 脚の裏で地面を押して床と上半身が平行となる位まで身体を挙げる。
  4. お尻と床が付くか、付かないかの部分まで身体を下げる。
  5. 3-4を繰り返す。

回数

ヒップスラストはまずは8〜10回3セット実施します。

ヒップスラストは、通常のヒップリフトに対して、負荷の高いエクササイズです。そのため、まずは一般的な筋トレにおける標準的な回数よりも少ない8〜10回3セットを目標に実施する様にしましょう。

効果を高めるポイント

  • 脚の裏の使い方。

  • 脚の置く位置。

  • 片脚で実施。

  • 重量設定。

ワイドスクワット

ワイドスクワット

なぜおすすめか

ワイドスクワットは、シングルレッグヒップスラストと同様に大臀筋、ハムストリングスを鍛えることができるためです。

ワイドスクワットはシングルレッグヒップスラストと比較すると、自重で実施する限りでは負荷はやや小さいです。実際に実施する場合には、ワイドスクワットを先に実施し、本番種目としてシングルレッグヒップスラストを実施することで、大臀筋、ハムストリングスを効率的に鍛えることを期待できます。

やり方

  1. 脚幅を肩幅の1.2〜1.5倍程度に設定し、つま先はやや外側に設定する。
  2. 太ももと床が平行位になるところまでゆっくり身体を下げる。
  3. 膝が真っ直ぐに伸び切らないところまで身体を戻す。
  4. 2から3をくり返す。

回数

ワイドスクワットは、12〜15回を3セット実施します。

スクワットと同様に、ワイドスクワットも自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の女性の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要です。また、ワイドスクワットは、股関節周りを動かすトレーニングであることから、高回数で実施すると怪我をする原因となるため注意が必要です。

効果を高めるポイント

  • トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。

  • 身体をゆっくり下げる。

  • 身体を下げすぎない。

  • 背中をできるだけ倒さない。

  • 臀部の動きを意識する。

スクワット

スクワット

なぜおすすめか

スクワットは、シングルレッグヒップスラストと同様に大臀筋、ハムストリングスを鍛えることができるためです。

スクワットはシングルレッグヒップスラストと比較すると、自重で実施する限りでは負荷はやや小さいです。実際に実施する場合には、ワイドスクワットを先に実施し、本番種目としてシングルレッグヒップスラストを実施することで、大臀筋、ハムストリングスを効率的に鍛えることを期待できます。

やり方

  1. 脚幅を腰幅位に設定し、つま先はやや外側に設定する。
  2. 太ももと床が平行よりも少し深くなる位までゆっくり身体を下げる。
  3. 膝が真っ直ぐに伸び切らないところまで身体を戻す。
  4. 2から3をくり返す。

回数

ノーマルスクワットは、12〜15回を3セット実施します。

ノーマルスクワットを自重で実施する場合には、そこまで負荷が高くないため、トレーニング初心者の方でもこれ以上の回数を実施できることもあり、比較的余裕のある回数設定になっています。その分、後述するポイント・コツをしっかり意識しながら実施することが重要であり、それを意識できていないと、回数が少ない分だけ負荷が弱くなります。

効果を高めるポイント

  • トップポジションで膝をロックしない(=真っ直ぐにしない)。

  • 身体をゆっくり下げる。

  • 膝がつま先よりも前に出ないということを過度に意識しない。

  • 背中を張ったまま実施する。

  • 初動は臀部から動かすことを意識する。