サイドヒップリフトは、体側になった状態で実施するヒップリフトです。今回は、サイドヒップリフトのやり方及びコツについてご紹介します。
サイドヒップリフトは英語で「side hip lift」で「横向きのヒップリフト」を指します。通常、ヒップリフトは仰向けになって実施しますが、体側の状態で実施するヒップリフトで、サイドプランクに対して、上下の動きを加えたようなエクササイズです。このため、サイドヒップリフトはお尻を鍛える種目であるという側面もありますが、サイドプランクのメインターゲットである腹斜筋を鍛えるという側面もあります。
サイドプランクがそもそもエクササイズ強度が高い種目であるため、サイドヒップリフトは初心者レベルを脱した方のための種目であると言えます。
腹斜筋は、肋骨から骨盤にかけて走る筋肉である、外腹斜筋と内腹斜筋の総称です(イメージとしては横腹やや上についている筋肉です)。
外腹斜筋と内腹斜筋はその名前が指す通り、外腹斜筋が外側にあり、内腹斜筋は内側(深層)にあります。外腹斜筋の方が肋骨から骨盤に走っており、内腹斜筋は横腹に走っています。腹斜筋は、ひねる動作と上半身の固定(体幹)に関わる重要な筋肉です。
腹斜筋は、サイドヒップリフトのメインターゲット部位の一つです。
中臀筋(ちゅうでんきん)は、臀部(でんぶ)を形成する筋肉の一つで、お尻の側面に位置します。
中臀筋は、股関節の外転動作を司ります。脚を浮かせた状態の場合において、脚を横や斜め後ろに動かすことに作用します。以上の股関節の外転動作は、実は歩行の際に、身体を安定させる働きがあります。このため、中臀筋が弱いと身体が横に揺れることで歩行のバランスが崩れ、これを「トレンデンブルグ跛行」と呼びます。身体のバランスが崩れながら歩くと、体幹が左右方向に振られることになり、腰痛の原因になることがあると言われています。
中臀筋は、サイドヒップリフトのメインターゲット部位の一つです。
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)は、腸肋筋、最長筋、棘筋からなり、背中の中央部を縦に背骨に沿うように走る背中の筋肉です。
脊柱起立筋は、背中の代表的な筋肉である広背筋や僧帽筋と比較すると小さい筋肉ですが、姿勢を維持する役割を果たしています。このため、脊柱起立筋は、身体が横になって寝た状態になっている場合以外、常に働いている筋肉です。
脊柱起立筋はサイドヒップリフトのサブターゲット部位の一つです。
上腕三頭筋は、上腕の後ろ側についている筋肉です。
上腕三頭筋は、外側頭、長頭、内側頭からなります。外側頭は上腕三頭筋の外側の筋肉、長頭は上腕三頭筋の内側の上部の筋肉、内側頭は内側の下部の筋肉です。内側頭と外側頭を合わせて短頭ということもあります。 上腕三頭筋は、上腕を形成する上で最も大きい筋肉です。このため、腕を太くしたいと考える場合、多くの人は力コブである上腕二頭筋を鍛えようとしますが、上腕三頭筋を鍛える方が効率的です。
上腕三頭筋は膝付きサイドヒップリフトのサブターゲット部位の一つです。
三角筋は肩の筋肉であり、前部、中部、後部からなります。
三角筋前部は、肩の前部についている筋肉で、大胸筋上部の上側に位置します。大胸筋とは、胸の筋肉で上部、中部、下部に分けることができます。大胸筋の中で三角筋と密接な関係があるのは、上1/3が該当する大胸筋上部です。三角筋前部が発達していると、大胸筋上部との区別がはっきりとし、これにより肩がより丸みを帯びて見えることに繋がります。 三角筋中部は、肩の側面についている筋肉です。三角筋中部が発達していると、側面から見たときの腕の凹凸がはっきりすることはもちろんですが、正面から見たときの肩の張り出し感に繋がります。 三角筋後部は、肩の後ろについている筋肉であり、三角筋後部が発達していると、肩甲骨周りの凹凸感が出るようになり、非常に逞しい見た目になります。
バランスの良い三角筋を手に入れるためには、三角筋前部、中部、後部の3つの筋肉をバランス良く鍛えることが重要です。
三角筋は膝付きサイドヒップリフトのサブターゲット部位の一つです。
サイドヒップリフトは、特に男性には、完成度の高い腹筋に見えるようになることが挙げられます。
腹筋というと、多くの人はシックスパックに代表される腹直筋をイメージしがちです。確かに腹直筋を鍛え、体重を落とすことでシックスパックを作ることはできますが、それだけでは、完成度は高い腹筋とはいえません。肋骨周りから横腹にかけて走る腹斜筋を鍛えてこそ、完成度の高い腹筋のようにみえます。 また、腹斜筋を鍛えることは、いわゆる男性らしい逆三角形の身体作りにも寄与します。
腹斜筋は、「ほぼ」横腹に相当する筋肉です。このため、腹斜筋を鍛えることで横腹に付いている無駄な脂肪を燃焼させることを期待できます。これにより、特に女性では、くびれが目立つようになることを期待できます。
一方で、横腹の脂肪を直接減らすことを目的にするならば、腹斜筋とともに腹横筋を鍛えることが非常に重要です。腹横筋は、通称、コルセット筋とも呼ばれる筋肉であり、ウエストを細く保つ働きがあります。サイドヒップリフトの動作自体で腹横筋に刺激を与えることは難しいものの、呼吸を工夫すれば腹横筋に刺激を与えることができる可能性があり、これにより、よりくびれを目立たせることが期待できます。
一見すると、身体を鍛えるという側面で、内臓の位置関係が関係あるのかと感じますが、内臓の位置関係はお腹のでかたに関係しています。つまり、「内臓を正しい位置に保つ」という効果は、「お腹周りをすっきりさせる」効果とも表現できます。これは、腹腔(腹部臓器が収納されている領域)の内圧が低いと内臓が下方向に移動することがわかっており、これにより、下っ腹が出たような状態になってしまいます。腹腔の内圧を高めるためには、外側から締め付ける力を強くする必要があり、そのために、腹斜筋を鍛えることが有効です。
サイドヒップリフトは、体幹部を構成する筋肉である脊柱起立筋を鍛えることができるため、姿勢改善効果を期待できます。
サイドヒップリフトは上半身を支える背筋を刺激し、かつ身体を真っ直ぐにする運動なので、姿勢改善が望めます。サイドヒップリフト継続してい実施することで、サイドヒップリフトを実施していないときでも身体を真っ直ぐにしようとする意識も働きます。 姿勢は座っているときに悪化しやすいので、「一日の大半をデスクワークをして過ごす」という方は、姿勢が悪くなっている可能性が大です。そんな方は、特にサイドヒップリフトによる姿勢改善の効果を非常に感じやすいと思います。
サイドヒップリフトでは、中臀筋、上腕三頭筋、三角筋、脊柱起立筋を鍛えることができるため、その他の効果として以下を期待できます。
ヒップアップ効果。
お腹の引き締め効果。
腕の引き締め効果。
肩こり改善効果。
運動パフォーマンスの向上。
代謝の改善。
筋トレ初心者は、サイドヒップリフトを10〜12回3セット実施します。
サイドヒップリフトは、そもそもサイドプランクが負荷が高いため、自ずと負荷が高くなります。このため、まずは10〜12回3セットから実施するようにしましょう。
サイドヒップリフトに少し慣れたら、サイドヒップリフトを12〜15回3セット実施します。
サイドヒップリフトは、慣れてくると、動作の慣れによりやや多くの回数を実施することができるようになります。ただ、それでも、多回数を実施する必要はなく、少し回数を増やして12〜15回3セット実施しましょう。
上級者は、サイドヒップリフトを15〜18回3セット実施します。
上級者は、サイドヒップリフトを比較的多回数の15〜18回3セット実施しましょう。また、サイドヒップリフトだけでは負荷はそこまで高くないため、その他の腹直筋や腹斜筋を鍛えることができる種目を実施しましょう。
サイドヒップリフトを実施する上で最もネックとなるのは、正しい姿勢を作ることで、上半身を支える肘の角度は非常に重要です。このために、肘を身体の側面に対して90度に設定しましょう。肘が身体の側面に対して鋭角になっていると、身体を支えるために十分な力が入りません。また、肩周りに余分に刺激が入ってしまい、肩を怪我する危険性もあります。
サイドヒップリフトでは、脇の角度により腕及び肩にかかる負荷が変化します。
サイドヒップリフトでは、腕および肩の筋肉である三角筋、上腕三頭筋に負荷が入りはしますが、それはあくまでも副次的なものです。メインは、腹斜筋に刺激が入ることであり、そのためには三角筋や上腕三頭筋にできるだけ負荷が入らないで実施する必要があります。
そのためには、脇の角度を適切に設定するようにします。角度としては、約60度程度ですが、特に肩に負荷が入り難い角度を見つけて実施するようにしましょう。
サイドプランクでは、腕の向きにより腕及び肩にかかる負荷が変化します。
これは、前述した脇の角度と関係しますが、腕の向きを変えることで脇の角度を変えることができます。腕が内側に入るようになると、脇が開いたような状態になり、逆に腕が外側に開くようになると脇が閉まったような状態になります。いずれも、理想的なサイドヒップリフトを実施する上ではいまいちな状態であり、以上の中間である、「腕が正面を向く」状態で実施するようにしましょう。
サイドヒップリフトを実施する上で、上半身を安定させるのが非常に重要であり、そのためには足を重ねずに実施するのが有効です。
一方、サイドヒップリフトは両足を重ねずに実施することで安定化させることを期待できますが、身体を真っ直ぐにしようとする力が働きづらく、サイドヒップリフトの効果が低下します。そのため、負荷を高めようとする場合には意識的に両足を重ねてサイドヒップリフトを実施することが重要です。
一方で、通常のサイドヒップリフトで負荷が高すぎると感じる場合には、逆に両足を重ねないで実施することも有効です。
目線を真っ直ぐにし、胸をやや張るイメージを持つと効率がアップします。
身体を支えている肘の方向に視線を向けた方が身体のバランスを取りやすいのですが、そうすると肘に身体が覆い被さるような姿勢になり、肩への負荷が高まるとともにプランクとしての効果が減少してしまいます。
そのため、視線は身体に対して真っ直ぐに設定することが重要です。
サイドヒップリフトに限った話ではありませんが、鍛えている部位を意識することは非常に有効です。これは、筋トレ用語で「マインドマッスルコネクション」と呼ばれるテクニックであり、トレーニング中は鍛えている部位の動きを意識しながら実施するとエクササイズの効率が大きく向上します。
このため、最初は難しいですが、サイドプランクで鍛える筋肉を鏡でチェックしながら、自身の実施している種目の中でサイドプランクで鍛える筋肉の動きを意識するのおすすめです(トレーニング中上級者の動画を見ながら、それをイメージして実施するのも効果的です)。
サイドヒップリフトに限った話ではありませんが、トレーニング中の全ての動作は自身の管理下に置く必要があります。トレーニング中の動作を管理下に置くには、筋トレの動作のスピードをコントロールする必要があります。これは、もう少し噛み砕くと、トレーニングをしている最中に扱っているバーベル、ダンベル、マシンの重量の動きをコントロールすることになります。ここで、高重量を扱いすぎると、動作の際に動きをコントロールできなくなり、エクササイズ効率が低下することはもちろんですが、怪我の原因にもなります。
具体的に、動作のスピードは、教科書的には、重りが下がるときはゆっくり(「ネガティブ動作を意識する」とも表現されます)、重りが上がるときは素早く(「ポジティブ動作を意識する」とも表現されます)するということがあります (上級者になると、この限りではなく、全ての動作をゆっくりにするスロートレーニングや、スロートレーニングからさらにゆっくりにするスパースロートレーニングなどのテクニックもあります)。重りを下げるときは、地球では重力が下方向に常に働いているため、その重力に争う様にゆっくり下げます。一方、重りを上げるときは重力とは逆向きの運動になるため、素早く上げます。
ネガティブ動作とポジティブ動作のうち、特に重要なのがネガティブ動作です。このネガティブ動作をしっかりと意識するだけで、どんなトレーニングでもトレーニングの質は劇的に改善します。
ササイドヒップリフトに限った話ではありませんが、トレーニング中に呼吸方法を意識することでトレーニング効率の改善を期待できます。呼吸は、筋肉の伸展と収縮を促し、特にサイドヒップリフトでは息を吐くことを意識しましょう。
慣れないうちは、これが逆になってしまってもそこまで重篤な問題が発生するわけではありませんが、息を止めてトレーニングを行うということは避けましょう。息を止めてトレーニングを行うと、一時的に大きな力を発揮できるという考え方もあります。しかし、これはあくまでも重量を競うパワーリフティングやウェイトリフティングでの話です。トレーニングをして、身体を成長させようとした場合には、必ずしも重量を扱う必要がないことから、呼吸を止めるのではなく、呼吸をしっかり行うことが重要です。ここで、呼吸を止めて実施すると、最悪、血圧が急激に上昇し倒れてしまうというケースもあるため注意が必要です。
ヒップリフトは、サイドヒップリフトの基本となる種目であるためです。
サイドヒップリフトは、サイドプランクとヒップリフトを組み合わせた種目であることから、まずは基本となるヒップリフトをマスターする必要があります。実際に実施する場合には、ヒップリフトを先に実施し、その後にサイドヒップリフトを実施するようにしましょう。
ヒップリフトは、12〜15回3セット実施するようにしましょう。
ヒップリフトは、前述した通り、そこまで負荷の高いエクササイズではないため、効果を高めるためにはフォームをしっかりと守って実施する必要があります。フォームをしっかりと守るために、やや回数が少ないと感じるかもしれませんが、12〜15回3セットをしっかりと実施するようにしましょう。
トップポジションで静止する。
お尻をゆっくり下げる。
お尻を上げる際に息を吐いて、お尻を下げるときに息を吸う。
膝付きサイドプランクは、サイドプランクの基本となる種目であるためです。
サイドヒップリフトを実施する上で、まずマスターする必要があるのがサイドプランクであり、膝付きサイドプランクを実施できるからこそサイドプランクも正確に実施できます。実際に実施する際には、膝付きサイドプランクを実施してから、サイドプランクを実施するようにしましょう。
膝付きサイドプランクは、20〜30秒間3セット実施します。
膝付きサイドプランクは、通常のサイドプランクと比較して、エクササイズ強度は控えめであるものの、それでも通常のプランクと比較すると負荷は高いです。そのため、特に、筋トレ初心者の肩の場合には、まずは20〜30秒間3セット実施することから始めましょう。
上半身から下半身までを一直線に設定。
脇の角度。
腕の向き。
サイドプランクは、サイドヒップリフトの応用となる種目であるためです。
サイドヒップリフトを実施する上で、まずマスターする必要があるのがサイドプランクであり、サイドプランクを正確に実施できるからこそサイドヒップリフトも正確に実施できます。実際に実施する際には、サイドプランクを実施してから、サイドヒップリフトを実施するようにしましょう。
サイドプランクは、片側10秒3セットを実施します。
サイドプランクは、基本的にはハイサイドプランクと同様ですが、腕の突っ張りを使えなくなるためハイサイドプランクよりも負荷が高まります。このため、基本的には、ハイサイドプランクをマスターした方向けの種目であり、そんな方でも最初は負荷は高いため、まずは片側10秒3セットを実施するようにしましょう。
身体は一直線に設定する。
脇の角度は90度。
お尻をやや上げるイメージを持つ。
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